この記事ではHearthstoneの次期コンテンツとなる拡張版『Whispers of the Old Gods(旧神のささやき)』の新カード事前評価を行っていきます。既存カードとの比較やカードシナジー、カードの使用を予想されるクラスやデッキタイプなどについて考えを巡らせつつ、実際のゲームプレイにおけるカードの挙動に疑問符が付く点についても触れていきます。
なお記述される内容はスタンダードフォーマット構築戦の視点から考察していること、そして未公開の新カードやバランス調整が予定されている既存カードの変更内容によって事情が変わることもご了承下さい。
あとで手の平グルングルンしても大目に見てください。
Arena(闘技場)視点の新カード評価はこちらを要チェック
(外部サイト) #旧神のささやき 新カードの闘技場評価 [RNG it!]
Index
▼ OldGodsの概要・参照リンク
▼ C'Thun様の進捗
▼ 個別カード評価
◆ Neutral / 中立
▼ 《Y'Shaarj, Rage Unbound / 放たれし激昂ヤシャラージュ》
▼ 《Ancient Harbinger / 古代の先遣者》
▼ 《Blood of The Ancient One / 古のものの血族》
▼ 《Soggoth the Slitherer / 》
Druid / ドルイド
▼ 《Mire Keeper / 古代地の番人》
▼ 《Wisps of the Old Gods / 旧神のささやかな灯》
Hunter / ハンター
▼ 《Call of the Wild / 荒野の呼び声》
Paladin / パラディン
▼ 《Vilefin Inquisitor / バイルフィンの異端審問官》
Shaman / シャーマン
▼ 《Thing from Below / 地底よりのもの》
▼ 《Master of Evolution / 進化を統べるもの》
▼ 《Hammer of Twilight / 黄昏の鎚》
Warlock / ウォーロック
▼ 《Spreading Madness / 蔓延する狂気》
▼ 《Cho'Gall / チョ=ガル》
Warrior / ウォリアー
▼ 《Ravaging Ghoul / 死憎悔いのグール》
▼ 《Blood Warriors / 流血の戦士団》
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OldGodsの概要・参照リンク
拡張版カードセット『Whispers of the Old Gods(旧神のささやき)』の概要
・新たにコレクションに加わるカードは134種
・2016年4月末、または5月初頭にリリース予定
・スタンダードフォーマット(Year of the Kraken / クラーケン年)の導入と同時に実装される
・テーマはOld Gods(旧神)・Corruption(汚染)・The Forbidden(禁忌)
・4枚のレジェンドの旧神カードが到来
C’Thun(クトゥーン)Yogg-Saron(ヨグ=サロン)Y’Shaarj(ヤシャラージュ)N’Zoth(ン=ゾス)
・《C'Thun / クトゥーン》には専用のシナジーを持つ16種のCultist(狂信者)カードが登場
・《C'Thun / クトゥーン》と16種のCultist(狂信者)カードはArena(闘技場)のピック候補に登場しない
・《C'Thun / クトゥーン》にbuffを与えるミニオンの効果は、C'Thunのカードが居る場所を問わず効果を発揮する(バトルフィールド・手札・デッキ内・既に破壊済みのいずれもbuffが与えられる)
・新しいKeywords(キーワードアビリティ)とRace(種族)カードは登場しない
・Inspire/激励アビリティを持つミニオンは登場しない
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参照リンク
◆ Whispers of the Old Gods(旧神のささやき)オフィシャルリンク
「旧神のささやき」にご用心! [Battle.net]
カードセット ➤ 『旧神のささやき』 [Battle.net]
「旧神のささやき」シネマティック・トレーラー [Youtube]
Heed the Whispers of the Old Gods [Battle.net]
Card Sets ➤ Whispers of the Old Gods [Battle.net]
Whispers of the Old Gods Cinematic Trailer [Youtube]
◆ 外部データベースサイトのカードリスト
海外サイト
Hearthpwn
Gamepedia Wiki
HearthHead
Topdecks
Mana Crystals
国内サイト
Hearthstone.exp
HearthGamers
◆ dojoサイト内の関連記事
Whispers of the Old Gods(旧神のささやき) - 2016年最初の拡張版発表
Whispers of the Old Gods(旧神のささやき) - カードリスト
Whispers of the Old Gods(旧神のささやき) - カードプレビュー Part.1
Whispers of the Old Gods(旧神のささやき) - カードプレビュー Part.2
Whispers of the Old Gods(旧神のささやき) - カードプレビュー Part.3
Whispers of the Old Gods(旧神のささやき) - カードプレビュー Part.4
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C'Thun様の進捗(今週はお休み)
EnUS
日本語版
(クリックで拡大表示)
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個別カード評価
◆ カード基本情報
カードタイプ : | Minion / ミニオン |
使用クラス : | Neutral / 中立 |
レアリティ : | Legendary / レジェンド |
カード作成コスト : | 1600 / 3200 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 400 / 1600 (Golden) |
◆ 《Y'Shaarj, Rage Unbound / 放たれし激昂ヤシャラージュ》のプレビュー
この記事を読んでいるあなたは3体目の旧神をどのように扱うべきか首をひねっていることでしょう。海外の著名なプレイヤー達も新カードのレビューにおいてこのミニオンに与えるべき評価を量りかねています。これがOldGods拡張版の目玉となる旧神の一柱でなかったなら、一様に”Bad”という評点を下されていたかもしれません。
先に登場した2体の旧神、《C'Thun / クトゥーン》と《N'Zoth the Corruptor / 頽廃させしものン=ゾス》は10マナのコストに相応しいという印象を与えます。比較して《Y'Shaarj, Rage Unbound / 放たれし激昂ヤシャラージュ》のアビリティはインパクトに欠けるものです。攻撃力10/体力10のスタッツはコストに見合うと評価できますが、ゲーム終盤においてさほど有益ではないアビリティとのバランスが果たして釣り合っているのでしょうか。
《Y'Shaarj, Rage Unbound / 放たれし激昂ヤシャラージュ》の能力を仔細に見ていくと、1枚分のカードドローとドローされたそのミニオンを召喚するのに本来必要とされたマナコストの負担が0になるというものです。Deathrattle/断末魔をテーマとして構築する場合の《N'Zoth the Corruptor / 頽廃させしものン=ゾス》と比較すると見劣りする印象は否めません。
