追記:
国内プレイヤーのAsiaサーバー移動を促進するためにカードパックや闘技場、アドベンチャーモードのAsiaサーバーでの補填が行われました。この記事が書かれた時点から国内プレイヤーの動静は大きく変化しています。詳細は下記リンクをご参照下さい。
国内プレイヤーのプレイサーバーと今後の展望 [dojo]
まずはあらためて、Hearthstoneの日本語ローカライズ決定おめでとうございます。
巷ではBlizzard Entertainmentが日本市場に本格参入かと色めき立っています。近年はDiablo3、過去にはStarCraft1、Diablo2やWarCraft3など国内のパブリッシャーを通じて日本語版が発売された例はありましたが、同社の代表ゲームタイトルのほとんどが言語オプションに日本語を用意していません。
市場として見捨てられたかと国内のPCゲーマー達が諦観していたところへ今回のローカライズが発表されたことはまさしく慶事であり、今後Blizzard社のゲームが続々と日本語化されていくことに期待が高まるのも当然でしょう。日本においてもBlizzard社の知名度とブランド力は相応のものであり、消費者のゲーマーだけでなくゲーム産業の関係者にとっても目を剥くような一大発表であったかと察せられます。
将来的には日本のゲーム業界に影響をもたらすかもしれないこのインパクトに比べて、蚊の鳴くように小さなわたし達の声を届けたいと思います。”わたし達”とは今日までHearthstoneを遊んできた既存の国内プレイヤー達です。Hearthstoneが「ハースストーン」になるにあたって、既存プレイヤーが戸惑いを隠せない変化が起ころうとしています。よそから見れば些末な事柄かもしれません。しかしわたし達の置かれた事情を知っていただくことで、その問題とはゲーム業界の巨人Blizzardが日本に刻む新たな足跡の第一歩目に深く関わることをご理解頂けると思い、本稿の執筆にとりかかりました。
わたしはHearthstone dojoの管理人GoNinjaと申します。初めましての方は初めまして。お馴染みの方はいつも当サイトを見に来て頂きありがとうございます。このブログを設立したのは2013年8月15日のHearthstoneクローズドβ開始から二週間後のことです。Hearthstoneがe-sports競技タイトルになると言えば鼻で笑われていた頃から、このゲームと国内外コミュニティの成長をつぶさに観察してきました。だから国内コミュニティを代表する所見を持つとまでは申しませんが、日本在住のゲーマーがこれまでHearthstoneにどのように親しんできたかの経緯をよくよく見知っています。
この記事においては既存プレイヤーが(もちろん全員ではありませんが)不安に怯える理由を明らかにしていきます。今回のHearthstone日本語ローカライズには大きく分けて二つの問題が存在しているのです。
ただし、問題視しているのは先述の通り国内在住の既存プレイヤー達です。重ねて言いますがこれも国内ユーザーの総意などというものではありません。そして他の視点から立って見れば、この変化は致し方無い流れではあるかもしれません。Blizzard社は親会社のActivision Blizzardと合わせて世界第三位という莫大な売上を計上する企業であり、長期的な販売戦略に基いて計画を立てる巨大なゲームディベロッパーです。今回のHearthstoneローカライズも、今後日本市場に自社タイトルを売り込んでいくことを見越して下した決断であるでしょう。その大局的な視点においては、Blizzardはいま問題視されている事柄を無視してでも実行せねばならないことがあろうということも、わたし達は受け入れざるを得ません。既存のプレイヤー達に向けてこの記事を書く目的は沸き上がる溜飲を下げるためではなく、論点を明らかにしわたし達がこれからの新規プレイヤー達とどのように融和していくかの道筋を探ることです。
まだ現時点で日本国内を担当するコミュニティマネージャーの顔は見えていませんが、いずれにせよ感情的に文句を叩きつけても良い関係を築くことは出来ないでしょう。意思の疎通を図り、既存の日本在住プレイヤーが置かれた特殊な状況を伝え、どこで折り合いを付けねばならないかわたし達自身が納得するためにも建設的な議論を始めましょう。
参照リンク
Hearthstone日本語化したら買ったカードはどうなる?日本コミュニティーへのサポートは? プロデューサーに聞く [ascii]
「Hearthstone」開発者インタビュー。日本語でのローカライズやHearthstoneの開発において,Blizzardが大事にしてきたこととは [4gamer]
Blizzardに『ハースストーン』日本上陸の真意を訊く―「ぐったりガブ飲み亭の常連」は意図された翻訳なのか [Gamespark]
プロデューサーが語る『Hearthstone』の魅力、Blizzardが重視するプレイヤーの“体験”、そして日本に対する想いとは [Automaton]
「Hearthstone」日本語化! Blizzardプロデューサーインタビュー [impress]
第一の問題・プレイサーバー(Region)
今後Blizzardが方針を変えない限り、日本国内のプレイヤーは二つのサーバーに分散する恐れがあります。既存プレイヤー達のほとんどが現在AmericasサーバーでHearthstoneを遊んでおり、今後新規参入するプレイヤー達はAsiaサーバーへと誘導されていくのでしょう。
