Spell Druidのマリガンにおける《ワタリガラスの偶像 / Raven Idol》の考察


r/competitivehsの投稿にて、《ワタリガラスの偶像 / Raven Idol》をキープすることで《野生の繁茂 / Wild Growth》《練気 / Innervate》を獲得できる確率を論旨としたマリガンの議論が交わされていました。

この確率に対する議論をもとにして、この記事では《ワタリガラスの偶像 / Raven Idol》をマリガンにキープすることへの考察を行っていきます。予めお断りしておきますが、この記事では何が正解であるか、または状況を選ばず選択すべき解のようなものを記事の結論として求めていません。

※ ポスト投稿者の計算は間違っていたので別のユーザー(/u/sparkalaphobia)の計算に基づきます。



まじかる☆マルフュリオン?


現在のDruidクラスで主流な呪文(Spell)カードを主軸とする構築スタイルを、この記事ではvs Data Reportに倣い便宜的にSpell Druidと記述していきます。この中には一般的にMalygos Druidと呼ばれるデッキに加えて、Tokenミニオンの展開と強化を備えたToken Druidも含みます。違和感はあるかと思いますが、Ramp Druidというのも適切ではないためひとまずここではSpell Druidで一括りにしておきます。


この先の考察を進めていく前提として、ものっそいざっくりとデッキの歴史を振り返ってみましょう。

このクラスでかつて主流な構築スタイルであったMidrange Druidは、今年4月のスタンダードフォーマット導入にあたってキーカードがカード調整の対象となりデッキが崩壊しました。新たな戦略を模索するDruidが真っ先に目をつけたのは、当然のことながら追加されたばかりの新カード達です。旧神《クトゥーン / C'Thun》とその信奉者達をベースとするC'Thun Druidは一定の成功を収めました。また、ダブルコンボを失ったとはいえマナブーストの特徴は残されており、昔ながらのRamp Druidも再び支持を集めていきます。

このままC'Thun DruidかRamp Druidがこのクラスを代表するデッキになるかと思いきや、拡張版リリースから時間が経過しメタゲームも固着し始めたのを見計らったように、奇妙なデッキが脚光を浴びます。J4CKIECHANがプレイするそのデッキは、久方ぶりにDruidがTokenミニオンを大量に展開するデッキでした。ミニオンの《ヴァイオレット・アイの講師 / Violet Teacher》《ファンドラル・スタッグヘルム / Fandral Staghelm》がマナブーストの《練気 / Innervate》とマナの安いスペルの数々と噛み合い、1ターンで驚異的にアドバンテージを稼ぎ出すこのデッキはじっくりと時間をかけてプレイヤー達の間に広まっていきました。

最大の強みは《野生の繁茂 / Wild Growth》《古代地の番人 / Mire Keeper》によるマナの増加、さらに《練気 / Innervate》のマナチートで上記のミニオンを利用しビッグターンを作り出すことにありました。しかしもうひとつ別に、このデッキには大きな特徴が存在します。Tokenを展開し強化するための材料として呪文(Spell)カードを大量に使用することが、旧神の一柱たる《希望の終焉 ヨグ=サロン / Yogg-Saron, Hope's End》の燃料となり、単なるコインフリップカードでは済まないほどの暴虐を働いていたのです。

この時点ではToken Druid / Yogg Token Druid / Yogg Druidと、呼び方は人によって様々でした。デッキの主要な戦術はToken展開であるためToken Druidという記述が適切に思われますが、トーナメントで《希望の終焉 ヨグ=サロン / Yogg-Saron, Hope's End》が暴れるほどにこのカード1枚の印象がプレイヤー達に深く刻まれていきました。


