アドベンチャーモード「ワン・ナイト・イン・カラザン」のカードは全て解禁され、新カードを採用したデッキにスポットを当てるこの特集記事も最後になります。
新カードを利用した構築アイデアはプレイヤーの数だけ存在し、目新しいデッキもいくらか登場して目移りしてしまうでしょう。それはあなただけでなく、ラダーで対戦する相手の使うデッキも同様です。見たこともないカードプレイに困惑することもあるかもしれません。そうした新鮮な刺激こそが新カード追加後の最大の楽しみであるとわたしは考えています。これまでなかったカードの組み合わせによる新しい戦略を思いっきり満喫しましょう。
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区画攻略
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デッキとメタゲーム
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新カード解禁スケジュール
区画 | ザ・プロローグ(The Prologue) - 8月12日 |
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ボス報酬 | 《魔法のワタリガラス / Enchanted Raven》 《炎の大地のポータル / Firelands Portal》 |
パーティナイト・メタゲーム2016
新アドベンチャー「ワン・ナイト・イン・カラザン」の最終区画がリリースされ、これにてパーティーの準備がすべて整いました。ストーリーはメディヴを救うという名目のパシリ扱いでパーティーを楽しんだ印象は残りませんが、45種の新カードが加わり変化した環境こそがパーティナイトの本番となります。
今月のプレイモードシーズン30はカラザンの新カード全てが開放されてから迎える最初のシーズンです。この新環境を制するのはいったい誰か。注目を浴びるデッキ達は日々めまぐるしく入れ替わり、我こそはと名乗りをあげるヒーロー達の競争は混迷を極めています。
第三週から始まる各地域の夏季選手権トーナメントは、残り4ヶ月となった今年のメタゲームを占うのに絶好の機会となるでしょう。
地域選手権スケジュール:
アメリカ夏季選手権: 9月18~19日午前1時(日本時間)
ヨーロッパ夏季選手権:9月25~26日午前1時(日本時間)
アジア太平洋夏季選手権:10月1日~2日午後1時(日本時間)
ハースストーン夏季選手権を見逃すな! [Battle.net]
余談ですが、例年に従えば次回のカード追加は11月のBlizzConで発表となり、実装されるのは12月中となる見込みです。そして、そこで追加される新規コンテンツは拡張版カードセットになると考えられています。これはまだハースストーン公式から正式にアナウンスされた内容ではありません。公式ブログで告知されている内容は「最初の拡張版のリリースと共にハースストーンの新年が始まり」という表現に留まり、確かなことは新しいスタンダードイヤーを始める最初のカードセットが拡張版(expansion)になるということだけです。
これまでハースストーンの追加コンテンツは拡張版とアドベンチャーモードが交互に実装されてきました(Naxx,GvG,BRM,TGT,LOE,WotOG,ONiKの順番)。この順番通りであれば、次回は拡張版カードセットになることが予想される理由のひとつです。そしてもうひとつの根拠は昨年の9月のこと、スタンダードフォーマット導入を検討するBlizzardはこれまでのコンテンツ実装順序を見直し、年間にふたつの拡張版とひとつのアドベンチャーを実装するタイムラインを検討していることを明らかにしました。
Inside Blizzard's radical new approach to working with players [Polygon]
新しいプレイ方法 [Battle.net]
ユニコーンプリースト2017
ラダーを席巻していたWarriorが急激に減少したことのような事象に着目すれば、カラザンの新カード達がメタゲームにインパクトを与えたことは確実です。とはいえど、スタンダードカードプール719枚に対してたった45枚の新カードの追加のみでは天変地異を引き起こすほどの変化は望めません。今年の勝ち組は勝ち組のままに、椅子取りゲームはShaman,Warrior,Druid,Hunter,Mage,Warlockの6クラスがほとんど占有しています。
PaladinとRogueはラダーでの人気は低迷していますが、トーナメントならやはり根強い支持を獲得しています。どこへ行ってもおめーの席ねぇからと言われるのはPriestだけです。新カードによって着実に力を増し見直されつつありますが、ここからイノベーションを起こすという期待感は持てないままです。
