ドーモ、GoNinjaです。
記事の冒頭でご挨拶するのも久方ぶりでしょうか。本日は普段と趣向が違う文章を書いてみようと思い立ちまして、まずは挨拶から始めさせて頂きました。この記事は当ブログの基本コンテンツであるハースストーン関連のニュースやメタゲーム、またはデッキ紹介とはまったく内容が異なります。
ブログのカテゴリーとしてはこの記事を「Diary(日記)」に分類しました。記事の内容は日記というか、チラシの裏に書いてるようなものかもしれません。わたしがいま思うことをチラシの裏に書き、紙飛行機にして飛ばしてみようという試みです。そのチラシを現在進行形でこのゲームをプレイしている人たち、そして以前までハースストーンをプレイしていた人たちが手に取り、興味を持って広げて読んでもらえればと期待しています。
まずは、わたしがチラシの裏に書きたい内容についてお話しましょう。端的に言いますと、ハースストーンというゲームのすっごい良いところを再発見してほしいのです。判っている人にとっては何を当たり前のことを、と思われる内容です。しかし、ここ最近の国内コミュニティの一部から受け取る印象においては、残念ながら見過ごされているように感じられるのです。
その中身を勿体ぶって書くには少し長い記事になりそうなので、先に結論からお伝えします。
ハースストーンのすっごい良いところ
ハースストーンというゲームは、いつ離れてもいいし、いつ戻ってきてもいいのです。遊びたい時にアプリを起動して、求めていない時は忘れていてかまいません。ハースストーンから離れていても問題ない期間は特に限られていません。一ヶ月でも向こう半年でも、1年でも2年でも、3年先まででもいいでしょう。
どれだけ離れてしまっても不安に思うことはありません。酒場宿(Tavern)はいつまでもそこにあり、求める時にいつでもドアを開き、酒場のオヤジはビールを傾けながらあなたを歓迎してくれるからです。これはハースストーンというゲームの素晴らしい美点のひとつです。
当たり前でしょ何いってんのと思った方はこの先を読む必要はまったくありません。もしもそれが実感として湧いてこないという方は、もうすこしお付き合いください。
この記事を書く理由とゲーマー履歴書
この記事は以前ハースストーンをプレイしていたけれど最近ごぶさたになってしまった人に向けても書いています。ただ、その目的はハースストーンに今すぐ戻ってきてもらおうというものではありません。ネトゲでよくある「おかえりなさいキャンペーン」をやろうというつもりは毛頭なく、あなたの後ろ髪を掴んで引っ張ってやろうという意図はありませんので警戒しないでください。ただ単に、このゲームの良いところを再確認しようというのが記事のテーマです。
また、このような記事は文章を書いている人間が感傷的な気分に置かれているように思われるかもしれません。実際はその真逆なのですが、いささか他の人々とギャップを大きく感じるようになってきたので記事を書き始めた次第です。ギャップとはつまり、日本国内のハースストーンシーンの盛り上がりが萎んできたことを憂いているかそうじゃないかという違いにあるようです。わたしが今の状況をまったく悲観していないのは危機感が足りないのでしょうか。
2015年10月に日本語ローカライズが行われたハースストーンはおそらく、「リーグオブエクスプローラー」のリリース前後にプレイヤー数のピークを迎えたのではないかと思われます。ごめんなさい、まったくもって数字的な根拠はありません。ただ少なくとも、ここ最近はハースストーンを以前プレイしていた人々が他のゲームへ興味を移してしまったことを、皆さんも肌で感じておられるのではないでしょうか。
以前までハースストーンに夢中だった人がいまは、Blizzard社初のFPSタイトル「オーバーウォッチ」や国内ゲームディベロッパーのCygamesがリリースしたデジタルカードゲーム「シャドウバース」の話ばかりしている。この状況に一抹の不安と寂しさを訴える声が国内のハースストーンコミュニティから聞かれます。
そうした声に自分が共感できないのは何でだろうかと考えました。べつに他のゲームに気移りしてもいいじゃないという感想しか出てこないのは結局のところ、先だって書いたようにハースストーンはいつでも戻ってこられるゲームだと思っているのが大きな要因です。
