ドーモ、GoNinjaです。みなさまLOE環境の対戦を楽しんでおられますでしょうか。新カードがアンロックされるたびにデッキの流行が変化していき、年の瀬の気忙しさもあいまって目を回してしまいそうでしたね。
アドベンチャーモードの第三弾となる「The League of Explorers」は11月13日にリリースを開始、一週間毎に開放されていく探検の物語は12月10日にフィナーレを迎えました。今回のアドベンチャーでは45種類ものコレクションカードが追加され、TGT環境から大きく塗り替えられたMetagameにプレイヤー達は興奮をあらわにしています。
そして、今回のアドベンチャーモードはHearthstoneの日本語ローカライズが行われてからゲームに追加される初めての課金コンテンツとなります。この段においてあらためて、プレイサーバーの選択という分かれ道を意識した方もおられることでしょう。
「The League of Explorers」はリアルマネーだけではなくゲーム内ゴールドでも購入可能ですが、どちらであれゲームを楽しむためのお金と時間という投資に変わりはありません。「Americas(NA)」と「Asia」のどちらのサーバーで購入すれば間違いないのか、または両方買わねばならないのか。国内在住プレイヤー達は意外なほど速くこの難題に直面することとなりました。
サーバー選択の問題については人それぞれに事情が異なり、迷うことなく決められる理由を持つ人もいれば、そもそも選択肢を持たない人も存在します。複数のサーバーを併行して進めている方もかなりの数で存在し、その理由として来年の世界大会出場など明確な目標を持つ競技的なプレイヤーもいれば、なんとなくまだプレイサーバーをどちらかには決められないという人も残っています。
この記事はプレイサーバーの選択について悩みをかかえ踏み出せないプレイヤー達が考慮すべき点を整理し、その選択を自ら納得して行う助けとなることを目的としています。なお文中では出来る限り情報元を明記していきますが、正確な情報を知ることが出来ない物事については当サイト管理人の印象に基づいて断定的に書かかれていることをあらかじめご了承下さい。(たとえば既存プレイヤーの中でAsiaサーバーでも十分なカード資産を持つのがどの程度の割合なのか判らない)
Index
▼ プレイサーバーについての前提知識
▼ 新規プレイヤーの方へ
▼ 日本のホームリージョン変更までの経緯
▼ サーバー選択とそれぞれの事情。安心はどこにある?
▼ 世界大会出場資格とHWCポイント制度の影響
▼ 国内イベントの動向
▼ 記事の結び
▲Index
プレイサーバーについての前提知識
国内に在住するHearthstoneプレイヤーのプレイサーバー事情についてご存知ない方のために、前提知識として必要な情報をかんたんにおさらいしておきます。この問題について熟知している方は読み飛ばして頂いて支障ありません。
【重点事項】
まず混乱を避けるための前置きですが、一般にわたし達が「サーバー」と呼んでいる区分はHearthstone公式においては「region(地域)」と表されます。便宜上同一のものと捉えても構わないのですが、Blizzard社公式世界大会の「World Championship」において用いられる表記の「region(地域)」とは意味合いが異なり、誤解を生じやすいこの点については別の項で補足します。
プレイサーバーの区分
◆ 4つのサーバー(地域)2015年12月現在、地理的領域に基いて以下4つのサーバー(地域)に区分されています。
・Americas
・Europe
・Asia
・China
このうちChina(中国)サーバーは他国からの接続が制限されているため、日本在住のプレイヤーが選択できるサーバーはAmericas/Europe/Asiaの3つとなります。日本のプレイヤーはこの3つのサーバーから自由に選択しゲームをプレイすることが可能であり、選択するサーバーは何時でも変更できます。またその変更する手間もまったくありません。
【重点事項】 上記3つのうち、日本からの初期接続サーバーは現在Asiaサーバーとなっています。
(サーバー変更手順が判らない新規プレイヤーの方は次項を参照してください)
◆ サーバー名の表記
後ほど順を追って解説しますが、クローズドβ開始後からの経緯によってサーバー名の表記は複数存在します。このサーバー(region)呼称についてはBlizzard社のスタッフ間ですら統一されていないので、人によって表記が異なるものなのだと考えてください。(より正確に言うとユーザー側は自分が接続するサーバーという概念で捉えていますが、Balizzard社側は世界中に点在するプレイヤーの地理的領域に基づく区分としており、接続するWebサーバーに対して固有名称を用いることはありません)
「アメリカサーバー(Americas)」
一般的に人々がプレイサーバーについて言及するときの「アメリカ(America)」とは、南北アメリカ , NA(North America) , America(s) , Americas&Southeast Asiaと表記が異なってもすべて同一のサーバーです。
「アジアサーバー(Asia)」
「Asia」サーバーは旧来Korea&Taiwanと呼ばれてきたサーバーと同一ですが、「Americas&Southeast Asia(東南アジア・SEA)」の”アジア”とは別物です。
デバイスを問わないゲーム進行の継続
Blizzard社のゲームはすべからくBattle.netというオンラインサービスを介しユーザーのアカウントとゲームの情報がマッチングし記録されており、ゲームをプレイするデバイスを変更してもゲームの進行状況は継続されます。お家でPCからゲームをプレイし、外出したらiPadやiPhoneからその続きをプレイ、帰宅後にまたPCで、といった具合にゲームが対応しているデバイスであればいつでもどこからでもゲームプレイを続行できます。デバイス間でデータを共有しているというよりも、Battle.netの自分のアカウントに接続すればどんなデバイスからでもゲームの続きをプレイできるというイメージです。当然のことながらデバイス間のデータ同期という概念すらありません。
◆ Hearthstoneは現在下記のプラットフォームに対応しています。
Windows, Macintosh, iPad, Androidタブレット, Windows 8タブレット,
iOSモバイルフォン, Androidモバイルフォン
参照リンク: Hearthstoneシステム要件 [Battle.net]
グローバルプレイとサーバー毎に独立したゲーム進行状況
ゲームをプレイするサーバーは任意に選択し何時でも変更可能ですが制限が存在します。Blizzard社のゲームは購入情報やゲームの進行状況等がサーバー毎に独立して管理されており、たとえばどれかひとつのサーバーで取得したカードを他のサーバーへと持ち越すということは出来ません。◆ ゲーム進行状況に含まれる主な要素
・プレイモードのランク
・フレンド
・カードコレクションと構築デッキ
・カード裏面(Card backs)とヒーロースキン
・アドベンチャーモード(Solo Adventures)の開放
・Quest log(ヒーローのレベル、勝利達成数、プレイモードのランク)
・ゴールド、魔素(Arcane dust)
解像度や表示言語などのコンフィグ設定以外の全てがサーバー毎に独立して進行し記録されています。そして最も重要な点ですが、異なるサーバーでプレイする人同士では対戦を行うことが出来ません。
参照リンク: グローバルプレイ [Battle.net]
※ 新規プレイヤーの方へ
上記のようにゲーム進行状況がサーバー毎に記録されているため、プレイサーバーを変更するとカードコレクションは持ち越せないことに留意してください。またサーバーの変更はいつでも可能であり、サーバーを変えたとしてもカードコレクションが消失するなどということはありません。自分がカードを取得したサーバーへ繋ぎ直せば前回プレイした時点から再開できます。もしサーバーを変更してもコレクションが戻らないという場合は、まず自分のBattle.netアカウントを確認してください。異なるアカウントでは当然カードコレクションを共有することは出来ません。
プレイサーバーの変更方法
・PC/Macデスクトップ端末からのサーバー変更はBlizzard社のゲームを一元管理するアプリケーション「Battle.net App」から行います。
参照リンク: 今すぐBattle.netのデスクトップアプリをゲット! [Battle.net]
参照リンク: Battle.netデスクトップアプリケーション [Battle.net]
・タブレット/スマートフォン
独立アプリケーションではプレイサーバーをログインの時点で設定するため、サーバー変更のためには一旦ログアウトするという一手間があります。なお、サーバーメンテナンス時はログインサーバーへ接続出来ずアプリからログアウトすることも出来ないという状態になるため、メンテナンス中に他のサーバーでプレイしたい場合はあらかじめログアウトしておく必要があります。
スマホのAuthenticatorやSMS Protectについては下記リンクの記事を参照して下さい。
参照リンク: Battle.net Mobile Authenticatorの登録 [dojo]
ホームリージョン(デフォルトサーバー)