しかし、熱心なPriestプレイヤー達は悲嘆に暮れる必要はありません。2015年をTier4収容所にとらわれた囚人のように過ごしたShamanは苦難が報われました。今やトログサイキョーの時代です。ハースストーンのメタゲームは臥薪嘗胆、インガオホー。Secret Paladinで暴れすぎたウーサーがいまや見る影もないように、すべては巡り来るものなのです。
かつてPriestにも黄金時代が幾度か存在しました。もっとも古い約3年前のクローズドβ期には、このヒーローがメタゲームの帝王として崇められた過去もあるのです。あの当時のように、そろそろPriestが覇権を握る時代がやってきてもなんらおかしくはありません。
もうまもなくPriestがTier1へと君臨する未来をわたしが確信しているのは、動かぬ証拠があるからなのです。皆さん今年のクラーケン年が始まる時のことを憶えていますか?ハースストーンゾディアック(十二宮)の文字盤は現在クラーケンの上で止まっています。その左へ注目してください。
そこには来年を象徴する動物のシルエットが描かれています。もうおわかりでしょう、2017年のスタンダードイヤーはユニコーン年です。これはつまり、誰もが夢見て到達できなかったあのユニコーンプリーストがついに、我々の前に姿を現すという啓示に違いありません。
◆ サンプルデッキリスト
StrifeCro's Dragon Control Mage [Hearthstone Players]
Brian Kibler Makes Dragon Paladin Great Again! [Youtube]
Vlps's Dragon Priest [Twitter]
Sjow Dragon Warrior w Netherspite Book Wyrm Deck September 16 [HS Decks and Guides]
[s30] Dragon Control Warrior [Hearthpwn]
Muzzy Dragon Druid Deck w Book Wyrm [HS Decks and Guides]
ドラゴン/Dragon種族シナジーを持つ2体の中立ミニオンが最終区画で開放されました。著名なBrian Kiblerをはじめとして、この種族に特別な憧憬を抱き熱心にデッキ構築へ挑む人々は少なからず存在します。彼らが手がけた新たなDragon種族デッキはやはり、今回追加されたカードの性格に沿ったものでした。この一週間で見られたその構築アイデアを一通りチェックしておきましょう。
クラス毎の構築傾向を見て行く前に《ネザースパイトの歴史家 / Netherspite Historian》について一言。このカードは事前評価では見くびられていたミニオンだとプロプレイヤー達は分析しています。このミニオン本体は貧弱なスタッツですが、発見/Discoverによって手札に追加されるのはドラゴン/Dragonミニオンに限定されるため、有効なカードを取得できる見込みが大きいというのがひとつ。そしてクラスカードが候補に現れやすい発見/Discoverの性質に従い、クラス専用のドラゴン/Dragonミニオンを取得できる可能性が非常に高いということです。《ネザースパイトの歴史家 / Netherspite Historian》の運用にはこの点を考慮に入れておく必要があるでしょう。
さて、一般的にドラゴン/Dragon種族と親和性が高いとは考えられていないMageのクラスでも、折に触れて種族シナジーを重視したデッキ構築を試されることがあります。ハースストーンの歴史上初めてドラゴン/Dragon種族ミニオンのシナジーが解禁されたBRMアドベンチャー、クラス専用Dragonの《コールダラ・ドレイク / Coldarra Drake》が追加されたTGT拡張版、いずれもごく短期間の間で忘れ去られてきました。今回は生き残れるでしょうか。
StrifeCroの構築はこれまで試みられてきたDragon Mageのスタイルを踏襲し、多数のAoEと体力を保護する秘策/Secret、設置された秘策/Secretがアビリティ起動の条件となる新カード《メディヴの従者 / Medivh's Valet》も加えボードコントロールに偏重したControlデッキとなっています。相手の脅威に対処するカードを数多く採用している一方で、《ネザースパイトの歴史家 / Netherspite Historian》・《カバル教団の魔導書 / Cabalist's Tome》・《ガーディアン・メディヴ / Medivh, the Guardian》などデッキ外からカードを引き寄せる手段も備えていることが特徴でしょう。
お次はPaladin。このクラスは前回の拡張版でControlデッキに適した様々なツールを与えられました。一方でクラス専用の種族ミニオン《ドラゴンの寵臣 / Dragon Consort》や今回のカラザンで加えられた《ナイトベイン・テンプラー / Nightbane Templar》は明らかにテンポに利する性質であり、この二つの微妙なズレからDragon Paladinの構築は面白くも難しいと言われています。Brian Kiblerも当初はMidrangeスタイルで構築に着手しましたが、《ナイトベイン・テンプラー / Nightbane Templar》など序盤のミニオンを《平等 / Equality》などに置き換えていった結果、カラザン仕様のDragon Control Paladinを完成させるに至りました。
