[OldGods] Whispers of the Old Gods(旧神のささやき) - カードプレビュー Part.4


この記事ではHearthstoneの次期コンテンツとなる拡張版『Whispers of the Old Gods(旧神のささやき)』の新カード事前評価を行っていきます。既存カードとの比較やカードシナジー、カードの使用を予想されるクラスやデッキタイプなどについて考えを巡らせつつ、実際のゲームプレイにおけるカードの挙動に疑問符が付く点についても触れていきます。

なお記述される内容はスタンダードフォーマット構築戦の視点から考察していること、そして未公開の新カードやバランス調整が予定されている既存カードの変更内容によって事情が変わることもご了承下さい。
あとで手の平グルングルンしても大目に見てください。

Arena(闘技場)視点の新カード評価はこちらを要チェック
(外部サイト) #旧神のささやき 新カードの闘技場評価 [RNG it!]



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▼ OldGodsの概要・参照リンク


▼ C'Thun様の進捗(今週もお休みでした)


▼ 個別カード評価

◆ Neutral / 中立
▼ 《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》
▼ 《Twilight Summoner / 》
▼ 《Deathwing, Dragonlord / 竜王デスウィング》

Hunter / ハンター
▼ 《Forlorn Stalker / 》

Mage / メイジ
▼ 《Faceless Summoner / 》
▼ 《Servant of Yogg-Saron / ヨグ=サロンの下僕》
▼ 《Demented Frostcaller / 》
▼ 《Twilight Flamecaller / 》

Priest / プリースト
▼ 《Embrace the Shadow / 影の抱擁》
▼ 《Shifting Shade / 》

Rogue / ローグ
▼ 《Thistle Tea / アザミ茶》
▼ 《Shadowcaster / シャドーキャスター》

Warlock / ウォーロック
▼ 《Possessed Villager / 取り憑かれた村人》




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OldGodsの概要・参照リンク


拡張版カードセット『Whispers of the Old Gods(旧神のささやき)』の概要


・新たにコレクションに加わるカードは134

・2016年4月末、または5月初頭にリリース予定

・スタンダードフォーマット(Year of the Kraken / クラーケン年)の導入と同時に実装される

・テーマはOld Gods(旧神)・Corruption(汚染)・The Forbidden(禁忌)

・4枚のレジェンドの旧神カードが到来
C’Thun(クトゥーン)Yogg-Saron(ヨグ=サロン)Y’Shaarj(ヤシャラージュ)N’Zoth(ン=ゾス)

《C'Thun / クトゥーン》には専用のシナジーを持つ16種のCultist(狂信者)カードが登場

《C'Thun / クトゥーン》と16種のCultist(狂信者)カードはArena(闘技場)のピック候補に登場しない

《C'Thun / クトゥーン》にbuffを与えるミニオンの効果は、C'Thunのカードが居る場所を問わず効果を発揮する(バトルフィールド・手札・デッキ内・既に破壊済みのいずれもbuffが与えられる)

・新しいKeywords(キーワードアビリティ)とRace(種族)カードは登場しない

Inspire/激励アビリティを持つミニオンは登場しない




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参照リンク


◆ Whispers of the Old Gods(旧神のささやき)オフィシャルリンク
「旧神のささやき」にご用心! [Battle.net]
カードセット ➤ 『旧神のささやき』 [Battle.net]
「旧神のささやき」シネマティック・トレーラー [Youtube]

Heed the Whispers of the Old Gods [Battle.net]
Card Sets ➤ Whispers of the Old Gods [Battle.net]
Whispers of the Old Gods Cinematic Trailer [Youtube]

◆ 外部データベースサイトのカードリスト
海外サイト
Hearthpwn
Gamepedia Wiki
HearthHead
Topdecks
Mana Crystals
国内サイト
Hearthstone.exp
HearthGamers

◆ dojoサイト内の関連記事
Whispers of the Old Gods(旧神のささやき) - 2016年最初の拡張版発表
Whispers of the Old Gods(旧神のささやき) - カードリスト
Whispers of the Old Gods(旧神のささやき) - カードプレビュー Part.1
Whispers of the Old Gods(旧神のささやき) - カードプレビュー Part.2
Whispers of the Old Gods(旧神のささやき) - カードプレビュー Part.3
Whispers of the Old Gods(旧神のささやき) - カードプレビュー Part.4




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C'Thun様の進捗(今週もお休みでした)


EnUS

日本語版

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個別カード評価



◆ カード基本情報
カードタイプ :Minion / ミニオン
使用クラス :Neutral / 中立
レアリティ :Legendary / レジェンド
カード作成コスト : 1600 / 3200 (Golden)
カード分解のArcane dust/魔素 :400 / 1600 (Golden)

《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》のプレビュー

鬼が出るか蛇が出るか、どんな結果へ転ぶか誰にも判らない。まるで、ドラゴンクエストシリーズの有名なあの呪文みたい・・・・・このカードの第一印象を最も簡潔に形容するならまさしく「パルプンテ」です。あまりにも特異なアビリティであり、カードの注意事項に目を通すだけで思考停止に陥りそうになります。実際このカードを使用する時というのは、もはや天運にゲームの行方をあずけてダイスを放り投げるような状況が想定されるでしょうか。

すでにこのミニオンを使用した際のシミュレーターが作られており、ポジティブとネガティブふたつの結果は前者のほうが確率が高いことは判っています。それであっても、このカードを戦略の内に含めて良いものでしょうか。今の段階ではどのように使われるか想像もつきません。このカードが使用される場面を観戦している時はさぞ盛り上がるでしょう。そこに留まり競技シーンで使われるデッキにまで採用されることは無いだろうというのが、わたしの希望的観測です。

