キックスタート・ザ・ニュー・シーズン
プレイモードシステムが現在のランク方式に刷新されてから30回目のシーズンを迎えました。月日が過ぎるのは早いもので、オープンβの大型アップデートから2年と半年がまるまる経過したことになります。
記念すべきこの30回目のプレイモードシーズンは、「ワン・ナイト・イン・カラザン」の新カードが全て開放された新環境で迎える最初のシーズンです。新たにコレクションに加わった45種の新カードは環境に大きなインパクトをもたらしました。そして11月の世界選手権本戦、さらにその次に控える拡張版へと歩む時間の中で、メタゲームはうねる波のように変化を続けていきます。
カラザンが開放されたばかりの現時点では、この新カードの影響がどこまでメタゲームを変化させるか見極めることは難しいでしょう。今後プレイヤー達が挑戦的なデッキ構築でイノベーションを起こすことを期待されていますし、一昨年と昨年の例に従えばBlizzConの世界選手権本戦を前に最後のバランス調整が行われる可能性も残されています。そこで今回の記事では、WarriorやShamanなど現行のメタゲームで主要なプレイヤー達の動向を振り返りつつ、変化の兆候を探っていこうと思います。
シャーマンキング
4/7/7と《地底よりのもの / Thing from Below》を与えられたShamanは、旧神環境の支配的なヒーローとして君臨しました。特にAggro Shamanはあらゆるマッチアップで相手を圧倒するだけのポテンシャルを持ち、トーナメントシーンで最もプレイされているデッキのひとつです。
そのキングに対し有利な相性であることを武器にして勢力を伸ばしたのがDragon(Tempo)Warriorです。6月シーズンの初旬からこのWarriorデッキが急激に増加するにつれて、Aggro Shamanは王者の威信を失っていくかのように見えました。
さて、ワン・ナイト・イン・カラザンの新カードが全て開放された現在、いまだAggro Shamanは生き残っています。唯一の天敵とも言えるDragon Warriorが減少していったのはさまざまな要因によるものですが、ともかく環境変化の生存競争に見事勝ち残りました。カラザンの新カードが新たな戦術として加わったことも、かつての権勢を彷彿とさせる要因のひとつのようです。
◆ AoEと呪文ダメージ/Spell Damage
《メイルシュトロームのポータル / Maelstrom Portal》はAoEスペルという性質から一見すると、Aggro Shamanにはそぐわないように見えるかもしれません。しかしAggroと名付けられていても実際はFace Hunterに代表されるようなGO FACEのデッキではなく、序盤の盤面争いから始まって相手の残り体力をバーストダウンできるまでテンポを維持していくことが戦略のキモとなります。
これまでShamanというクラスにおいて、相手のミニオンを一掃する有効な手段は基本的に《ライトニングストーム / Lightning Storm》が頼みの綱となっていました。しかしこのカードはオーバーロード/Overloadという枷を背負うため、Aggro Shamanのようなデッキとは本来相性が良いものではありません。
これと比べて《メイルシュトロームのポータル / Maelstrom Portal》は相手のミニオンにAoEダメージを発生しつつミニオンを生成する、つまりテンポを生みだすAoEスペルであるため、Aggro Shamanのデッキにも1枚は採用されるようになりました。 このカードはマナコストの低さも優秀ですが、とりわけヘルス1のTokenを有効に除去する手段としてもShamanにとってはデッキタイプを問わず待望のスペルだったのです。
そして新たな武器カードの《精霊の爪 / Spirit Claws》も非常に優秀です。1マナという低コストに加え耐久度/Durabilityが3もあるため、ミニオン除去から相手ヒーローへのダメージ源として汎用性が高く、呪文ダメージ/Spell Damageミニオンと親和性の高いShamanのデッキにはすんなりフィットしました。
上記2種の新カードが採用されるようになったことで、Shamanのデッキ構築は明確に変化の波が押し寄せています。従来の《トンネル・トログ / Tunnel Trogg》から始まるオーバーロード/Overload付きの強大なミニオンとTotemミニオンの連携に加え、《ブラッドメイジ・サルノス / Bloodmage Thalnos》を採用しAoEと新たな武器オプションを加えたShamanは徐々に、ゲーム中盤での対応力を高めながらMidrangeへ寄せる傾向が強まりつつあります。