そして一歩引いた視点から言えば、何事であれ新陳代謝が行われなければ長生きはできないものです。人間も動物も、ゲームのコミュニティも同様です。古い人間が大勢その場に留まることを悪いとは言いませんが、新しく入ってきた人々に押し出されていくのはごく自然なことと思います。それは勿論わたしも例外ではありませんので、いずれは新しい人に居場所を取られて影を薄くしていくのだと思います。もうすでにそうなりつつありますが、それはさておき。
それでは、わたしがどのようなゲーマーであるかという自己紹介を交えつつ話の本題へと戻りましょう。なぜわたし個人のゲーマーとしての経歴をお話するかというと、過去にプレイしてきたゲームとの比較からハースストーンの美点を見出しているからです。
競技ゲームと反復練習
ここ数年来わたしは競技性の高いゲームを愛好してきました。ハースストーンに触れる直前の2013年8月まではBlizzardのRTSタイトル「スタークラフト2」の熱心なプレイヤーでした。だがある日のこと膝に矢を受けてしまってな・・・ではなく、小指を骨折したためプレイの継続を断念してしまいましたが、今でもスタクラ2は宇宙で最高峰のゲームだと思っています。
その「スタークラフト2」の拡張版でありトリロジーの最終章「Legacy of the Void」が昨年11月に発売され、当たり前のように購入しハースストーンと継続してプレイしてみました。やっぱり最高に面白いゲームであることを再確認し、そしていま一度競技的にプレイに臨んでみようかと考えましたが、あっさりと諦めてしまいました。2年のブランクによって指がまったく動かなかったのです。過去に磨いたスキルは取り戻せないほどに錆び付き、すべての資産を失っている自分に気が付きました。
The King of APM: Losira/KangHo First Person Video
こちらは韓国プロプレイヤーのプレイ風景を撮影した動画です。スタクラ2のプロといえば、目にも止まらぬ速さと凄まじい操作量(APM)でゲームプレイしていることはよく知られているかと思います。スタクラ2は自分が選択した戦略に則った資源管理、ビルドオーダー、建物の配置、ユニット操作、アップグレード、偵察、オフェンス・ディフェンス・ハラスと、あまりにも多くの操作量を要求されるゲームです。プレイヤーのマルチタスク能力次第で限界なくそのプレイヤースキルを向上することも可能です。そして彼ら韓国プロのプレイヤースキルとは、熱心なプレイヤーであれば1日12時間以上に及ぶトレーニングを年間300日以上も行うという凄まじい練習量によって裏打ちされているものです。
スタクラ2はほんのちょっとした操作ミスですら致命的なタイミングの遅れにつながったり、相手の怪しい動きひとつを見逃しただけで対処不可能になって詰んでしまうシビアなゲームなのです。こうしたミスをゲーム中に減らしていくためには、自分が実行する作戦をイメージ通りにトレースできるほど身体に覚えこませ、相手の攻めに落ち着いて対処できる操作スキルを鍛えあげる必要があります。
これを実現するには日々たゆまぬ反復練習が必須であり、長い空白期間は悲しいほどにプレイヤースキルを低下させてしまいます。もちろん言わずもがな、こうした反復練習を必要とするのはスタクラに限った話ではありません。
たとえばFPSゲームの熟練者に対してどうやったら上達できるか質問したら、ほぼ必ず同じ答えが返ってくると思います。ひたすら練習あるのみと言われるはずです。もうちょっと突っ込んで聞いてみると、闇雲にプレイするのではなく練習の質を上げるようにアドバイスを貰えると思います。
練習の質をあげるとはどのようなものか。漫然と対戦プレイを繰り返すのではなく、まずは基本の反復練習を重点されるでしょう。出会い頭の一瞬でエイムを合わせ相手に撃ち勝つプレイを実現させるのは、自分の指が頭で考えるよりも速く動くほどに訓練されている必要があります。わたしはWarCraft3でRTSに転向する前はFPSプレイヤーだったので、当時は毎日のようにBOT撃ちや壁打ちのトレーニングを繰り返していました。
そしていま現在オーバーウォッチにハマっていますが、昔のようにちゃんと練習しようとは思いません。もちろんスタクラ2に再び熱を上げる気にもなれません。