Hearthstoneのゲームクライアント(またはモバイル版アプリ)をダウンロードしてゲームを開始すると、プレイヤー達が居住する地域(Battle.netアカウントの居住国登録 - Country of Residence)に基づいていずれかのサーバーに接続されます。この初期接続のサーバーはhome region、またはdefault serverと呼称されており、Blizzard社が設定する地域のプレイヤー達に推奨しているサーバーです。※ 2015年12月現在のホームリージョンに設定されるプレイ地域
参照リンク: Region [gamepedia wiki]
・Americas
アメリカ合衆国
カナダ
オーストラリア
ニュージーランド
マレーシア
フィリピン
シンガポール
インドネシア
南アメリカ
・Europe
ヨーロッパ
南アフリカ
・Asia
韓国
台湾
日本
・China
中国
▲Index
新規プレイヤーの方へ
日本語ローカライズをきっかけにHearthstoneを始めた人、または興味を持ったという方の中にも、国内プレイヤー達が揺れていた「サーバー問題」の存在を知り困惑させられた方がおられることでしょう。これまでの経緯や既存の国内プレイヤー達の動向について、始めたばかりの新規プレイヤーの方は古い話を事細かく書かれてもうんざりするでしょうし、簡単な解説に留めておきます。
注意事項として、下図で紹介していく状況は日本国内のプレイヤー全員があてはまるわけではありません。元々アジアサーバーでプレイしていた人、海外から日本へ移住しEUでプレイしている人など様々に事情は異なるので、国内プレイヤーの動向をものっすごいおおざっぱに掴むためだけのものです。
・2013年8月にクローズドβの始まったHearthstoneは日本語に対応していませんでした。そしてBlizzard社からは日本のプレイヤーについて触れられることはほとんどなく、国内のプレイヤーはアメリカ(NA)サーバーに集まりプレイしてきました。
・2015年10月、Hearthstoneの日本語ローカライズ発表。日本を市場として見ていないと定説のようにゲーマーの間で囁かれていたBlizzard社による完全日本語化だけあって大きなニュースにもなりましたね。
※ 鰤(ブリ) = Blizzard Entertainment社
・しかしローカライズ発表とともに日本国内のプレイヤーはアジアサーバーでプレイすることを推奨する方針が示されました。既存プレイヤーはアメリカにカード資産等を持っているためプレイサーバーを簡単に変更できるものではなく、コミュニティの分断が危惧され国内プレイヤーは猛反発します。
・ローカライズ実施から数日後、アジアサーバーへの移動を促すための支援策が実施されます。これによって大勢の既存プレイヤーがアジアサーバーへと移動しやすくなりました。プレイヤーの反応は様々でそのままアメリカでプレイを続ける人、アジアサーバーへ変更する人、両方併行してプレイする人、どちらか決めかねて現在もまだ迷っている人と分かれています。
かねてより国内コミュニティの間ではアメリカサーバーでプレイすることを推奨されてきたため、日本のプレイヤーはアメリカサーバー(NA)に集まっているという情報に触れて新規の皆さんはギョッとさせられたかもしれません。今年2015年の10月を境に上記のような急激な変化が起きているのですが、その過渡期にあたって新規プレイヤーまで不安を覚えるような状況のもとに皆さんを迎えることとなってしまいました。
そして、新規プレイヤーはどのサーバーでプレイするのが適切かというのをはっきり断言できないことも古いプレイヤーの一人として申し訳なく思います。ほんの二ヶ月前まではアメリカで間違いないよと言えたのですが、日本語ローカライズを機にアメリカとアジアに国内のプレイヤー達は分散していったため、今現在はどちらでも国内のプレイヤー同士で対戦するのにさほど不便を感じることは無いはずです。
ただし、Blizzard社は日本国内のプレイヤーに対してアジアサーバーを推奨していること、そして今後Hearthstoneを始める新規プレイヤー達はアジアサーバーで始める割合が多いことを加味すると、アメリカ(及びEU)をプレイサーバーに選ぶ特別な理由が思い当たらないのであれば、新規で始める方はアジアサーバーでプレイされることを推奨します。
このように書くとアメリカサーバーでゲームを進めている新規プレイヤーの方は不安に思うかもしれませんが、上記2点を承知のうえであればアメリカサーバーでそのまま続けてもゲームプレイに支障はありません。日本で遊んでいる他のプレイヤーとの交流を重視しないのであれば問題は生じないからです。またどこを選択するのであれ、プレイサーバーの変更はいつでも手間なく可能なのであまり深刻に考えないでください。
サーバー選択において取り返しの付かないのは課金要素です。前提知識の項で解説したようにBlizzard社のゲームではサーバー毎に購入情報が管理されているので、リアルマネーで購入したカードパックやアドベンチャーの解放は異なるサーバーへと移動させることは出来ません。リアルマネー決済の時だけは慎重に考えるべきですが、サーバーを変更しても購入した課金要素が消えてなくなることはありません。もし時間に余裕があるならば、両方のサーバーで並行しデイリークエストを消化していくプレイスタイルで自分が選択できる時を待つのも良いかもしれません。
最後にひとつ付け加えると、Blizzard社の開催する公式世界大会「World Championship」に興味を持ち目標に据えるつもりの方は▼ 世界大会出場資格とHWCポイント制度の影響の項をサーバー選択の参考にしてください。ちょっと踏み込んだアドバイスですが、日本在住で世界大会を本気で目指すのであればアメリカとアジアの両方ともプレイできる環境を整えることも検討するとよいでしょう。
▲Index
日本のホームリージョン変更までの経緯
日本国内に在住するHearthstoneプレイヤー達にとって懸案の「サーバー問題」とは、前提知識の項で説明したホームリージョン(デフォルトサーバー)が変更されたことに端を発しています。簡単に示すと下記のようになります。
Blizzard社のゲームは通例ですと日本からの接続が北アメリカのサーバーとなるため、Hearthstoneも公開時点からしばらくは北アメリカ、もしくは東南アジア(SEA)からの接続と同様に見做されていたのでしょう。2015年10月時点まで日本のホームリージョンについて全く言及が無いためどちらかは不明です。ともあれ現在は台湾・韓国の2ヶ国と併せてAsiaサーバーという地域にホームリージョンが設定されています。
このホームリージョン変更がなぜ問題となるのか。そのいきさつを知らなければ日本国内のプレイヤー達が困惑した理由も正しく把握することはできません。クローズドβテスト開始から現在まで、日本からの接続においてホームリージョンが「アメリカ(Americas)」から「アジア(Asia)」となるまでの経緯を振り返ってみましょう。
Hearthstoneの黎明期
2013年8月15日のHearthstoneクローズドβは以下の国々をテスト参加の対象国としてスタートしました。(※注: 情報引用元の初出はHearthstone公式ブログのフォーラムに投稿されたコミュニティマネージャーによるコメントですが、公式ブログのポストそのものが既に消失しているためHearthpwnのBlue Tracker記録から引用しています)
North America
Australia/New Zealand
Latin America
Southeast Asia
Europe
Korea
Taiwan
China
参照リンク: Hearthstone Closed Beta - Eligible Regions [Hearthpwn]
上記対象地域にはEuropeも含まれていますが、当時は欧州地域の人々がβ参加権を持っていてもクライアントそのものをダウンロード出来なかったように記憶しています。なお当サイト管理人は8月末日頃にβテストに当選し、日本からでも問題なく接続することができました。実際に欧州地域の人々がβテストへ参加できるようになったのはHearthstone EU公式ブログで発表が行われた9月4日からと見られます。
参照リンク: Closed Beta Test Begins! [Battle.net]
4つのサーバー(地域)
この当時はBattle.net AppもiOS(タブレット・スマホ)版もリリースされておらず、プレイヤーが任意でサーバーを変更することは出来ないと一般に考えられていました。しかし一部のプレイヤー達は居住地域によってプレイサーバーが設定されることを公式から周知される前より把握しており、Battle.netの居住国設定(Country of Residence)を実際には居住していない地域に設定したアカウントを作るという裏ワザ的な方法で別のサーバーへとログインしていました。サーバー変更が可能であることについてはコミュニティマネージャーZeriyahが11月25日にTwitter上で発言しています。参照リンク: "You can switch servers, but your collections will not transfer over." [reddit]
その発言からほどなくして、@CM_Zeriyahよりプレイサーバー(region)について公式ブログ上で説明が行われました。
現在Hearthstoneをプレイする4つの地域が存在します。
:北アメリカ(North America)、ヨーロッパ(Europe)、台湾・韓国(Taiwan/Korea)、中国(China)