これまでの経緯をご説明します。まず前提知識として、HearthstoneはひとつのBattle.netアカウントで複数のサーバーから選択しゲームをプレイできます。プレイサーバーの変更は何の手間もありません。PC版であればBattle.net Appからプレイサーバーを変更、モバイル版であれば再ログイン時にサーバーを選択するだけです。
ただし、カードコレクションとゲームの進行状況はサーバー毎に独立しています。当然のことながらAmericasサーバーで獲得したカードをEUやAsiaで使用することは出来ません。自由にサーバー変更が可能とはいえ余程のやり込みプレイヤーでない限り、複数のサーバーにまたがってプレイしカードコレクションを集めることはありません。
何より重要なのは、異なるサーバーのプレイヤー同士は対戦できないことです。
そして2013年8月のクローズドβから14年1月のオープンβを経て、3月の正式サービス開始以降も日本からBlizzard社のページにアクセスしHearthstoneのクライアントをダウンロードすると、自動的にAmericasサーバーでゲームが開始されました。Americas(NA)サーバーでプレイすることについてはStarCraft2やDiablo3と同様であったため、国内のプレイヤーにとってはごく当然のことであると考えられていました。Blizzardのゲームは初体験でサーバーの知識も無かった方は疑問をおぼえる余地もなくゲームを進め、自然と日本国内のプレイヤー達はAmericasサーバーに集まっていったのです。
(ゲームをダウンロードしクライアントを起動すると、プレイヤーはサーバー選択を行うことなく自動的にチュートリアルが開始されます。サーバーに関する知識を得るのはプレイヤー達がある程度ゲームを進め、情報コミュニティへとアクセスした後のことです)
国内向けに開催されるトーナメントやイベントはAmericasをプレイサーバーとして設定するのが常となっており、e-sports SQUARE秋葉原と提携してFireside gathering championship(公式認定のオフライントーナメント)を開催したBlizzardもこの経緯は十分に認識している(はずの)ことです。
Blizzardが方針を転換したと見られるのは今年の4月、iPhone & Androidのモバイル版がリリースされた時です。2013年のBlizzConでモバイル版開発が発表されてから一年と半年、待望のモバイルバージョンリリースに国内のプレイヤー達は小躍りしつつそれぞれのスマートフォンへゲームをダウンロードしてド肝を抜かれました。
苦労して集めたカードコレクションが全て消失しゲームがチュートリアルから開始されたのです。データが消えたと真っ青になった人も居られました。なぜそんな事件が起きたのか?実はなんのことはない、モバイル版の初回起動時は自動的にAsiaサーバーへと接続されていたというだけです。勿論カードコレクションが消えたわけではなく、Americasサーバーへと再接続すればゲームを続きからプレイできました。
しかしこのままではモバイル版リリースを機にHearthstoneを始めた新規プレイヤーがAsiaサーバーでゲームを進めてしまうだろう、と国内のプレイヤーは危機感を覚えました。繰り返しますがモバイルバージョンのリリースは2013年のBlizzConでの発表と、オープンβが開始されてから約一年半も後のことです。それまでの期間に日本国内のプレイヤーはAmericasサーバーへと寄り集まっていました。そこで国内コミュニティのそこかしこで注意喚起がなされ、新規プレイヤー達をAmericasサーバーへと誘導していったのです。
この時点で日本在住プレイヤーのデフォルト接続サーバーはAsiaになるとBlizzardが表明していればまた状況は変わっていたかもしれません。しかし、自動的にAsiaサーバーへと接続されるのはモバイル版だけの仕様です。いま現在に至るまでも、PCからゲームをダウンロードすると最初にゲームを開始するのはAmericasサーバーなのです。4月以降から今日まで、デバイスが異なると初期接続のサーバーが異なる問題をBlizzardは放置し続けてきました。
そして先日、Hearthstoneの日本語ローカライズが発表されるとBattle.net公式ブログに告知記事がアップロードされました。その中で日本のプレイヤーはこれからAsiaサーバーへ加わると明記されています。
➥ Hearthstone® Welcomes Japanese Players to the Inn! [Battle.net]
Blizzardが方針を示した以上、既存のプレイヤー達はAmericasサーバーへと新規プレイヤーを誘導することを躊躇わざるを得ません。いま現在は大多数の国内プレイヤーがAmericasサーバーでプレイしていますが、今後新規プレイヤーをAmericasサーバーへと勧誘していくことはそのプレイヤーに不利益もたらす可能性を孕むためです。
さて、ここでひとつあなたに質問。これからHearthstoneを新規で始めるプレイヤーにAmericasとAsiaのどちらを選んだら良いかと質問されたならば、あなたはなんと答えますか?その返答は次の項目を読み進めていっても変わらないものでしょうか?