それは単純にボードに置かれるミニオン数を比較しただけではなく、前者はデッキからのドローであり、後者は既に破壊されたミニオンを復活させるという性質の違いも重要です。《N'Zoth the Corruptor / 頽廃させしものン=ゾス》が盤面に呼び出すミニオン達は既に破壊済みのミニオン、墓地という概念の無いこのゲームにおいては破壊されたミニオンのコピーを新たに作り出す効果です。
これはデッキ30枚のカード制限外からミニオンを召喚するのと同義であり、デッキのカード30枚を使い尽くすFatigueが見えてくる状況において優位を獲得します。手札リソースの消費1枚で盤面を脅威で埋め尽くすことができるからです。対して《Y'Shaarj, Rage Unbound / 放たれし激昂ヤシャラージュ》はカードをデッキからドローして盤面に置くものであり、カードの浪費が自分の首を絞めるシチュエーションも想定されます。
また同時に《Y'Shaarj, Rage Unbound / 放たれし激昂ヤシャラージュ》のアビリティには致命的な欠点が複数存在します。それはWarriorクラスの専用ミニオン《Varian Wrynn / ヴァリアン・リン》との比較においてくっきりと際立ちます。
TGT拡張版で追加された《Varian Wrynn / ヴァリアン・リン》はカード実装前に最大の評価を与えられていました。《Anduin Wrynn / アンドゥイン・リン》の父であり原作でも重要な人物という贔屓目を抜きにしても、そのアビリティは素晴らしく強力だと見込まれていたのです。しかし実際にはWarriorのデッキにはフィットせず、いつの間にかコレクションの片隅に追いやられる残念な結果となりました。
なぜControl Warriorのデッキに《Varian Wrynn / ヴァリアン・リン》が定着しなかったか。理由のひとつは低コストのミニオン(《Armorsmith / 鎧職人》・《Acolyte of Pain / 苦痛の侍祭》)等がボードに置かれてしまうとコストを支払っただけの脅威になり得ないこと。理由2つ目、有益なミニオンを無防備にボードにさらして無駄死にさせてしまう恐れがあること。そして3つ目、ボードに直接置かれたミニオンはBattlecry/雄叫びアビリティを発動させないということです。《Y'Shaarj, Rage Unbound / 放たれし激昂ヤシャラージュ》は全く同じ欠点を抱えているのです。
さらに両者を比較してはっきりと劣るのはミニオンの召喚タイミングです。《Varian Wrynn / ヴァリアン・リン》はボードに召喚した時点でデッキからミニオン達を引っ張ってくるのに対し、《Y'Shaarj, Rage Unbound / 放たれし激昂ヤシャラージュ》はターン終了時が召喚タイミングとなります。この遅さは例えばCharge/突撃アビリティを無益なものとし、さらにエンドターン発動系のアビリティ(《Ragnaros the Firelord / 炎の王ラグナロス》・《Ysera / イセラ》)を誘発することもできません。(source)
欠点ばかりをあげつらうのは全く面白くありませんが、《Y'Shaarj, Rage Unbound / 放たれし激昂ヤシャラージュ》というミニオンの魅力が今のところ想像できないのが実情です。ただしこのミニオンはクラス共通で使用可能なこと、そして何より拡張版の目玉である旧神の一柱なのにダメなわけがないだろうという仄かな期待が残っています。例えば《Astral Communion / 星霊交信》によって最速で10マナを使用可能となるDruidのように、特定の構築テーマで輝くポジションなのかもしれません。または、まだ公開されていないカード達の中に別の解答が隠されているのでしょうか。
ユーザーコミュニティの一部ではTCGプレイヤーの分類(Timmy, Johnny, and Spike)を引用し、我々はこのミニオンをコストパフォーマンスだけで評価し落胆しているだけではないかと指摘する声もあります。
参照リンク:Timmy, Johnny, and Spike [MTG Wiki]
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◆ カード基本情報
カードタイプ : | Minion / ミニオン |
使用クラス : | Neutral / 中立 |
レアリティ : | Epic / エピック |
カード作成コスト : | 400 / 1600 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 100 / 400 (Golden) |
◆ 《Ancient Harbinger / 古代の先遣者》のプレビュー
カードゲームの世界で俗に「サーチカード」と呼ばれる機能を持ったクラス共通ミニオン。そのアビリティはデッキから10マナコストのミニオンだけを対象に探しドローするというものです。毎ターン開始時にデッキから10マナのカードを確定で1枚ドローする強力なアビリティと引き換えに、本体のスタッツは6マナとしてはかなり見劣りする数値に設定されています。とはいえ体力6という数値はこのミニオンの生存率を高めており、攻撃力4という数値は特定の除去スペルを回避できます。
このミニオンをデッキに加える理由は10マナコストミニオンのラインナップから一目瞭然のことでしょう。《Deathwing / デスウィング》のプレイという特殊なケースも考えられますが、期待される主な役割は旧神達を手札に呼び込むことになります。Legendaryレアリティカードの特性上、デッキには1枚ずつしか加えられない旧神達は必要な時間帯になってもデッキの底に眠っている状況を往々に考えられます。特に《C'Thun / クトゥーン》をフィニッシャーとして機能させるデッキにおいては、ゲームプランを完成させるための重要な部品として重宝されるかもしれません。
実用に際して問題となるのは10マナのミニオンを手札に呼びこむタイムミングです。《Ancient Harbinger / 古代の先遣者》をプレイしてからその次のターン開始時まで除去の危険にさらされることになります。当然Silence/沈黙も有効。Battlecry/雄叫び発動アビリティの多いCultistミニオン達では相手のSilence/沈黙効果を持つカードを誘発できないため、《Ancient Harbinger / 古代の先遣者》を場に置くたなら待ってましたとばかりに狙われる可能性も高まります。
また、カードをドローするタイミングが致命的な状況を作りかねないことも頭の片隅に置いておくべきでしょう。もしターン開始時に手札が10枚まで埋まっていた場合、10マナカードのミニオンが確定でドローされ燃えてしまうのでFunny and Lucky Momentsへ投稿される事態は避けられません。《Coldlight Oracle / コールドライトの託宣師》を用いたMill型デッキがいま一度脚光を浴び、Metagameの一部として機能すると思うと非常にワクワクしてくるので、ぜひともこのミニオンを使用するデッキが次の環境で流行してほしいものです。
※ ドロータイミングは《Nat Pagle / ナット・ペイグル》と同様にターン開始時の一番最初にドローすると考えられるため、手札9枚であればセーフ。
◆ 10マナコストのミニオン
Tooltip / カードツールチップ | Type / カードタイプ | Rarity / レアリティ |
《Deathwing / デスウィング》 | Neutral / 中立 | Legendary |
《Frost Giant / 霜の巨人》 | Neutral / 中立 | Epic |