Yogg-Saron, Hope's End Spell Card Simulator [Topdecks]
Yogg-Saron Card Simulator [herokuapp]
Yogg-Saron Simulator 2016 [gbspend]






アビリティの注意点:
・発動される呪文はコレクション可能なカードから完全にランダムに選ばれる (source)

・呪文の対象はお互いのヒーローと全てのミニオンがランダムに選ばれる (source)

・ランダムに選ばれる呪文の範囲はフォーマットに依存。スタンダードフォーマットの対戦であれば、スタンダードフォーマットで使用可能なコレクションカードから選ばれる (source)

《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》自身もターゲットとなり、仮に呪文の効果によって破壊・変身させられてもそのアビリティ効果は発動され続け、ヒーローどちらかの体力が0になり勝敗が決定されないかぎり最後まで呪文を発動する (source) (source)

・発動された呪文によってどちらかのヒーローが体力0を下回ると《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》のアビリティは停止する。ヒーローを回復して生き残るという状況は発生しない (source)

・ターゲット対象を必要としない呪文や範囲効果(AoE)の呪文は正常に機能する。《Sabotage / サボタージュ》が破壊する対象は敵のミニオンから選ばれ、《Flamestrike / フレイムストライク》は敵のバトルフィールドだけに範囲4ダメージを与える (source)

・呪文の対象はその呪文のカードテキストによって制限された対象範囲から選択される。《Mind Control / 精神支配》《Execute / 止めの一撃》は「敵のミニオン」が選択範囲なので味方ミニオンは選ばれない。《Pyroblast / パイロブラスト》のように全キャラクターがターゲット指定可能ならば、全キャラクターからランダムに選ばれる (source)

・発動される呪文の有効なターゲットが存在しない場合、呪文の失敗となり何の影響も起こらない (source)

・呪文が発動することで複数の効果を及ぼす呪文の有効なターゲットが存在しない場合、呪文の失敗によって他の効果も発動されない。例えば《Demonfuse / 悪魔融合》は相手にマナクリスタルを付与しない (source)

・呪文の発動は常に《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》自身が発動したものとみなされる。《Lay on Hands / 按手の儀式》で体力を回復する対象はランダムに選ばれるが、カードをドローするのは常にプレイヤー側となる。《Curse of Rafaam / ラファームの呪い》は常に対戦相手の手札に加えられる。《Hallazeal the Ascended / 超越者ハラジール》はどの対象にダメージを与えられようとも自分のヒーローを回復させる (source) (source) (source)

Secret/秘策の呪文も同様に自分のヒーローに設置される。その効果までは発動せず設置するだけ (source) (source)

・すでに同じカードによるSecret/秘策が設置されていたり、5つのSecret/秘策が設置済みの場合に発動されたSecret/秘策の呪文は失敗扱いとなる (source)

・Forbidden(禁じられたシリーズ)の呪文もプレイヤー側が使用したものとして処理される(《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》の召喚後に通常は0マナとなるはずなので、《Forbidden Healing / 禁じられし癒し》は回復できない) (source)

・10マナを持っている場合は《Wild Growth / 野生の繁茂》《Astral Communion / 星霊交信》が発動した場合、プレイヤーが《Excess Mana / 過剰マナ》を獲得する (source)

・呪文の発動は《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》が発動したものとして処理され、プレイヤー自身が使用したという扱いではないため、《Mana Wyrm / マナ・ワーム》《Flamewaker / フレイムウェイカー》《Archmage Antonidas / 大魔術師アントニダス》のアビリティを起動させない。同様に《Lorewalker Cho / 探話士チョー》はいずれのプレイヤーにもカードのコピーを与えず、《Trade Prince Gallywix / 商大公ガリーウィックス》はコインを生成しない (source) (source)

《Lock and Load / 発射準備》が発動した場合もその後に続く呪文によってプレイヤーがHunterカードを入手できない。ただし《Lock and Load / 発射準備》の効果はそのターン中に継続するため、《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》のアビリティ発動が全て終了したあとにプレイヤー自身が呪文を使用する場合はHunterカードがプレイヤーの手札に追加される (source)

《Eviscerate / 腹裂き》のようなCombo/コンボ発動の呪文アビリティは、《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》の召喚前にプレイヤーが何かしらのカードを使用している場合に適用される (source)

《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》Overload/オーバーロードの呪文を使用しても、プレイヤーのマナクリスタルは制限されない。ただしこれについては開発チーム内で議論の対象となっており、将来的に変更される可能性がある (source)

Choose One/選択Discover/発見のように呪文の発動によって選択肢が呈示される場合、その中からプレイヤーは選べずランダムに選択される (source)

・「この対戦中に自分が呪文を使用した回数」にはプレイヤー自身が発動させた呪文のみがカウントされる。《Mysterious Challenger / 謎めいた挑戦者》のようにミニオンによって設置された呪文の効果は回数に含まれず、《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》自身が発動した呪文もカウントされない (source) (source)

《Brann Bronzebeard / ブラン・ブロンズビアード》が味方ミニオンとしてバトルフィールドに存在した場合、Battlecry/雄叫びアビリティは正常に2回発動される。いずれかの時点で《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》自身がフィールドから取り除かれても、カウント回数分の呪文を発動する (source)

・発動される呪文がプレイヤーのターン制限時間を超過しても対戦相手の持ち時間を圧迫することはなく、超過した時間分の追加のプレイ時間が対戦相手に与えられる (source)