ユーザーの移住・分散・人口比
既存プレイヤーの処遇についてBlizzardがどのように考えているのかいまだ明かされていません。そのため憶測で書かざるを得ませんが、国内のプレイヤー達が今後どのサーバーでゲームをプレイし、その人口がどのような比率に変化していくかで次項に続く問題を大きく左右することになります。
まず前提としてBlizzard社は日本在住の新規プレイヤーは今後Asiaサーバーへと誘導していく方針を固めています。先にご紹介したブログポストに加え、日本向けに展開する事前登録キャンペーンの無料カードパック取得はAsiaサーバーに限定されていることからも明らかです。
では既存プレイヤーもAsiaサーバーへとプレイサーバーを変更しなければならないのか。今回の日本語ローカライズはサーバー変更を強要されるものではありません。Asiaサーバーでなければ日本語版をプレイできないということもありませんのでご安心を。ゲームの設定言語はBattle.net APPから簡単に変更可能です。例えば日本在住のプレイヤーがAmericasサーバーで中国語表記と音声のゲームをプレイするということも出来ます。
その前提に立った上でサーバー変更を検討するならばメリットとデメリットを天秤にかけ、プレイヤー各々が判断することです。まずはこの点について考えてみましょう。
◆ Asiaサーバーへ変更するメリット
Americasサーバーと比較して、日本在住プレイヤーがAsiaサーバーでプレイすることには確かなメリットがいくつか考えられます。
日本・韓国・台湾の3カ国は距離が非常に近いため時差は1時間前後に収まります。地球のほとんど裏側にあるカリフォルニアと比べてタイムゾーンが近いことは多くのメリットを有するでしょう。まず、火曜日に不定期で行われるBattle.netのメンテナンスはAmericasサーバーの場合、Blizzard本社の位置するカリフォルニアとの時差により日本時間19時~21時前後から開始されます。現地では人々が寝ている時間ですが、日本ではゲーマーにとってのゴールデンタイムがメンテナンスで潰されてしまいます。
接続の安定性も評価に含めるべきでしょう。ターン制のカードゲームという性質からFPSやRTSなど1秒を争う世界ほどpingは重視されていませんが、サーバーとの距離が近いため対戦が安定して行える可能性があります。(ただし実際に差があるのかについては、カードコレクションが独立している事情によってAmericasとAsiaを並行してプレイし比較されること自体ほとんど無いため定かではありません)
また、(間違えて)Asiaサーバーでゲームを開始してしまいこれまで国内プレイヤーと対戦出来なかった人々にとっても、今後日本人プレイヤーが移動してくるとすれば僥倖と言えるでしょう。
◆ あまりにも大きいデメリット
次に既存プレイヤーがプレイサーバーをAmericasからAsiaへ変更するデメリットを挙げます。
・コレクションはサーバー間で持ち越せない
大事な点なのでおさらいしますが、ゲームの進行度はサーバー毎に独立して記録されています。カードコレクション、カードバック、Solo Adventures mode、Heroのレベルと何から何までサーバー毎に分離しています。為替レートの安い国で決済し他のサーバーへカードを持ち越すような抜け道を防ぐためこの仕様は致し方ありません。しかし、既存プレイヤーがAmericasからAsiaサーバーへの移動することを考えるならば、再びカードを集めなおす覚悟を必要とします。
さほど不自由なくカードデッキを組めるようになるまでどの程度の費用が必要でしょうか?
参考までに以前まとまった数のカードパックを開封した時のデータを引用しましょう。下記画像はGvGカードセット100パックとTGTカードセット200パックを開封し、コレクションが埋まった割合を集計したものです。コレクションカード数はそれぞれGvGが123種類、TGTが132種類です(Classicは246種類)。おおよそ100パックも開封すれば基礎となるCommonとRareカードが揃い、重複分のカードをディスエンチャントすれば必要なカードをクラフトするのに十分なダストが取得出来るでしょう。
➥ (サイト内別ページ)GvG100パック開封と集計
➥ (サイト内別ページ)200パック開封結果と集計
上記を参考にさほど不自由なくデッキを組むために必要な費用をざっくり見積もってみましょう。まずカードパックは基本となるClassicセットとTGT拡張セットを合わせて300パックほどとします。(GvGはPiloted ShredderとDr. Boomをクラフトすればひとまず十分でしょう)。カードパックだけで350$必要です(60packs - $69.99 x 5)。そこに加えてSolo Adventures modeのNaxxramasとBrackrock Mountainをどちらも全Wing開放したとすればそれぞれ$24.99、合計で400$ほど必要であると仮定します。
さて既存プレイヤーがAsiaへとプレイサーバーを変更するためにこの費用を支払うのでしょうか。
余程の理由がない限りまずあり得ませんね。Hearthstoneは日々更新されるデイリークエストとゲームで3勝する毎に報酬としてゲーム内貨幣のGoldを獲得できます。そのGoldでカードパックとSolo Adventures modeの費用を賄うことも出来ます。ただしデイリークエストと合わせて毎日100Gold稼いでいったとしても、およそ丸一年以上もの時間を要します。
たとえどれほどAsiaサーバーへ移動することにメリットがあったとしても、また1から始める苦労には見合わないというのが実情です。日本在住プレイヤーはAsiaサーバーでプレイすべしとBlizzardがどれほど喧伝したとしても、プレイヤーのほとんどは知ったことかとAmericasサーバーでプレイを続けると考えるのが自然なことです。想像力を必要とするようなことではありません。
既存プレイヤーはAmericasサーバーで継続、新規プレイヤーはBlizzardの奨めるに従いAsiaサーバーでプレイ開始となることは目に見えています。わたし達既存プレイヤーにとって最も不可解なのは、なぜBlizzardはこのように日本在住プレイヤーを分断させようと試みているのかという点にあります。それを意図せざるとしても、結果がどうなるかは見えているはずです。元より少ないプレイ人口をさらに二つに断ち切ってまで、いったい何がしたいというのでしょうか?