《Sea Giant / 海の巨人》 | Neutral / 中立 | Epic |
《Varian Wrynn / ヴァリアン・リン》 | Warrior / ウォリアー | Legendary |
《C'Thun / クトゥーン》 | Neutral / 中立 | Legendary |
《N'Zoth the Corruptor / 頽廃させしものン=ゾス》 | Neutral / 中立 | Legendary |
《Y'Shaarj, Rage Unbound / 放たれし激昂ヤシャラージュ》 | Neutral / 中立 | Legendary |
《Yogg-Saron, Hope's End / 希望の終焉 ヨグ=サロン》 | Neutral / 中立 | Legendary |
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◆ カード基本情報
カードタイプ : | Minion / ミニオン |
使用クラス : | Neutral / 中立 |
レアリティ : | Epic / エピック |
カード作成コスト : | 400 / 1600 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 100 / 400 (Golden) |
◆ 《Blood of The Ancient One / 古のものの血族》のプレビュー
アビリティの注意点:
・フィールドに2体の《Blood of The Ancient One / 古のものの血族》が置かれている場合、両方をSilence/沈黙 効果で打ち消さなければアビリティは発動される (source)
・フィールドに3体以上の《Blood of The Ancient One / 古のものの血族》が置かれている場合、その内の2体だけが融合され《The Ancient One / 古のもの》が召喚される (source)
・《The Ancient One / 古のもの》は《Effigy / 身代わり人形》等のランダム効果では出現しない (source)
この記事で行うカード評価はスタンダードフォーマット環境の構築戦に視点を置いています。競技的なシーンで使用されるか否かというスタンスがカードの印象を決定し、そしてその観点において《Blood of The Ancient One / 古のものの血族》は実用的なカードではありません。このカードを用いたデッキでゲームに勝利することは出来なくもないでしょう。しかし、このカードを採用する目的は勝率を高めることではなく、このカードを使用してゲームに勝利するパズル的な楽しみを追求するファンデッキ以外になり得そうもありません。シニアゲームデザイナーBen Brode氏のインタビューにもこのカードを実装する目的がそこにあることが語られています。
Hearthstone's Biggest Minion Arrives In Upcoming Expansion [Gameinformer]
とは言え、いかにダメなカードをであるか判りきってることをつらつらと書き連ねても面白くありません。ここは視点を変えて、どうやって《The Ancient One / 古のもの》へと融合させるかというアイデアを考えてみましょう。
まず、《Blood of The Ancient One / 古のものの血族》を召喚した後に1ターン生き残る前提ならば、2体目の《Blood of The Ancient One / 古のものの血族》を続けて召喚・《Faceless Manipulator / 無貌の操り手》・《Herald Volazj / 伝令するものヴォラズィ》がコピーするだけです。または《Astral Communion / 星霊交信》や《Naga Sea Witch / ナーガの海の魔女》で本来のマナコストよりも早い段階から召喚していく手段が考えられます。しかし攻撃力9/体力9のミニオンが放置され生き延びる可能性は低いでしょう。
では召喚後の1ターン生存させるにはどのような方法があるか。あらかじめTaunt/挑発を置いておく、《Conceal / 隠蔽》でStealth/隠れ身を与えるなど保護する手段は幾つか存在します。しかしボード上に置いたミニオンが確実に1ターン生存させることは難しいものです。
より確実な手段はカードコンボによって1ターン中に2体の《Blood of The Ancient One / 古のものの血族》を召喚し融合を果たすことです。これが可能なのはDruid。《Aviana / アヴィアナ》 & 《The Coin / コイン》(or 《Innervate / 練気》) & 2x《Blood of The Ancient One / 古のものの血族》の4枚コンボで1ターン30/30が実現できます。
こうして考えていくと《The Ancient One / 古のもの》へと融合させること自体はそれほど高いハードルでは無さそうですね。そのあと30/30のビッグミニオンで相手の顔面を殴るためにTaunt/挑発を置かせない・または取り除く手段と、《Big Game Hunter / 大物ハンター》を始めとする各種除去を回避するゲームプランまで含めてデッキを構築していく必要があります。
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◆ カード基本情報
カードタイプ : | Minion / ミニオン |
使用クラス : | Neutral / 中立 |
レアリティ : | Legendary / レジェンド |
カード作成コスト : | 1600 / 3200 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 400 / 1600 (Golden) |
◆ 《Soggoth the Slitherer / 》のプレビュー
ヒーローパワーや呪文の標的にならずさらにTaunt/挑発を持つというのは、スタンダード落ちするGvGの《Arcane Nullifier X-21 / アーケン・ヌリファイアーX-21》と全く同様のアビリティです。比較してスタッツは飛躍的に向上していますが、マナコストが余りにも重くなりすぎています。これほどハイコストでディフェンシブな性格のカードが有効であるとは現行のMetagameにおいて考えにくいものです。次の環境でフィットするデッキが見つかることを願うばかりでしょう。
仮にこのミニオンが実際に使用されるとしたならば、幾つかのクラスにとって致命的な脅威と成り得る可能性もあります。このアビリティは「ターゲット指定型」のスペルを受け付けないため、MageやRogue、Priest・Warriorなどビッグミニオンの単体除去をスペルに依存するクラスは非常に不利なトレードを強いられます。このミニオンが効果を受けるのは《Equality / 平等》等の範囲スペルのみです。
なおミニオンによるターゲット指定型のSilence/沈黙アビリティは有効なので、《Keeper of the Grove / 木立の番人》や《Ironbeak Owl / 鉄嘴のフクロウ》をデッキに入れているクラスならばTaunt/挑発を回避できます。そして、最も首尾よくこのミニオンを除去する《The Black Knight / 黒騎士》が再び陽の目を見る機会となるかもしれません。
いずれにしろやはり、ミニオンの召喚コストが重すぎる問題を解消しなければ実用に耐えないように思います。Naxx実装前に《Spectral Knight / 亡霊騎士》が過剰評価されていた苦い経験をわたし達はまだ忘れていません。
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◆ カード基本情報