《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》が発動する呪文は40回が制限(《Brann Bronzebeard / ブラン・ブロンズビアード》が居る場合は80回) (source)

・ゴールデンカード版の《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》が発動する呪文は全てゴールデンカードの呪文カードとなる。回数にカウントされるプレイヤーの呪文は影響しない (source)





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◆ カード基本情報
カードタイプ :Minion / ミニオン
使用クラス :Neutral / 中立
レアリティ :Epic / エピック
カード作成コスト : 400 / 1600 (Golden)
カード分解のArcane dust/魔素 :100 / 400 (Golden)

《Twilight Summoner / 》のプレビュー
4マナで召喚時に1/1、Deathrattle/断末魔アビリティによってTokenの5/5という強力なミニオンを召喚する《Nerubian Egg / ネルビアンの卵》タイプの中立ミニオン。仮に4ターン目で召喚し次のターンに破壊した(された)とするなら、5/5のミニオンが実際に動けるのは6ターン目となります。スタッツの単純な合計値は優秀なものの、あまりにも動きが遅いこのカードを単体で眺めるとプレイする価値は特に見当たりません。特定のデッキテーマやカードシナジーの中でこそ輝くだろうその可能性を少し探ってみましょう。

まずその特性を把握するためにスタンダード落ちするNaxxの中立カード《Nerubian Egg / ネルビアンの卵》と比較します。《Twilight Summoner / 》はマナコストが2つ高く、本体が1/1のスタッツに設定されています。攻撃力の数値を持っていることによって、何らかのbuff効果を必要とせず自らを相手のミニオンにぶつけてTokenを召喚できることが《Nerubian Egg / ネルビアンの卵》と大きく異なります。Silence/沈黙に弱みを抱える点は共通。Shamanの《Earth Shock / 大地の衝撃》は最悪のカウンタースペルとなります。

一般的なゲームプレイにおいては4マナというマナコストの高さから《Nerubian Egg / ネルビアンの卵》に使い勝手で大きく劣ると見られます。まず両者が単純にマナコストとターンの経過に沿った動きをした場合、《Nerubian Egg / ネルビアンの卵》は3ターン目に4/4の脅威を盤面に置くのに対して、《Twilight Summoner / 》は5ターン目に5/5という平均値に収まる数値です。
さらに、Deathrattle/断末魔アビリティによってTokenを生成するという両者に共通する特性は相手のミニオンと有利なトレードを行うことに価値があります。《Nerubian Egg / ネルビアンの卵》《Abusive Sergeant / 鬼軍曹》から攻撃力+2のbuffを受けると、おおむね相手の1・2ターン目のミニオンに対してトレードが可能となる場面が多く見られます。さて《Twilight Summoner / 》はというと、相手の4・5ターン目のミニオンに対してトレードを仕掛けるには攻撃力+3か+4のbuff効果を必要とするでしょう。

《N'Zoth the Corruptor / 頽廃させしものン=ゾス》のアビリティ効果によって呼び戻されるミニオンとしては多少有益ですが、やはりこの4マナという高いマナコストがネックになり使い所を限定されるでしょう。例えば《Dreadsteed / ドレッドスティード》は無限に復活し続けるという異常な特性を持っていながら、通常の構築では用いられません。4マナで1/1をプレイするテンポロス分のバリューを発生させるのに時間がかかりすぎるからです。2マナの《Nerubian Egg / ネルビアンの卵》ほどの利便性に欠けており、この《Twilight Summoner / 》Deathrattle/断末魔によるシナジー効果の恩恵を加えてようやくプレイアブルなカードになるだろうと見られます。




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◆ カード基本情報
カードタイプ :Minion / ミニオン
使用クラス :Neutral / 中立
レアリティ :Legendary / レジェンド
カード作成コスト : 1600 / 3200 (Golden)
カード分解のArcane dust/魔素 :400 / 1600 (Golden)

《Deathwing, Dragonlord / 竜王デスウィング》のプレビュー
クラシックカードセットの象徴的なミニオン《Deathwing / デスウィング》が姿を変え再登場となりました。リニューアルされた能力は竜王を名乗るのにふさわしく強力で、破滅的であり、また同時に原作World of Warcraftのフレーバーを感じさせます。

こちらのカードに描かれているデスウィングのキャラクターは、今回の拡張版テーマでもある旧神の影響によって変質した姿ではありません。もとから旧神に精神を支配されているデスウィングの行動目的は、かつての支配者である旧神達を現世へ復活させAzerothを滅亡させることです。古代から伝わる予言の「Hour of Twilight」とは旧神が復活し世界が崩壊する時を迎えることを示しており、その破滅を防ぐために世界の守護者として《Alexstrasza / アレクストラーザ》らのDragon Aspectが存在しています。《Ysera / イセラ》が幻視した可能性のひとつとして存在する未来では、デスウィングを含むDragon Aspectが死に絶え旧神復活が実現し世界は滅亡の時を迎えました。世界の黄昏にDragon種族を殺戮し自ら命を絶ったとされているのが、今回登場する《Deathwing, Dragonlord / 竜王デスウィング》です。
投票「旧神のささやき」#4 [Hearthstone.exp]
Cataclysm - Patch 4.3: Hour of Twilight [Youtube]