おそらく”Road to BlizzCon”という枠組み作りを推進する一貫としてのことかもしれませんが、ことHearthstone日本展開のみに限定して考えるならば、不合理極まりないとしか評価できません。
ただしここで、Americasサーバーでプレイを続けると今後発生しうるデメリットについても触れておくべきでしょう。またこのデメリットこそがAsiaサーバーでの活動を既存プレイヤーが検討する理由であり、そして既存プレイヤーが理不尽を感じてもいるのです。
国内トーナメントへ参加出来なくなる(かもしれない)
現在日本国内で開催されるイベントやトーナメントはプレイサーバーにAmericasが指定されます。これについて異論や議論が発生したことはありません。みなAmericasサーバーでプレイしているからというだけの理由によります。しかし、今回Blizzardは日本在住プレイヤーのサーバー選択にAsiaを推奨し、デフォルトサーバーとしていく意向を明確にしています。
誰もが同じ疑問を抱きました。今後国内で開催されるトーナメントのプレイサーバーはAmericasになるのか、それともAsiaが指定されるのだろうか?
ここでもうひとつお尋ねしたいことがあります。今後日本国内向けに開催されるトーナメントはどちらのサーバーを指定されるべきだとあなたは考えますか。どちらのサーパーであれば皆が納得するのでしょうか。
どちらを選択しても選ばれなかったサーバーのプレイヤーから不満が噴出します。意地悪な質問でしたね。意地が悪いとは承知の上で詰め寄りますが、e-sports SQUARE様とJCG様にはこの質問に早急な解答を示してもらわねばなりません。サーバー選定の基準は単純明快です。国内プレイヤーの人口比と、Blizzardの意向に沿うべきかというたった二つしかありませんね。Blizzardのことはひとまず横に置いて、今後変化していくサーバー間の人口比からすこし想像を巡らせてみましょう。
(どうやってサーバー間の人口比を把握するかという問題は除外した簡単な思考実験だと思って下さい)
シナリオその1:Asiaサーバーで始める新規プレイヤーの数が圧倒した
個人的には最も可能性が低いと見ていますが、しかし日本語化されたことはこれまで二の足を踏んでいたゲーマー達を後押しする十分なきっかけとなります。新規プレイヤーが今回のローカライズをきっかけに大量に流入しAsiaサーバーでその数が膨れ上がったとしたならば、国内トーナメントはAsiaサーバーを選択するのが妥当であるとは考えられます。しかしそれは、古くは2年以上もの経験を持つAmericasサーバーの既存プレイヤーを無視してでもなのでしょうか?すぐには切り替えられるものでは無いでしょう。では何時AmericasからAsiaへ切り替えるのか、そのタイミングはどのように計るのでしょうか?
シナリオその2:AmericasとAsiaでプレイヤーが半々に分散した
困ったことに既存プレイヤーと新規プレイヤーの数がおおよそ均等に分散してしまいました。この場合はどちらのサーバーを指定すべきでしょうか。2年の歴史あるAmericasでしょうか?それともBlizzardの推奨するAsiaでしょうか。選ばれなかったサーバーの所属プレイヤーを納得させるに足る根拠を呈示できますか?
サーバー毎でイベントを同時開催という手も無くはありませんが、管理は行き届くのでしょうか?
シナリオその3:Asiaサーバーで新規プレイヤーが思いのほか増えなかった
これはぜひJCG様とe-sports SQUARE様にお答え頂きたい質問です。日本語化のあとも国内プレイヤーのプレイサーバーがAmericasに集中した場合、それでもBlizzardの意向を尊重しAsiaサーバーでトーナメントを開催されるのでしょうか?