カードタイプ : | Minion / ミニオン |
使用クラス : | Druid / ドルイド |
レアリティ : | Rare / レア |
カード作成コスト : | 100 / 800 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 20 / 100 (Golden) |
◆ 《Mire Keeper / 古代地の番人》のプレビュー
Chooseone/選択によって二つのアビリティから発動する効果を選べるDruid専用ミニオン。スライムの召喚を選択した場合は4マナで3/3と2/2のミニオンを盤面に置き、後者を選べば《Wild Growth / 野生の繁茂》と同様の効果で空のマナクリスタルをひとつ獲得します。
アビリティの注意点:
10マナクリスタルを持っている時点で《Mire Keeper / 古代地の番人》を召喚し「空のマナクリスタルを1つ得る」効果を選択肢ても、《Excess Mana / 過剰マナ》のTokenカードは獲得できない (source)
盤面かマナブーストかという柔軟性を持つことがこのミニオンの性格であり、採用を検討する理由になります。3/3と2/2は単純に合計すれば4マナ5/5のスタッツであり、アグレッシブなデッキに対するトレード要員としては優秀です。ただし4マナコストの平均的なスタッツのミニオン相手には1:1のトレードになってしまうので有効なプレイとは言い難いでしょう。つまりアグレッシブではないデッキ相手にはマナクリスタル増加を選択することに価値があるかどうかとなります。
もちろん言うまでも無くこのマナブースト効果は非常に強力です。Aggro以外のデッキに《Wild Growth / 野生の繁茂》が必ず投入されていることからも、マナブーストの重要性は十分すぎるほど認知されているでしょう。4マナで3/3のミニオンを置きつつ《Wild Growth / 野生の繁茂》の効果を発動するこのミニオンは非常に優秀であると評価できます。
ではこのミニオンが自動的に2枚デッキに採用されるかというと若干の疑問を覚えます。ミニオンそのものは確かに有能です。問題は、4ターン目にこのミニオンを召喚して次のターン6マナ使用可能となり、ではDruidはどんな行動を取るのかということです。《Sylvanas Windrunner / シルヴァナス・ウィンドランナー》を盤面の状況も顧みずに置くのでしょうか。または現在の手札において有効かどうかも考えずに《Emperor Thaurissan / ソーリサン皇帝》を召喚するのでしょうか。一般的に、Druidのデッキには6マナドロップで単純に召喚できるミニオンが存在しません。現在のDruidの構築は5マナの《Druid of the Claw / 爪のドルイド》や7マナの《Ancient of Lore / 知識の古代樹》等に挟まれた6マナのミニオンプレイが難しい構成となっています。
大昔に《Cairne Bloodhoof / ケーアン・ブラッドフーフ》や《Argent Commander / アージェントの司令官》を採用していた頃ならば、このミニオンはマナカーブに適切にフィットしていました。しかし今のMidrange Druidのデッキにおいて、テンポを犠牲にしてマナを増やすことが4マナの行動として適切であるかというのがこのミニオンに対する疑問点です。確かに次のターン以降マナが相手よりも一つ多い行動が5ターン前後も続けられることは非常に価値があります。ただ、そこまでのテンポの遅れを取り戻せるのかとなれば、これはDruidのデッキ構成と次の環境次第となります。
あるいはRamp Druidの構築が有効に機能する環境へ移行するならば、《Cairne Bloodhoof / ケーアン・ブラッドフーフ》等をいち早く召喚するために採用を検討するかもしれません。その場合はやはりDeathrattle/断末魔をテーマとした《N'Zoth the Corruptor / 頽廃させしものン=ゾス》の構築を試してみたいものです。果たしてスタンダードフォーマット導入時に実施される古いカードのバランス変更ではどのような調整が行われるのでしょうか。全てはそこが判明してから、現実的なイメージが浮かんでくるようになるでしょう。
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◆ カード基本情報
カードタイプ : | Spell / 呪文 |
使用クラス : | Druid / ドルイド |
レアリティ : | Epic / エピック |
カード作成コスト : | 400 / 1600 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 100 / 400 (Golden) |
◆ 《Wisps of the Old Gods / 旧神のささやかな灯》のプレビュー
GvGの《Dark Wispers / ダーク・ウィスパー》がスタンダード落ちするところへ似通ったカードが投入されます。開発チームの諦めの悪さには感服しますが、果たしてこのカードデザインは成功する機会があるのでしょうか。異なる点はコスト増加と《Wisp / ウィスプ》の召喚数、そして選択できるbuff効果が単体+5/+5から味方ミニオン全てに+2/+2となります。
まず《Wisp / ウィスプ》を盤面に7体置くことについて。低コストのTokenであれボードをミニオンで埋めつくすことは、次のターンに《Savage Roar / 野生の咆哮》の脅威を増加させます。しかしAoEやスプレッドダメージによって簡単に除去されてしまうため、競技的なシーンのDruidデッキに《Dark Wispers / ダーク・ウィスパー》が採用される例はありませんでした。時々思い出したように現れるToken Druidというデッキでは《Soul of the Forest / 森の魂》とのコンボに光るところもありましたが、今回の新カードは7マナであるため共存できません。
次にbuff効果について。単体「+5/+5」と味方ミニオン全てに「+2/+2」の違いは味方ミニオンの数によって価値が増減することです。この性質から《Wisps of the Old Gods / 旧神のささやかな灯》という新カードは、盤面を広く展開するToken Druid以外に採用する理由が無いことは明らかです。ではToken Druidのデッキにとって魅力的に映るカードでしょうか。同様の効果で比較すると《Cenarius / セナリウス》の方がコスト対価に優れており、マナの安い《Power of the Wild / 野生の力》に汎用性で劣ります。ポイントは、7マナであることと味方のミニオンを置ける枠の7体全てにbuffが付与されることに、何かしら特別な価値が見出されるかとなるでしょう。無いだろうなぁ・・・。
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◆ カード基本情報
カードタイプ : | Spell / 呪文 |
使用クラス : | Hunter / ハンター |
レアリティ : | Epic / エピック |
カード作成コスト : | 400 / 1600 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 100 / 400 (Golden) |
◆ 《Call of the Wild / 荒野の呼び声》のプレビュー
アビリティの注意点:
バトルフィールドに召喚される順番はアルファベット順に《Huffer / ハファー》 ➤ 《Leokk / レオック》 ➤ 《Misha / ミーシャ》となる。この順序は言語地域が異なる場合も共通。 (source) (source)