余談はここまでとしてカードの性質を分析していきます。まず《Deathwing, Dragonlord / 》は自身が破壊された時にプレイヤーの手札にあるDragon/ドラゴン種族のミニオンを全てフィールドに設置します。この仕組みは既存ミニオンの《Voidcaller / ヴォイドコーラー》と同じ性質のものです。マナコストの支払いを必要とせず強大なDragon/ドラゴン種族ミニオン達を複数同時にフィールドに置くことは非常に強力なテンポスイングとなります。明確な欠点は召喚されるミニオン達のBattlecry/雄叫びアビリティが発動しないことです。とりわけDragon/ドラゴン種族ミニオン22体中の半数がBattlecry/雄叫びアビリティであるため、カードが本来持っている価値を無為にする可能性もあります。

それでも例えばデスウィングの息子《Nefarian / ネファリアン》を引っ張り出せば8/8のボディで大きな脅威となるでしょう。手札に複数のDragon/ドラゴンが存在したならばとてつもない光景が展開されるかもしれません。

同時にこの能力は大きなリスクも秘めています。手札から全てのDragon/ドラゴン種族を強制的に場に出してしまうため、《Twisting Nether / 捻れし冥界》などの全体除去を受けると全ての戦力を失う結果になりかねません。シナジーを活かすためDragon/ドラゴン種族のミニオンを主力とするデッキを構築しているならば尚更致命的でしょう。本質的には旧版《Deathwing / デスウィング》と同じように、いわゆる”オールイン”のリスクと隣り合わせのミニオンであるように見受けられます。

さて実用面に目を向けると、召喚に10マナを要しアビリティの恩恵を受けるのに更に時間を要するというのはあまりにも遅い性質のカードです。10マナで召喚したターンに仕事をしないミニオンなど現環境ならば使い物になりません。この新デスウィングが使用される機会があるかはMetagame次第であり、環境が遅いデッキばかりになるとも今のところは想像できません。それでも実現可能性のある未来のひとつには、Dragon/ドラゴン種族シナジーに特化した強力なデッキが幾つか存在し、そこにはこの《Deathwing, Dragonlord / 竜王デスウィング》が採用されているかもしれません。

たとえば《Brann Bronzebeard / ブラン・ブロンズビアード》 + 《Dragon Consort / ドラゴンの寵臣》のコンボでコストを4つ削減できるDragon Paladinのデッキならば、最短6ターン目にこのデス様が降臨する姿を拝めるのです。




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◆ カード基本情報
カードタイプ :Minion / ミニオン
使用クラス :Hunter / ハンター
レアリティ :Rare / レア
カード作成コスト : 100 / 800 (Golden)
カード分解のArcane dust/魔素 :20 / 100 (Golden)

《Forlorn Stalker / 》のプレビュー
ありそうであんまり無かった奇妙なミニオンが思いがけないクラスに割り当てられました。《Forlorn Stalker / 》のアビリティは手札にあるミニオンに強化buffを与えるものです。《The Mistcaller / 霧招き》との違いは手札のミニオンだけが対象となること、それもDeathrattle/断末魔だけに限定されます。

このミニオンを召喚するということはカードのバリューを高めるための行動であり、いま目の前で展開されている盤面に対して即座に干渉するものではありません。《Houndmaster / 猟犬使い》が有能なのは、既に召喚済みのミニオンを強化して盤面争いを優位に運ぶからです。ゲーム序盤のテンポを犠牲にするこの点において、展開の早いHunterというクラスの性質と《Forlorn Stalker / 》は一般的に相性が良いものではありません。なぜHunterは”早い”性質のクラスなのか。たとえばクラス専用ミニオンの質という観点からHunterは6マナの《Savannah Highmane / サバンナ・ハイメイン》がピークであり、それ以降のミニオンを他クラスと単純に比べっこしたら明らかに劣ります。ヒーローパワーや呪文、そしてミニオンとあらゆる要素が早い展開を志向する性質へとこのヒーローを特徴付けています。

あまりにミスマッチなこのカードデザインから、開発チームはHunterというクラスにこれまで無かったプレイスタイルを試させようとしていることは窺えます。ただ、Hunterというクラスにパラダイムシフトを起こすきっかけにはならないように見えます。有用なDeathrattle/断末魔ミニオンはスタンダードフォーマット導入と同時に環境から消え去ります。仮にワイルド環境を想定しても、このミニオンは果たして有効でしょうか?《Piloted Shredder / 手動操縦のシュレッダー》は強化しても相手の《Piloted Shredder / 手動操縦のシュレッダー》と相討ちになり、《Savannah Highmane / サバンナ・ハイメイン》《Big Game Hunter / 大物ハンター》の射程に顔を覗かせてしまうのです。




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◆ カード基本情報
カードタイプ :Minion / ミニオン
使用クラス :Mage / メイジ
レアリティ :Common / コモン
カード作成コスト : 40 / 400 (Golden)
カード分解のArcane dust/魔素 :5 / 50 (Golden)

《Faceless Summoner / 》のプレビュー
スタンダード環境の3マナミニオンは現在公開済みのOldGods拡張版を含めて78体、平均スタッツは攻撃力2.67、体力が3。闘技場を想定するとオーバーパワーなカードという評価が衆目の一致するところでしょう。この記事はスタンダード環境の構築戦を想定するものなので、闘技場のピック候補選択基準とは視点が異なります。

まずこのミニオンの性質は完全にボードプレゼンスに徹した性質であり、判りやすい例では《Dr. Boom / ドクター・ブーム》と同じ性格のミニオンです。同じ6マナ帯で比較すると《Cairne Bloodhoof / ケーアン・ブラッドフーフ》よりもアグレッシブであり、《Sylvanas Windrunner / シルヴァナス・ウィンドランナー》よりも使い所を選ばない手堅い6マナドロップです。