カラザンの新カードがさらにスペルへ傾倒させる

そうしてワン・ナイト・イン・カラザンがリリースされた8月に再び大きな転機を迎えます。新カード《魔力の巨人 / Arcane Giant》はスペルヘビーなYogg Token Druidの構築にすんなりと適合し、ほんの短い時間でデッキの骨組みの一つとなりました。そしてこの変化がスペルカードへの偏重をさらに後押しすることになり、それまでかろうじてデッキへ加えられていた《爪のドルイド / Druid of the Claw》のような定番ミニオンすら不要な存在となったのです。

このスペルカード偏重の傾向が行き着いた先は、Tokenの価値を引き出すカードと引き換えに《マリゴス / Malygos》のバーストダメージをオプションに加えた新生Malygos Druidです。《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》をドローエンジンとする場合にMiracle Druidというニックネームも1年以上前から存在しますが、現在はほとんど使用されていません。

Fr0zenやXixoなど著名プレイヤーを中心に広まっていったこのデッキはカラザンの新環境で素晴らしい成果を挙げ、Token Druidという呼び名をあっさりと前環境の古臭い印象に変えてしまいました。とはいえTokenを主軸に据えるデッキもいまだ変わらず強力です。《マリゴス / Malygos》は勝ち筋の一つであり全てではないと考える人々は、両者の共通点である《希望の終焉 ヨグ=サロン / Yogg-Saron, Hope's End》から名前を取ってYogg Druidと呼び習わすことが目立つようになってきました。

そしてご存知のように、《希望の終焉 ヨグ=サロン / Yogg-Saron, Hope's End》のカード調整が実施されます。このnerf調整はゲームチェンジャーとしての可能性を制限するものではありませんでしたが、信頼性を大きく損ないデッキから抜かれる例も目につくようになります。Yogg DruidからYoggが抜かれたら何Druidになるのでしょうか?

このような複雑な進化の過程を経てきたDruidのスペルヘビーなデッキは一言で言い表すことが難しく、最も広範にその特徴を表現しTokenとMalygosのどちらも含むアーキタイプの分類は、Spell Druidということになるのです。

大雑把にいえば、マナチートして呪文ドカーン巨人をドーンのヨグをボローンする今の流行デッキを大枠で捉えたものと考えて頂ければ結構です。




Rampカードを引き出す確率


参照リンク:
The Druid Mulligan: Is Raven Idol worth keeping? [reddit]

Druidのマリガンで《ワタリガラスの偶像 / Raven Idol》をキープする価値はあるか?という表題のこちらの投稿では、キープした場合と流した場合それぞれの《野生の繁茂 / Wild Growth》《練気 / Innervate》を獲得できる確率の計算を元に議論が交わされています。

《ワタリガラスの偶像 / Raven Idol》キープを論じるためには幾つかの前提や考慮すべき条件を必要としますが、ここではまず基礎知識だけをおさらいしておきましょう。


《ワタリガラスの偶像 / Raven Idol》の基礎知識



  • ミニオンか呪文のカードかを選択、選択したカードプールからカードを1枚発見する
  • 発見されるカードの候補に同じカードは出現しない
  • ミニオンは中立とクラス専用の両方から出現
  • 呪文はクラス専用カードのみから出現
  • スタンダードフォーマットのカラザンリリース現在では、呪文の総数は27

カードのこのような性質とそれを用いるSpell Druidの性格から、《ワタリガラス / Raven》はスペルカードを発見するために使用されるのが基本的には理にかなっています。ただし状況によってはテンポのためにミニオンを探すこともあり、どんなカードを手に入れたいかはケースバイケースでしょう。

仮にマリガンでこのカードをキープするかどうかを検討される場合、どんなカードが序盤で必要になりそうだからキープするのか、という前提が必要です。アグレッシブなデッキに対して序盤を凌ぐ手段を求めることもありますが、考察の出発としてここではひとまず《野生の繁茂 / Wild Growth》《練気 / Innervate》の2種類(いわゆるRamp card)を求める前提とします。