獣の相棒
《Huffer / ハファー》 - 突撃
《Leokk / レオック》 - 味方のミニオンに攻撃力+1を付与。
《Misha / ミーシャ》 - 挑発
競技シーンから姿を消したHunterの現状を見かねたものか、控えめに言っても凶悪なカードが追加されます。既存スペルの《Animal Companion / 獣の相棒》によって召喚される獣の相棒3体すべてが一度に召喚されるこのカードは非常に効果的、かつ対費用効果に優れたものです。
そもそも獣の相棒は《Animal Companion / 獣の相棒》でランダムに召喚されるデメリットと引き換えに、それぞれマナコストに対して優秀なスタッツが設定されています。その3枚分が8マナコストのカード1枚に収められたこの新カードは、新たなDr.6(またの名を《Mysterious Challenger / 謎めいた挑戦者》)ではないかと危ぶむ声もあがっているようです。
このカードがいかに優れたものであるかひとつずつ確認していきましょう。まず8マナでカードを使用した時点で《Huffer / ハファー》による打点が出ます。本来攻撃力4のミニオンですが、《Leokk / レオック》のbuff効果を受け5点ダメージとなります。
そしてバトルフィールド上に既に置かれていた味方のミニオン達に攻撃力+1を付与。更なる追加ダメージや有利なミニオントレードに期待できます。最後にTaunt/挑発が置かれることで、ミニオンとヒーローを保護し盤面を強固に固めます。カード単体のバリューで見た場合、《Call of the Wild / 荒野の呼び声》に匹敵するものはほとんど見当たりません。それぞれのミニオン達がBeast/獣の種族特性を持っていることも相まって、このカードは7ターン目に《Dr. Boom / ドクター・ブーム》を召喚するような状況に左右されにくい手軽さと脅威すら併せ持っています。
さて優れたカードであるのは良いとして、このカードがどのように使われるかがやはり焦点となります。いかに素晴らしい性能であっても、次の環境がFace Hunterばかりであればカードコレクションに収められたブロマイドに過ぎません。
8マナというHunterクラスには重たいコストから、MidrangeとControlの構築に適したカードであることは明白です。強いて言えばMidrangeのほうが事前にミニオンを場に置きやすく、《Leokk / レオック》のbuffを活用できるのでより適しているでしょう。Midrangeの構築に8マナのカードを入れることについては疑問が残りますが、TGT環境で《Ragnaros the Firelord / 炎の王ラグナロス》を採用したMid Hunterが存在したことをみなさんは憶えているでしょうか。
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◆ カード基本情報
カードタイプ : | Minion / ミニオン |
使用クラス : | Paladin / パラディン |
レアリティ : | Epic / エピック |
カード作成コスト : | 400 / 1600 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 100 / 400 (Golden) |
◆ 《Vilefin Inquisitor / バイルフィンの異端審問官》のプレビュー
アビリティの注意点:
・《Vilefin Inquisitor / バイルフィンの異端審問官》によって変更されたヒーローパワーは《Justicar Trueheart / ジャスティサー・トゥルーハート》のヒーローパワーアップグレード対象とはならない。Murloc/マーロックが2体召喚できるようになったり、ヒーローパワーが《The Silver Hand / ザ・シルバーハンド》に変わってしまうことも無く何の影響も与えない (source)
・2枚目の《Vilefin Inquisitor / バイルフィンの異端審問官》を使用した場合はそのターンにおいてヒーローパワーが再使用可能となるだけ (source)
《Murloc Knight / マーロック騎士》に続くPaladinクラス専用となるMurloc/マーロック種族ミニオンとなり、カードリソースを消費せずTokenのMurloc/マーロックを呼び出せることによって、この種族シナジーに特化した構築スタイルを大いに刺激しそうな新カードです。特に《Murloc Warleader / マーロックの戦隊長》と《Murloc Knight / マーロック騎士》とのシナジーには目を瞠るものがあるでしょう。盤面を広く展開するZooスタイルのアグレッシブなデッキはどうでしょうか?正直な印象ではまだ部品が足りないように思えます。このあと追加で《Shielded MiniMurloc / シールド・ミニマロ》と《Murloc for Battle / 兵役蛙魚》の新カードが実装されたらPaladinの構築スタイルのひとつに定着するはずです。
期待に胸躍る新カードですが、LOEアドベンチャーの追加カード《Anyfin Can Happen / 七つの鯛罪》のアンチシナジーとなる点だけはやはり気がかりです。Anyfin Paladin、またはOTK Murloc(日本では鯛パラなど)と俗に呼ばれる構築スタイルは開発チームのお気に召さなかったのでしょうか?(ならなんであのカード実装したの?)スタンダードフォーマット導入に伴い《Old Murk-Eye / 大いなるマーク・アイ》が環境から脱落することが明らかになっており、既にこの構築スタイルの崩壊が危ぶまれています。さらに今回の追加カード《Vilefin Inquisitor / バイルフィンの異端審問官》によって召喚されるTokenミニオン達は《Anyfin Can Happen / 七つの鯛罪》のバリューを下げていくため相性が良くありません。
とまれ、《Murloc Warleader / マーロックの戦隊長》によってToken達が3/2へ強化されることを考えるだけでも、これまでとは異なるMurloc Paladinの新たなスタイルを模索するのに十分な動機となるはずです。そしてもしひとつユーザーの希望を叶えてもらえるなら、このカードをShamanにも実装して欲しいところです。
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◆ カード基本情報
カードタイプ : | Minion / ミニオン |
使用クラス : | Shaman / シャーマン |
レアリティ : | Rare / レア |
カード作成コスト : | 100 / 800 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 20 / 100 (Golden) |
◆ 《Thing from Below / 地底よりのもの》のプレビュー
Totem/トーテム種族ミニオンを召喚する度に召喚コストが低下する特殊なアビリティが設定されたShaman専用ミニオン。《Frost Giant / 霜の巨人》と同様のカードテキストであるため、このアビリティは手札に《Thing from Below / 地底よりのもの》が存在しなくともTotem/トーテムを召喚する度にコスト低下が適用されます。
本体そのものの性能は6マナ5/5のTaunt/挑発、これが1コスト下がっただけでも中立ミニオンの《Booty Bay Bodyguard / ブーティ・ベイのボディガード》と比較すれば十分な性能です。2ターン目・3ターン目に連続してTotem/トーテムを召喚しておけば4ターン目にこのミニオンを使用可能となるということで、Midrange/Control系のShamanデッキにおいては高い利用価値を見込むことができるはずです。
