原文 : 公式フォーラム - The Meta, Balance, and Shaman [Battle.net]
やぁ、みなさん!
海賊は強すぎるのかどうか、そしてシャーマンはあまりに優れているか、そうしたゲームの状態についての数多くのフィードバックに目を通しています。また他にも、われわれ開発チームが現在の問題に対処するどんな計画をもっているかについて、多くの人々が気にかけているのを見てきました。
まずはみなさんからのフィードバックの全てにわたしたちは心からの感謝を述べるところから始めなければならないでしょう。開発チームとコミュニティが議論を行い、そしてアイデアを行き来して共有する時こそハースストーンは最良の状態にあると考えています。それらは実際の問題であり、みなさんの経験に耳を傾けることはわたしたちが次のステップを決定することに役立っています。
そこで本日、メタゲームとnerf(ナーフ)調整の可能性や、バランスについてわたしたちがどのように考えているかを少しお話したいと思います。
話を始めていくにあたって、いくつかの用語を定義しておきたいと思いました。これらは一般に使われている用語なのでおそらく意外な発見というものは無いでしょう。けれども、わたしたちが同じ事柄について話し合っていること、そして(あらゆるゲームに共通する)これらの用語が特にハースストーンでどのように用いられるかを確認するのに役立ちます。
--- メタについて ---
”メタ”とは”メタゲーム”を略したものであり、ゲームとはプレイボタンを押してドラムが回転するのを見たらそこで起きるものです。そして”メタゲーム”はゲーム外で発生します。メタゲームはあなたがプレイするために選んだデッキです。メタゲームはあなたの対戦相手達がプレイするために選んだデッキ達です。
デッキについてフレンドと会話することやネットでそれらの情報を読むこと、または今後実装されるコンテンツを予想することまで含み、文字通りゲームに関連する全てをメタゲームと定義する人々も居ます。
ハースストーンのコミュニティでは”プレイヤーの誰もが使用している全てのデッキ”として、とりわけ”上位いくつのデッキ”として頻繁に用いられます。あなたが対戦している時に何度も繰り返し十分なほど見かけるデッキが7つあったとしたならば、あなたはその7つを指して’メタ’と言うかもしれません。
もし人々がほとんど見かけることのないデッキをあなたがプレイしている場合、あなたは’メタから離れて’プレイしています。もしあなたが最も多く使われているデッキを倒すことに特化したデッキを構築するならば、あなたは’メタ’に対抗するためのプレイをしています。
ここでデッキの良し悪しは問題ではなく、メタに最も影響するのはどのデッキがどの程度の頻度でプレイされているかということです。悪いデッキが’メタ’の一部であったり、良いデッキがまだ十分に広まっておらず’メタ’の一部になっていない可能性があることに留意することが重要です。
--- バランスについて---
バランスとは異なる文脈において違った意味を持つ可能性があります。ときにわたしたちは二つの物事の間で相対的なパワーレベルを表すためにこの言葉を用いるでしょう。ときには相互に関連しある物がどのくらいの頻度で用いられているかを表すためにバランスと言うでしょう。そしてこの二つの指標の間には複雑な関連性があります。
たとえば、あるクラスは他のクラスと比較して非常に勝率が高いかもしれません。これはバランスがとれておらず、そうした時にはより多くのプレイヤー達がそのクラスに集まり、クラスのプレイ比率を上昇させていく傾向があります。しまいにはそのクラスは他のクラスよりも数多くプレイされるクラスとなってしまい、これもまたバランスがとれている状態ではありません。そしてこちらはより憂慮される不均衡です。
プレイヤーがバラエティ豊かな経験を得られる時こそハースストーンはより楽しいものであるとわたしたちは心の底から信じています。そのためわたしたちはデッキから引くカードの順序をランダム化し、それぞれのカードを2枚までに制限し、手札の最大枚数を限定し、プレイヤーが各ゲームで異なる経験をするのに役立つように「ドローするカード」を作ります。これはわたしたちがランダム効果のカードを作る理由の一部です。
しかし異なる経験をプレイヤーにもたらす最大の方法は(これは同時に解決すべき問題である)、異なる対戦相手がそれぞれのゲームで違うデッキをプレイしている機会を与えることです。また、これら全てをもってしても時が過ぎる中で豊かなバリエーションを維持していくには十分ではないため、わたしたちは新しいカードをリリースしていきます。
世の中にはチェスのように多様性に欠けていながら非常に深いゲームは存在します。しかしプレイヤー達のクリエイティブなデッキ構築を可能にし、問題への新しくも異なる解決策を提示することは本当に面白いことだと信じています。
バランスの価値とは、その時において、プレイヤーに色々な経験を与え続けることです。
これは全てのカードが競技的なデッキにおいて争う役割を担うということではありません。あるカード達は(《筆頭家老エグゼクタス / Majordomo Executus》のような)、ゲーム展開に大きく弾けるような瞬間を好むプレイヤーが楽しめることを目的としています。他のプレイヤー達が弱いと思っているようなカードを試してみることを好むプレイヤー達にとってデッキ構築の課題となるために、《ホブゴブリン / Hobgoblin》 のようなカードがあります。そして幾つかのカードはプレイヤーが学んだり比較するとっかかりとなることを意図しています。(「これは《チルウィンドのイェティ / Chillwind Yeti》みたいだけど、もっと優秀だぞ!そうに違いない!)