Anyfin ControlやN'Zoth型のヘビーコントロールと比べると、このControl-ish(コントロール寄りっぽい)なKiblerのデッキはバーストダメージを持たず相手の脅威への対処にも欠けています。その一方でドラゴン/Dragon種族のシナジーはトレードに有利な盤面を作り出し、Midrangeのようにテンポを競り合いながら終盤のカードバリューでアドバンテージを創りだすことも可能です。
まだまだ他のクラスが残っているのでテンポよくいきましょう。次はDragon Priestです。こちらはPaladinと対照的に、TGTで確立されたControl-ishの構築傾向から方向性を転換しました。盤面をクリアする《光爆弾 / Lightbomb》を失い、手堅く序盤を築く《チビ・トワイライトドラゴン / Twilight Whelp》、《ワームレストのエージェント / Wyrmrest Agent》が残った結果としてAggroに耐性を持つMidrangeのデッキへと変化を遂げたものの、現在の環境でその有効性はいまのところ評価されていません。
最後はWarrior。今回追加されたカード達は既存のDragon Tempo Warriorに相性が良いものではないため、このクラスではスタート地点から考え直す必要がありました。《キュレーター / The Curator》入りのDragon Tempo WarriorでNA1位を奪取したばかりのSjowは、クラス専用のミニオン達と差し替える形でMidrangeのデッキを組み直しています。
一方でチームSector OneのMitsuhideは、トレンドになっている少数に絞った断末魔/Deathrattleミニオンと《頽廃させしものン=ゾス / N'Zoth, the Corruptor》を加えるControl型Dragon Warriorを構築しました。《ブック・ワーム / Book Wyrm》が実装されたことで昨年以上にControl Dragon Warriorは可能性を秘めているのかもしれません。
なお、上記のクラス以外でもDragonデッキの構築を試すプレイヤー達が一部存在します。MuzzyはDragon DruidがTier1に相応しいデッキだと主張していますが、残念ながら同意は得られていません。
◆ サンプルデッキリスト
S30-Fibonacci's Yogg Warrior Control [Hearthpwn]
ダメージを受け付けなくなる無敵/Immuneはバランス調整がキワドイためか、ワイルド含めて現在6枚のカードしか存在しない珍しい能力です。《ヴァイオレット・アイの幻術師 / Violet Illusionist》はボード上に存在するあいだ効果を発揮し続け、しかもクラス共通で使えるカードであるため色々と悪巧みを実現する恐ろしさを秘めているかもしれません。
ただしこのミニオン自体の除去はさほど難易度が高いものではないため、アビリティの恩恵を十分に受けるには召喚したターンに何かしら他の行動が取れることが必要です。この性質とWarriorの《愚者殺し / Fool's Bane》はベストマッチのひとつでしょう。
武器によるミニオン除去のダメージをシャットアウトしつつ、1ターン中に3ダメージで4回殴れるこのコンビネーションはControl Warriorのデッキで評価が行われている最中です。
◆ サンプルデッキリスト
Senfglas’ Control Warrior w/Prince Malchezaar [Hearthstone Players]
デッキ外から5枚のレジェンダリーを追加するという凄まじい能力の中立ミニオン。デッキが30枚に限定されているこのゲームでは破格の性能といっても過言ではありません。本体のスタッツが上々であることも評価できるでしょう。ただもちろん、環境に存在するほとんどのデッキはカードを山札から全て引き切るほど長引かせる構築ではないため、この新カードが有効に機能するデッキはごく限られています。そのひとつはやはりWarrior Controlです。
しかし有効活用できるWarrior Controlといえど自動的に入るようなカードでもありません。ものの役に立たないレジェンダリーミニオンがデッキに含まれてしまい、必要な状況に有効な除去カードを引き当てられないリスクも増加します。実際のところラダーではこの点が致命的です。唯一このカードが意味を持つのは、結局のところ疲労/Fatigueが見えてくるControlデッキ同士の対決にまで限定されてしまうように思われます。
ただその状況においてのみ、このミニオンは非常に有効です。カードを5枚ドローする分だけ疲労/Fatigueが遠くなるのは絶大な効果です。また、仮に《役立たずの探話士 / Lorewalker Useless》のような疫病神がデッキに入れられてしまった場合も、《エリーズ・スターシーカー / Elise Starseeker》でカードを入れ替えるチャンスは残されています。