それとも人口の多いAmericasをプレイサーバーに指定するというならば、新規プレイヤー達からこのように不満が噴出するでしょう。「Blizzardが推奨し、日本のデフォルトサーバーでもあるAsiaでプレイしているのに日本の大会に出場できないとはどういうことだ」と。JCG様とe-sports SQUARE様はその時なんとお応えになるのでしょうか。
難題をふっかけるような質問であることは重々承知の上ですが、早急に国内プレイヤーへ向けて告知を行ってください。もしAsiaサーバーを選択するというならば、国内大会へ出場を望む既存プレイヤー達は今のうちからカードを集めなおさなければならないからです。
わたし達はAmericasサーバーで学び、共に歩んできた
既存プレイヤー達がAsiaサーバーへ移動出来ない理由はカードコレクションだけではありません。
たとえば仮に、AmericasサーバーのユーザーデータをAsiaサーバーへ移管するということが可能であるとしましょう。サーバー毎にゲーム進行度が分離されているので、その場合Asiaサーバーでも少しはカードを取得しているプレイヤーはどうなるのかという問題も生じますが、それらもひっくるめて解決しAmericasサーバーのプレイヤー達がAsiaへ移動可能なウルトラCが存在するという仮定です。
もしその選択の自由が与えられたとしても、既存プレイヤー達はAmericasサーバーから移動するのに躊躇するかもしれません。その心理的な抵抗が生まれる理由をどうか、Blizzardには斟酌して頂きたいところです。
◆ 言語とコミュニティ
Hearthstoneは情報ゲームとしての側面が大きく、実際に対戦を行う前のMetagameから戦いは始まっています。日本国内のプレイヤー達はこれまで何を参考にし、どこから学び取ってきたのか。それは国外のAmericasサーバー所属プレイヤー達と共通しています。Team Solo Mid所属のプレイヤーTrumpがここ日本で「Trump先生」と呼ばれることがあるのは、Hearthstoneのクローズドβからオープンβの期間にかけてAmericasサーバーのプレイヤー達とまったく同様に、彼のArenaプレイからゲームの基礎を学んできたからです。
プレイガイドの記事を求めるならクローズドβ開始前の2013年6月にオープンしたHearthpwn、14年1月にTeam Liquidのフォーラム内から独立したLiquid Hearth、またはreddit。Twitchでプロのプレイを参考にし、注目を集めるイベントもAmericasサーバーのトーナメントが主流でした。率直に言って、日本国内のプレイヤー達はAsiaサーバーや中国サーバーの動向に興味を持っていません。既存プレイヤーにとってのメインストリームはやはりAmericasサーバーなのです。
国内在住プレイヤーはAsiaサーバーの知識を持ちません。Asiaサーバーの著名プレイヤーの名前を知りません。韓国や台湾のプレイヤー達はどこの情報コミュニティに集うのかを知りません。Asiaサーバーで流行しているデッキやHeroなど、Metagameについても無知に近いものです。
同じゲームであってもサーバーが変わればまったくの別世界です。これまで馴れ親しんだAmericasサーバーのプレイヤー達やコミュニティに別れを告げ、Asiaサーバーに適応せよとは酷な話なのです。
そしてもう一点。日本人は英語が苦手とは言われますが、それでも長い時間の教育を受けているだけあって大抵のことは意思の疎通が可能です。しかしハングルや繁体中文は意図して学ぶ人以外には解読出来ません。近くて遠いとはよくいったものですが、日本を含めたこの3カ国をAsiaサーバーへ押し込めても互助関係に発展するのか大いに疑問です。
韓国や台湾はそれぞれ中国サーバーのプレイヤー達と交流を続けており、かねてよりサーバー間対抗トーナメントも頻繁に開かれています。ここにおいても日本のプレイヤーは取り残されるのではないでしょうか?Americasサーバーを中心に海外のオープントーナメントにも日本在住プレイヤーがこれまで参戦し結果を残してきました。しかしAsiaサーバーで行われるトーナメントへの参加にハングルや中国語のコミュニケーションが必要であればもはやお手上げです。そこまでBlizzardはサポートしてくれるのでしょうか?日本語・韓国語・北京語・英語と4つの言語が混在する問題をどのように解消するのでしょうか。
第二の問題・カードの邦訳
先にお断りしておきますが、ここで問題提起するのは翻訳の質ではありません。ゲームでも本でも映画でも海外から輸入する際に付きものの、日本語訳の精度にダメ出しをしようという意図はありません。ケチを付けるどころかむしろ、カードテキストのみならずミニオンやHero達のボイスに至るまで高品質の吹き替えが行われていることにわたしは心から感動しています。シネマティックトレーラーなどもはや涙無くしては観ることができません。まだご覧になられていない方はYoutubeのプレイリストからBlizzard社の本気度をお確かめ下さい。
➥ Playlist: Hearthstone: ハースストーン [Youtube]
ある一点を除いて、今回の邦訳と吹き替えにほとんど手放しの賛辞を贈ります。細かいツッコミはなるべく省き、この項では今後日本のHearthstoneシーンに大きな禍根を残す可能性が存在することを、プレイしていない方でも御理解いただけるようにサンプルを提示しつつ順序立ててご説明します。
「Keywords」 - キーワードアビリティ
◆ サンプル1
