昨日よりハースストーン32回目のプレイモードシーズンが始まりました。先ごろ発表された通り、来年のBlizzard社公式世界大会ツアーへと参戦するためのポイント獲得は、今月のプレイモードラダーから集計されます。
さて今シーズンの開幕に皆さんはどんなデッキを使用するのでしょうか。練習を兼ねて大会で使用するデッキを使い込む人は多いでしょうし、普段とは違ったデッキタイプに挑戦しようと考えている人もおられるでしょう。もちろんさっさとランクを上げてしまいたい人は、Tier上位のデッキを選択するのが妥当な選択です。
今から3日後には今年のBlizzCon開幕を控えており、そこでは例年通り次期コンテンツの発表が行われると考えられます。その場で新カードの幾つかを見せてくれるでしょうし、次のカードセットはどんなギミックを特徴としているのか誰もが楽しみにしています。
しかし実際に新カードが実装されるのはまだまだ先のことです。それまでは現在の環境が継続し、ミッドレンジシャーマンストーンもどうやら変化はなさそうです。
さてそんな現在において、使用率の高いメジャーなデッキとは違う角度からメタゲームへアプローチするデッキのいくつかを、この記事ではご紹介していきたいと思います。刺激を求め新しいデッキを探す時に考える条件としては、ラダー最大勢力のMidrange Shamanと互角以上に渡り合うことが可能であり、かつその他のデッキとも相性が良いことが望ましいでしょう。
もちろん、そんな都合の良いものはそうそう転がってはいませんが、ShamanやDruidを中心としてゲーム展開がスローダウンした現在の環境には、様々なデッキにチャンスが訪れています。
◆ Control Shaman
ワン・ナイト・イン・カラザンで追加された新カードはShamanクラスに低コストのボードコントロール能力を与えました。この新たな力はMidrange Shamanにおいて遺憾なく発揮されているのは周知の通りです。しかしゲーム序盤から終盤までを通じてボードコントロールする能力は、このクラスに更なる可能性を拡げました。それがShamanクラスのControlデッキです。
同じクラスのMidrange Shamanに対し有利な相性に持つことから、このデッキは現在メタブレイカーの筆頭にも挙げられています。《荒野の呼び声 / Call of the Wild》のnerf調整によってMidrange Hunterが減少しており、以前よりもこのデッキをプレイしやすいことも好材料に数えられます。
デッキの基礎は相手のミニオンへと対処するスペルから成り立っており、ゲーム序盤をTotemや《野獣の精霊 / Feral Spirit》で支え、中盤以降にAoEで効率良く相手のミニオンを処理するカードが多数含まれています。ゲーム後半のファッティミニオンの選択には様々なバリエーションが有り、ドラゴン/Dragonや断末魔/Deathrattleなど特定の要素をシナジーとして取り入れたデッキも様々に試されているようです。
Fat Shaman - my homebrew with a 73% win rate from rank 5 to legend. [reddit]
Broken Meta malygos shaman high win rate [Hearthpwn]
[Spark] Elemental Drake (S31 Legend EU) [Hearthpwn]
N’Zoth Shaman Guide: Purging the Meta [Hearthstone Players]
◆ Shadowform Priest
光あるところに影あり。”The Light”の信奉者であるPriestというクラスには、聖職者のイメージに似つかわしくない暗い側面が存在します。《影なる姿 / Shadowform》はその象徴たるカードであり、ヒーローパワーをダメージへと転換するこのカードを用いたShadowform Priestは古くから何度も構築されてきたデッキです。
この戦術には幾つか弱点があり、その最たるものは闇落ちしたヒーローパワーでは体力が回復できず、このクラスの特徴である体力回復のシナジーを活かすことが出来ない点にあります。なぜ今再びこのデッキが試されているかというと、カラザンでPriestに追加された2種類の新カードは、この古い歴史を持つデッキの弱点を補う性能を持っていたからです。
《宴のプリースト / Priest of the Feast》はヘルス回復が不可能になったヒーローパワーの代わりを果たし、《オニキスのビショップ / Onyx Bishop》はテンポとカードバリューをもたらします。ダメージ能力へと転換されたヒーローパワーで相手のミニオンを延々と削り落とすこのデッキに、不利な状況を脱する新しい手段を2種類の新カードはもたらしてくれました。
I think a competitive Shadowform Priest deck is possible. Here are my thoughts. [reddit]
◆ Control Mage(Grinder Mage)