--- 統計とメタの状態について ---
今回わたしは現在のメタに関する幾つかの統計を通じて、わたしたちがどのようにそれらを分析しているのかをお話したかったのです。
過去二週間にわたり、レジェンドランクでは30%のプレイヤーがシャーマンをプレイしていました。すべてのランク帯を含めればその数字は17%になります。この数字にはアグロシャーマン、ミッドレンジシャーマン、コントロールシャーマン、そしてジェイドシャーマンなど幾つものデッキタイプが含まれています。
ハースストーンの歴史における最もアンバランスだった存在はアンダーテイカーハンターであり、当時全てのランク帯にわたって35%のプレイヤーがハンターを使用していました。
《ちんけなバッカニーア / Small-Time Buccaneer》と《海賊パッチーズ / Patches the Pirate》による”海賊パッケージ”はランク5以上の全てのデッキにおいて50%の割合でプレイされています。
メタの中でベストなデッキの平均勝率は53%です。過去を振り返って、これほど勝率の低い「ベストデッキ」というものはありませんでした。別な言い方をすれば、これはハースストーンの歴史の中で最低な「ベストデッキ」ということです。勝率は全てのランクを通じて一貫していますが、個々においてはかけ離れた体験をしているプレイヤー達もいます。わたしたちの統計にはミラーマッチは含んでいません。(訳注:同じクラス or 同じデッキかは不明)
過去全ての中で最も高い勝率はアンダーテイカーハンターの約60%です。
わたしたちはバランスの評価を行う時、デッキとクラスの勝率を眺めて不可能な理想の状態(勝率50%)と最悪なケース(勝率60%)とを比較します。勝率50%が不可能であることは判りきったことなので、なるべくその状態へ近づけようとします。科学的な数値ではありませんが、従来それは53%から56%の間でした。ただしこれは最も重要な基準ではないのです。
仮にあるデッキの勝率が70%であったとして、しかし少数のプレイヤーしかそのデッキをプレイしていなかったならば素晴らしいことです。そのことはバリエーションの欠乏を招かないからです・・・その時点においては。伝統的にあるデッキの勝率が非常に高い場合、人々はそれをコピーし始め、そのデッキはメタの中でより大きな存在になっていきます。ここでわたしたちが考慮すべきもう一つの重要な存在は”カウンター”です。
特定のカードや他のデッキに敗北する場合、そのデッキが人気を集めていくほどにプレイヤー達はカウンターをプレイすることで報われるようになります。とあるデッキがメタの60%にまで成長しそれを手軽に打ち負かすデッキがあったならば、そのカウンターデッキをプレイすることで60%の勝率を獲得することができ、メタの中で新たなベストデッキとなるでしょう。
この現象は時間が過ぎるのに伴ってメタが変化する要因となります。ガジェッツァンのリリース時点からでは、海賊ウォリアーのピークが30%に達し、時が経つにつれて10%にまで縮小するのを目の当たりにしました。その間数日ほどはリノウォーロックが主要なデッキであったり、非常に高いスキルレベルのローグが支配的であったこともありました。メタが変化を続けている時にわたしたちはカードを調整することを好みません。
そして今現在、アグロシャーマンは最も勝率の高いデッキではありますが、これに対抗するため調整されたコントロールウォリアーに対しては35%の勝率です。リノメイジもまたアグロシャーマンにとって好ましくない対戦相手です。これはつまりコントロールウォリアーをプレイすることが「正解」になったことを意味するのでしょうか?
それはメタの他のデッキ達に依存し、アグロシャーマンがこのまま人気を集めていくかどうかによります。Fibonacciは予想されうるメタを利用し、アグロシャーマン相手にとても効果的なコントロールウォリアーのデッキを構築しました。
shamanstone is great pic.twitter.com/E2MgQaGU2d
— Fibonacci (@FibonacciHS) 2017年2月1日
優秀なプレイヤー達がメタの変化を認識し、実際にメタが移行したり「解決策」が変化してしまう前に彼らの知識を活用することが重要であると考えています。これこそわたしたちがカードを頻繁にnerfしない最も大きな理由のひとつです。メタがあまりに長く停滞しそこに優れたカウンターが存在しない時、ベストデッキをプレイしたりそれに敗北することは楽しいものではありません。それが過去にバランス調整を行ってきた理由の全てです。
仮にあるデッキが数週間にわたって人気を集めていたとしても、それだけがnerf調整を行う理由になるものではありません。わたしたちはそこに新たな対抗戦略が存在しないか、または新しいコンテンツリリースから離れすぎていて長い停滞が懸念されることにより、ゲームの面白さを損なわないかに関心を持たなければなりません。
そこで今日このような機会を持ちました。バランス調整を施すのに他に考慮する点としては、各ゲームプラットフォームのクライアントパッチに関する計画です。わたしたちはプレイヤー達のデバイスへと直接バランス調整(そして他のコンテンツも)を配信する機能に取り組んでいますが、それが実現するまでは、カードを変更するためのクライアントパッチをリリースする必要があります。
次回のパッチは今月末頃の予定です。その週かその日までのいずれかにバランス調整についてわたしたちがアナウンスするのを期待していてください。