そうした性格の6マナドロップミニオンが現在のMageに適合するかというと、少々疑問が残ります。これまでTempo Mageの構築は6マナドロップのカードを採用してきませんでした。それはひとえにデッキの性質にフィットするカードがほとんど存在しなかったことに理由を見つけられるでしょう。ひとつの特例は、安価な呪文カードを生成する《Toshley / トッシュリー》です。こちらと比較しても、たしかに《Faceless Summoner / 》そのものはTempo Mageの性質にフィットするものです。これまで存在しなかった6マナのテンポミニオンとしてその溝を埋めてくれるかもしれません。他方で、このミニオンは呪文カードとシナジーがあるわけでもなく、《Dr. Boom / ドクター・ブーム》ほどOPなカードでもありません。いまの段階では6マナドロップとして効果的に機能する環境にあれば有効なオプションのひとつになる、程度の評価に留まります。

仮にTempo Mageのデッキ構築がより遅い展開のMidrangeへとシフトしていったならば、構築戦でも頻繁に見かけるようになるかもしれません。




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◆ カード基本情報
カードタイプ :Minion / ミニオン
使用クラス :Mage / メイジ
レアリティ :Rare / レア
カード作成コスト : 100 / 800 (Golden)
カード分解のArcane dust/魔素 :20 / 100 (Golden)

《Servant of Yogg-Saron / ヨグ=サロンの下僕》のプレビュー

アビリティの注意点:
基本的な性質は《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》と同様。呪文をキャストするのはミニオン自身であり、対象は全てのキャラクターからランダムに選ばれ、使用される呪文はフォーマットに依存。


《Unstable Portal / 不安定なポータル》が環境から消えようという矢先にこうしたカードを追加してくるのは、Casino Mageを開発チームはいたく気に入っているのかもしれません。しかしカジノへ足を運ぶ人々は自分を破滅させる可能性までは期待してはいないでしょう。《Unstable Portal / 不安定なポータル》は2マナのテンポを失うリスクを最小限に保証し、場合によっては素晴らしい結果をもたらす幸運のおみくじです。《Servant of Yogg-Saron / ヨグ=サロンの下僕》はまったくの別物で、5マナというゲーム中盤のターニングポイントに自滅へと導く可能性を多分に含んでいます。

何かしらの良い結果へと転んだ場合、5/4のミニオンを盤面へ置きながら5マナコスト以下の呪文ひとつをタダで使用するだけの恩恵を受けることができます。この場合のみ《Azure Drake / アジュア・ドレイク》に匹敵するでしょう。悪い結果へと転べば相手に5マナコスト以下の呪文ひとつをタダで使用するだけの恩恵をもたらしてしまいます。余りにも乱数に依存しすぎており、《Azure Drake / アジュア・ドレイク》とこのカードを入れ替える理由がいまのところは見つかりません。
ちなみにこのミニオンが使用した呪文は《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》の呪文にはカウントされないので、下僕というわりにはシナジーがありません。




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◆ カード基本情報
カードタイプ :Minion / ミニオン
使用クラス :Mage / メイジ
レアリティ :Rare / レア
カード作成コスト : 100 / 800 (Golden)
カード分解のArcane dust/魔素 :20 / 100 (Golden)

《Demented Frostcaller / 》のプレビュー

アビリティの注意点:
・既にFreeze/凍結の効果を受けているミニオンはランダム選択の対象に選ばれない (source)


《Flamewaker / フレイムウェイカー》同様にプレイヤーが呪文をキャストする度にランダム対象でエフェクトをばらまくタイプのミニオン。こちらはFreeze/凍結の効果を敵のヒーローとミニオンの中からランダムに与えます。一見すると使い所に困るミニオンのように見えます。少なくとも、闘技場でこのミニオンを好んでピックする人は居ないでしょう。さて構築戦ではというと、さまざまな面で既存のミニオンにはっきりと劣ります。

まず4マナ帯のミニオンとしてはあまりにも低すぎるスタッツ。Freeze/凍結効果がいかに強烈とはいえ4マナで《Flamewaker / フレイムウェイカー》と同じ攻撃力/体力とは残念すぎる数値です。さらに同じ4マナ帯には比較候補として《Water Elemental / ウォーター・エレメンタル》が存在します。こちらは攻撃3/体力6と十分な数値を持ち、さらに呪文でアビリティを起動する必要もありません。比較して《Demented Frostcaller / 》はミニオン本体はミニオン同士のトレードに脆弱です。また、そのFreeze/凍結を与える対象がランダムというのも使用する上でネックになります。武器を使用しないクラスのヒーローを凍結させても基本的に無益です。そしてどうしても動きを止めたい対象が居るならばマナ二つ分ハイコストですが《Frost Elemental / フロスト・エレメンタル》で確実に停止させることができます。

一見してテンポの面から明らかに劣るミニオンなのは明白であり、開発チームがこのクラス専用新カードを投入する理由はゲーム後半のコントロール手段を新たに加えることに狙いがあると見られます。その目論見がうまくハマるかはデッキビルダー達の構築次第ですが、こうした第一印象で居場所の判然としないパズルのピースはプレイヤー達の想像力を刺激してくれるだろうと期待しています。たとえばこのミニオンは既に凍結済みの対象は選ばず、さらにFreeze/凍結効果を与えるのは”プレイヤーの呪文がキャストされた後”です。つまり《Frost Nova / フロストノヴァ》《Blizzard / ブリザード》を使用すれば相手のミニオンだけでなくヒーローも凍結させます。これらが手札にある限り、ゲーム後半に相手の行動を阻害し続けることが可能となるのです。