◆ サンプルデッキリスト
Thijs' Legend Tempo Mage feat. Medivh [Twitter]
New Era of the Reno Mage [Hearthpwn]
StrifeCro's Dragon Mage [Hearthstone Players]
Orange's Secret Control [Twitter]
Savjz - Medivh Warlock [Twitch]
カラザンパーティーナイトの主催者メディヴは全てのクラスで使用可能な武器、《アティシュ / Atiesh》をプレイヤーに与えてくれます。この性質とご本人がアークメイジなこともあってか、この一週間はMageクラスの様々な構築で試されました。
ThijsやHotformはTempo Mageのゲーム後半ミニオンとして採用し戦果をあげていたようです。しかし、Tempo Mageは低コストなスペルが多いため、《ガーディアン・メディヴ / Medivh, the Guardian》召喚は終盤の決め手としては力不足な印象です。単純にTempo Mageそのものが優秀なだけではないかと見る向きもあります。
このアビリティを最大活用するには当然高いコストのスペルを使用することが望ましく、他にはControl型の構築に採用するプレイヤー達が多く見られました。また、Savjzが構築したRenolockのように、Mage以外のクラスでも有効活用する可能性は多分に残されているでしょう。このミニオンについてはもうしばし、プレイヤー達の構築アイデアが試される時間を必要としています。
◆ サンプルデッキリスト
Dream of Medivh [Karazhan Ramp Druid] [Hearthpwn]
Druidクラスに用意されたポータル系の新カード。正直なところ、このカードを利用した構築はほとんどプレイされていません。その理由の大半はどんなデッキにフィットするかプレイヤー達も測りかねていることでしょうか。または、Beast Druidの研究が楽しいものか、それともMalygos Druidの完成度が高すぎるためかもしれません。
そうした状況の中でも、少ないながら新たな構築アイデアに着手したプレイヤー達が存在します。彼らが試みたのはRamp Druidにこのカードを採用した実験的なデッキです。興味深いのは《ガーディアン・メディヴ / Medivh, the Guardian》の与える武器から更なるバリューを得ようとするコンビネーションです。
旧来のRamp Druidがアグレッシブなデッキに対処する手段は強大な挑発/Tauntミニオンによってシャットアウトすることでした。しかし《戦の古代樹 / Ancient of War》を出すまで追い詰められたヘルスを回復する手段は少なく、挑発/Tauntではスペルダメージを防ぐこともできません。《ムーングレイドのポータル / Moonglade Portal》はこの弱点を解消しつつ、盤面にミニオンを出していく手段として新たな可能性を与えています。
お馴染みのHearthstone Playersでは会員専用の記事が配信されてますので、このサイトに登録されている方は目を通してみるのをおすすめします。
Portal Druid Guide: Enter the Moonglade [Hearthstone Players]
◆ サンプルデッキリスト
S30 StrifeCro's Battlecry Control Mage [Youtube]
New Era of the Reno Mage [Hearthpwn]
Secret Mage *NEW/UPDATED* [Hearthpwn]
この新カードはボード上の敵ミニオンを排除しつつミニオン本体を置くという性質から、Rogueの《SI:7諜報員 / SI:7 Agent》に酷似しています。そして使い手が異なればデッキの性格も大きく変わり、この一週間はControl系のデッキで採用される例をいくつか見ることができました。
StrifeCroのデッキを眺めていくとFreeze Mageのリストに共通したカードが数多く見つかります。そしてFreeze Mageの派生と考えると、異物のようなカード達がたくさん散らばっているように見えるでしょう。相手の脅威を排除し続ける手段はたしかに類似していますがウィンコンディションは大きく異なり、実際のところこのデッキはいわゆるConcede Mage(aka Battlecry Mage)に分類されるControl型のデッキです。
また、少ない例では秘策/Secretとそのシナジーに特化したSecret Mageを構築したプレイヤーも居るようです。こちらは能動的に盤面をとりテンポを保つ手段として《メディヴの従者 / Medivh's Valet》を利用しています。
◆ サンプルデッキリスト