クローズドβ中にあなたがプレイする地域(region)はBattle.netアカウントのホームリージョンに依存しています。Battle.netアカウントにログインし、画面左のAccount - Summaryの設定から「居住国(Country of Residence)」でこれを確認できます。 私の(訳注:CM_Zeriyah)の居住国はアメリカ合衆国なので、Hearthstoneのクローズドβプレイ地域はNorth Americaとなります。どの国でも前述の4地域いずれかに割り当てられHearthstoneをプレイすることができます。
参照リンク: Region Concern (NA/SEA) [Hearthpwn]
ここで登場する北アメリカ(North America)がのちにAmericasサーバーと呼称されるようになります。古いプレイヤー達がAmericasサーバーを指して”NA”と呼ぶのはクローズドβ当時からの名残ということですね。またこれとは無関係に、Blizzard社のゲームにおいてアメリカ地域のサーバーはNAと呼ぶユーザー達の慣習も手伝っています。そして日本に居住するプレイヤーがHearthstoneのクライアントをダウンロードしゲームを開始すると、自動的に接続されていたホームリージョンがこの北アメリカ(North America)でした。
13年8月のクローズドβ期から14年1月のオープンβ、同年3月の正式サービス開始を経て1年以上にわたり日本のホームリージョンは変わることなく、国内のプレイヤー達がHearthstoneを遊ぶのは自然と北アメリカ(North America)サーバーとなっていたのは周知の通りです。
14年1月にはBattle.net Appが正式にローンチされ、プレイヤー達はお手軽にサーバーを変更できるようになりました。それでも日本のメインストリームはAmericasサーバーで変わることなく、気分転換に遊ぶサブのサーバーとしてはKolentoやLifecoachなど著名プレイヤーの存在に惹かれてか、EUサーバーを選択する人が多かったようです。
一方で台湾・韓国(Taiwan/Korea)のサーバーがAsiaと呼ばれるようになった時期については判然としません。日本国内のプレイヤーの間でAsiaサーバーの存在が意識されるようになったのは、2015年4月のスマートフォン版(iOS/Android)がリリースされたタイミングとなります。
スマホ版リリースと初期接続サーバーの変更
Hearthstoneのスマートフォンバージョン開発は2013年11月のBlizzConオープニングセレモニーの舞台で当時のチーフクリエイティブオフィサーRob Pardo氏より発表されました。待望のスマホ版がリリースを迎えたのはそこから実に1年と半年も待たされることになりましたが、期待を裏切らないクオリティにユーザーの好評を獲得していました。
しかしその時、日本のプレイヤー達からは悲鳴にも似た戸惑いの声があがります。スマートフォンからゲームを起動するとスクリーンは真っ暗、ガイドの指示通りタッチするとチュートリアルが始まる。または、カードコレクションからカードが大量に消えている・・・・・。
先述の通り日本国内のプレイヤー達はAmericasサーバーでゲームを進行していました。しかし、スマートフォン版をダウンロードして自動的に接続されたサーバーがAsiaサーバーとなっていたため起きた騒動です。
アプリから一旦ログアウトしAmericasサーバーで接続し直せば解決したので、既存のプレイヤーにとってさしたる問題ではありませんでしたが、国内プレイヤーの間ではひとつの懸念が持ち上がります。
「スマートフォン版のリリースをきっかけにHearthstoneを始める人は、NAではなくAsiaサーバーでゲームを進め孤立してしまうのではないだろうか?」
当時のわたし達国内プレイヤーにとって日本の初期接続サーバーが変更されるとは想像もつかず、またBlizzard公式からのアナウンスもありませんでした。そもそも英語公式サイトに「Japan」の文言が記載されるのは公式世界大会の適格国であること、そしてBlizzCon2014で3-4thの成績を残した奈良県在住のDtwo選手(当時は海外チームのTeam IHearthUに所属)に関する話題のみというのが当時の状況です。
Blizzard社は頭の片隅にでも日本在住のプレイヤーという存在を置いているかすら知るべくもない当時、国内のプレイヤー達は新規でHearthstoneを始める人々に対し注意喚起を行いAmericasサーバーへと誘導していきました。
Hearthstone日本語ローカライズ
大きな転機となったのはHearthstoneの日本語ローカライズ発表です。あれからまだ2ヶ月も経過していないのにずいぶんと時間が経ったように感じますね。10月3日に東京秋葉原のe-sports SQUAREで開催されたイベントの席上で、なんとHearthstoneのエグゼブティブ・プロデューサーを務めるHamilton Chu氏が登壇しHearthstoneの日本語完全ローカライズ発表を行いました。「Hearthstone」の日本語版が発表。10月中にサービス開始予定で,インタフェースはもちろんキャラクターボイスも日本語に [4gamer]
豪華声優陣によるクオリティ高い吹き替えや、《ぐったりガブ呑み亭の常連》に代表されるユーモア満載の日本語訳に国内のプレイヤー達は様々に反応を見せつつも、わたし達がこれまでプレイしてきたHearthstoneが日本でより一層メジャーになっていく将来に興奮を覚えていました。そのわたし達が青ざめたのは同日英語公式サイトで公開された記事の一文です。
大勢の日本人プレイヤーがすでに他言語でHearthstoneをプレイしており、間もなく彼らはローカライズされた日本語版でアジアリージョンの韓国と台湾プレイヤー達に加わります
参照リンク: Hearthstone® Welcomes Japanese Players to the Inn! [Battle.net]
国内プレイヤーの困惑
この英語公式サイトの記事は大きな反響を呼び、国内のプレイヤー達は困惑しさまざまな憶測によって不安は尽きることがありませんでした。当たり前であるかのようにあっさりと書かれたその文章はちょっとばかりわたし達の理解の範囲を飛び越えていたのです。参照リンク
「Hearthstone」開発者インタビュー。日本語でのローカライズやHearthstoneの開発において,Blizzardが大事にしてきたこととは [4gamer]
Hearthstone日本語化したら買ったカードはどうなる?日本コミュニティーへのサポートは? プロデューサーに聞く [ascii]
Blizzardに『ハースストーン』日本上陸の真意を訊く―「ぐったりガブ飲み亭の常連」は意図された翻訳なのか [Gamespark]
プロデューサーが語る『Hearthstone』の魅力、Blizzardが重視するプレイヤーの“体験”、そして日本に対する想いとは [Automaton]
「Hearthstone」日本語化! Blizzardプロデューサーインタビュー [impress]
日本語ローカライズ発表のために来日していたHamilton chu氏は連日ゲームメディアの取材に応じ、国内プレイヤーの不安はひとつひとつ解消されていくように見えました。しかし肝心かなめの問題については回答を得られませんでした。ほとんどの国内プレイヤーはAmericasサーバーでゲームを進めており、カードコレクションをはじめとする様々な資産は別のサーバーでは使用できません。Blizzardは日本のユーザーにAsiaサーバーでのプレイを推奨する方針を明確にしましたが、これに準ずるなら既存プレイヤー達はAsiaで一からやり直さなければならない。もちろんホームリージョンがAsiaになったとはいえAmericasサーバーからの移動を強制されるものではありません。グローバルプレイという環境のもとにユーザーは好きなサーバーでゲームを楽しんでくださいというのがBlizzardのスタンスです。
しかしそれではAmericasサーバーの既存プレイヤーと、日本語化を機にAsiaサーバーで始めるプレイヤーとで異なるサーバーに日本のコミュニティが分散し様々に不都合が生じることは自明の理であり、それゆえに国内の既存プレイヤー達の多くは猛反発しました。反感を覚える既存プレイヤー達を焚きつけていたのが当サイト管理人なので他人事みたいに言ってはなんですが、いまこの時にBlizzardに声を届けなければ後の祭になるという危機感を覚えていたのは本心からのことです。ともあれ、日本語ローカライズに対するヒアリングを目的とした公式フォーラムのポストはサーバー問題への意見に集中していました。
参照リンク: Hearthstone in Japan Feedback Thread [Battle.net]
参照リンク: コミュニティマネージャーDaxxarriのコメント [Battle.net]
日本のプレイヤーの皆様には、日頃より Hearthstone をご愛顧いただき、心より感謝申し上げます。熱心に Hearthstone を支えてくださり、プレイヤーのコミュニティを作り上げてくださった皆様への感謝をこめて、ブリザードは Hearthstone の日本語版を開発いたしました。
また、多くの日本のプレイヤーの方々がこれまで Hearthstone をプレイする地域(サーバー)としてアメリカを選択なさっており、アメリカでコレクションを揃えてくださっている点についても認識しております。