オマケ・マリガン(mulligan)の基礎知識

  • マリガン候補のカード枚数は先手(先攻)が3枚、後手(後攻)が4枚
  • マリガンの持ち時間は65秒
  • 入れ替えたいカードはデッキに戻されるが、入れ替え後のカード候補には含まれない (Ben Brode)
  • 入れ替えで流したカードはマリガン後にデッキがシャッフルされ順番が決まるため、最初のターンからでもドローする可能性がある (Ben Brode)



以下、省略して表記
《ワタリガラスの偶像 / Raven Idol》 → 《ワタリガラス / Raven》
《野生の繁茂 / Wild Growth》 → 《繁茂 / WG》
《練気 / Innervate》 → 《練気 / IV》



計算その①. 《ワタリガラス / Raven》から《繁茂 / WG》・《練気 / IV》を発見する確率

まず発見/Discoverの選択候補に表示されるカードは、27枚のカードプールから3枚がランダムで選ばれます。発見/Discoverの選択候補に同じカードは重複しません。この27枚に《繁茂 / WG》《練気 / IV》の2枚のみを求めるとします。


・ 3枚の発見/Discoverから、カードプール27枚中の2枚どちらも引き当てられない確率
25/27 * 24/26 * 23/25 = 78.6%

・ 27枚中のRampカード2枚から、どちらか1枚表示される確率
1 - (25/27 * 24/26 * 23/25) = 21.4%



計算その②. 《ワタリガラス / Raven》が初期手札にある場合に全てのカードをマリガン

先手3枚の初期手札に含まれる《ワタリガラス / Raven》をマリガンして、流した《ワタリガラス / Raven》《繁茂 / WG》《練気 / IV》のどちらかに入れ替わらない確率
23/27 = 85.2%

先手3枚の初期手札に含まれる《ワタリガラス / Raven》をマリガンして、流した《ワタリガラス / Raven》《繁茂 / WG》《練気 / IV》のどちらかに入れ替わる確率
1 - 23/27 = 14.8%


後手4枚の初期手札に含まれる《ワタリガラス / Raven》をマリガンして、流した《ワタリガラス / Raven》《繁茂 / WG》《練気 / IV》のどちらかに入れ替わらない確率
22/26 = 84.6%

後手4枚の初期手札に含まれる《ワタリガラス / Raven》をマリガンして、流した《ワタリガラス / Raven》《繁茂 / WG》《練気 / IV》のどちらかに入れ替わる確率
1 - 22/26 = 15.4%



計算①・計算②からわかること

計算①では《ワタリガラス / Raven》から《繁茂 / WG》《練気 / IV》のどちらかを発見する確率を求めています。

計算②では初期手札に表示されている《ワタリガラス / Raven》をマリガンで流し、その流した1枚が《繁茂 / WG》《練気 / IV》のどちらかで返ってくる確率を求めています。

上記2点から、《繁茂 / WG》《練気 / IV》のどちらかを獲得するのに《ワタリガラス / Raven》をキープして使用することは、僅かながら可能性を高めてくれることが判ります。

つまり《繁茂 / WG》《練気 / IV》のRampカード2種類を是が非でも入手することだけを目的とすれば、《ワタリガラス / Raven》のキープは若干の確率向上という価値があります。




Spell Druidのマリガン


改めまして、この記事の本題は《ワタリガラスの偶像 / Raven Idol》をマリガンで残す価値についての考察を深めることが目的です。

上記の計算において、序盤に使用するためのRampカードを求めることのみを考えれば、若干の確率向上を見込めるためマリガンでキープする価値があることは判りました。それではここに別の視点を加えていきましょう。考慮すべきことは多岐にわたるため以下の項目に分類し、それぞれについて考えていきます。


  • デッキの性質とマナ使用の効率化

  • アグレッシブなデッキへの除去カードを求める

  • アグレッシブなデッキではない場合の価値

  • フレキシブルな選択肢という価値

  • そもそも、常に2枚のRampカードを求めるだけなのか




デッキの性質とマナ使用の効率化

ゲーム序盤の手札と使用可能なマナが噛み合わず、ヒーローパワーだけで序盤をやり過ごすDruidの姿は見慣れたものです。マナ加速を特徴とするDruidというクラスにおいて、序盤にそれが適わない場合の無為に過ごす時間はこのクラスの宿命に近いものです。