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◆ カード基本情報
カードタイプ :Minion / ミニオン
使用クラス :Mage / メイジ
レアリティ :Common / コモン
カード作成コスト : 40 / 400 (Golden)
カード分解のArcane dust/魔素 :5 / 50 (Golden)

《Twilight Flamecaller / 》のプレビュー
stand against 《Stand Against Darkness / 闇への抵抗》などさっそく揶揄されてもいますが、体力1のミニオンを大量に展開された場合に確かに刺さるミニオンです。既存カードの《Arcane Explosion / 魔力の爆発》と比較すると1マナ高く、2/2のミニオンを盤面に残し、呪文とのシナジーを持ち合わせていません。このミニオンとのカードコンボ対象を探すとしたら《Brann Bronzebeard / ブラン・ブロンズビアード》になるでしょう。

現段階ではこのミニオンが有効に機能する状況がほとんど想定できません。《Flamewaker / フレイムウェイカー》と比較してカード単体で即時効果発動することにひとつの意義は見出だせるかもしれません。ただしカウンター対象の《Muster for Battle / 兵役招集》はスタンダードから脱落し、そもそも呪文シナジーが存在しないことで現行のMageクラスの性質に即したものではありません。
強いて挙げればカード単体で機能することからReno Mageに1枚加えることも考えられます。Tokenを大量に展開するデッキが力を持つ環境と、MageがテンポよりもControlへとシフトしていく将来が同時に訪れるならこのカードは採用を検討されるかもしれません。自分で書いててちょっと苦しいですが、Priestの《Shadow Word: Horror / 密言・恐》やWarriorの《Ravaging Ghoul / 死憎悔いのグール》など同様のカウンターカードが同時に実装されることから、開発チームはそのような状況が訪れることを想定しているようにも見えます。




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◆ カード基本情報
カードタイプ :Spell / 呪文
使用クラス :Priest / プリースト
レアリティ :Epic / エピック
カード作成コスト : 400 / 1600 (Golden)
カード分解のArcane dust/魔素 :100 / 400 (Golden)

《Embrace the Shadow / 影の抱擁》のプレビュー
Control Priestの除去係としてお馴染みのミニオン《Auchenai Soulpriest / オウケナイ・ソウルプリースト》の能力を、呪文を使用した1ターン限定で発動するというわかりやすい性格の新カード。
両者の違いはまずミニオンと呪文という違い。《Auchenai Soulpriest / オウケナイ・ソウルプリースト》はフィールドに存在するだけで効力を発揮し、生存し続ける限りヒーローパワーや呪文の効力で相手のミニオンを排除する役割を担います。新カードの《Embrace the Shadow / 影の抱擁》は1ターン限定であるため、カード1枚のバリューは当然劣りますが、2マナコスト安いことによって除去の柔軟性にまさり、様々なカードコンボの可能性を広げています。

このカードの実際的な評価はPriestのデッキビルダー達が優れたデッキの構築に成功するか否かという結果論となってしまうでしょう。誰もがまずは《Prophet Velen / 預言者ヴェレン》を頭に思い浮かべ、《Flash Heal / 瞬間回復》によって10点バーストの組み合わせに着目します。ただそれはすでに《Mind Blast / 思念撃破》で同じことが可能です。
《Embrace the Shadow / 影の抱擁》の利点はたとえば、《Circle of Healing / 回復の輪》なら全体4回復か全体4ダメージという驚異的な効果をたった2マナでもたらすこと、そして状況を選べるという柔軟性が活かされてこそのものとなるでしょう。たった2マナという安価なコストでコンボのパーツに組み込めるという点以外においては、あらゆる点でミニオンの《Auchenai Soulpriest / オウケナイ・ソウルプリースト》に劣ります。




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◆ カード基本情報
カードタイプ :Minion / ミニオン
使用クラス :Priest / プリースト
レアリティ :Rare / レア
カード作成コスト : 100 / 800 (Golden)
カード分解のArcane dust/魔素 :20 / 100 (Golden)

《Shifting Shade / 》のプレビュー
Priestらしく(?)トリッキーな性格のミニオンが新たに追加されます。Deathrattle/断末魔によって発動する能力は相手のデッキからカードを1枚コピーし自分の手札に加える、つまり1/2の《Thoughtsteal / 思念奪取》です。デッキ外からカード1枚を加える事はPriestにとって大きな価値があり、その効果が4/3のボディに付属しているというのも悪くありません。対戦相手のミニオンと1/1のトレードができればPriest側だけが手札を1枚手に入れる単純に有利な取引となります。

このようなミニオンの性質から、基本的にControlプリーストのデッキリストにとって採用を検討されるものとなります。テンポ型のデッキならPriestは体力の高いミニオンを必要とし、その性格が顕著に表れているのはDragon Priestの構築です。ミニオンの高い体力とヒーローパワーなどの回復手段によってバリューを得るため、ミニオントレードによって手札を増やし体力が3しか無いこの新カードはフィットしません。