アメリカにご登録のアカウントおよびコレクションは、日本語サービスのリリース後も従来どおりご利用いただけますので、どうぞご安心ください。これまでご利用いただいていた地域でのゲームのデータや、Battle.net の友達リストは引き続き利用可能です。また、アジアへの移動を強制されることもございませんので、引き続きお好きなサーバーでのプレイをお楽しみください。アメリカでのランク戦をプレイして Hearthstone 世界選手権へのポイントを獲得できる点も従来と同様です。
また、Hearthstone でご利用いただける言語は地域による制限を受けませんので、アメリカでも日本語でのプレイが可能です。
これからゲームを始める日本のプレイヤー様向けにデフォルトで選択される地域につきましては、慎重に検討を重ねた結果、さまざまな問題を招くリスクがあることを重々承知の上で、アジアに決定させていただきましたことをご了承ください。これは、各地域におけるイベント(毎月のランク戦シーズンの切り替えや、酒場の喧嘩の開始時間、パッチの適用、ローカルトーナメントへの参加など)は、それが実利的である場合には、できる限り該当の地域の時間帯において理想的なタイミングで実行する、という弊社の方針に従い決定されたものです。Hearthstone のアジア地域に、韓国・台湾と並べて日本を追加することは、この点で多くのメリットがございます。
今後とも、各地域における日本のプレイヤーの皆様のコミュニティが、ますます発展してくださることを心から願っております。改めまして、多くのご意見をお寄せいただいたことに感謝いたします。引き続き皆様からの投稿をお待ちしております。よろしくお願いいたします。
Asiaサーバーでプレイするための支援プログラム
先に紹介したHamilton Chu氏へのインタビューの中で、4gamerはこの問題へ鋭く切り込んだ質問をぶつけています。(ライターは国内のHearthstoneシーンでもよく知られている@re_ne_kuroi 氏)国内のユーザーが異なるサーバーへ分散することで、主に大会において問題が発生することはBlizzardも当然認識しており、その解決策がどのような形で訪れるのか注目されていました。しかし対策が示されないまま10月20日、ローカライズされた日本語言語パックの実装を迎えます。
参照リンク: 「Hearthstone」開発者インタビュー。日本語でのローカライズやHearthstoneの開発において,Blizzardが大事にしてきたこととは [4gamer]
4Gamer:
また話は変わるのですが,今回の日本語版のリリースにあたって,日本人のプレイヤーの中で,今後の大会がAsiaサーバーで行われるのではないか,という憶測が飛び交っています。日本のプレイヤーは今後どのサーバーでプレイすべきなのか,といったことについてBlizzardの見解を教えてください。
Chu氏:
これは社内でもよく議論される内容です。現状,多くの日本人のプレイヤーはNorth Americaのサーバーで遊んでいますので,そちらのサーバーのほうが親しみやすいのかもしれません。
一方,Asiaサーバーであれば時差の問題が少ないため,より適切なマッチメイキングを行いやすいといったメリットもあります。BlizzardとしてはAsiaサーバを推奨してはいますが,サーバーの選択については,プレイヤーにとってよりプレイしやすいサーバーを選んでいただければと思います。
4Gamer:
では,大会参加時のデッキ資産の問題についても教えてください。例えば,今後Asiaサーバーで大会が行われることになると,North Americaのサーバーで遊んでいるプレイヤーはデッキを持っていない状態になる(※)と思うのですが,そういったプレイヤーに対してBlizzardが大会用にアカウントを貸与してくれる,といった可能性はあるのでしょうか?
※Hearthstoneのプレイヤーデータはサーバーごとに保存されるため,North AmericaサーバーのプレイヤーがAsiaサーバーで遊ぶとなると,最初からやり直すことになる
Chu氏:
これについては,今までのように別のサーバーの大会に参加しづらいといった問題はあるかと思います。ただし,今回の日本語版へのローカライズにあたって,このことがあまり問題にならないように現在解決策を検討中です。
参照リンク: Hearthstone® is Now Live in Japan! [Battle.net]
国内プレイヤーの混乱がさらに深まったのはその二日後。10月22日早朝に、Asiaサーバーでも大会へ出場できるようにとあらかじめ準備を進めていたプレイヤー達の幾人かが購入した覚えがない大量のカードパックを所持していることに気付きました。
Blizzardはどのサーバーでプレイしても構いませんよというスタンスから一転、国内ユーザーがプレイサーバーをAsiaへ変更することを促進するためにカードパックやアドベンチャー、闘技場の入場権をAmericasサーバーで取得していたのと同じ数だけ配布するという支援プログラムが開始されたのです。ほとんど前例の無い驚くべき対応ですが(オセアニアでも同様の措置がとられたとredditで見かけましたがソースが見つからず)、事前にアナウンスが無くユーザー毎に配布の時間差が発生したことが混乱に拍車をかけました。
その後日に国内ユーザーへメールで届けられたBlizzardからの案内では「これを機にアジアサーバーで新しいアカウントを作成していただければと思います」と書かれていました。Asiaサーバーのカードパックが配布されるのはAmericasでゲームを進めていたアカウントなので、文面通りに新しいBattle.netアカウントを作成しても全く無意味です。スタッフの日本語訳の問題かと思いましたが、英語原文にも同様の記述がなされています。
混乱を呼びながらも既存プレイヤーの多くがAsiaサーバーでも同様にカード資産を手に入れ、Americasサーバーとほとんど変わらないプレイ環境を整えることが出来るようになりました。その後Blizzardからのアクションは無いため、これをもってBlizzardの検討していた対応策が実施されたと見てよいでしょう。
Greetings,
Hearthstone is coming to Japan, and we're excited to see more players join in the fun. We're looking forward to providing an even better experience and improved connectivity to the already bustling community of Japanese Hearthstone players.
As new players from Japan discover Hearthstone, now is a great time to start a brand-new account on the Asia server. As a thank-you for being one of the earliest Japanese players, we're happy to help you jump-start this new account with the following:
All Heroes and Adventure wings you've purchased
Arena passes for any Arena tickets you've purchased
Card packs based on what you've purchased or earned in the past
Please note, rewards may take up to 24 hours to appear on your account.
You can change regions freely using the following steps:
If you're playing on mobile, select the region button in the upper-right corner of the login screen.
If you're playing on the Battle.net Desktop App, select Asia from the Region/Account dropdown above the Play button.
If you'd like, you can change your language to Japanese and continue playing on the Americas server with your current collection. However, all new Japanese Hearthstone accounts will play on the Asia server by default. So if you want to play with nearby friends or participate in local Fireside Gatherings and tournaments, your Asia account will give you the easiest access to do so.