Feno's Rank 6 Legend Aggro Shaman [Twitter]
Xixo's Aggro Shaman feat. Spirit Claws [Twitter]
VLPS' Rank 3 Legend Midrange Shaman [Twitter]
TwoBiers Midrange Shaman [Twitter]
Xixo’s Totem Shaman Ft. Spirit Claws [Twitter]
さすがにShamanのデッキはもう見飽きたでしょうか。サンプルに並べたデッキリストを比べるとそれぞれ細かな違いが見受けられ、《精霊の爪 / Spirit Claws》の登場がShamanのデッキ構築に変化をもたらしたことに気が付けばきっと興味をそそられるはずです。
まず上から典型的なAggro Shamanに《精霊の爪 / Spirit Claws》を1枚だけ加えた例。ヒーローパワーのトーテムを除けば、アビリティを発動させる手段は《ブラッドメイジ・サルノス / Bloodmage Thalnos》だけです。これに対してXixoは2枚採用し、《アジュア・ドレイク / Azure Drake》でアビリティ発動の機会を増やしながら《ドゥームハンマー / Doomhammer》の枚数などを削っています。
耐久値が3もあるこの新武器はゲーム序盤の競り合いに優れており、Tokenなどヘルスが低いミニオンの処理から相手ヒーローに対するダメージソースとしても機能する幅広い用途を持ちます。ただしアビリティの発動条件が特殊であることも加味して、既存のAggro Shamanの戦略とすり合わせるにはミニオン選択から考え直す必要があります。
これはMidrange Shamanにおいても同様です。VLPSのデッキはヒーローパワーを打つ機会が多く、《怒れる大気のトーテム / Wrath of Air Totem》の出現に期待できるものの確実性に欠けます。このデッキはほぼゲーム序盤のPingダメージとして相手ミニオンを有効に処理する手段に《精霊の爪 / Spirit Claws》を1枚加えたものです。一方でTwoBiersは《アジュア・ドレイク / Azure Drake》やゲーム中盤に有効なミニオンを増やしつつ、4/7/7と《野獣の精霊 / Feral Spirit》、果ては《トンネル・トログ / Tunnel Trogg》まで落としたMidrangeへと変化しています。
◆ サンプルデッキリスト
Mr. Yagut's Burgle Rogue [Twitter]
Feno's Rank 1 Legend Tempo N'Zoth Rogue [Twitter]
Nostam's Aggro Rogue [Twitter]
《強盗 / Burgle》が追加されたときには、ついにRogueが泥棒らしくなると期待(?)されていました。ですが実際には有効にプレイされることはほとんどなく、コレクションの片隅に埋もれていたカードです。ランダム性に依存するカードを3マナ費やして取得する意義が見出だせなかったことが原因でしょう。
新カードの《イセリアルの売人 / Ethereal Peddler》は相手のカードを盗むことに利点を与え、Burgle Rogue(またはThief Rogue)をラダープレイに耐えうるデッキに昇華させました。相手のクラスカードを2コスト減衰して使用できるメリットは明確なテンポゲインとなり、ランダムに取得されるカードがもたらす驚きと意外性をプレイヤー達は様々な構築スタイルで楽しんでいるようです。
どのデッキにも共通する特徴は、《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》とスペルの数を削りミニオン主体で構成されていることです。古き良きTempo Rogueのように新カードのもたらすメリットが活かしつつ、カードの消費を相手から補充することでゲーム後半まで展開するMidrangeデッキが主に人気を集めています。
◆ サンプルデッキリスト
Sjow's Discard Zoo Warlock [Hearthstone Players]
Xixo's Zoo Warlock [Twitter]
Dart's Aggro Zoolock - ONOG 2016 PAX Prime Finals [Hearthhead]
カラザンの追加カードによってDiscard(手札破棄)のシナジーがより一層強化されました。そして、このDiscardは手札を捨てるデメリットと引き換えにテンポを稼ぐ性質のカードが多く、WarlockというクラスにおいてはZooの構築とミックスされていくのは自明のことでした。
《銀食器ゴーレム / Silverware Golem》が解禁された第一週からDiscard Zooは試されてきましたが、いまいち奮わなかったのが実情です。プレイヤー達からは期待外れの声も聞こえ始めていたところ、《マルシェザールのインプ / Malchezaar's Imp》の解禁はその評価を一変させています。