ここで《ワタリガラス / Raven》という低コストなカードが1枚あれば、最序盤のマナを意味あるものとして消費できます。1マナであるため1ターン目に使うことが出来るし、3ターン目にヒーローパワーや《自然の怒り / Wrath》と併用するなどマナを無駄なく消費することができるでしょう。

そして何よりも、Spell Druidにおいては「ゲーム中に使用したスペルの枚数」というカウントを進める利点があります。これは後に《魔力の巨人 / Arcane Giant》を低コストで召喚するというテンポで還ってきますし、《希望の終焉 ヨグ=サロン / Yogg-Saron, Hope's End》が相手のボードをクリアする試行回数を一つ増やすことにもなります。



アグレッシブなデッキへの除去カードを求める

お次はポストの投稿者が提示している内容から考えを広げていきましょう。前項では《繁茂 / WG》《練気 / IV》のRampカードのみを求める前提で確率を比較しました。それでは次に、アグレッシブなデッキとマッチアップした時の序盤を凌ぐカードも探したいカードの内に含めるとして考えてみましょう。

一般的にSpell Druidのマリガンでは、相手のデッキがアグレッシブなデッキであることが疑わしければ《生きている根 / Living Roots》をキープします。ヘルス2の序盤ミニオンを低コストで除去可能であり、1/1のトークンは相手のミニオンとトレードしたりSecret Hunterの秘策/Secretを牽制するのにたいへん有効です。

《自然の怒り / Wrath》のキープに関しては議論の分かれるところですが、特定のマッチアップにおいては序盤にこのカードを持つことは保険となります。たとえばHunterの《巨大ガマ / Huge Toad》《自然の怒り / Wrath》で処理しても続くターンに新たなミニオンを召喚され状況は変わりません。想定を変えて相手がTempo Mageだった場合、《マナ・ワーム / Mana Wyrm》が延々と成長を続けたり《魔法使いの弟子 / Sorcerer's Apprentice》が下げたマナコストでバリューを獲得し続けることを止めることができます。状況は変わらないにしろ、より悪化する前に対処するカードとしてキープを検討されるのです。

さて仮に、《繁茂 / WG》《練気 / IV》のRampカードに加えて《ワタリガラス / Raven》から《生きている根 / Living Roots》《自然の怒り / Wrath》を選択することも候補に含めると仮定した場合の、4種類中どれか1枚を《ワタリガラス / Raven》から得られる確率は以下のようになります。
1-(23/27 * 22/26 * 21/25) = 39.5%

先手3枚の初期手札に含まれる《ワタリガラス / Raven》をマリガンして、流した《ワタリガラス / Raven》が4種類中どれか1枚に入れ替わる確率
1 - 19/27 = 29.6%

後手4枚の初期手札に含まれる《ワタリガラス / Raven》をマリガンして、流した《ワタリガラス / Raven》が4種類中どれか1枚に入れ替わる確率
1 - 18/26 = 30.8%


当たり前といえば当たり前のことですが、27枚のスペルカードプール中に期待するカードの種類が増えるほどに、《ワタリガラス / Raven》をマリガンでキープすることの価値は上昇していきます。



アグレッシブなデッキではない場合の価値

対戦相手がアグレッシブなデッキであることが想定できる場合に、プレイヤー達の多くが《ワタリガラス / Raven》をキープすることの妥当性は上記の計算から納得できます。では逆に、異なる状況で彼らが《ワタリガラス / Raven》をキープしない理由は何なのでしょうか。