コスト低下そのものは通常テンポアドバンテージを獲得する性質であるものの、Totem/トーテム種族を召喚する行動と相殺されるためアグレッシブなデッキにはそぐわない印象です(2ターン目3ターン目に連続で《Totem Golem / トーテム・ゴーレム》を召喚できれば別ですが)。Totem/トーテム種族の召喚という条件からこのミニオンはマナカーブに沿ったプレイだけではなく、ゲーム後半に手札に来た場合の低コストな壁役として機能することも非常に魅力的です。ゲームを通じて5回Totem/トーテムを召喚しておけば0マナでドロップできる5/5のTaunt/挑発ミニオンになるのですから。
そして付け加えると、本来のマナコストが高く設定されているこのミニオンは別の新カード《Master of Evolution / 進化を統べるもの》とユニークなシナジーを持っています。
Totem/トーテム種族ミニオン
Tooltip | Mana | Token |
《Healing Totem / 回復のトーテム》 | 2(1) | Hero Power |
《Searing Totem / 焦熱のトーテム》 | 2(1) | Hero Power |
《Stoneclaw Totem / 石爪のトーテム》 | 2(1) | Hero Power |
《Wrath of Air Totem / 怒れる大気のトーテム》 | 2(1) | Hero Power |
《Flametongue Totem / 炎の舌のトーテム》 | 2 | Minion |
《Totem Golem / トーテム・ゴーレム》 | 2 | Minion |
《Mana Tide Totem / マナの潮のトーテム》 | 3 | Minion |
種族関連カード
Tooltip | Mana | Type |
《Totemic Might / トーテムの力》 | 0 | Spell |
《Tuskarr Totemic / タスカーのトーテム師》 | 3 | Minion |
《Draenei Totemcarver / ドラナイのトーテム彫師》 | 4 | Minion |
《Thunder Bluff Valiant / サンダー・ブラフの勇士》 | 5 | Minion |
《Thing from Below / 地底よりのもの》 | 6 | Minion |
▲Index
◆ カード基本情報
カードタイプ : | Minion / ミニオン |
使用クラス : | Shaman / シャーマン |
レアリティ : | Rare / レア |
カード作成コスト : | 100 / 800 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 20 / 100 (Golden) |
◆ 《Master of Evolution / 進化を統べるもの》のプレビュー
アビリティの注意点:
・変化対象はターゲット選択。また、変化後のミニオンはクラスに影響されること無く、そのマナコストからランダムに選ばれる (source)
・変化対象のミニオンが本来設定されているコストから(1)高いものへと入れ替えられる (source)
・10マナコストまでが限界として設定されており、10マナ以上のミニオンを対象にこのアビリティを使用しても効果は発揮されない (source)
・《Brann Bronzebeard / ブラン・ブロンズビアード》がフィールドにいる場合はミニオンのコストアップグレードと変身が2回行われる。これは《Brann Bronzebeard / ブラン・ブロンズビアード》自身が対象となっている場合も適用される (source)
4マナで《Chillwind Yeti / チルウィンドのイェテイ》と同じスタッツ、さらに他のミニオンを強化する能力まで持っているというShaman専用の新カード。ここまで判りやすくMidrange系統のデッキを強化する必要性についてはユーザー達も十分に納得しているものでしょう。同様の能力では《Recombobulator / リコンボビュレイター》が挙がり、明らかにこのShaman専用ミニオンのほうが優れています。
このアビリティのメリットデメリットを詳しく見ていきましょう。まずマナコスト1つ分アップグレードさせることによってミニオンの強化が期待できます。さらに変身前のミニオンの状態は何ら影響を及ぼさないため、たとえば変身前のミニオンがヘルス1まで傷付いていた場合にはミニオンを回復させるのに近い恩恵があります。
参照リンク:Master of Evolution average stat jumps [reddit]
一方でこのアビリティはプレイの足かせとなる可能性も含んでいます。盤面が空っぽであればアビリティの発動せずただの4マナ4/5、しかしフィールドに味方のミニオンが居る場合はBattlecry/雄叫びアビリティを発動させなければ召喚できません(《Dark Iron Dwarf / ダークアイアンのドワーフ》等と同様)。つまり、変化させたくないミニオンであっても選択してアビリティを発動しなければ召喚できません。
また変化後のミニオンは召喚扱いではないため、Battlecry/雄叫びアビリティを発動させません。そして1マナコスト進化後のミニオンは完全にランダムであり、このミニオンの使用を若干難しいものとさせています。ミニオンのデザインはそのマナコストを基準として、カードアビリティと攻撃力/体力でバランスが調整されています。一般的に優れた能力を持つミニオンはスタッツが低く、能力が貧弱なミニオンは優秀な攻撃力/体力を持っているということです。つまり、この《Master of Evolution / 進化を統べるもの》でより高い恩恵を期待するには、変化対象がスタッツが低いかわりに優れた能力を持つミニオンであるほど良いということになります。マナカーブに沿ったプレイで一例を挙げれば、《Tuskarr Totemic / タスカーのトーテム師》の本体が最適なターゲットになるでしょう。
またヒーローパワーで召喚される4種類のTotem/トーテム達は1マナコストミニオンであるため、ランダムな2マナコストミニオンに変化させボード争いに参加させることも期待できます。ただし70分の1の確率で《Doomsayer / 終末預言者》に変化しFunny and Lucky Momentsにまとめられる可能性を含んでいることもお忘れなく。
冗談はさておき、この新カードに適したMidrange Shamanの構築を再び活性化させる機会となることを期待できるはずです。
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◆ カード基本情報
カードタイプ : | Weapon / 武器 |
使用クラス : | Shaman / シャーマン |
レアリティ : | Epic / エピック |
カード作成コスト : | 400 / 1600 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 100 / 400 (Golden) |
◆ 《Hammer of Twilight / 黄昏の鎚》のプレビュー
原作ではCho'gallの愛用する武器なのにShamanクラスに実装されるのはゲーム的な都合でしょうか。世界を滅亡へ導かんとするTwilight's Hammerクランのシンボルにしてはずいぶんと素直な性格の新しい武器カードです。Overload/オーバーロードの足枷が無く、武器が破壊されても盤面に4/2のミニオンを残すということで《Harrison Jones / ハリソン・ジョーンズ》に破壊された場合もケアできるのは魅力的に映ります。
