日本時間22日AM4時よりゲームディレクターBen Brode氏とメインゲームデザイナーMike Donais氏によるQ&A配信が行われました。この配信では先日情報が解禁されたばかりの次期スタンダードイヤー「マンモス年(Year of the Mammoth)」にまつわるコミュニティから寄せられた質問に回答されており、そのQ&A抄訳を紹介していきます。
Live Stream Q&A – Year of the Mammoth [Twitch]
Developer Insights Live - Year of the Mammoth Q&A [Hearthpwn]
◆ 重点事項
- 6枚のクラシックカードが栄誉の殿堂へ移行するのは次期拡張版の発売と同時
- 拡張パックのシングルプレイヤーモードはカードパックが報酬になる
- ワイルドのシーズンランキングが公式で発表されるようになる
- 《レノ・ジャクソン / Reno Jackson》の穴を埋めるようなクラス共通の回復カードを追加する予定はない
- 闘技場に大きな変更が行われる予定であり、近日中に詳細が発表される
nerf調整と殿堂入りカード
◆ nerf調整とクラシックカードの殿堂入り
《ちんけなバッカニーア / Small-Time Buccaneer》と《精霊の爪 / Spirit Claws》のナーフ(nerf)は2月末に行われる。ワイルド専用になるクラシックカード6枚の殿堂入りは次回の拡張パックがリリースされる時になるが、まだまだ先の話。
◆ 「栄誉の殿堂」カードの取得と分解について
今後はクラシックカードパックから手に入れることは出来ないが、カードのクラフティングでは取得できる。もちろん既に持っている殿堂入りカードを分解して"通常通りの魔素"に還元できるが、ワイルドへ移行されるために素晴らしいカードをプレイヤー達に分解させたくはなかったので、今回はカードの魔素をそのままに提供することになった。
◆ カードの殿堂入りにはどのような統計が影響を与えたか
今回の6枚を決定するにあたっては統計以外にも様々な要因が考慮された。《アジュア・ドレイク / Azure Drake》に関して言えば間違いなくハースストーンの歴史で最も多くプレイされたカードであったし、重いコストのカードでは《炎の王ラグナロス / Ragnaros the Firelord》が常にオプションとして存在したため他のカードのプレイを制限していた。
◆ クラシックカードを増やす予定はあるか
殿堂入りするカードの補完としてクラシックカードを増やすかどうかは検討している段階。《粉砕 / Shatter》のように《アイスランス / Ice Lance》の代替として特定の役割を果たすカードは考慮する余地があるかもしれない。
◆ 前回のスタンダードイヤーにnerfされたクラシックカードを元の能力に戻し殿堂入りする可能性は?
ワイルド環境ではバーストダメージの手段が非常に多いので《溶岩の巨人 / Molten Giant》を元に戻しても問題ないかもしれない。《千刃乱舞 / Blade Flurry》は元の能力に戻すとワイルドでも強力すぎると思われる。いずれにせよ来年(2018年)の変更点として検討している。
◆ 今後はさらにクラシックカードの殿堂入りが増えていくのか
デッキ構築の基礎はクラシックカードであるべきだと考えているが、現在は競技的なデッキで20枚前後の割合で使用されており、将来的にこの比率を下げていく必要があると考えている。殿堂入りカードが増えるかは確実ではないが、「栄誉の殿堂」は古いカードを犠牲することなくスタンダード環境をより面白く進化させていくために存在する。
◆ 《精霊の爪 / Spirit Claws》と《ちんけなバッカニーア / Small-Time Buccaneer》の他にnerfを検討されたカードはあるか
クラシックカードにいくつか存在したが、nerfの代わりに栄誉の殿堂へと編入されることになった。《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》もあと一歩でその対象に含まれるところであったが、このカードは高いプレイスキルを必要とするため少なくとも今年は現状維持される。また開発チームはクライアント毎にパッチを当てるのとは異なる方法で簡易にバランス変更を実施するシステムの構築に取り組んでいる。
◆ 《凄まじき力 / Power Overwhelming》が栄誉の殿堂に選ばれた理由
ウォーロッククラスは数多くのバーストダメージの手段を持っている。《リロイ・ジェンキンス / Leeroy Jenkins》や《魂の炎 / Soulfire》でまだ十分なバーストダメージを出す可能性があり、《凄まじき力 / Power Overwhelming》はより危険な存在だった。このカードが脱落することでウォーロックに異なる新しいカードを追加することができるようになる。
今後のコンテンツリリース
◆ 年に3回の拡張パックリリースはプレイヤーのリアルマネー負担を増やすことを意図したものか
拡張パックはメタゲームに大きな影響を与え、ゲームをより深く探求する機会をもたらすと考えている。しかし同時にハースストーンはF2Pゲーム(Free to play)であることも重要であり、F2Pでゲームを楽しむことや競技的なシーンで競うことができるようにあり続けることは約束されていることである。