1ターンで相手を殺すような恐ろしげなバーストダメージやコンボを持つわけでもなく、ただひたすら対戦相手の戦力を削りきる真性のControlデッキ、StrifeCroのControl Mage(またの名をGrinder Mage)はMidrange Shamanを相手取るのに打って付けのデッキです。Shaman側の除去カードがほとんど有効に機能せず、さらにヘルス回復手段を持たないことがこのデッキの優位を約束してくれます。
注意点としてはFreeze Mage同様にControl Warriorとのマッチアップを苦手としていること、そしてSecret Hunterとの対戦に習熟する必要がある点です。特にAoEの使用前には《帽子から猫 / Cat Trick》の可能性を排除することを心がける必要があるでしょう。
Grinder Mage Guide: Your Ticket To Beat The Shaman Meta! [Hearthstone Players]
【ガイド記事】グラインダーメイジ・シャーマンをぶっ飛ばせ! [ハースストーン和訳とか]
◆ Standard Handlock
最も多くプレイされてきた古い歴史を持つControlデッキ、かつてZooとの両輪によってWarlockをラダーキングへと君臨させたあのHandlockに再び光が当てられています。キングオブコントロールと讃えられたこの古いデッキはRenolockの登場や《溶岩の巨人 / Molten Giant》のnerf、そして《マルガニス / Mal'Ganis》など悪魔/Demonシナジーのスタンダード落ちのように悪条件が重なり、ここしばらくは古い時代の遺物のように顧みられることはありませんでした。
月日の経過は環境の変化をもたらし、徐々にこのデッキが再びプレイされるのに都合の良い条件が揃いつつあります。ラダー最多勢力であり天敵でもあったAggro Shaman達が、Handlockの得意とするAoEに脆弱なMidrangeへと鞍替えしたことひとつをもっても、すでにこのデッキをラダーで試すのに十分な理由となるでしょう。厄介なMidrange HunterもSecret Hunterへと人気が移りました。Secret Hunterはテンポに特化したデッキであるため、代償として挑発/Tauntを付けられたビッグミニオンを突破する手段を持ちません。
確かにHandlockは最大の武器であった《溶岩の巨人 / Molten Giant》や、かつてのDemon Handlockのような凶悪なパワーを失いました。しかし環境の追い風が吹いている時、このデッキはまだ錆びついていないことをラダーで証明してくれます。
話は変わりますが、来年のスタンダードイヤーではLOEが環境から脱落するためRenolockの構築自体が消滅します。そうなるとWarlockクラスに残るメジャーデッキはZooだけとなってしまうため、Handlockにも近々に何かしらのテコ入れがあるかもしれません。
CrusherLock[in depth guide for handlock lovers!Let's make the hearthstone great again!] [Hearthpwn]
◆ C'Thun Warrior
今現在ラダーにMidrange Shamanが氾濫している理由のひとつには、弱点となるデッキがほとんど存在しないことが指摘されています。明確に有利とされるFreeze MageすらFree Winというにはほど遠く、その他のデッキは互角に渡り合うことすら難しい状況です。
大人しく現実を受け入れ、自分もShamanを使うことをよしとしない反骨のプレイヤー達にとって、最後の希望はWarrior Controlかもしれません。このアーキタイプは《エリーズ・スターシーカー / Elise Starseeker》を採用するスタンダードなデッキが支持を集めており、カラザン実装以降に《クトゥーン / C'Thun》と狂信者達を擁するデッキがプレイされる機会は目に見えて減りつつありました。しかしTareiやPavelなど公式大会にC'Thun Controlを持ち込んだプレイヤー達の影響もあってか、徐々に人気を挽回しつつあるようです。
ラダーでは《報復 / Revenge》や《バロン・ゲドン / Baron Geddon》などの、対Shaman戦に有効なカードを加えるのが推奨されます。
[Legend Top 100] Meta Crusher C'Thun Warrior 85.7% Win rate [Hearthpwn]
◆ Ramp Spell Druid
《魔力の巨人 / Arcane Giant》の登場をキッカケに再び見直されたMalygos Druidは、すでに現在このクラスを代表するデッキとなりました。一方で《希望の終焉 ヨグ=サロン / Yogg-Saron, Hope's End》のnerf調整以降に、《マリゴス / Malygos》以外のオプションも様々に検討されています。
従来のTokenへ回帰するのとは異なる選択のひとつが、強大な挑発/Tauntミニオンを特徴とする昔ながらのRamp Druidスタイルです。1ターンに複数の強大なミニオンを展開できない弱点を《魔力の巨人 / Arcane Giant》の存在が補強しており、タフな挑発/Tauntミニオンで相手に不利なトレードを要求するこのデッキは現在の環境で使用される多くのデッキに有効に機能しています。
[Top 10 NA] Faceless Shambler Druid [Hearthpwn]