クラス共通ミニオンのNefarian。カード名はカタカナ、カードテキストは日本語へと訳されています。カード名がカタカナとなるのはこのドラゴンの固有名詞であるからです。まずはキーワードアビリティのBattlecryが「雄叫び」と表記されていることに注目しましょう。原文テキストに太字で表記されるこの「Keywords」には二通りの意味があります。ひとつは特定の決まりきった動作を行う能力、もうひとつは「Keywords」の後に続くカードテキストを発動するトリガーとなる特定条件を表しています。
◆ サンプル2
Charge(突撃)はミニオンをバトルフィールドに設置したそのターンからアタック行動が可能であることを意味する汎用能力であり、Battlecry(雄叫び)は後述のカードテキストが発動する条件、ミニオンをバトルフィールドに設置することによってカードテキストに記載されたアビリティが効果を発揮する汎用トリガーを意味しています。これを理解している人間は上記サンプルのように突撃&雄叫びとは記述しないのでエアプ アンド ミスリードと言いたくなりますが百歩譲って良しとしましょう。
問題は、この汎用キーワードが日本語に翻訳されていることです。
日本でも海外でも配信を実況解説するコメンテーターはカードテキストをいちいち読み上げることはありませんが、話す言葉の中にキーワードアビリティは頻出します。この語の中には決まりきった特定の動作が含まれており、説明を省略できるからです。
なぜキーワードアビリティが翻訳されていることを問題視するのか。「Charge」を「突撃」と憶えた新規プレイヤーは英語キャスティングの配信で「Charge」という単語が出てもその意味を理解できません。同様に「Battlecry」を「雄叫び」と憶えているなら「Battlecry」という単語を聞いても、そのアビリティが発動するタイミングと条件であることを知りません。
この汎用されるキーワードが日本独自の発音と表記に直されていることで、これから日本語ローカライズ版でプレイする新規プレイヤー達は話についていけなくなる危険性が存在するのです。
これは何も海外配信に限った話ではありません。日本国内の既存プレイヤー達は今後、このキーワードアビリティについて日本語版の表現を用いるようになるのでしょうか。この記事を読むあなたはいかがですか?特別な理由の無い限りあり得ないとは思いませんか。既存プレイヤーにとっては、「Battlecry」という所定のゲーム効果をいちいち日本語版の表現へ変換する利点が存在しません。
「雄叫び」と憶えて効果を理解する今後の新規プレイヤーとの間に産まれる溝、これがカードの邦訳における弊害のひとつです。
参照リンク
海外Wiki - Abilities [gamepedia wiki]
(サイト内別ページ)▼ Chapter 4. アビリティとはなんぞや
日本独自のカード名
◆ サンプル3
Mage専用ミニオンSorcerer's Apprenticeです。カード名とカードテキスト共に日本語へ訳されています。翻訳はド直球ですが特に問題は見当たらないという印象でしょうか。
◆ サンプル4
Druid専用ミニオンDarnassus Aspirant。カタカナ表記のダーナサスとは原作World of Warcraft内に存在するNight Elf種族の首都Darnassus Cityです。固有名詞はカタカナ表記するというのが、今回の日本語版ローカライズにおける基本的な表記規則であるようです。これについては適切であると考えられます。
◆ サンプル5
先程のAspirantは「志願兵」と訳しながら、こちらは丸々カタカナで表記されています。Voidcallerはツイスティングネザーの領域から生まれ出るDemon種族「Voidwalker」の一種、つまり汎用mobです。リロイ・ジェンキンスやローニン、先程のネファリアンのように人物名や特定の個体を示す語ではありません。さらに言えば、Dragon種族は「ドラゴン」なのにDemon種族は「悪魔」となっています。この表記ブレについても大目に見ることにしましょう。
ここでの問題は先だってご説明した「キーワードアビリティ」と重複し、日本語独自の表記・発音となっていることです。ここで産まれる弊害について順を追って見ていきましょう。
◆ サンプル6
◆ カードの英語名と邦訳名
「キーワードアビリティ」同様に、日本語独自の名称を採用したことによってその意味が通じるのはここ日本のみに限ります。それも、今後新規で始め日本語ローカライズ版でプレイする人々のみに限定されます。既存プレイヤーは日本語訳されたカード名を知りません。日本語版がリリースされた後、既存プレイヤー達は邦訳のカード名を憶える手間をかけるでしょうか?
Hearthstoneには現在コレクション可能なカードだけで698種類存在します。英語版だけなら700語のところが日本語名も同時に記憶するなら1400語。この数は今後、拡張カードセットが追加されるカードの種類数の倍数増えていきます。国内の既存プレイヤーと新規プレイヤーの間においても、憶えているカードの名称が異なる事態が発生します。逆も然り、日本語名でカードを憶えた新規プレイヤー達が海外の情報ソースへと目を向けた時、そこには知っているカード名がどこにもありません。彼らにはカードの”英語名”を学ぶというハードルが新たに設定されることになります。
◆ 情報に辿りつけない
プレイヤーが知りたい情報を求める手がかりとして、カードの名称は重要なキーワードとなります。さて日本語独自のカード名称で目的とする情報ソースへとアクセスできるのでしょうか。これまで2年間、国内外のプレイヤー達によって膨大な情報が集積されてきました。日本語版でカード名を憶える新規プレイヤー達には知識の扉を開くために必要な鍵が誤った形状で手渡されます。彼らは自分の知りたいことを知るためにまず、その鍵を正しい形へと直さなければなりません。
過去のことは忘れてこれから日本独自で情報を積み重ねていけばよいのでしょうか。未来志向は結構ですが、2年間という情報のビハインドをこれから始める新規プレイヤー達は覆すことが出来るのでしょうか?