Your collection on each region will remain separate and intact, but we hope this jump-start will make for an easy and fun transition if you choose to play Hearthstone on your new account.
Regards,
Blizzard Entertainment
https://battle.net/support
支援プログラムについての付記
既存プレイヤーがAsiaサーバーへと移動しやすくするための支援の内容は下記3点です。全ヒーローおよびご購入済みのアドベンチャー区画
ご購入済み闘技場チケット全てに対し闘技場パス
過去のご購入、また獲得履歴に基づいたカードパック
プレイモードランクやHeroのレベルなどゲームの進行状況は当然引き継がれていません。また購入内容にはHeroスキンやBlizzCon Virtual Ticket購入のプロモーションカードであるゴールデンバージョンの《Elite Tauren Chieftain / エリート・トーレン・チーフテン》、カードバックの「Blizzard 2014」「Blizzard 2015」、そしてアドベンチャーモードやエクスパンション事前購入のオマケカードバック等も含まれています。プレイモードシーズン報酬のカードバックは補填されていません。
アテになるかは判りませんが、過去のシーズン報酬カードバックを取得する方法が将来的に用意されることについて過去にBen Brode氏が言及しています。
参照リンク: Ben Brode on Twitter [Twitter]
支援対象となるのはカードパック配布が始まった10月22日より以前にAmericasサーバーで取得していた内容に限られ、またBattle.netアカウントの居住国登録(Country of Residence)が「Japan」に設定されていたユーザーのみです。他国に設定していたユーザーは基本的に支援の対象外のようですが、設定を変更したらカードパックが配布されたというフォーラムの書き込みも見られます。また配布の時期もユーザーによってまちまちのようです。なお、Arenaを中心にカードを集めていたプレイヤーは大量の闘技場パスを入手しましたが、これを消化するには相当な時間が必要であり構築戦に興味が移ってしまったプレイヤー達の間では、Arenaリタイアマラソン(ピックだけして即リタイアの最低報酬を受け取る)という日本だけにしか見られない現象が起こりました。
参照リンク: 南北アメリカサーバー(NA)からAsiaサーバー移行でのパックについて。 [Battle.net]
参照リンク: パックの補填の反映タイミング [Battle.net]
参照リンク: サーバー移転 闘技場パスについて [Battle.net]
▲Index
サーバー選択とそれぞれの事情。安心はどこにある?
日本向けに行われたこの支援は既存プレイヤーを驚嘆させる太っ腹な対処でした。サーバー問題を本当に解決するにはサーバーをまたいでプレイヤー同士が対戦できる環境を構築するしかありませんが、それがBattle.netシステムの仕様上不可能である中で採りうる最大限の処置だったのだろうと日本のユーザーは受けとめましたことと思います。この類を見ない力技で問題が解決していれば良かったのですが、残念ながら懸念されていた国内プレイヤーが異なるサーバーへと分散する状態へと落ち着くことになりました。
今現在Blizzardの支援プログラムによってAmerricasサーバーの既存プレイヤー達はAsiaでも同様のカード資産を手に入れ、どちらのサーバーであれ対戦を行うのに支障が無いとしても問題は解決していません。これからさき新しいアドベンチャーやエクスパンションが発売されどんどんカードプールが増えていけば再び問題は表面化します。
国内のプレイヤーがAmericasとAsiaに分散する状態は日本Hearthstoneコミュニティの宿命的なものとなり、あとはわたし達日本のプレイヤーが選択していくだけです。ただし選択肢を持たない人々が存在することは頭の片隅にでも留めてください。
まず、Asiaサーバーでの支援プログラムの対象となったのはBattle.netアカウントの居住国登録(Country of Residence)が「Japan」に設定されていたユーザーに限定されており、「Japan」で設定していなかったプレイヤー達のAsiaサーバーにはカードパックが届いていないようです。日本在住でアカウントを正しく設定していなかった人、または海外から日本に移り住んで居住国設定を変更していなかった人は支援プログラムの対象外としてAsiaへ移行するためのゲーム内資産を持ちません。
参照リンク: 南北アメリカサーバー(NA)からAsiaサーバー移行でのパックについて。 [Battle.net]
参照リンク: asiaサーバー移行について [Battle.net]
参照リンク: 日本の友達と遊べなくなる [Battle.net]
参照リンク: Blizzard gives card pack transfer to some Japan users, completely refuses to give it to others [reddit]
また本プログラムはあくまでAmericasからAsiaへというキャンペーンであり、Asiaサーバーで獲得していたゲーム内資産はAmericasサーバーで同じように貰うことは出来ません。Americasサーバーでゲームを進めていたプレイヤーはAsiaでもほとんど同量のカードパックを手に入れどちらのサーバーを選ぶことが出来ますが、以前からAsiaサーバーをメインにプレイしていた人々はAmericasにカードを持たないため状況は変わらず、EUはそもそも蚊帳の外です。
さて、AmericasとAsiaのどちらでも同様のゲーム資産を持ち好きなようにサーバーを選択できる恵まれた人々はどうなったか。プレイサーバーをAsiaへ変更した人と、そのままAmericasでゲームを続ける人、そして両方を平行していくプレイヤーとで分かれていきました。
Asiaを選んだ人は新しい環境に魅力を覚えたか、または今後日本のシーンはAsiaサーバーがメインストリームになることを見越しての選択かもしれません。Americasへ残った人はAmericasサーバーでプレイしたい確固たる理由があるか、またはAsiaへ変更する積極的な理由が見つからずそのままゲームを続けているのかもしれません。理由はそれぞれでしょう。そして、どちらのサーバーを選んだら良いのか決めかねて迷っている人もまだ存在します。冒頭にも記したように、この記事はそのような方のために書いているものです。
この記事を読んでいるあなたがその立場であるならば、まず第一にいずれかのサーバーを選択する理由がとりあえず思い当たらないのだろうと思います。言い換えればどちらのサーバーを選んだとしても特別に支障は無いが、AmericasとAsiaをメリット・デメリットで比較すると決め手に欠ける。突き詰めていくと、どっちのサーバーを選べば「安心」なのか判らない、ということではありませんか?