外人のキッズに煽られながらまた地道にトレーニングするほど俺はもう若くないんだよ・・・・というのが心の声です。客観的に眺めれば、再び一から鍛え直すのをめんどくさがってるわけです。わたしの怠け心はともかくとして、そこにはやり直すことへの障壁が確実に存在するのです。
少し長くなりましたが、次の項ではプレイ間隔をあけてしまったゲームに戻る時のこの『障壁』について書いていきます。
障壁の存在
プレイヤースキルの障壁
しばらくご無沙汰していたゲームに戻る時、そこにどの程度の障壁が存在するかは大きな分かれ目となります。わたしはスタクラ2に戻れませんでした。韓国プレイヤー達のプロリーグは今でも観戦していますが、自分自身はプレイヤーとして完全に終わっています。
さてハースストーンはいかがでしょうか。プレイヤーが戻ってくるのを阻む『障壁』が存在するでしょうか。ひとまずこのゲームには、反復練習で身に付ける肉体的なスキルが介在する要素はほぼありません。厳密に言えば点数計算やリーサルパズルなど、脳の反射神経と思考力がプレイヤースキルとして存在します。ただ少なくとも、他の競技的なゲームほどその比重は少ないと考えられます。
その根拠はハースストーンプレイヤーの方ならよく判るのではないでしょうか。このゲームを継続的にプレイし続けていることは実際それほどのアドバンテージにはなりません。水戸黄門のエンディングテーマじゃありませんが、あとから来たのに追い越され~という思いを噛み締めた方はきっとおられるはずです。
このゲームでは長い期間プレイし続ける経験よりも、その時々の環境に対して深く接することがプレイヤーのパフォーマンスに直結するとわたしは考えています。たとえ1年間ブランクがあろうとも、かつてレジェンドランク到達までやり込んだ経験のある人ならば勘を取り戻すのにさほど時間を必要としないはずです。流行デッキとヒーロー、現環境のパワーカード、注意すべき要素、そうした情報をかき集め現在のセオリーに沿ったプレイを学ぶメソッドを体得していれば、いつでも競技的なプレイヤーとして復帰できます。
長期に渡る継続的なトレーニングがアドバンテージにならないのは競技的なゲームとしてどうなのかという議論や優劣の話はさておき、ハースストーンというゲームはそこでくつがえせない差がつくゲームではないということは納得いただけるかと思います。
カード資産の障壁
ハースストーンには明確な障壁となり得る要素がひとつ存在します。カード資産の問題です。
スタンダードフォーマットの導入によってカード資産差が無限に広がり続けていくことは無くなりましたが、日々のデイリークエストをきちんと消化しているプレイヤーと休止していた人では差が着いてしまうのは致し方無いでしょう。
リアルマネーを解決手段とするのはよろしくありませんし、お金を払わなければまたゲームを楽しむことができないと思えば気後れしてしまうはずです。しかし、仮に半年から1年間このゲームを休止していたとして、まったくデッキが組めないほどカードコレクションに窮するでしょうか。
たとえばWarlock Zooならば一年前のTGT環境と現在のデッキ構成を比較すると、新しくデッキに加わったカードはLOEの《闇の売人 / Dark Peddler》、OldGodsからは《禁じられし儀式 / Forbidden Ritual》・《取り憑かれた村人 / Possessed Villager》・《ダークシャイアの議員 / Darkshire Councilman》の4種類程度しか変化がありません。
もちろん長い休止期間を経てハースストーンに復帰したならば現環境のTier上位に数えられるデッキを好き放題組むことは、リアルマネーを費やすでもなければ無理な相談です。しかし定番デッキのほとんどはデッキ内容がほとんど変化していません、なによりこのゲームにはカード分解とカードクラフトのシステムがあり、ワイルドフォーマットのプレイを考慮しなければ使えなくなった古いカードから魔素を回収できます。
コミュニティの障壁
もうひとつの障壁として生まれる可能性についても考えてみましょう。
ハースストーンもネトゲですから他のプレイヤーと否応なく関わることになり、そこで対人関係がうまれます。長い休止期間をはさめば自分のことを知っている人が居なくなってしまうかもしれません。そして新しくプレイヤーの輪の中に入っていこうとするのも気後れしてしまう要因になるかもしれません。わたし個人はそういった不安を持った経験がありませんが、人によっては気にするところでしょう。