◆ ガラパゴス化の懸念
海の外と隔絶され独自の進化を遂げる様相を、南米エクアドル領のガラパゴス諸島になぞらえて「ガラパゴス」などと表現されます。日本語ローカライズ版でこれからゲームを学んでいく新規プレイヤー達はこのガラパゴス状態へと陥ります。AmericasサーバーにせよAsiaサーバーにせよ、流行の話題に常に取り残されてしまうからです。
進化の歩調を海外と合わせていくなら結局は海の外へと泳ぎだしていくほかありません。さもなければ、新規プレイヤー達はこのガラパゴスの生態系の世界しか知りうる術がありません。たとえば中国のように、そのガラパゴスがあまりにも巨大であり島に留まらず大陸規模へと発展すれば問題視されるようなことではないのですが。
これについてはわたし達ユーザーよりも、Blizzard自身がよく心得ているはずのことです。なぜ中国サーバーは独自のローカライズで成功を収め、韓国は期待ほどの成果をあげられていないのでしょうか。
問題の核心は情報が分断されることにあります。今回の日本語ローカライズにあたって、Blizzardは日本在住の既存プレイヤー達、及び日本のゲーマーについて調査することを怠りました。調査したつもりかもしれませんが、全く理解していません。あまりにも致命的な部分へと軽はずみに手を付けており、この決定を下した人間が本当にHearthstoneというゲームを知っているのかすら疑問を覚えます。それがカード名とキーワードアビリティなのです。
繰り返しますが邦訳の質にケチをつけているのではありません。カード名とキーワードアビリティを独自の名称へ変更してしまったことが大問題なのです。日本語ローカライズなのだから邦訳するのは当然だろうというのはまさしくその通り。しかしそれは2年遅かったのです。クローズドβ開始から今日までの間にHearthstoneを始めた国内在住プレイヤーと、これから日本語ローカライズ版でゲームを始める新規プレイヤー達は同じ国に暮らしていながら情報の齟齬が発生します。どちらかがどちらかへ歩み寄らない限り日本語での会話すら成り立ちません。それぞれが知っているカードの名前すら違うのですから。
Blizzardは今回のローカライズにあたってグローバルにHearthstoneのコミュニティを拡大していくことを目指しながら、日本の既存プレイヤーと新規プレイヤーとの間に溝を作りました。また原作のフレーバーを大切にしたとインタビューの中で明かしています。原作であるWarCraftの世界観が伝わるようにという思いを込めたと言いつつも、では何故タイトルから「Heroes of WarCraft」の文字を削り落としたのでしょうか。国内のWoWプレイヤーは嘆いています。やることなすことあべこべで理解に苦しみます。
せめても、カード名はローマ字読みのカタカナ表記に留めておくべきではないでしょうか。Patron Warriorなどのように、特定の構築スタイルにはカード名の一部が用いられることが多々あります。海外版プレイヤーはPatron Warriorで想起することは共通していますが、日本語ローカライズ版のプレイヤー達はどうなるのでしょうか。「ぐったりウォリアー」でも「ガブ飲みウォリアー」でも何でも構いませんが、それが通じるのはここ日本のみです。ガラパゴストーンへようこそ。
今こそ「マジック・ザ・ギャザリング」に学ぼう
文章を書くことは産みの苦しみにもたとえられますが、今回の記事を書くことは過去これまでにない、神経が衰弱するほどの苦痛を味わいました。なぜこれまで2年間もHearthstoneを日本へ紹介するためにブログを書いてきた自分が、この喜ばしい時に苦言を呈して砂をかけるような記事を書かなければならないのか困惑しています。「俺はもう知らんBlizzardのアホアホ―!」と何度も放り出したくなりましたが、わたしのサイトをきっかけにHearthstoneを始めた方がいるならば、せめてもその方たちへの責任だけは果たさなければなりません。しかし自分の文章にまったく自信が持てないのです。わたしは大きな間違いを犯しているかもしれません。「日本Hearthstone界の老害」を自称することもありますが、今まさにそうなのかもしれません。
この記事においては今後参入する新規プレイヤーはAsiaサーバーでゲームを開始し、日本語独自の名称でカードを憶えることの2点を問題として提起しました。エグゼクティブ・プロデューサーのHamilton Chu氏はインタビューの中で、日本在住プレイヤーの推奨サーバーについてこのように回答しています。
「BlizzardとしてはAsiaサーバを推奨してはいますが,サーバーの選択については,プレイヤーにとってよりプレイしやすいサーバーを選んでいただければと思います。」
「Hearthstone」開発者インタビュー。日本語でのローカライズやHearthstoneの開発において,Blizzardが大事にしてきたこととは [4gamer]
どちらでも好きな方を選んでいいじゃねぇよ鼻の穴みっつにするぞこの野郎というのが正直な感想ですが、しかし、将来この日本において「ハースストーン」が日本国内の「マジック・ザ・ギャザリング」に比肩するほど発展していくとしたら、それはそれで結果オーライです。既存プレイヤーの不満がかき消され見えなくなるほどにAsiaサーバーで日本語ローカライズ版をプレイする人口が増えていけば商業的に成功と言えるでしょう。今わたしが書いているこの記事は未来志向を阻む抵抗勢力の悪あがきかもしれません。
しかしそれでは既存プレイヤーがまるで捨て石のようではありませんか。既存プレイヤーはAmericasサーバーで、新規はAsiaでと住み分けしていけばよいのも一つの結論です。ですが、新規参入が無ければコミュニティの新陳代謝は停止します。あとはゆっくりと死んでいくのを待つだけです。