二ヶ月前まではAmericasサーバーで間違いなかったのですが、既に大きく状況は変化しました。あなた自身がどのようにHearthstoneというゲームとこの先付き合っていくかで選択をする時なのです。もちろん、二つの(またはEU含めて3つ)サーバーを併行して進める余裕があるならばそれでよいでしょうし、またはどうしても決められなければ二つのサーバーを併行して進めつつ様子を見ていくのも一つの選択です。
判断材料として国内のHearthstoneシーンを牽引するトッププレイヤー達の存在も影響を与えているだろうと思います。その彼らはAmericasとAsiaを併行してプレイしており、どちらのサーバーであれ大会へ出場出来る準備を整えている人が大半です。なぜ彼らがそんな手間をかけているかは、あなたにとっても気がかりかもしれないBlizzard社の公式世界大会「World Championship」と密接に関わっています。
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世界大会出場資格とHWCポイント制度の影響
2016年の公式世界大会「Hearthstone World Championship」では各リージョンの代表を選出するトーナメントがシーズン(プレイモードラダーではなく四季の季節)毎に開かれることになり若干複雑になったようにも見えます。基本的な構造は昨年と同様ですが、各リージョンで開催される地域選手権(Championships)のHWCポイントの集計はシーズン(四季の季節)毎に区切られており、最終選抜大会(Last Call Invitational)は通年のポイント集計が適用されます。
[参照リンク] 2016年ハースストーン®選手権ツアーに参加しよう! [Battle.net]
[参照リンク] Join Us for the 2016 Hearthstone® Championship Tour! [Battle.net]
World Championshipの出場枠
Americas ・Europe・China・Asia Pacific(アジア太平洋)の各リージョンから4名ずつ、計16名が進出ここで使われるリージョン(Region)はプレイサーバーとは別物です。たとえば普段Americasサーバーでプレイしている日本在住のプレイヤーでもWorld Championshipへ出場するのはAsia Pacificからとなります。プレイサーバーとは関係なく居住国設定(Country of Residence)に登録した国が含まれるリージョンから出場することになり、その国に居住していることを証明できなければなりません。
(ホームリージョンがAsiaの日本・台湾・韓国と、Americasがホームリージョンのオーストラリア・ニュージーランド・東南アジア諸国が一緒くたにAsia Pacific(アジア太平洋)の括りとなる)
※ 2014年のWorld Championshipでは日本はAmericas regionの適格国に含まれており、World Championship 3rd-4thの成績を残した奈良県在住のDtwo選手(@DTwoHS)もAmericas代表として出場していました。2015年から日本はAsia Pacific(アジア太平洋)に組み込まれており、日本代表のKno選手はApac代表としてBlizzCon本戦に出場しています。
[参照リンク] 2014 Hearthstone™ World Championship: Americas Qualifier Tournament – $250,000 Prize Pool [Battle.net]
そして、このWorld Championship出場枠を賭けて争うのが3つの季節に開催される地域毎の選手権と、World Championship直前に開催される「最終選抜大会(Last Call Invitational)」です。このリージョン毎に閉じられたChampionshipのシステムにおいては、たとえばWinterシーズンにアメリカで王者となったプレイヤーがEU地域へ住所を変更した場合どうなるのかという問題について疑問が残ります。もう一点、昨年のLast Call Tournamentから名前が変わっている理由は、昨年まではポイント集計期間中にHWCポイントを2ポイント取得している人が参加対象でした(つまり一回でもLegendへ到達してれば誰でも)。しかし来年は通年の取得ポイント合計上位8名が招待されるトーナメントとなるのです。
シーズン(季節)毎の地域選手権
冬・春・夏の3シーズンそれぞれに各地域の選手権(Championship)が開催されます。AmericasとEUはそれぞれの地域で集計期間中のHWCポイント上位128名と「炉辺の集い」イベントの代表プレイヤーが地域の選手権予選に参加しますが、日本が含まれるAsia Pacificは事情が異なります。(中国は秘境)まずアジア太平洋に含まれる5つの地区毎に予選が行われ、それぞれの地区を代表する計5名がアジア太平洋の選手権に進出決定。韓国と台湾では地元の大型イベント優勝者に対しそれぞれ追加のシード権が1つ授与され、アジア太平洋内で最もHWCポイントを稼いでいるプレイヤー1名に8番目のシード権が授与されます。つまり日本から選手権へと出場できる枠は1名のみ、そしてアジア太平洋内のHWCポイント最多プレイヤーが日本に居るならばもう1名追加で参加できる可能性があります。
◆ 5つの地区
韓国
台湾(香港、マカオを含む)
日本
オーストラリアおよびニュージーランド
東南アジア(インドネシア、インド、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムを含む)
HWCポイントの取得
まず注意事項として公式のFAQから重要なポイントを引用します。
―2つのBattleTagを使ってランク戦プレイに参加することはできますか?
Battle.netのエンドユーザー使用許諾契約は常に有効です。有効なBattleTagが2つある場合は、BattleTagごとにポイントを獲得できます。認可済みの大型大会やカップで獲得したポイントは、その大会で使われたBattleTagに付与されます。最終選抜大会やシーズン予選への参加資格を決める際には、参加者は有効なBattleTagを1つだけ使用でき、そのBattleTagで獲得したポイントのみが審査の対象になります。
―居住国のプレイヤーが通常プレイしない地域でのランク戦プレイに参加することはできますか?
もちろん、できます。どのランク戦プレイでもご自身のBattleTagにポイントを獲得することができます。シーズンごとに、参加した地域がどこであれ、最高のランキングに基づいてポイントを獲得します。ただし同一シーズンで2つ以上の地域からポイントを獲得することはできません。
―居住国はオーストラリアで、コレクションは南北アメリカにあるのですが、アジア太平洋地域の選手権に参加したいと思っています。まったく別のコレクションを使って韓国のプレイヤーとどうやって戦えばいいのですか?
会場で他のプレイヤーと対戦するときは、すべてのカードが揃った大会用のアカウントを使い、すべての参加者が同じ条件で対戦します。
[参照リンク] 2016年ハースストーン®選手権ツアーに参加しよう! [Battle.net]
もう1点。日本ハースストーン公式サイトの翻訳ではなぜか省略されていますが、プレイヤーのBattleタグに適用されるポイントは一週間(月曜から日曜日まで)の間に参加した中で最も獲得ポイントの高いイベントひとつのみです。
Players are only eligible to earn points once each week (Monday to Sunday) from their highest points-earning event.
[参照リンク] Join Us for the 2016 Hearthstone® Championship Tour! [Battle.net]
ポイントを取得するには大別して二通りの方法があります。
ひとつはランク戦プレイでLegendランク上位に到達しその月のラダーシーズンを終えること。
もうひとつがBlizzard公式認定の大会で上位の成績を残すことです。なおアジア太平洋のみ各国で予選が行われ選手権(Championship)へ進出するのは合計8名なので、この8名までしかポイントを得ることができません。
ハースストーン大型大会(Hearthstone Majors)についてはDreamHack規模のトーナメントが対象なので、日本在住のプレイヤーがポイント獲得を狙うには開催要件、地理的なハードル共に非常に高いでしょう。
どこでどうやってポイントを稼ぐか
ざっくりと見ていきましたが、地域予選とラストコールの仕様変更によりラダー成績やBlizzardの認定大会で付与されるHWCポイントの重要性はより高まっていることがお判りでしょう。世界大会への進出を目指すプレイヤーにとって焦点となるのは、いかにしてポイントを稼ぐかということに尽きます。トーナメントで入賞することがその一つですが、もちろんBlizzard社の公式認定を受けている大会でなくてはいけません。来年の世界大会出場を目指す人ならばご承知の通り、ユーザーコミュニティが開催する小規模な大会がAmericasとEUではすでに数多く存在し、情報が早い国内外のプレイヤー達はとっくの昔に動き出していますね。Asiaサーバーでも同様にHWCポイントの大会は行われており、韓国と台湾は自国内向けに開催していると見られ英語では情報を得ることすら難しい状況です。日本ハースストーン公式の対応に少し期待していたものの、残念ながら韓国や台湾で行われるイベントへの参加を日本国内向けに案内してくれそうにはありません。日本国内でも徐々にポイント大会が増えつつありますが、Americasと比較すると大会でHWCポイントを稼ぐ機会は限りなく少ないのが現状です。
ただし、AmericasやEUのポイント大会は時差の影響により日本から参加するのに難しい時間帯で行われることが大半です。仕事や学業の都合により参加できない人にとってAsiaサーバーと大差ない状況であることを考慮して下さい。
[参照リンク] Hearthstone World Championship Tournament Watch [Battle.net]
世界のハースストーンポイント付与大会一覧 [Battle.net]
ランク戦プレイに視点を移しましょう。ラダーシーズン終了時のLegendランクで褒賞としてHWCポイントが付与される都合上、AmericasサーバーとAsiaサーバーのどちらが適しているかはシーズンが終了する時間に大きく依存します。Americasサーバーは日本時間17時00分(太平洋夏時間の期間中は16時00分)、Asiaサーバーは01時00分となります。重要な点としておさらいしますが、ひとつのBattleタグで獲得できるランク戦プレイの報酬ポイントは同一シーズンでひとつの地域(サーバー)だけです。
もう一点考慮すべきはどちらのサーバーのほうがLegend上位に残りやすいかという難易度。今年行われたWorld Championshipの話を参考までにご紹介しておきましょう。主にEU地域のプロプレイヤー達はシーズン終了間際のランク戦プレイをAsiaサーバーで回すことがありました。ヨーロッパに在住しヨーロッパ代表としてWorld Championship進出を目指す彼らがなぜアジアサーバーでLegendランク上位を狙っていたのか。その理由がApec代表として今年のWorld Championshipへ出場したNeilyoのインタビューの中で語られています。
参照リンク: Neilyo Interview: "Asia will win Blizzcon 2015" [Liquid Hearth]
monk: ベトナムに住んでいるプレイヤーなのにどうしてアジアサーバーではなくNAサーバーを好んでプレイしているのだろう?
