【KFT】凍てつく玉座の騎士団カードプレビュー Part.1


この記事では8月にリリース予定の新エクスパンション、「凍てつく玉座の騎士団(Knights of the Frozen Throne)」のカード事前プレビューを行っていきます。

カード評価の視点は構築戦のスタンダードフォーマットが基準になっており、ワイルドやアリーナは考慮していません。

【KFT】凍てつく玉座の騎士団特集リンク
「凍てつく玉座の騎士団(Knights of the Frozen Throne)」次期拡張版の発表 [dojo]
【KFT】凍てつく玉座の騎士団拡張版 開発者FAQ [dojo]



Index

[ページ内リンク]

▼《死線の追跡者レクサー / Deathstalker Rexxar》

▼《ピュートリサイド教授 / Professor Putricide》

▼《蒼白の召術師 / Ghastly Conjurer》

▼《チルブレードの勇者 / Chillblade Champion》

▼《霊魂鞭打 / Spirit Lash》

▼《疫病科学者 / Plague Scientist》

▼《氷砕き / Ice Breaker》

▼《ブラッドクイーン・ラナセル / Blood-Queen Lana'thel》

▼《ブラッドレイザー / Blood Razor》

▼《山火の甲冑 / Mountainfire Armor》

▼《ネルビアンの解絡師 / Nerubian Unraveler》

▼《タルダラム公爵 / Prince Taldaram》

▼《ケレセス公爵 / Prince Kelesth》

▼《浅めの墓穴掘り / Shallow Gravedigger》

▼《汚れし爆弾 / Ticking Abomination》




▲Index

《死線の追跡者レクサー / Deathstalker Rexxar》


使用クラス: ハンター / Hunter
カードタイプ: ヒーローカード / Hero Card

◆ カード分析

本拡張版の目玉であるデスナイトヒーローカードの中で最初に公開されたHunterクラスのレジェンド。この新しいカテゴリに属するヒーローカードとはカードテキストの効果と装甲/Armor+5を与え、プレイした時点のヒーローを新しいヒーローとヒーローパワーへ置き換えます。クラスの基本となるヒーローパワーの改良はゲームバランスに多大な影響をもたらす可能性があり、いみじくも2年前の8月にリリースされたTGT拡張版以来となる大胆な試みです。《ジャスティサー・トゥルーハート / Justicar Trueheart》はヒーローパワーを単純に強化するものでしたが、どうやら今回の拡張版では本来の性質からかけ離れた能力へと変化するように見受けられます。

《死線の追跡者レクサー / Deathstalker Rexxar》の持つヒーロパワーは《バ獣改造 / Build-A-Beast》、ランダムに発見/Discoverされる2枚の獣/Beastミニオンを掛け合わせ、マナコスト・アタック・ヘルス、そしてアビリティが合成されたミニオンカードを1枚獲得します。ここで発見/Discoverされるミニオンは5マナ以下に限られ、最初の選択ではカードテキストが記載されたミニオンからランダムで表示、2回目の選択ではキーワードアビリティを持つミニオンかバニラから候補が選ばれます。

つまるところ2マナでデッキ外から強力な獣/Beastカードを手札に獲得するという能力であり、この能力自体は恐ろしく強力です。無から有を生むなんて宇宙の法則が乱れるレベルの狂人めいた性能ですが、問題はレクサー君自身にあります。Hunterというクラスはヒーローパワーや基本カードによってアグレッシブなヒーローとしてデザインされており、ゲーム後半を土俵にバリューで戦うヒーローではありません。とりわけボード全体をクリアする能力を持たないことがネックであり、「Control Druid」が成立しないのと同様に、Control Hunterというアーキタイプはいまだもってメジャーな成功を収めていないのです。