実際のところこのゲームを新規で始めた人たちは、仲が良い古いプレイヤー達との接点がなく疎外感を感じるといった話を聞いたこともあります。わたしは2013年のハースストーンクローズドβ開始時から遊んでいるので日本国内のコミュニティではネアンデルタール人みたいなもんでして旧人類であることを自覚してますが、他の人々がいつから始めたプレイヤーなのか興味を持ったことはありません。日本語ローカライズ前からこのゲームに親しんでいる他の古いプレイヤーの方々もおそらく同様でしょう。しかし意外と新規プレイヤーの立場からは、古いプレイヤー達は特別な関係性を築き上げているように見えてしまうことがあるようです。
人間の感情の機微に鈍感な人間なので間違っている可能性もありますが、わたしの目で見る限り国内のハースストーンプレイヤー達には排他的な傾向はまったくありません。TwitterのようなSNSで古いプレイヤー同士がずいぶんと仲良く接しているように映るかもしれませんが、彼らは古いプレイヤー同士という連帯感で輪を作っていることはありません。ただ単に、プレイヤーとして活動していく上で接点が多く発生しているだけのことです。
さて、他のプレイヤーと接する機会は対戦オンリーのハースストーンというゲームにおいて、そもそもどのように他のプレイヤーと交流がうまれるのでしょうか。最も判りやすい例では国内でスキルが高いと評価されているプレイヤー達でしょう。彼らトッププレイヤー同士が仲良しになる理由は単純です。任意の相手と対戦を行うには相手とフレンド登録が必要なゲームなので、トーナメントに積極的なプレイヤー達は自然と接点が生まれるだけの話です。
個人的なことを言えば独りで居るほうが気楽な性格なのでうまいことアドバイス出来ませんが、ハースストーンを久しぶりにプレイする人で、コミュニティの輪にどうやって加わったらいいのか困惑しても心配しないでください。ただ単にプレイヤーとして活動を続け、他のプレイヤーと接する機会を増やしていけば自然と輪の中に入っているはずです。
Blizzard社の信用
この記事の冒頭で、離れている期間は1年でも2年でも3年でもかまわないと書きました。3年も離れていてこのゲームまだ運営してるの?という疑問がもしかしたらあるかもしれません。最後にこの点について書いておきましょう。
人間は先のことなんてわからないもので、わたしも明日クルマに轢かれてコロッとあの世行きになるかもしれません。こんな儚い世界で何にすがって生きればよいのかというと、その指標のひとつになるのは”信用”です。積み重ねた信用というものは一筋の光明として歩むべき道を照らしてくれることでしょう。
なんだか話が怪しい方向に向かいそうですが、Blizzard Entertaiment社にはゲーマーからの信用があると言いたいわけです。ユーザーに提供するゲームのクオリティと、恐ろしく長く続くサポートの姿勢には定評があります。
たとえば今年の3月にはWarCraft3に「Patch 1.27」が適用されWindows10の環境で発生する互換性やグラフィックの問題が改善されました。WarCraft3は2002年に発売されたゲームであり、開発は終了しましたがユーザーへのサポートはいまだ続いて行われているのです。日本の泡沫のようなネットゲームは1年でサービス終了なんてよくある話ですが、Blizzardのゲームは最低でも10年は続くという評判は間違っていません。
ハースストーンもさすがに永遠に続くゲームではないでしょうが、カードゲームなので陳腐化しにくい性質にあると思います。サービス開始から12年を迎えるWorld of Warcraftは来月に6作目の拡張版「Legion」の発売を控えています。原作のWoWと同じくらい開発が継続されるとしたら、2014年3月に正式サービスが始まったハースストーンは2026年くらいまでは遊べると期待しても良いのではないでしょうか。Blizzardという会社にはそう思わせてくれる、ゲーマーからの確かな信用があるのです。
それでは最後に、冒頭で述べたこのゲームの良いところを繰り返しましょう。ハースストーンはいつ離れてもいいし、いつ戻ってきてもいい。酒場宿はいつでもあんたが遊びにくるのを待ってるぞ!