Neilyo: まず僕がHearthstoneを始めた時にはアメリカに住んでいたんだ。そして、東南アジアのプレイヤーの多くがNAサーバーでプレイしていると思う。
(訳注:東南アジア(SEA)はNA(Americas)がホームリージョン)
monk: "よりイージー”にHWCポイントを稼ぐために大勢のプレイヤー達がアジアサーバーでプレイしている。そこにはRDUやStancifka、Greensheep、そしてXixoらも含まれているが、君もアジアサーバーが楽にポイントを稼げるサーバーだと思う?
monk: NAやEUと較べてアジアが楽なサーバーであることは同意するよ。友達の一人がレジェンドへ上がるのをアジアサーバーで手伝った時、新しいシーズンが始まるまでの残すところわずか2日の時にレジェンドに到達し彼はランク150位となった。
参照リンク: 《爐石戰記™》7月賽季最終頂尖排名 - 亞洲區(アジアサーバーランク戦プレイ2015年7月シーズン最終順位) [Battle.net]
KranichやSurrenderなどの活躍によって一時的に注目される機会はありますが、アジアサーバーでレジェンドランク上位に残りシーズンを終えることは有名どころひしめくNAやEUに較べて簡単なことだと考えられていました。言葉を選ばずいえば、シーズン終了時のレジェンド上位争いが他よりぬるくHWCポイントを容易に稼げる狩場として他サーバーのプレイヤー達から狙われていたということです。
そして今月から、このポイントを稼ぐハンターには日本のトッププレイヤー達からも一部加わることになるでしょう。冬シーズン地域選手権(Winter Championship)のポイント集計は今月からなのでもうとっくに戦いは始まっています。 これまでAmericasサーバーでプレイしていた既存プレイヤー達がAsiaサーバーでもカード資産を手に入れたことで、日本のプレイヤー達がその争いに参入する敷居が無くなりました。もちろん、時差がたった1時間であるためシーズン終了間際までプレイするのに時間帯という環境が適しているという理由も大きいでしょう。
国内の一般プレイヤー達はAmericasとAsiaのどちらをプレイサーバーに選ぶか迷っていますが、日本のシーンを代表する競技的なプレイヤー達は時間の余裕が許すならどちらのサーバーも当たり前のようにレジェンドランクへと到達させ、そしてHWCポイントを稼ぐ機会を逃さないように準備をすでに整えているのです。
海外のプロプレイヤー達の間ではEUが最も厳しい地域という意見で一致を見ており、他とアジアの間にそこまでの差があるのか当サイト管理人には計りかねますが、複数のサーバーでLegendになっておけば保険として用いることもできるでしょう。もしあなたが両方のサーバーを併行してプレイしていく余裕が無く、そして公式世界大会進出を目指すのであればどちらのサーバーがよりポイントを稼げるかというのも判断基準になると思います。
一方で、Asiaサーバーにしかカード資産を持たない人が世界大会を本気で目指すならば、Americasサーバーでもカードを揃えていくことを検討する必要が出てくるかもしれません。Blizzardが既存の国内ユーザー向けに行った支援プログラムによって大勢のプレイヤーが両方のサーバーでカード資産を持っており、どちらのサーバーでもポイント獲得のために動ける有利な立場にあるからです。(リアルマネーを注ぎ込めば即座に解決することは出来ますが)
そして先述の通り、日本からアジア太平洋(APEC)地域選手権へと進めるのは一人(ないし二人)のみという上限があるため、国内で行われるアジア太平洋選手権予選はAmericasとAsia両方でポイントを稼げるプレイヤー達による熾烈な争いとなります。国内予選がどのような参加基準になるか未発表ですが、HWCポイントの獲得数で足切りとなるのであれば複数のサーバーをまたいでポイントを稼げるだけ稼がなければ予選に参加すら出来ないかもしれません。
国内予選についてのアナウンスは日本ハースストーン公式、もしくはBlizzardと提携した国内企業の株式会社SANKOが運営するe-sports SQUAREから発表が行われはずなので情報は逐次チェックしておきましょう。
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国内イベントの動向
最後に国内で開催されるイベント(大会・トーナメント・交流会)について考えていきましょう。
日本語ローカライズ実施後にAsiaサーバーでプレイする人口が膨れ上がったことで、国内プレイヤー主催のコミュニティイベントではAmericasではなくAsiaをプレイサーバーに指定するイベントが急増しました。10月以前まではAmericasが当たり前だったのでプレイサーバーをいちいち確認する必要もありませんでしたが、今後開催される国内向けイベントの主催者はまず第一にサーバー指定を明記する必要があります。
ここ2ヶ月の動向を見ていくと、特にAsiaサーバーでは初心者を対象にしたイベントの開催が目立ち、どちらにもカード資産を持つ主催者の場合はAmericasとAsiaを交互に開催しながら様子を見ているようです。この急激な変化はトーナメントに積極的に参加するプレイヤー層がAsiaでもカード資産を手に入れたことに後押しされました。
国内プレイヤー向けに開催されるイベントをサーバー選択の基準として考慮する方はこの状況に気を揉んでいるかもしれませんね。両方のサーバーで十分なカード資産を持っているプレイヤーが現状数多く存在するため、どっち付かずな様相はいましばらく続いていくでしょう。待ち続けても結論を下せるまでかなりの時間を必要とするかもしれません。またどんなに待ってもAmericasとAsia両方のイベントが並立していくのがこれからの国内コミュニティの有り様なのだと思われます。二つのサーバーに国内のプレイヤーが分散し、さらに両方のイベントに参加出来るカード資産を持つ人が大量に存在する以上は仕方ありません。
長い目で見れば、ホームリージョンがAsiaに変更された今後、新規プレイヤーが流入するのは自然とAsiaサーバーが中心になるでしょう。友人からの誘いや将来的に海外大会に参加していくことを考慮してAmericasサーバーで始める新規プレイヤーも一部居ることでしょうが、大部分はAsiaサーバーでゲームを始めそのまま進めていくと考えられます。新規が流入しHearthstoneに興味を失った人は去り、そうしてプレイヤーの新陳代謝が進みAsiaサーバーの人口が国内で多数派を占めていくにつれ、国内コミュニティのイベントはAsiaサーバーが主流となっていくと見込まれます。もうすでに兆候はあらわれており、それが半年後か一年後か、はたまた数年後となるかは予測できませんが、今後を見通す上では早いか遅いかの違いだけでしょう。
企業開催のイベント
その潮流が決定的なものとして国内コミュニティに印象付けられるのは、JCG(Japan Competitive Gaming)の運営するイベントになるのではないかと予想されます。JCGの他にも過去に国内向けのHearthstone大会を運営していた企業があったような気がしますが、そのことを考えると激しい頭痛に見舞われどうにも名前を思い出せません。たぶんLeague of Legendsとかそんな感じだったと思いますがもうHearthstoneのイベントは開催していないようなので、現在Blizzard社と直接的な関連のない営利企業による大会の開催で主だったものはJCGとなります。JCGの中の人にプレッシャーをかける意図はまったくありませんが、2014年6月という早い時期から国内プレイヤー向けのオンライントーナメントを開催し、国際大会に出場する日本人プレイヤーを輩出するなどの実績を重ねてきたJCGがどのプレイサーバーを指定するかという決定は、重みを伴って国内コミュニティに受け止められることと思います。
参考までに、以前わたしがJCGに問い合わせたプレイサーバーについての回答を引用しましょう。
JCG HearthStone 2015 Winter CUPは日本語ローカライズ実施前の10月9日より始まったトーナメントシリーズであるため、JCG運営は混乱を避けるためプレイサーバーをAmericasに指定していました。そして今後の大会については、Americasサーバーでプレイしていた既存プレイヤーの意向具合を考慮し検討されるとのことです。
大会に積極的に参加している方ならよくよくご存知のことと思いますが、定期的に開催される大会は最初のうち物珍しさで参加するプレイヤーが数多く居ても、回数を重ねるうちにだいたいいつもの顔ぶれが目立つようになります。大会の開催を支えている彼らの存在がやはりJCGにとって重要なターゲットなのではないでしょうか。そして彼らを含む既存プレイヤーのAsiaサーバーへの移行具合が今後開催する大会のプレイサーバーを選定するにあたって考慮されますが、どうやって国内プレイヤーの正確な状況を把握するかに頭を抱えてるのではないかと勝手ながら推察しています。大会に何度も参加しているプレイヤーへ向けてアンケートを行うのはどうかと一考しましたが、「どっちのサーバーでもいい」という回答が多く集まる結果が目に見える気がします。