ではControlのリストに入るかというと、それもまたすんなりと採用に至るかはまだ判りません。Controlのデッキリストで比較すると《Thoughtsteal / 思念奪取》は直ちに2枚のカードを獲得し、さらに《Wild Pyromancer / 熱狂する火霊術師》を起動することもできます。《Shifting Shade / 》はPriestデッキにおいて基本的に単体で機能すると見られます。そうしたカードコンボに依存しないところも一つの魅力かもしれません。または、Deathrattle/断末魔のシナジーを考えてみることも可能でしょう。
正直なところ、《Deathlord / デスロード》《Lightbomb / 光爆弾》などの重要なツールを失うスタンダード環境のControl Priestがどう立ちまわるのか想像し辛く、このミニオンに適切な評価を与えることは現段階では難しいだろうと考えています。





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◆ カード基本情報
カードタイプ :
使用クラス :
レアリティ :
カード作成コスト :
カード分解のArcane dust/魔素 :

《Thistle Tea / アザミ茶》のプレビュー
とても興味深く、現段階では評価しようの無いRogueの新たな呪文カード。この呪文の性質もデッキ外からカードを持ってくるCotrol型向きのカードであり、Rogueというクラスの特性にはそもそも合致していません。まず、その効果は6マナを支払いカードを1枚ドロー、そのコピーを2枚複製して手札に加えるというものです。6マナで手札にカード3枚というのを他クラスのカードと比較すると、Druidの《Nourish / 滋養》、またはMageの新カード《Cabalist's Tome / カバル教団の魔道書》に対して1マナコスト高く設定されていますね。自分のデッキに入っているカードを複製することは、高いマナコストの支払いを必要とするだけの価値が認められるということでしょう。

楽観的な見方をすると、ドローされたカード次第ではこの1枚がゲームを終わらせるほど強力に機能する可能性もあります。《Sap / 昏倒》が3枚手元にあれば、相手の繰り出す高コストの強大なミニオンだろうがTaunt/挑発付きのタフなミニオンだろうが手札に叩き返し恐ろしくテンポを巻き返します。《Eviscerate / 腹裂き》なら6マナ10(12)ダメージ、または《Deadly Poison / 致死毒》も悪くありません。Rogueが構築戦のデッキに入れる”一部の呪文”カードであれば、複製に必要とした6マナのテンポロスを取り返すだけの仕事をする可能性があります。もちろんランダム性によって思わしくない結果がもたらされる可能性のほうが大きく、《Backstab / 死角からの一刺し》のような安い呪文や使いでに困るミニオンが増えるだけかもしれません。
現行のRogueデッキにおいてこの性質と合致するものを考えていくと、まずOil Rogueのデッキにおいて機能するとは考えにくいでしょう。Oil Rogueの構築は勝つために必要十分なツールがすでに詰め込まれており、積極的なカードサイクルによってウィンコンディションを築くために必要なカードを探していきます。《Sprint / 逃げ足》が十分なドローソースとして機能しているので、カード複製のメリットがランダム性と釣り合いません。なにより、スタンダード落ちによって環境から消えてしまう《Tinker's Sharpsword Oil / ティンカーの刃研ぎ油》の損失を補填するにはあまりにもマナコストが高く、ランダム性に依存しすぎています。

このカードが順応しそうなデッキを思い浮かべると、安直ですが遅いコンボ型のデッキに使い所を見いだせるように思います。Miracle Rogue、Malygos Rogue、Mill Rogue…etc。しかしこれらにおいてもやはり、残りデッキのカード1枚がランダムに選ばれ複製されるという賭けを行うメリットに合理性を感じられません。《Sprint / 逃げ足》と入れ替える理由がもしあるならば、デッキを底まで引いても相手の体力を削り切れないマッチアップに限定されます。

《Thistle Tea / アザミ茶》を公開した[TeamLiquid] Dogはその動画の中で、安易にカードをプレイしたりドローできないControlゲームにおいて重要なツールとして機能する可能性を指摘しています。Control Rogueという構築がこれまで存在しなかったわけではないものの、競技シーンに通用するだけの完成度に至った例はありません。Rogueクラスのプレイヤーとして定評がある彼の頭の中では、既に新環境で戦えるデッキの青写真が描かれているのでしょうか。




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◆ カード基本情報
カードタイプ :Minion / ミニオン
使用クラス :Rogue / ローグ
レアリティ :Epic / エピック
カード作成コスト : 400 / 1600 (Golden)
カード分解のArcane dust/魔素 :100 / 400 (Golden)

《Shadowcaster / シャドーキャスター》のプレビュー
この新カードがとても魅力的に映るのはイラストアドバンテージでしょうか。それともカードコンボの可能性を無限に広げてくれるそのアビリティに惹かれているものでしょうか。2枚揃えば無限に増殖していくことも可能であり、確かにこのカードは驚くほどの拡張性を秘めています。Rogueというクラスのカードコンボの特性を考えると様々に魅力的なコピー対象が思い浮かぶでしょう。このカードをコアとした新たなコンボデッキが試されることも容易に想像できます。

ただひとつ気をつけなければならないのは、どんなデッキに入れてもバリューというほどのミニオンではないことです。まずコピー対象が味方のミニオンという制限があるため、マナカーブに即したプレイのためには事前のミニオンドロップとそのミニオンが生存している必要があります。他のミニオンと1ターン中に同時プレイするならばゲーム後半まで待たなければならないでしょう。