付け加えてこのカードはレジェンドですから、30枚中の1枚に依存する戦略はあまりにも不安定です。そこに輪をかけて、《飢えたハゲタカ / Starving Buzzard》をnerfされて以来のHunterはカードドローにも恵まれていないのです。Controlデッキの成立が難しいならMidrangeでプレイされる余地はありそうでしょうか。獣/Beastシナジーを基礎とするMidrange Hunterで《恐竜術 / Dinomancy》がプレイされているでしょうか。何よりも、《荒野の呼び声 / Call of the Wild》すら遅すぎてデッキに入らない現状において、このヒーローカードはMidrange Hunterと合致する性質とは考えられません。

ともあれ素晴らしい可能性を秘めたカードであることは間違いないので、スタンダード落ちするまでの今後1年と半年の間に追加されるカードによって、レイトゲームを戦うHunterという夢が現実のものになることを期待しています。Silence Priestのmemeですら実現したのですから、希望を持ちましょう。




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《ピュートリサイド教授 / Professor Putricide》


使用クラス: ハンター / Hunter
カードタイプ: ミニオン / Minion

◆ カード分析

マナコストに見合うスタッツを設定されていますが、このカードはコンボカードと考えるべきでしょう。4ターン目にドロップして次のターンまで生存を許してもらえるはずがありません。実際にカードの運用を考えると二つの筋が想定されます。まずひとつは6マナ以降に秘策/Secretと同時にプレイすること。ここで得られる価値は秘策/Secretをデッキ外からランダムで1枚取り寄せて、マナが無料で設置されることです。果たして真のレジェンダリーミニオンである《サバンナ・ハイメイン / Savannah Highmane》をドロップするよりも優れたプレイになるでしょうか?ランダムな秘策/Secretは信頼性に欠け、そしてこのカードには獣/Beast種族タグもありません。

もうひとつはもちろん《覆面の女ハンター / Cloaked Huntress》とのコンビネーションです。アビリティ効果はガッチリと噛み合うように見えますが、仮に3ターン目で《覆面の女ハンター / Cloaked Huntress》をプレイした後に《 / Professor Putricide》をプレイできる状況がどれほどあるでしょうか?あるいは秘策/Secretを4ターン目に使用するため温存するでしょうか?相手から見れば《覆面の女ハンター / Cloaked Huntress》も同様に除去の優先度が高いミニオンです。3ターン目・4ターン目の針の穴を通すようなドリームコンボが実現すれば確かに強力ですが、リアリティに欠けています。

では7マナ以降にこの2枚を同時に使用するというのはいかがでしょうか。Secret Hunterというデッキの性質を考える場合、テレホタイムの回線速度と同じくらいあまりにも遅すぎる行動です。既存のSecret Hunterはすでにこの時間帯にリーサルを窺う状況を目指します。つまるところこの新カードは獣/Beastを主力とするMidrange HunterやアグレッシブなSecret Hunterのどちらにも居場所を見つけられません。さらなる秘策/Secretシナジーの追加がもたらされるか、さもなくば教授の研究室を訪れる学生は一人も現れないでしょう。




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《蒼白の召術師 / Ghastly Conjurer》


使用クラス: メイジ / Mage
カードタイプ: ミニオン / Minion

◆ カード分析

4マナ2/6スタッツで1マナの《ミラーイメージ / Mirror Image》を手札に追加する。やはり《大魔術師アントニダス / Archmage Antonidas》とのコンビネーションが真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。

《ミラーイメージ / Mirror Image》というカードは使い道が豊富で有用なカードですが、あまりにもカードバリューが低いためスペルシナジーのアグレッシブなデッキ以外では採用をためらわれます。しかしこれがデッキ外から1枚確実に入手できるというのですから、様々なMageデッキで考慮される余地があるでしょう。とりわけ《ウェイゲートの開門 / Open the Waygate》のクエスト達成条件にも該当するので、Aggro対策としてQuest Mageに組み込まれることは容易に想像できます。