評価の理由はDiscardのシナジーが従来のZooを上回る爆発的なテンポゲインを可能にしたことです。これはWarlock側の盤面を展開するだけではなく、相手のミニオンとトレードする段階において優位を獲得する機会を増やしたことも重要です。たとえば《凄まじき力 / Power Overwhelming》は1マナで安価なミニオンを相手の強大なミニオンと交換することによりテンポアドバンテージを獲得する強力な手段です。これを《魂の炎 / Soulfire》と置き換えながらDiscardのデメリットを無くすことで、ミニオンを保護しつつアドバンテージへとつなげることが可能です。また、Xixoのように両方をデッキに採用することで機会を増やすことも有効でしょう。
そもそもヒーローパワーによって手札の補充に困らないWarlockにカードドローが必要かと疑問があるかもしれません。しかし《命を魔力に / Life Tap》で2マナを浪費せずカードを補充できることは十二分に意義があります。そして、《マルシェザールのインプ / Malchezaar's Imp》は手札を捨てまくるDiscard Zooが息切れせずに回転を続けるエンジンとなります。
また、盤面でこのミニオン自身も優秀に働くことが評価のひとつにあります。1マナ1/3は序盤のトレードに耐える十分なスタッツであり、Dartの構築ではさらに悪魔/Demonであることも利用されています。
◆ サンプルデッキリスト
Navioot's N'Zoth Control Warrior/Ironforge Portal [Twitter]
BoarControl's Control Warrior feat. Ironforge Portal [Twitter]
Zalae’s Reno Yogg Warrior [Twitter]
Druidの《ムーングレイドのポータル / Moonglade Portal》に近似した性能ですが、こちらはすんなりとControl Warriorの構築に取り入れられました。5マナを支払いたった装甲/Armor+4とランダムなミニオンでは割に合わないという事前評価が嘘だったかのようです。
実際使ってみるとかつての《シールドメイデン / Shieldmaiden》を若干小さくしたサイズのカードのようであり、Controlの構築スタイルとは非常に相性の良いカードであることが判明しました。悪くすれば《さまよう無貌のもの / Faceless Shambler》、上ブレすれば4/7/7が出てしまうランダム性に依存する点だけ気がかりですが、少なくとも対戦相手にミニオントレードを要求させつつ装甲/Armorを得ることは十分に価値が認められています。
◆ サンプルデッキリスト
Senfglas' Tempo Warrior w/Fool's Bane [TOP DECKS]
Senfglas' Tempo Warrior [Twitch]
Kolento's C'Thun Warrior [Youtube]
High Legend Decks – Beast Druid, Tempo Mage, Control Warrior with New Cards [Hearthstone Players]
相手ヒーローを直接殴れないデメリットと引き換えに、1ターン中に攻撃できる回数に制限がないというなんとも強烈なアビリティの新武器です。ヘルスの損失はともかくとして、5マナで3ダメージx4回の除去行動が行えるというのは破格というほかありません。それがメタゲームへの適切な解答となるかは環境に左右されますが、自身のミニオンを保護しながら相手の盤面を除去する手段として考慮するだけの価値はありそうです。
Senfglasは旧神環境末期に登場したTempo Warriorに取り入れ、KolentoはC'Thun Warriorで感触を確かめていました。時には非常に有効な場面が実際に存在するようですが、Warriorというヒーロー自体の人気低下に影響されてかこのカードの評価はもう少し時間を必要とするようです。
新カードを加えたデッキリストの検索
➥ Hearthpwn / decks
項目解説
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デッキ名の検索。あまり使わないがトーナメントデッキの検索に便利
Author:
デッキ登録者で検索。お気に入りのビルダーが居れば使うことも
Contains:
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上記と逆に、選択したカードを含まないデッキの検索条件
Patch:
デッキが最初に登録された期間の指定
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デッキタイプなど細かく設定可能。~is の絞り込み検索と~is not の除外検索を組み合わせると便利。
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