具体例を挙げると、呪文ダメージ/Spell Damage+のアビリティを持つ《ブラッドメイジ・サルノス / Bloodmage Thalnos》や《アジュア・ドレイク / Azure Drake》を加えたことでカードドローの恩恵を同時に獲得したものの、《アージェントの騎兵 / Argent Horserider》など突撃/Chargeミニオンのオプションを失い、プレイヤーによっては4/7/7や《ドゥームハンマー / Doomhammer》の枚数を削る構築例も見られます。
◆ サンプルデッキリスト
Xixo's Aggro Shaman feat. Spirit Claws [Twitter]
Feno's Aggro Shaman [Twitter]
不撓不屈のウォリアー
ほんの一ヶ月ほど前にラダーを回すと、誰もが実感するほど高い頻度でWarriorとマッチングするのが日常でした。Vicious Syndicateの公開しているvS Data Reaper Reportの統計によると、Dragon Warrior人気が最高潮に達していた当時のプレイヤー数は全体の26%に到達していたそうです。2000人未満のデータに基づくサンプルサイズであることを差し引いても、実に4人に1人がWarriorという割合には驚かされます。
特筆すべきは、昨年のPatron Warrior旋風のように単一のデッキが異常な支持を集めているわけではないことです。既存のControl WarriorとPatron Warriorに加え、C'Thun Warrior、Tempo Warrior、Aggro Warrior、Dragon Warrior、さらにOTKコンボデッキが流行したことにより、ゲーム中盤まで相手のデッキタイプを読み切れないほどバリエーションに富んでいます。古い人々はかつてControl Warriorしか環境に存在しなかった不遇な時代がまるで幻であったかのように感じることでしょう。
これはもちろんラダーのみに限定された話ではありません。たとえば丁度ひと月前の夏季EU地域選手権の出場プレイヤー162名のうち、実に154名(95%)のプレイヤー達がいずれかのバージョンのWarriorデッキを持ち込みました。そして最も使用数の多いヒーローであるにも関わらず、実際にプレイされたゲーム数は他の人気クラスであるShaman/Warlock/Druidの半分の数字です。それだけWarriorがBan対象に指定されていたという異常な事態となっていました。まさにWarriorstoneとでも言うほか無いほどに、このクラスは黄金時代を迎えていたのです。
そこへきて今回の「ワン・ナイト・イン・カラザン」は思わぬ影響をもたらしました。ここまで目に見えてWarriorが減少することになるとは、いったいどれだけの人が予測できたことでしょう。
ふたたびvS Data Reaper Reportを参照すると、7月後半から8月初旬にかけて最盛期を迎えていたWarriorのプレイヤー数は半分へと激減しました。同様に下降線を描くWarlock、向かうところ敵無しのAggro Shaman、破竹の勢いで駆け上がるHunter。ほんの3週間程度でここまでの変化が訪れたことに改めて目をみはるばかりです。
参照リンク:vS Data Reaper Report #16 [Vicious Syndicate]
9月2日にアドベンチャーモード第四週のコンテンツが開放され、これで全てのカードがコレクションに加わりました。現在の環境における力関係を評価するに時期尚早なのはもちろんです。しかしWarriorがここまで数を減らした原因を探るためには、カラザンのパーティナイトをWarriorがどのように過ごしていたのか振り返ってみる必要がありそうです。
◆ ドラゴンと旧神の墜落
半減したWarriorクラスのプレイヤー数を割合で見ていくと、Dragon WarriorとC'Thun Warriorの減少が特に目立ちます。ワン・ナイト・イン・カラザンのリリース開始以降、このふたつのデッキタイプは目に見えて支持を失っていきました。その原因は複数考えられ、まず第一にカラザン前半の新カードはこのデッキ達にとって魅力がなく、新カードの目新しさに惹かれたプレイヤー達が他のデッキを使用していたことにあります。せっかくの新環境で内容が代わり映えないデッキが人気を落としてしまうのも当然のことでしょう。
そしてもう一つの要因がHunterにあるとみられています。《やさしいおばあちゃん / Kindly Grandmother》によって序盤のボード争いを補強されたHunter達に脅かされた結果、Warriorたちはずるずると後退を余儀なくされていきました。
