毎週異なるルールでプレイヤーに新鮮な刺激を与えてくれる酒場の喧嘩(Tavern Brawl)モードに、これまで無かった特別な対戦フォーマットが登場します。原作のWorld of Warcraftでお馴染みの高難易度モード、ヒロイック(Heroic)を冠したその名も「ヒロイック酒場の喧嘩(Heroic Tavern Brawl)」。
ヒロイックに相応しく勝ち残るには難易度が高く、そしてリスクも必要とします。その代わりに、12勝の偉業を達成したプレイヤーは豪華な報酬を受け取れるハイリスクハイリターンな対戦となります。
公式サイト:
「ヒロイック酒場の喧嘩」が登場! [Battle.net]
Introducing Heroic Tavern Brawl! [Battle.net]
「ヒロイック酒場の喧嘩」 概要
◆ 対戦ルール
- 自分のコレクションからスタンダードフォーマットのデッキを作成
- デッキを確定すると変更出来ない
- 他のプレイヤーと対戦を行い最高12勝、または3敗したら退場
◆ 注意事項
- 挑戦回数に上限あり。現状は5回まで source
- 「ヒロイック酒場の喧嘩」の開催期間は通常の酒場の一週分
- 「ヒロイック酒場の喧嘩」の週が完了した後は、再びいつもの酒場の喧嘩
◆ 参加費と報酬
- 参加費はリアルマネー$9.99(PC)or 1200円(モバイル版)、もしくは1000ゴールド
- 12勝を達成するとカードパック50、ゴールド、魔素、ゴールデンレジェンド3枚
◆ 概要の補足
「ヒロイック酒場の喧嘩」 は通常の「酒場の喧嘩」に代わって開催される期間限定の対戦イベントです。ヒロイック酒場の喧嘩が行われる期間中は無料で参加できるいつもの酒場の喧嘩は開かれません。使用デッキは自分のコレクションカードから作成し、使用可能なカードはスタンダードフォーマットに属するカードへ限定されます。なお、使用デッキを確定させるとその挑戦中はデッキ変更できなくなるため注意が必要です。
ルールや報酬は「闘技場(Arena)」モードと共通点がいくつか見つかるでしょう。プレイヤー達は最大12勝することで最高の報酬を受け取ることができ、3回敗北を喫するとそこで挑戦は途絶えます。一回の挑戦にはリアルマネーで$9.99(PC)or 1200円(モバイル版)、ゲーム内ゴールドで1000ゴールドを必要とします。もし12勝できれば莫大な報酬を獲得できますが、5勝未満では賭け金のもとをとれないハイリスクハイリターンな挑戦となるでしょう。
なお、この「ヒロイック酒場の喧嘩」は「酒場の喧嘩」モードで期間限定の対戦イベントとして行われます。「ヒロイック酒場の喧嘩」の期間が終了すると、翌週からは通常の「酒場の喧嘩」が実施されるようになります。
開発チームのコメント・FAQ
◆ リードデザイナーBen Brode氏
・ この喧嘩は全く毛色が違うものだ。まるでトーナメントのように感じられるものにしたかったので、勝利数が多いほど大量の報酬を受け取れるようになっている。1勝も出来なければ報酬はカードパックひとつだけだ。もしこのリスクに二の足を踏むなら、翌週の酒場の喧嘩を心待ちにしながらストリーマー達の配信を楽しく視聴しているといいだろうね。source
・ 現実的ではない望みかもしれないが、わたし達のゴールは「酒場の喧嘩」でさまざまな体験をユーザーに提供することにある。しかして『全ての人々が満足する完璧な酒場の喧嘩』なんてものは存在しない。異なる体験を愛する多様な人々が居るからなんだ。
誇張で言ってるのではなくこれは毎週のことだ。ユーザー達が今回の「酒場の喧嘩」はこれまでになく最高だったと伝えてくれるのと同じ時に、今回は最悪だよと言う人々が他に居るんだ。(今回のデザイナーの洞察は)すべての「酒場の喧嘩」に通じていることであり、同時に人々の多様性をと好みが分かれることを強調しているものなんだ。source
◆ コミュニティマネージャーZeriyah(Christina Sims)氏
・ 「ヒロイック酒場の喧嘩」は通常の酒場の喧嘩の後を継いで行われます。プレイ無料の酒場の喧嘩は「ヒロイック酒場の喧嘩」が終了後に戻ってきます source
・ 「ヒロイック酒場の喧嘩」が終了する際に自分の挑戦が終了してない場合(12勝 or 3敗)、その時点の勝利数で報酬が支払われる source
・ カードパック報酬は直近のエクスパンション(拡張版)となり、現在は「旧神のささやき」カードパックが取得されます。レジェンドカードはランダムです source
・ このモードは「平均的なプレイヤー」を対象としたものではありません source
・ 「ヒロイック酒場の喧嘩」に無料参加権(闘技場のような)はありません source