仮にこのカードを序盤に使用した時に、《繁茂 / WG》《練気 / IV》以外の正解となる選択肢が見えないということが理由の一つとして挙げられます。

相手のMageがTempo mageであるかFreeze Mageなのか、もしくはReno MageなのかAggro Freezeなのかで必要とされるカードは異なります。さらにゲーム展開によって欲しいカードはその都度変わっていくでしょう。27枚のカードプール中の残り25枚からどれが正解なのかは1ターン目の時点で判断がつかないのです。ただしこれは、ラダーではなくデッキ公開制のトーナメントではまた違った判断が生まれるかもしれません。

また、必要とされるカードはスペルだけに限定されるものではありません。Controlデッキとのマッチアップではテンポを出すためのミニオンを必要とすることがあります。かてて加えて遅いデッキとの対戦においてはカードバリューが重視されます。《ファンドラル・スタッグヘルム / Fandral Staghelm》とのコンビネーションによってカードアドバンテージを獲得することが、《ワタリガラス / Raven》のバリューを最大限に引き出してくれます。



フレキシブルな選択肢を提示する価値

少し話を代えて、Shamanというクラスには処理が困難なあらゆるミニオンを無効化する《呪術 / Hex》があります。他には小粒なミニオンを大量に展開する相手を罰する《ライトニングストーム / Lightning Storm》《メイルシュトロームのポータル / Maelstrom Portal》があり、単体ミニオンを低コストで処理する《ライトニングボルト / Lightning Bolt》があります。そしてさらには序盤の相手ミニオンに触れる《精霊の爪 / Spirit Claws》という低コストなウェポンまで手に入れました。

もはや完全無欠にも思えますが、実際のゲームでは有効な回答をプレイ出来ないことが多々あります。当然のことながら、カードゲームなので常に必要な選択肢が手札にあるとは限らないからです。ドローするカードがゲームの行方を左右することはカードゲームの宿命ですが、異なる道を切り開く可能性を与えてくれる発見/Discoverというギミックが存在します。

《ワタリガラス / Raven》がデッキに加えられるのは、そもそも何のためだったのでしょうか?

低コストな呪文/Spellなので《ヴァイオレット・アイの講師 / Violet Teacher》《ファンドラル・スタッグヘルム / Fandral Staghelm》とシナジーを発揮しやすい。そして他にも、ゲーム中にドローするカード以外の選択肢を与えるという柔軟性が評価されてのものではなかったでしょうか。

ゲームが進行することで相手のデッキの正体が判明し、盤面と手札の状況から必要な要素の判断を下せるタイミングが訪れて初めて、この柔軟性は正しくプレイを補強してくれます。



そもそも、常に2枚のRampカードを求めるだけなのか

ここまでは問題を単純化するために《繁茂 / WG》《練気 / IV》のRampカードのみをマリガンで求める思考に基いて考えてきました。海外のデッキガイドでも上記の2種をキープする、または上記の2種を求めてハードマリガンする、程度にしか書かれてない例が散見されます。基本的な方針としてはそれで正しいかもしれません。

しかし実際にゲームで勝つために必要な手段を求めるマリガンは、非常に複雑なものとなります。デッキのRampカードは上記2枚だけではありません。後手で《コイン / The Coin》があるならば《古代地の番人 / Mire Keeper》は残す価値が十二分にあります。先手の場合は他の手段を求めて流してしまうことが多いでしょう。しかし序盤の動きがゆるい相手とマッチアップした場合に、4マナで3/3のRampという行動を手札に残すことは合理的です。

先に例を挙げたようにアグレッシブなデッキを疑われる場合は《生きている根 / Living Roots》をキープしますし、逆に相手がControl PriestやControl Warriorであることを何らかの理由で知っていれば《滋養 / Nourish》をRampカードと一緒にキープすることもできます。

またはここまでの前提を覆して、《繁茂 / WG》 or 《練気 / IV》のRampカードと同時に《ワタリガラス / Raven》が候補に表示されたときはどうするべきでしょうか?序盤に使用するRampカードが既にあるならば多くの人がマリガンで入れ替えると思います。ただしそれも常にではなく、《ヴァイオレット・アイの講師 / Violet Teacher》《ファンドラル・スタッグヘルム / Fandral Staghelm》と同時に候補に残った場合、そしてマッチアップ相手のクラスから予想されるデッキタイプを考慮すると、異なる判断を行う可能性があるはずです。




BrokeBack Druid


上手いプレイヤーはどうしているのか?