一方で、意外なカード達がWarriorのデッキにカンフル剤となります。第二週に追加された《魔力の巨人 / Arcane Giant》は前環境の末期に流行したWorgen OTKのコンボデッキに取り入れられ、様々なバリエーションを生み出します。さらに低コストなカードサイクル手段として《ルーンの卵 / Runic Egg》を採用するという工夫も見られました。
そしてカラザンリリースの終幕が近づくにつれ、既存デッキに新カードを取り入れる構築例が目立つようになります。Dragon Warriorにはカードドローを担う《キュレーター / The Curator》、C'Thun Warriorに新たな武器の《愚者殺し / Fool's Bane》、Control Warriorに《アイアンフォージのポータル / Ironforge Portal》などなど・・・
大きく数を減らしたDragon Warriorはラダーにおける人気回復の兆候は見られないものの、いまだにこのクラスにおいては最多勢力です。そのすぐ後ろを様々なデッキタイプが追随しており、勢い衰えたといえどWarriorの軍団は2016年のメタゲームをこのまま力強く駆け抜けていくと思われます。
◆ サンプルデッキリスト
Luffy's Legend Dragon Tempo Warrior [Twitter]
Dog's C'Thun Warrior - ONOG 2016 PAX Prime Finals [Hearthhead]
Navioot's N'Zoth Control Warrior/Ironforge Portal [Twitter]
Reynad Blood Warrior [TempoStorm]
!whole new meta deck-worgen combo warrior after karazhan whole new best ver! [Hearthpwn]
マジカル・ドルイド
ワン・ナイト・イン・カラザン実装によって勢力を拡大したクラスのひとつがDruidです。ダブルコンボが健在であったMidrange Druidの時代を思いださせるほどに、ラダーではポピュラーなクラスになりつつあります。もちろんその原動力となったのは《動物園の監視員 / Menagerie Warden》の解禁によるBeast Druidの急増です。この構築スタイルがとうとうメジャーデッキとしての市民権を獲得したことで、Token Druidに肩を並べるほどのアーキタイプを増やすことに成功しました。
一方でToken Druidはカラザンの前半カードに魅力を覚えずプレイヤー数が減少、しかし第三週には《魔力の巨人 / Arcane Giant》を採用して増加という乱高下を見せ、その後はFr0zenの構築に代表される《マリゴス / Malygos》ビルドのバリエーションを生み出し変化を続けています。
トーナメントシーンではToken Druid(またの名をYogg Druid)を見ない日はなく、現在のDruidクラスを代表するデッキの座をBeast Druidへ譲る気配はまだ見せていません。アメリカ・EU両地域の夏季選手権予選において最もプレイされたデッキこそToken Druidであり(Vicious Syndicateの集計を参照)、カラザン実装開始から開催されたメジャートーナメントのInsomnia Truesilver Championship、そしてPax Primeの会場を舞台にしたONOG 2016 Circuit Finalsでもその傾向に変化は現れませんでした。
参照リンク:
Summer Preliminary Statistics of the Americas and European Championships [Vicious Syndicate]
GEICO ONOG 2016 PAX Prime Finals Decklists [Hearthhead]
◆ 巨人とケモノ
スタンダード環境前のDruidはマナブーストからの強大なミニオンの召喚、そしてゲーム終盤の《自然の援軍 / Force of Nature》+《獰猛な咆哮 / Savage Roar》の連携を主力としていました。時が移り現在は、スペルカードと少数のミニオンを主体にTokenを展開し力強くテンポを発生するToken Druidが最も支持を集めています。
このToken Druidにドラゴンアスペクトの強大な魔力を加えたデッキは、シーズン29の終盤から現在にかけて最も熱い視線を注がれるビルドのひとつです。《マリゴス / Malygos》というオプションにはコンボに偏重したイロモノという印象がつきまといがちですが、Token Druidでは本来の構築思想からさほどはみ出していません。