一応の補足ですが、JCG(Japan Competitive Gaming)はPC関連製品の開発や販売を主な業務とする株式会社マイルストーンが2013年に日本国内のゲーミングシーン振興を目的として設立された事業の一環として設立されました。Blizzard社とは直接的な繋がりはないので、Blizzardの意向がどうあれ参加者をより多く、そして継続的に集められるサーバーで大会を開催することになるでしょう。大会に指定するサーバーをこのままAmericasで続行するのか、それともAsiaへ移行するのか(いずれかのタイミングでAsiaに移行するとは予想されますが)。サーバー選択に迷うプレイヤーにとってJCGの決定は気がかりかもしれませんが、JCG側こそわたしたち国内コミュニティの声と反応を待っているはずです。
Hearthstoneの大会を開く国内企業として名前を挙げませんでしたが、東京秋葉原のe-sports SQUAREを運営している株式会社SANKO(旧社名 三光パートナーズ株式会社)はBlizzardと提携しており、どういったパートナーシップを結んでいるのか皆目掴めないのでここではBlizzardの直営イベントに含めて考えることにします。
Blizzardの直営イベント
日本Hearthstone公式が開催するイベントのプレイサーバーにAsiaサーバーが指定されることも大きな影響を及ぼしていきます。はっきりと表立っては言わないまでも、Asiaをホームリージョンとし誘導していく方針に則してBlizzardの開催する公式イベントにAmericasサーバーが使われないだろうことは国内のプレイヤー達も既に承知済みのことだと思います。その上でサーバー選択に迷っている方は、公式が開催するイベントがどの程度自分にとって参加したい内容になるものか量りかねているのではないでしょうか。Blizzardが直接運営に携わるイベントは主に3つあります。ひとつが拡張版発表のプロモーションイベント。これは日本国内で開かれるかまだ実績がありませんが、いずれにせよ対戦を目的とした催しではないのでプレイサーバーは関係ありません。
参照リンク: Special Hearthstone Announcement at The Foundry! [Battle.net]
もうひとつはもちろん公式世界大会「World Championship」です。オフラインで開催されるトーナメントはBlizzard社のトーナメント用アカウントを貸与されるため、こちらもプレイヤーの普段プレイしているサーバー、またはカード資産を持っているサーバーは障壁となりません。しかしオンライン予選がもし行われるならばそこでプレイサーバーの異なるプレイヤー同士の対戦はどうするのかという問題が懸念され、Asia Pacific(アジア太平洋)リージョンのChampionship(選手権)へ進むための国内予選がどのように行われるのかは今のところ発表されていません。
参考までにですが、今年のWorld Championshipにおいては東京秋葉原のe-sports SQUAREを開場に国内予選(Japan Sub-Regional Tournament)が実行されました。
参照リンク: World Championshipへの道 [e-soports SQUARE]
また世界大会にはFireside Gathering(炉端の集い)も関連していますが、日本国内ではどうなるか現在の情報ではまったくの未知数です。まず2015年のAmericas・EUリージョンでは世界大会予選として、Blizzard社公認を受けたユーザー主催によるFireside Gathering(炉端の集い)が各地域で開かれ、これらコミュニティトーナメントの勝者はFireside Gathering Championshipへと選出、グランドチャンピオンは所属地域のRegional Qualifiers(地域選手権予選)へシードされました。このオフライン予選システムは日本の場合すべてe-sports SQUAREで実行されています。(上記リンク参照)
2016年の世界大会ツアーを見ていくと、Americas・EUリージョンではBlizzardの公認を受けたFireside Gatheringイベントの勝者(Tavern Heroes)はFireside Gathering Championshipを挟むことなく直接Season Preliminaries(季節毎の選手権予選)へシードされると英語版公式ブログに書かれています。しかし、日本語版公式ブログではFireside Gathering(炉端の集い)に関する文言が削除されており、日本の予選にはTavern Heroesの枠が存在しないのかもしれません。
参照リンク: Lost in Translation? [りかぴ通信]
ここまで見ていくとBlizzardの開催する公式イベントはプレイサーバーを選ぶにあたって考慮する材料とはならないようにも思えます。しかし、Blizzard社の開催する公式イベントとして日本Hearthstone公式はユニークな取り組みを見せています。著名なYoutuberを起用したキャンペーン「ハースストーンチャレンジ」については皆さんも既にご存知と思いますが、このイベントではAsiaサーバーが指定されており彼らYoutuberとの対戦にはAsiaサーバーで環境を整えなければいけません。
こうした日本独自のイベントが魅力あるものに映れば、両方のサーバーにカード資産を持ちながらもAsiaサーバーへとプレイサーバーへ変更する積極的な理由を持たない既存プレイヤーに訴えかけていくかもしれませんね。個人的な意見を言えば、Youtuberよりもグラドル自画撮り部を起用して欲しかったところです。
参照リンク: キャンペーン「ハースストーンチャレンジ」がスタート! [Hearthstone Challenge]
参照リンク: 2016年・HearthStone新年会 @ Three Monkeys Cafe AKIBA [e-sports SQUARE]
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記事の結び
プレイサーバーの選択に迷う方向けということでここまでイベントへの参加を中心に考えてきましたが、国内プレイヤーと意図して交流することが無いという方にとってはまったくもってどうでもいいことではあります。そうした方々のサーバー選択基準はTavern Brawl(酒場の喧嘩)の開場時間やサーバーメンテナンス、またはサーバー毎のMetagameや著名プレイヤーの存在などを基準にして選んでもゲームプレイには一切差し支えありません。
この記事に目を通して余計迷ってしまったという方がもし居たらお詫びします。また、国内のプレイヤーはどちらか一方のサーバーに集まるほうが合理的という考えをお持ちの方も居るでしょうしわたしも全く同意ですが、AmericasとAsiaどちらに集まるように国内コミュニティで呼びかけ合うのであれ、そのタイミングは10月3日のローカライズ発表からAsiaサーバーにもカードが補填された22日前後までの期間が最後のチャンスでした。既にその機会は逸しておりあまりにも混みあった状況となってしまったため、プレイヤーが分散している状態を問題視している人々もなるようになるだろうという諦観の域にあると思います。
また個人的には、Asiaで十分にカード資産が支援された有利な立場から、両方のサーバーに資産を持たないプレイヤーに対してサーバー移動を促すようなことはちょっと言えないなという感じです。
あの当時国内コミュニティの間でそうした動きが見られなかったのは、誰もが困惑したままただ日々が過ぎてしまったのでしょう。Blizzardは日本ユーザーがAsiaサーバーでプレイするメリットを挙げましたが、メリット・デメリットで考えるなら国内のプレイヤーを異なるサーバーに分散させてまで日本のホームリージョンをAsiaに設定する必要があるのかという疑問でわたし達の頭はクリスマスパラディン状態でした。
最後に、プレイサーバーの選択はプレイヤー個々の事情に照らして自ら判断すべきことであり、誰しもに共通するような”正解”というものは残念ながらありません。それぞれの事情や経緯においては物事の捉え方も真逆に違うことがあるものです。フレンドがたとえ自分と異なる選択を行ったとしても、どうかその決断を尊重し日本国内在住のプレイヤー同士としてコミュニティの輪を繋げていくことを願います。
かつて一緒のサーバーでプレイしていた人と別れてしまうのはさみしいものですが嘆いても歯車は戻りませんし、ケツメイシの「トモダチ」でも聴きながらそれぞれの場所で自分のベストを尽くしゲームを楽しんでいきましょう。