《ワタリガラスの偶像 / Raven Idol》がRampカードを引き出す確率に前項で挙げた様々な観点を加えると、だんだんと自分の中での考え方がもやもやしてくるかと思います。考えを進めようとすると特定のシチュエーションばかりが頭に浮かび、正解が遠のくような気がしてくるのではないでしょうか。

こうした時には、自分より上手いと思えるプレイヤーがどうしているのかを見るのがヒントを与えてくれます。サンプルとしてXixoとKolentoが直近にプレイした配信からマリガンの場面だけを切り抜いて画像を繋げてみました。以下のリンクで別ウィンドウを開き、クリックで拡大してご覧ください。《ワタリガラスの偶像 / Raven Idol》が含まれていなかったり考えるまでもないマリガンも多く含まれていますが、ひとつの参考として役に立つかと思います。


Xixoマリガン(画像別ウィンドウ)
Xixo - https://www.twitch.tv/xixo/v/97175625 [Twitch]

Kolentマリガン(画像別ウィンドウ)
Kolento - https://www.twitch.tv/kolento/v/95906221 [Twitch]



《ワタリガラスの偶像 / Raven Idol》を残したり残していなかったり、あるいは一般に語られているセオリーとは異なる選択をしていることに気が付くかと思います。《古代地の番人 / Mire Keeper》《滋養 / Nourish》をキープする場合が意外と多いことにも驚くかもしれません。

もちろん彼らプロの選択が正解だとは限りませんし、彼ら自身の中でも考え方が揺れていることは配信を見れば窺えるでしょう。ラダーという条件ですが、マッチアップ相手のデッキはその時々のメタゲームや、または相手の名前からデッキを予想できてしまうこともあります。今日は正解だった行動が明日には間違っているかもしれません。



BrokeBackにサヨナラ


話は変わりますが、DruidにはBrokeBackというニックネームというか、あまり良くない意味でのあだ名があるのはご存知でしょうか。男性の同性愛を描いた映画のBrokeback Mountainとはまったく関係がありません。

TwitchにはBrokeBackという下記画像のエモートがありまして、見るからにアホ面した男性のこの画像に由来するHearthstone Memeのひとつです。

スタンダード導入前のMidrange Druidは時にBrokeBack Druidと呼ばれることがありました。曰く、Rampしてマナカーブ通りに相手よりデカいミニオン出してコンボで〆る、アホでも使えるデッキだからBrokeBackだろ、という揶揄を込められたものです。

※ nerf前の(《自然の援軍 / Force of Nature》+《獰猛な咆哮 / Savage Roar》





時が移り現在主流となったDruidのデッキは完璧なプレイが難しいと言われています。この記事で考察したように、《ワタリガラスの偶像 / Raven Idol》のマリガンひとつですら簡単に答えを導き出すことができません。

性急な結論を出そうと思えば簡単です。ただしそれは安易な道であり、確率に支配されたこのゲームでほんの少しの差を追求していくことはできないと思います。簡易なデッキガイドのマリガン項目には《野生の繁茂 / Wild Growth》《練気 / Innervate》を探す、あとは流す、アグレッシブな相手には《生きている根 / Living Roots》をキープ、先行でRampカードが無ければ《ワタリガラスの偶像 / Raven Idol》を残しても良い、という程度にしか書かれていません。

これを正解と思い込み忠実に従うことは、Spell Druidを深く理解しているプレイヤー達の目からはBrokeBack Druidに映ることでしょう。




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Spell Druidのマリガンにおける《ワタリガラスの偶像 / Raven Idol》の考察
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