コンボパーツのひとつは元からデッキに含まれている《生きている根 / Living Roots》です。そしてもうひとつの低コストなスペル、《月の炎 / Moonfire》はカード1枚の価値が低いというデメリットを抱えつつも、《ヴァイオレット・アイの講師 / Violet Teacher》や各種呪文ダメージ/Spell Damage+ のミニオンとシナジーを持ちます。仮に《マリゴス / Malygos》と組み合わせる前に使用を迫られても有意義であり、もちろん《魔力の巨人 / Arcane Giant》を低コストで召喚する燃料として、《希望の終焉 ヨグ=サロン / Yogg-Saron, Hope's End》へ捧げる生け贄としての価値もあります。
マナブーストやカードシナジーと複数のコンボによってToken Druidは柔軟なプレイングを可能とし、《マリゴス / Malygos》のオプションは一層の複雑さを加えています。このためデッキの習熟は難しい部類に入り、ラダーでの人気は落ち込む可能性もあります。
しかしたとえラダーでのプレイヤー数をBeast Druidを下回ろうとも、現在の環境で最も警戒すべきDruidのデッキタイプであることに変化は無さそうです。トーナメントでは言わずもがなのことでしょう。
◆ サンプルデッキリスト
Fr0zen's Malygos Yogg Token Druid - ONOG 2016 PAX Prime Finals [Hearthhead]
koroneko's Beast Druid [Twitter]
けものがれ俺らのハンター
カラザンリリース後のラダーにおいて最も大きなトピックは、事前予想をはるかに超えたHunterの急増です。Face Hunterの評価がいまだ回復していないにも関わらず、このクラスはShamanとWarriorを抑えラダーの最大勢力に返り咲きました。
理由のひとつには《覆面の女ハンター / Cloaked Huntress》と《帽子から猫 / Cat Trick》の実装によるSecret Hunterの構築がプレイヤー達の興味を惹いたことにあるでしょう。《発射準備 / Lock and Load》とのコンビネーションなど驚異的な爆発力の可能性をかいまみせるこのデッキは確かに今後要注意かもしれません。
しかし現在のHunterデッキの主力は獣/Beastシナジーを基調としたHybridとMidrangeのスタイルです。《サバンナ・ハイメイン / Savannah Highmane》など定番の強力なカード達に加え、前回の拡張版で場残りの良い《蝕まれしオオカミ / Infested Wolf》、ゲーム終盤の《荒野の呼び声 / Call of the Wild》が実装されたことで非常に手堅い一貫性を持つヒーローとなりました。
唯一の穴はゲームの最序盤にドロップする獣/Beastがトレードに貧弱であったことです。かつて《呪われた蜘蛛 / Haunted Creeper》が存在していたHunterの2マナ枠のミニオン達は容易に除去が可能であり、Aggro ShamanやWarrior、Zooに対して盤面争いに不利を抱えていました。この問題への対処として、MrYagutなど一部のプレイヤーはMidrange Hunterのデッキに《終末予言者 / Doomsayer》を加えていたのです。
今回のワン・ナイト・イン・カラザンで追加された《やさしいおばあちゃん / Kindly Grandmother》はまさしくHunterの求めていた2ドロップで場残りの良い断末魔/Deathrattleミニオンであり、これをもってBeast Hunterは完成したと言っても過言ではないかもしれません。
デッキ傾向は《イーグルホーン・ボウ / Eaglehorn Bow》を持ちながらも秘策/Secretは採用せず(または最小限に抑え)、断末魔/Deathrattleによって盤面にTokenを残すミニオンが多く採用されています。この特徴から《バーンズ / Barnes》とも相性が良いため採用例が多く見られます。
◆ サンプルデッキリスト
Eloise's Rank 7 Legend Hunter [Twitter]
Muzzy's Legend Midrange Hunter [Twitter]
パワーハウス・メイジ
現在のMageクラスで主流なTempo MageというデッキはNaxxのリリース後に確立され、拡張版を経る毎に進化を遂げてきました。そもそもは《マッドサイエンティスト / Mad Scientist》でマナ消費無く秘策/Secretを設置したり、《不安定なポータル / Unstable Portal》によって本来召喚できない高コストのミニオンを召喚、または《魔法使いの弟子 / Sorcerer's Apprentice》によるスペルのマナ削減など、マナ効率の高いカード達によって敵ミニオンを排除しつつテンポを維持することから出発したデッキです。