そしてわたしにはこのままでは、「ハースストーン」が日本の「マジック・ザ・ギャザリング」ほどの成功を収める未来が見えません。Blizzardは日本展開の第一歩目をいきなり踏み外したと評価する外無いのです。わたしはMTGのプレイ経験がありません。基本的なルールすら覚束ない程度の知識しか持ち合わせていませんが、それでも日本MTGの公式サイトを眺めるだけで、その成功の秘訣を窺い知ることが出来るのです。
日本MTGのトップページをご覧ください。読み物として本家サイトの記事が翻訳され、プロプレイヤー達によるデッキ解説からカードフレーバーの背景まで充実しています。マジック未経験者へ体験してもらうためにカードゲームの販売を取り扱う店舗を巡るティーチングキャラバンというのも素晴らしい試みですね。Magic: The Gatheringが「マジック:ザ・ギャザリング」として今日までの発展を遂げてきたのはゲームそのものの面白さが半分。残りはWizards of the Coast社が日本のコミュニティに寄り添いともに歩んできた成果なのでしょう。マジックのプレイヤーひとりひとりがその発展に寄与してきたのです。
さて今回、日本のHearthstoneプレイヤー達に楔を打ち込み真っ二つに断ち切ろうとするBlizzardは同様の成功を収めることができるのでしょうか。マジックのように古いプレイヤーが新規プレイヤーへと手を差し伸べ助け合う環境をつくり上げることができるのでしょうか。既存プレイヤーの助力が無ければ、Blizzardは自社のブランド力とゲームの面白さだけで売り込みをかけるほかありません。
参照リンク
➥ マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
日本語化されることは確かに一大ニュースです。しかし、Asiaサーバーで始める新規プレイヤーの数が伸び悩むという可能性は多分に存在します。まず、これまで過去にHearthstoneに手を付けた経験のあるプレイヤーが今回の日本語化をきっかけにゲームを再開したとしましょう。その彼らのカードコレクションが残っているのはAmericasサーバーです。では全くの新規プレイヤーはどれほど掘り起こせるのでしょうか。日本国内のHearthstone Wikiは現在1日のアクセス数が1万人前後で推移しています。この1万人を超える規模の芽を新たに育てることが出来るのでしょうか。
ちなみに、Hearthstone日本語Wikiはクローズドβから数えて3回更新停止し潰れては再興されました。現在のHEARTHSTONE MANIAC wikiは四代目となります。コミュニティの熱意を長続きさせることは非常に難しいのです。もし日本国内で海外版プレイヤーと日本語ローカライズ版プレイヤーで住み分けを行おうとしたならば、遠からずどちらも衰退の道を歩む未来が見えます。Blizzardは日本のプレイヤーを二つに引き裂こうとしていますが、わたし達既存プレイヤーはなんとしても新規プレイヤー達と手をとりあっていかなければなりません。
参照リンク
➥ HEARTHSTONE MANIAC wiki
どこのゲームとまで名前を挙げませんが、国内のゲームアプリがどれほどの営業努力を重ねているか現在のBlizzardと比較してみるべきです。Hearthstoneは仕様上リセットマラソン(通称リセマラ)が出来ないため登録者数ン百万人突破!と実動以上に水増しして注目を集めることが出来ません。日本国内のコミュニティマネージャーすら存在しない現状では、ゲームアプリの宣伝を行ってくれるAppBank社などとマッチポンプのヨロシク関係を築けてもいません。または高い影響力を持つユーチューバー達を抱き込んで宣伝に利用するツテはありますか?
これは冗談めかして言っているのではなく、なるべく宣伝費をかけないようにする手段がBlizzardには無いという現実のお話です。では著名ゲームアプリのように何千万円という巨費を投じてテレビCMを打つことができますか?市場としての期待値が薄い日本へそこまで宣伝費用をかける稟議が通るのでしょうか。
お金もかからず手間もない宣伝方法がひとつ存在します。国内の既存プレイヤーに新規プレイヤーを勧誘してもらうことです。さてここで先程の質問を繰り返しましょう。わたし達既存のプレイヤーは新規プレイヤーをどちらのサーバーへ誘導したら良いのでしょうか。Hearthstoneの日本語版は今月末にリリース予定です。それまでに既存プレイヤーはこの問いかけに対して各々で回答を用意しておかなければなりません。
この記事の締め括りにフランスの作家アルベール・カミュの詩句を引用します。これまでHearthstoneに親しんできた既存プレイヤーと、これから「ハースストーン」を始める新規プレイヤーの両方に贈る言葉です。
「僕の後ろを歩かないでくれ。僕は導かないかもしれない。僕の前を歩かないでくれ。僕はついていかないかもしれない。ただ僕と一緒に歩いて、友達でいてほしい。」
Don’t walk behind me; I may not lead. Don’t walk in front of me; I may not follow. Just walk beside me and be my friend.
Ne marche pas devant moi, je ne suivrai peut-être pas.Ne marche pas derrière moi, je ne te guiderai peut-être pas.Marche juste à côté de moi et sois mon ami.
アルベール・カミュ - Albert Camus