そしてRogueデッキで使用されるミニオンにコピーによって価値を生み出す対象は実際そこまで多くありません。《SI:7 Agent / SI:7諜報員》はどうか?《Shadowcaster / シャドーキャスター》と単純に合計して6マナ5/5分のスタッツに単体2ダメージがオマケされるだけです。弱くはありませんがそこまで魅力的でしょうか。《Earthen Ring Farseer / 大地の円環の遠見師》も同様です。《Edwin VanCleef / エドウィン・ヴァンクリーフ》をコピーすれば安価に高いスタッツのミニオンを生成することもできるでしょう。それにはまず《Edwin VanCleef / エドウィン・ヴァンクリーフ》が1ターン生き残っている前提を必要とし、その後コンボによってコピーした《Edwin VanCleef / エドウィン・ヴァンクリーフ》を強化しなければなりません。その状況を想定してみると、手札を使い尽くした前のめりなオールインの形になっているでしょう。

確かなバリューを生むのは《Bloodmage Thalnos / ブラッドメイジ・サルノス》《Azure Drake / アジュア・ドレイク》です。1マナでカードドローとSpell Damage/呪文ダメージの補正が付いてくるのは6マナ5/5としては魅力的です。

そのほか《Xaril, Poisoned Mind / 蠱毒なザリル》《Tomb Pillager / 墓荒らし》は複数のTokenカードを生み出してくれますが、それを有効活用できる構築でなければただの6マナ5/5+コインに過ぎません。ならば《Gadgetzan Auctioneer / ガジェッツァンの競売人》でしょうか。このミニオンが1ターン生き残っているという前提条件をクリアできれば、1マナで使用できることは確かに破格です。しかし一般的なテンポデッキに採用されるミニオンではありません。
《Violet Teacher / ヴァイオレット・アイの講師》で大量にTokenミニオンを展開する、《Malygos / マリゴス》で爆発的なバーストダメージを放つ、さまざまにアイデアは浮かびます。そうしたアイデアの多くはシチュエーショナルであり、この新カード《Shadowcaster / シャドーキャスター》がどんなデッキでも輝くミニオンではないことを示しています。

このカードを公開した日本のプレイヤーKno選手が評したように、Metagame次第ではRogueを新たなステージに引き上げてくれるミニオンなのかもしれません。




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◆ カード基本情報
カードタイプ :Minion / ミニオン
使用クラス :Warlock / ウォーロック
レアリティ :Common / コモン
カード作成コスト : 40 / 400 (Golden)
カード分解のArcane dust/魔素 :5 / 50 (Golden)

《Possessed Villager / 取り憑かれた村人》のプレビュー

アビリティの注意点:
・TokenミニオンのShadow Beastに特別な能力・種族等の設定はない (source)


どうにもこのカードを眺めていると頭をかしげそうになります。前衛的なポーズで固まっている村人のせいでしょうか。このユニークなカードアートはもちろん目を引くでしょうけれど、不審に思うのはこのカードを実装しようとする目的です。ミニオンとしての性能はWarlockにとって悪いカードではありません。中立カードの《Argent Squire / アージェントの従騎士》と酷似した性能であるため、アグレッシブなZoo Warlockのデッキにはすんなりと収まります。しかし、中立カードの《Argent Squire / アージェントの従騎士》はスタンダードから落ちるわけでもないのに、なぜこんな似通ったミニオンをWarlock専用ミニオンとして追加しようというのでしょうか。

ふたつのミニオンのスタッツは共通、基本的にはどちらも1/1のミニオン2回分の働きをします。そして他のカードと組み合わせる時にアビリティの違いによるそれぞれの特色が現れてきます。既存のZoo Warlockデッキで使うという仮定で両者を比較してみましょう。

《Abusive Sergeant / 鬼軍曹》のbuff -
どちらも1/1のミニオンを残す

《Power Overwhelming / 凄まじき力》のbuff -
《Possessed Villager / 取り憑かれた村人》は1/1のミニオンを残す

《Knife Juggler / ナイフ・ジャグラー》が居る場でトレード -
《Possessed Villager / 取り憑かれた村人》は1/1のミニオンを残し1点飛ばす

《Void Terror / ヴォイドテラー》で吸収 -
《Possessed Villager / 取り憑かれた村人》は1/1のミニオンを残す

《Defender of Argus / アルガスの守護者》のbuff -
《Possessed Villager / 取り憑かれた村人》は1/1のミニオン、《Argent Squire / アージェントの従騎士》は2/2のミニオンを残す


主だった組み合わせは上記となるでしょうか。《Argent Squire / アージェントの従騎士》のアビリティは体力値を向上させ、持続するbuff効果と相性が良いものです。今のZooではほとんど使われませんが、ミニオン同士の組み合わせでは《Shattered Sun Cleric / シャタード・サンの聖職者》や新カードの《Spawn of N'Zoth / ン=ゾスの落とし子》と相性が良いでしょう。新カードの《Possessed Villager / 取り憑かれた村人》はミニオントレードでぶつけたあとに1/1のTokenを場に発生させることによって有益な状況も存在します。
上記のようにそれぞれのミニオンはほんの少しだけ異なる性質なので、1ターン目から場残りの良いミニオンを召喚する必要がある環境ならば、デッキの性質に沿ったミニオンをオプションとして選択すればよいでしょう。

総評すると《Flame Imp / 炎のインプ》《Voidwalker / ヴォイドウォーカー》に加わる1マナドロップの新しい選択肢として悪くない新カードです。そしてやはり《Argent Squire / アージェントの従騎士》と比較してほとんど代わり映えありません。

穿った見方をすると、このカードが実装される目的はWarlockクラスの1マナカードを増やし、《Dark Peddler / 闇の売人》《Power Overwhelming / 凄まじき力》を売りに来る回数を減らすのが目的かもしれません。それとも、かつての《Undertaker / 墓掘り人》のように強力なDeathrattle/断末魔シナジーが未公開カードの中に隠されているのでしょうか。




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