BRMの《フレイムウェイカー / Flamewaker》はスペル使用のシナジーによって盤面の脅威を雪だるま式に積み重ねる活力を与えました。同時期の《ソーリサン皇帝 / Emperor Thaurissan》はマナ効率を高めつつゲーム終盤のバーストダメージに更なる可能性を加えています。
LOEアドベンチャーは除去に使用したあとバーストダメージとして返ってくる《忘れ去られた松明 / Forgotten Torch》、状況に合わせたスペルを取得する《イセリアルの魔術師 / Ethereal Arcanist》が追加され、そして前回の拡張版ではスペルを使用しながらスペルを手札に増やす《カバル教団の魔導書 / Cabalist's Tome》が実装されています。
言うまでもなく、これらスペル使用を重視するプレイスタイルと相性の良い最悪の旧神、《希望の終焉 ヨグ=サロン / Yogg-Saron, Hope's End》がほぼ全てのTempo Mageのデッキに居座るようになりました。
Tempo Mageというデッキは既に生まれた当時の構築思想から逸脱しており、実に様々な可能性を内包しています。カラザンの新カード《おしゃべりな本 / Babbling Book》がいまこのデッキにおいて採用する価値があろうとは、さすがにプレイヤー達の予想を超えていたのかもしれません。
もうひとつの新カード《炎の大地のポータル / Firelands Portal》は事前評価通りにTempo Mageと相性が良く、使用する機会の少なくなっていた《フレイムストライク / Flamestrike》と置き換えられる形でスムーズにデッキに取り入れられました。
◆ サンプルデッキリスト
Asmodai's Rank 2 Legend Tempo Mage [Twitter]
Ant's Rank 67 Legend Tempo Mage [Twitter]
グルダンの逆襲なるか
新カードによって補強されるDiscard(手札破棄)のシナジーを強みとするデッキ構築のアイデアについては、カラザンのリリース前からたびたびプレイヤー達の話題にのぼっていました。《魂の炎 / Soulfire》や《ドゥームガード / Doomguard》のデメリットを、手札の枚数上では打ち消してくれる《マルシェザールのインプ / Malchezaar's Imp》、そして狙い通り手札から破棄されれば召喚コスト無しで盤面に3/3を置ける《銀食器ゴーレム / Silverware Golem》。このふたつを加えてリファインされたZooのデッキは恐ろしく強いであろうとプレイヤー達の期待は膨らんでいたようです。
第一週に《銀食器ゴーレム / Silverware Golem》が解禁されからさっそくDiscard Warlockの構築が試されました。しかしカードドローのエンジンを担う《マルシェザールのインプ / Malchezaar's Imp》が一番最後の週に予定されていたためデッキは未完成であり、Discardのランダム性という欠点も目立ったことでプレイヤー達の間には徐々に失望が広がっていました。
もうひとつの新カード《カラ・カザーム! / Kara Kazham!》の使い所がまったくもって見いだせなかったこと、そしてRenolockの不振が続いているというネガティブな要素が積み重なった結果、カラザンリリース後にこのクラスの人気は坂を転がるように下り続けていました。Zoo Warlockのみに限ればトーナメントでいまだに一、ニを争う人気のデッキであるにもかかわらず、ラダーからWarlockは日を追うごとに姿を消しつつあったのです。
期待を裏切るように低調だったDiscard Warlockはしかし、《マルシェザールのインプ / Malchezaar's Imp》が開放された途端に評価を一変させました。ラダーでの人気はやや回復の兆候という程度ですが、すでにトーナメントシーンではDiscardのシナジーを取り入れたZooが幅を利かせて始めています。
かつてZooを使用し3サーバーで同時にレジェンドランク1位という偉業を達成したXixoの評価が正しければ、これからDiscard Zooがメタゲームを引っ掻き回し現在の力関係に変化をもたらしていくのかもしれません。
◆ サンプルデッキリスト
Xixo's Zoo Warlock [Twitter]
Dart's Aggro Zoolock - ONOG 2016 PAX Prime Finals [Hearthhead]
Zoo is so busted I might go for triple #1 again LUL
— Sebastian Bentert (@NaViXiXo) 2016年9月3日