これまで毎年のBlizzConが閉幕すると、翌年の公式世界大会における詳しい変更点が告知されてきました。今年はその詳細発表に先駆けて、2017年のeスポーツイベントに関連する予告が発表されています。公式大会への出場を目指す方々はひとまず、11月から早くも次期のポイント集計が行われることを心得ておきましょう。オフシーズンは今月で終わりです。
なお世界選手権ツアーの変更点とは別に、ハースストーンの競技シーンを盛り上げるためのチーム戦や招待マッチなど新たな試みも予定されているようです。詳細は公式サイトをご参照ください。
ハースストーン 2017年 eスポーツ予告! [Battle.net]
Hearthstone 2017 Esports Preview! [Battle.net]
2017年の世界選手権変更点
- シーズン毎に各地域で行われてきた選手権はグローバルシーズン選手権に統合
- 地域選手権の予選は各地域のシーズンプレイオフに置き換えられる*1
- シーズンプレイオフで各地域代表の4名を選出、計16名がグローバル選手権へ進出
- シーズンプレイオフはスイストーナメント方式で開催
- 「酒場のヒーロー」も競技性と報酬向上を予定
- グローバル選手権の開催はコンテンツリリースと連動
- (2016年の)次回に開催される選手権は2018年初頭を予定
- トーナメントとランク戦で得られるポイントを均等に調整
- ハースストーン・カップのシステムを改善予定
- ポイントは16年11月のランク戦から獲得可能
- 来年の世界選手権ツアー賞金総額は200万ドル以上を予定
*1 アメリカ・EUの両地域とAPAC地域で行われる予選枠組みの違いが維持されるかは明記されていません。
主要な変更点について
シーズン地域選手権からグローバルシーズン選手権へ
世界選手権ツアー(HCT)の終着点である世界選手権へ出場するプレイヤーを選出するため、これまでは各地域毎に代表を決定する選手権大会が催されてきました。2017年はこの地域毎で開かれていた選手権がひとつに統合されグローバルシーズン選手権(Global Season Championships )となります。
来年以降は予選を通過した4つの地域代表が一同に会するひとつの大規模な選手権となり、ホストに選ばれた地域にはオフライン大会の会場が用意されるようです。また、この予選大会にあたるシーズンプレイオフは実質的に地域代表の決定戦となります。
地域代表4名を決定するシーズンプレイオフ
地域選手権へ出場する8名を選出するため開かれていた地域選手権予選(Preliminary)はシーズンプレイオフ(Regional Season Playoffs)へと置き換えられます。このシーズンプレイオフは各シーズン4つの地域で行われ、スイストーナメント式による勝者4名を地域代表としてグローバル選手権へと送り出します。
なお昨年と今年は、アメリカ・EUの地域と日本を含むAPAC地域は異なる仕組みで予選が行われています。アメリカ・EUでは予選の適格ポイント保持者+酒場のヒーローで予選が行われており、APAC地域は所属地域の国ごとに予選を行い代表者を地域選手権へと進出させてきました。この予選の仕組みの違いが2017年も引き継がれるかについては明記されていません。
ポイントの調整
トーナメントとラダーによるポイントの取得が均等になり、より多くのプレイヤーが参加する機会を得られるように調整されます。実際のポイント構造がどのように設定されるか詳細は未発表です。
参照)2016年のポイント構造
ランクプレイ | ハースストーンカップ | メジャー大会 | 選手権 |
(1st) 15 | (1st) 3 | (1st) 15 | (1st) 30 |
(2nd-10th) 12 | (2nd) 2 | (2nd) 10 | (2nd) 20 |
(11th-25th) 10 | (3rd-4th) 1 | (3rd-4th) 5 | (3rd-4th) 15 |
(26th-50th) 8 | (5th-8th) 2 | (5th-8th) 10 | |
(51st-100th) 5 | (9th-16th) 3 | ||
(Legend) 1 | (17th-64th) 2 | ||
(予選参加のみ) 1 |
賞金総額(Prize Pool)
賞金総額が2016年の倍となる200万ドル以上に増額されます。内訳は世界選手権本戦が100万ドル、各シーズンの選手権が総額25万ドル、さらにシーズンプレイオフにも2万ドルが用意されます。
スタンダードイヤー&コンテンツリリースと連動する選手権
この変更点が非常にややこしいため項を分けて考えていきたいと思います。
まず、次回の世界選手権開催予定が2018年の初頭と明記されているのは驚くべき変更点です。2014年から一貫してハースストーンの世界選手権はBlizzConを舞台に開催されてきました。これが来年以降は異なるスケジュールで独自のイベントを開くということになります。
そして来年以降は大会のメタゲームの新鮮さを保つ目的で選手権の開催がコンテンツリリースと連動するようになります。つまりはカードセットが追加されてから間を置かずに選手権が開かれることになるのでしょう。
この変更によって新しいカードによる最新最善の戦略や、ほとんど知られていない盲点を突くような手法などを短期間で研究することが選手たちに求められるようになります。それは同時に、視聴者にとってよりエキサイティングなイベントとなることが期待されます。
ただしこのシステムについて幾つか疑問が浮かびます。まず、例年のコンテンツリリースサイクルは1年に3つのカードセット追加となっています。これはつまり、グローバルシーズン選手権は年に3回の開催となるのでしょうか。それとも例年通りに最終選抜(Last Call)の枠組みも維持されるのでしょうか。予告の記事には開催回数や、そこで決定される世界選手権への出場枠数は明記されていません。