今年一年を通じてプレイヤーがどのように感じるか注視していくが、酒場の喧嘩やクエストでのプレイの継続によるパックの取得を増やすことを検討しており、拡張パック発売時のシングルプレイヤーモードではカードの代わりにカードパックを提供する。
◆ 拡張パックのシングルプレイヤーモードにはヒロイック難易度が用意されるか
今年についてはヒロイック難易度の実装を考えていない。アドベンチャーモードは購入した誰もがカードを手に入れられるような難易度である必要があったため、より難易度を求めるプレイヤーのためにヒロイックが存在した。拡張パックのシングルプレイヤーモードはもっと難しいコンテンツになるかもしれない。
◆ スタンダードから外れた古いカードセットを将来的に再び購入できるようになるか
今のところアナウンスできることはないが、古いコンテンツを再導入することについて検討はしている。
◆ 新カードリリースの頻度は適切であると考えているか
ゲームを新鮮に保つため1年に3回のコンテンツリリースを行うことは今のところ適切であると思われるが、プレイヤー達のフィードバックに耳を傾けている。ガジェッツァンは良好なバランスにあるもののメタは古くなりつつあると感じており、ただ単にカードをnerfするだけではなくより頻繁にカードを追加するようなゲーム体験を豊かにする方法を模索している。
ワイルドフォーマット
◆ ワイルドのシーズンランキングを発表することは考えているか
ワイルドを活性化するために良いアイデアだと思う。スタンダードのランキング発表のように公式ブログで行われるだろう。
◆ マンモス年の発表でどのような反応をコミュニティに期待していたか
スタンダード環境に新しい変化を望む人々にとって素晴らしいものになると考えていた。ワイルドでプレイしている人々にとってはネガティブに感じる部分もあったかもしれないが、将来的にワイルド専用のコンテンツを用意するなどより注力していく。
ゲームバランス
◆ コンボデッキの問題について
コンボデッキは重要な存在であり、それぞれの拡張パックではコンボの可能性を持つカードを追加していく。ただしコンボがゲームのインタラクティブ性を損なうものでは問題があり、1ターンで相手を殺すコンボの実現は避けていきながら、より大きなアドバンテージを獲得する手段とする方針にある。
◆ まだプレイヤー達が思いついてもいないような構築をデッキレシピに追加することは考えているか
面白いアイデアだが、コンテンツリリースの際にはプレイヤー達が自主的にこれを行っている。たしかにコミュニティは内部統計で高い勝率のデッキを幾つか見過ごしており、ワイルドのトップ3クラスには勝率1位のデッキが含まれてすらいない。
◆ ラダーの改善と将来的な目標について
先日にはランクフロアシステムの導入を発表しているが、この対応がラダーの問題を全て解決するものではなくさらなる改善が必要だと考えている。ランクフロアはラダーシステムにスターの数をこれまでよりも多く供給し、プレイヤー層全体を押し上げる可能性がある。ただし開発チームはレジェンドランクのプレイヤー数を膨張させその価値を毀損したくはない。
◆ 隠れ身/Stealthとコンボがnerfされるローグのクラスアイデンティティについて
(先述のコンボデッキにおける指針を鑑みて)ローグクラスにとって健全なアイデンティティを模索しており、断末魔/Deathrattle&隠れ身/Stealthテーマや巧妙なトリック、またはシーフらしく相手の懐から盗むことがこのクラスの特徴になるよう実験している。
◆ 公開テストサーバーについて
公開テスト(Public Testing Realm)は新コンテンツの賞味期限を短くしてしまう懸念がある。ゲームバランス変更のテストとして有効かもしれないが、今のところ計画にはない。
◆ 既存カードのbuff(上方修正)のスタンスについて
強力なクラシックカードの存在は問題となるため「栄誉の殿堂」が新設されており、デッキの中のクラシックカードの割合を下げていく方針においても既存カードのbuffには利点が存在しないように考えられる。古いカードを強化するよりも、いずれローテーションする新カードで補強していくべきだろう。
2017年の指針
◆ クラス共通の回復能力をもったカードの追加について(《レノ・ジャクソン / Reno Jackson》の脱落を踏まえて)
ゲームをスイングさせる回復カードの役割は重要だが、共通カードの回復能力は適度に留めなければクラスのアイデンティティを脅かす恐れがある。例えば《骨董品のヒールロボ / Antique Healbot》は様々なデッキやクラスであまりにも多く利用されていた。共通カードにそうしたカードが登場することはなさそうだが、回復能力を特徴とするクラスには新たな手段が追加されていく。回復が得意なクラスにはより回復能力を、アーマーを特徴とするクラスにはよりアーマー追加のカードを、そしてクラス共通の回復カードは最小限であるべきだ。
◆ 開発チームが目指す2017年の方針について
開発チームの規模は成長し続けており、プレイヤーコミュニティとのより綿密な情報交換に役立つだろうと考えている。2017年はゲームをより良くしていくために細かい部分に注力し、そして新しい要素によってワイルドフォーマットがより素晴らしい体験になるようサポートしていく。
もう間もなく闘技場に大きな変更が行われるので、今週の公式ブログにおいてその説明が行われる。