さてこのカードをどんなデッキが使うかというと、《Doomhammer / ドゥームハンマー》が既に存在するAggro Shamanには無用な武器でしょう。数ターン継続する4点と《Rockbiter Weapon / 岩穿ちの武器》とのコンボによる爆発的なダメージがある限り選択肢にも成り得ません。やはりMidrangeやControlの構築でこそ使いどころが想定され、この《Hammer of Twilight / 黄昏の鎚》はこれまでShamanに存在しなかったゲーム中盤の除去に使用する武器という見方をするのが適切に思われます。
そしてデッキに採用されるかどうかは環境に左右されることになります。5マナというコストがネックとなり、Aggro対策としては遅すぎます。またMidrangeデッキの5マナミニオンに対してはアタック4という数値が心許ないでしょう。仮に《Azure Drake / アジュア・ドレイク》など体力4の5マナミニオンが多く見られる環境に移行すれば、このカードの持つバリューが活かされるはずです。
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◆ カード基本情報
カードタイプ : | Spell / 呪文 |
使用クラス : | Warlock / ウォーロック |
レアリティ : | Rare / レア |
カード作成コスト : | 100 / 800 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 20 / 100 (Golden) |
◆ 《Spreading Madness / 蔓延する狂気》のプレビュー
開発チームはこのカードでWarlockというクラスに何をさせたいのかよく判りません。このカードが活きる限定的な状況をひとまず思い浮かべることはできるので、既存のカードと比較してみましょう。まず敵味方問わずダメージが1ずつ振り分けられるため、このスペルはControl型のデッキで序盤の脅威を排除することに使用できます。除去として《Demonwrath / 悪魔の憤怒》と比べると、体力2以上のミニオンを排除できることが期待できるかもしれません。デメリットとしては、《Acolyte of Pain / 苦痛の侍祭》や《Imp Gang Boss / インプ・ギャングのボス》のようなミニオンに利することとなってしまいます。
このアビリティでひとつ見逃せないのは「全てのキャラクター」が対象であること。つまりヒーローにもダメージを与えるため、バトルフィールドが空っぽであればお互いのヒーローにダメージが振り分けられます。至極限定的ですが、この特性がリーサルへつながることもあるかもしれません。ひとまずは除去スペルの選択肢としてRenolockの構築に試されることになるでしょう。
《Grim Patron / ぐったりガブ呑み亭の常連》とのコンボ?オー、ナイスアイデアデスネー!
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◆ カード基本情報
カードタイプ : | Minion / ミニオン |
使用クラス : | Warlock / ウォーロック |
レアリティ : | Legendary / レジェンド |
カード作成コスト : | 1600 / 3200 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 400 / 1600 (Golden) |
◆ 《Cho'Gall / チョ=ガル》のプレビュー
・Armor/装甲の数値は呪文を使用するために消費する体力とみなされ、体力値よりも先に消費される (source)
・体力値が0になるコスト以上のスペルは使用できない (source)
・《Mal'Ganis / マルガニス》がボードに居る場合は体力を消費しない。その場合も残り体力以上のコストとなる呪文は使用できない (source)
・カードのマナコスト減衰は体力の消費後に適用される (source)
・体力の消費は使用する呪文カードの現在のマナコストから計算される (source)
Warlockクラスにふさわしいユニークなアビリティのミニオン。その性質を整理して見ていくと、まずバトルフィールドに7/7のミニオンを一体設置し、体力値以下のスペルカードを1枚だけマナコストを支払う代わりに体力を消費して使用可能となるものです。Warlockクラスの呪文カードの特性上、7/7のミニオンを置きながら盤面に対して何らかの作用を行うカードとなるでしょう。体力値を代償に凄まじくテンポを稼ぐ可能性を秘めているように見えます。
さてそこで疑問が浮かびます。Warlockが7ターン目以降に7/7のミニオンを置く、例えば《War Golem / 戦のゴーレム》でいいでしょう。このミニオンを盤面において同時に呪文を使用したいというのはどんな状況でしょうか?頭に浮かんだそのイメージは、体力値を犠牲にしつつ《War Golem / 戦のゴーレム》が盤面に置かれている必要があるのでしょうか?
確かに一部有効と思われる組み合わせは存在します。《Siphon Soul / 魂抽出》と併用すればヘルス3を代償に《War Golem / 戦のゴーレム》を置きながら相手のミニオン1体を除去できます。《Shadowflame / 影の炎》の対象とすれば体力7以下のミニオンを一掃することは可能なので緊急時に役立つかもしれません。
しかし他の組み合わせはどうでしょうか。《Hellfire / 地獄の炎》はヒーローに7ダメージを与え、《Cho'Gall / チョ=ガル》自身も損傷します。《Demonwrath / 悪魔の憤怒》はヒーローへの損傷が軽微ですが、カード2枚で《Baron Geddon / バロン・ゲドン》の働きというのはバリューでしょうか?《Dark Bargain / 闇の約定》(そんなカードあったっけ?とか言わないでください)は最もテンポを稼ぎますが、ヒーローへの6ダメージとカード2枚破棄に見合うものでしょうか。どうしても必要に迫られて7マナ時に《Twisting Nether / 捻じれし冥界》を使用しなければ生き残れない状況もあるかもしれません。《The Coin / コイン》1枚に体力8支払う勘定でその後どうやってやりくりしていくのかは知りませんが。
このカードを悪く評価しているわけではありません。ただ単に、Warlockというクラスで《War Golem / 戦のゴーレム》を場に出しながら呪文を使いたいという状況から、ウィンコンディションに結びつくイメージがにわかに湧いてこないだけです。このカードがどんなデッキにフィットするか想像するのも難しいですが、体力値を失ってもリカバーできるControl型のデッキとなることは間違いないでしょう。
◆ 4月10日時点の公開済みOldGods拡張セットを含むスタンダード環境の呪文一覧
Tooltip | Rarity | Mana |
《Sacrificial Pact / 生贄の契約》 | Common / コモン | 0 |
《Corruption / 崩壊》 | Common / コモン | 1 |
《Mortal Coil / 生の苦悩》 | Common / コモン | 1 |
《Power Overwhelming / 凄まじき力》 | Common / コモン | 1 |
《Soulfire / 魂の炎》 | Common / コモン | 1 |
《Curse of Rafaam / ラファームの呪い》 | Common / コモン | 2 |
《Demonfire / 悪魔の火》 | Common / コモン | 2 |
《Demonfuse / 悪魔融合》 | Common / コモン | 2 |