・ 挑戦はいまのところ5回までが限度です source
闘技場の勝利数分布をモデルにした試算
「ヒロイック酒場の喧嘩」は魅力的な報酬が用意されています。しかし一回の挑戦につきリアルマネーで10ドルもしくはゲーム内ゴールド1000という参加費を必要とする以上は、どの程度のリスクを承知しなければならないのか、どこまで勝てばもとがとれるのかが気になるところでしょう。
闘技場の勝利数分布をもとに報酬の試算がredditに投稿されていたのでご紹介します。下記リンクの試算では8192人のプレイヤーが「ヒロイック酒場の喧嘩」に参加したと仮定し、そのプレイヤー達が途中でリタイアせずに挑戦を終えた際の報酬の内訳となっています。
※ 1魔素は1ゴールド換算、ゴールデンレジェンドは1600ゴールド換算
The math behind the new Heroic Tavern Brawl, 2nd edition (with full prizes). [reddit]
勝利数 | パーセンテージ | プレイヤー数 | 報酬のゴールド換算 | 全員の合計報酬 |
0 Wins | 12.50% | 1024 プレイヤー | 100 ゴールド相当 | 102400 |
1 Wins | 18.75% | 1536 プレイヤー | 200 ゴールド相当 | 307200 |
2 Wins | 18.75% | 1536 プレイヤー | 300 ゴールド相当 | 460800 |
3 Wins | 15.63% | 1280 プレイヤー | 640 ゴールド相当 | 819200 |
4 Wins | 11.72% | 960 プレイヤー | 880 ゴールド相当 | 844800 |
5 Wins | 8.20% | 672 プレイヤー | 1040 ゴールド相当 | 696880 |
6 Wins | 5.47% | 448 プレイヤー | 1200 ゴールド相当 | 537600 |
7 Wins | 3.52% | 288 プレイヤー | 1360 ゴールド相当 | 391680 |
8 Wins | 2.20% | 180 プレイヤー | 1520 ゴールド相当 | 273600 |
9 Wins | 1.34% | 110 プレイヤー | 2400 ゴールド相当 | 264000 |
10 Wins | 0.81% | 66 プレイヤー | 4000 ゴールド相当 | 264000 |
11 Wins | 0.48% | 39 プレイヤー | 5760 ゴールド相当 | 224640 |
12 Wins | 0.65% | 53 プレイヤー | 12000 ゴールド相当 | 636000 |
◆ 電子の海へ消えるゴールド
上記の試算に基づけば、5勝することが出来れば参加費用の1000ゴールドはもとが取れると期待できます。12勝を達成するのはプレイヤーが自由に構築デッキを持ち込める前提なので容易いものではないでしょう。そのほんの一握りのプレイヤー達は莫大な報酬を受け取ることができるため、腕に自信のあるプレイヤーにとっては格好のチャレンジになると思われます。
それはさておき、上記のredditポストでも指摘されているように、この報酬システムでは賭け金に対して莫大な差額が発生します。試算モデルの8192人が全員1000ゴールドを支払い「ヒロイック酒場の喧嘩」へ参加したならば賭け金の総額は8,192,000ゴールドになります。これに対して上記の魔素やゴールドへの換算が妥当であると仮定し報酬総額の5,822,800ゴールドを賭け金の総額から差し引くと、差額は2,369,200ゴールドとなります。
ギャンブルは参加費用の一部を胴元がふところに入れるのは当然のことですが、この場合の差額は電子の海へと消えていくだけです。もちろん参加者がリアルマネーで支払った場合、直接Blizzardに入金されることにはなりますが。
良い悪いの意味合いで指摘するものではありませんしうがった見方かもしれませんが、この「ヒロイック酒場の喧嘩」はプレイヤー達が持ちすぎているゲーム内ゴールドを消化させるのも目的のように思われます。ゲーム内ゴールドを失わせてBlizzardにどんな徳があるか?それはもちろん、来月のBlizzConで発表されるであろう新しいエクスパンションのカードパックをリアルマネーで購入してほしいからでしょう。
個人的にはBlizzardが儲けようとするのは全然かまわないしもっとやれと思っているので、今回の「ヒロイック酒場の喧嘩」はプレイヤー達の競争心を刺激しつつゴールドを消化させるのに打って付けの方策ではないかという感想です。