《Renounce Darkness / 闇との訣別》 | Epic / エピック | 2 |
《Demonwrath / 悪魔の憤怒》 | Rare / レア | 3 |
《Drain Life / 生命吸収》 | Free / レアリティ無 | 3 |
《Sense Demons / 悪魔感知》 | Common / コモン | 3 |
《Shadow Bolt / シャドウボルト》 | Free / レアリティ無 | 3 |
《Spreading Madness / 蔓延する狂気》 | Rare / レア | 3 |
《Fist of Jaraxxus / ジャラクサスの鉄拳》 | Rare / レア | 4 |
《Hellfire / 地獄の炎》 | Free / レアリティ無 | 4 |
《Shadowflame / 影の炎》 | Rare / レア | 4 |
《Bane of Doom / 破滅に至る病》 | Epic / エピック | 5 |
《Dark Bargain / 闇の約定》 | Epic / エピック | 6 |
《Siphon Soul / 魂抽出》 | Rare / レア | 6 |
《Twisting Nether / 捻じれし冥界》 | Epic / エピック | 8 |
《DOOM! / 破滅!》 | Epic / エピック | 10 |
▲Index
◆ カード基本情報
カードタイプ : | Minion / ミニオン |
使用クラス : | Warrior / ウォリアー |
レアリティ : | Common / コモン |
カード作成コスト : | 40 / 400 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 5 / 50 (Golden) |
◆ 《Ravaging Ghoul / 死憎悔いのグール》のプレビュー
このカードの日本語名は《Flesheating Ghoul / 屍肉喰いのグール》をもじって名付けられているようですが、英語版カード名から類推すると《Unstable Ghoul / 不安定なグール》が汚染されたカードの原型だと考えられます。アビリティの性質を比較するにも後者のほうが適切でしょう。
スタンダード落ちする《Unstable Ghoul / 不安定なグール》はTaunt/挑発と全体1ダメージのアビリティ、そして2マナという低コストを買われてAggro対策からコンボデッキまで様々な局面で活用されてきました。今回追加される《Ravaging Ghoul / 死憎悔いのグール》はWarriorクラス専用ミニオンなので当然Warriorのどのような構築に取り入れられるか検討することになります。となれば言うまでも無く第一に思い浮かぶのはPatron Warriorになるでしょう。
《Unstable Ghoul / 不安定なグール》
- 挑発&断末魔: 全てのミニオンに1ダメージを与える。
《Ravaging Ghoul / 死憎悔いのグール》
- 雄叫び: 自身を除く全てのミニオンに1ダメージを与える。
一見似ているようでも二つのカードを比較すると、全く異なるプレイングを要求されることが見えてきます。最も重要なポイントはもちろんアビリティの発動タイミング。前者はミニオンが破壊された時であり、新カードはボードにプレイした時点で即時発動します。この違いはカードをプレイする順番に関わり、《Unstable Ghoul / 不安定なグール》が《Grim Patron / ぐったりガブ呑み亭の常連》よりも先にボードに置けるのに対して、新カード《Ravaging Ghoul / 死憎悔いのグール》はダメージを与えたいミニオンよりも後にプレイしなければなりません。つまり、全体1ダメージを事前に設置して、5マナ時に最速で《Grim Patron / ぐったりガブ呑み亭の常連》を分裂させるような行動は出来ないということです。
それぞれのカードには長所と短所があり、《Unstable Ghoul / 不安定なグール》はSilence/沈黙によってアビリティを封じられる恐れがあります。これに対して新カードはBattlecry/雄叫び発動であるため手札から召喚可能な任意のタイミングで効果を得ることができます。ここで問題となるのがそのマナコスト。3マナ3/3のミニオンのミニオン本体が付属するために《Whirlwind / 旋風剣》より2マナも過剰に必要なのでカードコンボに活用するのが難しくなります。
Patron Warriorに熟練したプレイヤー達はこのカードに対してまだ懐疑的な態度を示していますが、新カードがリリースされ次第ひとまずは使い心地を試されることになるでしょう。《Death's Bite / デス・バイト》と《Unstable Ghoul / 不安定なグール》の喪失というあまりにも大きな穴を埋めることができなければ、Patron Warriorというデッキの存在そのものが危ぶまれるのですから。
または、ただ単純に攻撃力3/体力3のスタッツと全体1ダメージ即時発動のAggro対処能力を買われて、Controlの構築に採用を検討されるかもしれません。
▲Index
◆ カード基本情報
カードタイプ : | Spell / 呪文 |
使用クラス : | Warrior / ウォリアー |
レアリティ : | Epic / エピック |
カード作成コスト : | 400 / 1600 (Golden) |
カード分解のArcane dust/魔素 : | 100 / 400 (Golden) |
◆ 《Blood Warriors / 流血の戦士団》のプレビュー
「ダメージを受けている」条件付きの《Echo of Medivh / メディヴの残響》という非常にユニークなWarrior専用新カード。まずこのカードがWarriorのどんな構築にフィットするかを考える場合、比較対象は《Echo of Medivh / メディヴの残響》ではなく《Battle Rage / 狂瀾怒濤》の方が適しているでしょう。両者の最も大きな違いはカードドローするか、既に盤面に出したミニオンを手札へ増殖させるかの1点です。
既存の構築ではPatron Warriorが《Battle Rage / 狂瀾怒濤》を採用しており、その代替となる可能性は現状のままならまずあり得ません。《Grim Patron / ぐったりガブ呑み亭の常連》というキーカードを手札に増殖させることに価値は見出されるものの、その都度5マナを支払って《Grim Patron / ぐったりガブ呑み亭の常連》をフィールドに置いていく余裕があるデッキではありません。
このカードの特性である”増殖”はデッキ外からカードを持ってくることが本質であり、このバリューを活かすにはControl Warriorの構築が適しているように見えます。しかし単純にデッキに放り込んで効果的に機能するかは、ダメージを受けている味方ミニオンという条件を抜きにして考えても疑問符が付きます。ミニオンカードを手札に増殖させるバリューを活かせるのはお互いのリソースを潰し合う非常に遅いControlデッキ対決のシチュエーションであり、相手もControl PriestかControl Warriorにほぼ限定されます。
或いはその限定状況において光るテックチョイスのカードということかもしれません。除去スペルを数多く搭載した現行のControl Warrior(Elise Warrior)にとって、《Elise Starseeker / エリーズ・スターシーカー》を増加させることは理に適っています。明確な欠点を指摘すると、トーナメントのControl Warrior対決がより一層ResidentSleeperを生み出す可能性も増やすことになるでしょう。もちろん冗談ですが、30分超過のゲームが増えるのはあまり笑えないジョークです。