Tempo Mageについては《フレイムウェイカー / Flamewaker》が存在した頃ならばサンキューベンブロードだったかもしれません。秘策/Secretシナジーに注力したいま現在のTempoデッキにフィットするとは考えにくいものの、《マナ・ワーム / Mana Wyrm》《魔法使いの弟子 / Sorcerer's Apprentice》を保護できる手段が確実に手に入るのは魅力的にも思えます。このカードは今後のMageクラスが呪文/Spell関連のシナジーにどれほど依存するかで評価が変わっていきそうです。




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《チルブレードの勇者 / Chillblade Champion》


使用クラス: パラディン / Paladin
カードタイプ: ミニオン / Minion

◆ カード分析

新しいキーワードアビリティの<生命奪取/Lifesteel>を備えたPaladin専用ミニオン。突撃/Chargeをあわせ持つので単純に3点の回復が保証されているミニオンと見ることもできます。もちろん《トゥルーシルバー・チャンピオン / Truesilver Champion》という大正義4マナ枠に競合できる性能ではありませんので、このカードの運用は何かしらの工夫が必要となるでしょう。

その可能性はやはり、ガジェッツァン拡張版で活躍できなかったHandbuff Paladinというアーキタイプのはずです。このデッキはミニオンのスタッツでゲーム中盤以降のアドバンテージを獲得していくデッキでしたが、強みを発揮する間もなく海賊軍団に蹴散らされ海の藻屑と消えていきました。ウンゴロ拡張版で3マナ枠に《タール・クリーパー / Tar Creeper》《ストーンヒルの守護者 / Stonehill Defender》という優秀な挑発/Tauntミニオンが加わった今ならば、4マナのこのミニオンはHandbuffデッキにおいて輝く存在かもしれません。

その他のデッキにおいて活躍の機会は無さそうでしょうか。少なくともAggroカードではありませんし、MidrangeやControl Paladinで検討されるかどうかについてはまだ見えてはきません。マーロック/Murloc種族シナジーを組み込まないデッキにおいて一考の価値はあるようにも思われるのはやはり、Paladinが手薄な4マナミニオンであることと突撃/Chargeを持つことに尽きるでしょう。《王の祝福 / Blessing of Kings》《剣竜騎乗 / Spikeridged Steed》、その他buffスペルとこのミニオンは十分な親和性を備えています。




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《霊魂鞭打 / Spirit Lash》


使用クラス: プリースト / Priest
カードタイプ: 呪文 / Spell

◆ カード分析

このカードについてひとつ疑問なのは、AoEの生命奪取/Lifesteelによる回復効果は与えたダメージを合計して一度だけ回復なのでしょうか、それとも《超越者ハラジール / Hallazeal the Ascended》のように与えたダメージ毎に回復なのでしょうか。もし後者ならば《ライトウォーデン / Lightwarden》のミラクルコンボという夢もあるので気になるところです。もちろん《回復の輪 / Circle of Healing》とのコンビネーションを加えれば1ターンキルが見えてくるでしょう。

《ライトウォーデン / Lightwarden》はさておくとしても、これまでPingダメージ(ターゲットへの1ダメージ)を持たなかったクラスがついに全体AoEの1ダメージというカードを手に入れるのですから、このカードには拡張性を感じられます。ひとまずカードを単体で見た場合、チープなマナコストに比してそのアビリティ効果の上限は高いポテンシャルを持っています。除去とヘルス回復を同時に行うことはPriestクラスにとって理に適っており、メタゲーム次第でこのカードは定番となりうるはずです。

そしてやはり真骨頂は他のカードとの連携にあります。一例を挙げれば《熱狂する火霊術師 / Wild Pyromancer》とのコンビネーションで全体2ダメージ、《ノースシャイアの聖職者 / Northshire Cleric》&《回復の輪 / Circle of Healing》のカードドローなどなど、1マナコストでスペルでAoEという特徴を揃えていることはほか様々なカードコンボの材料となるべくデザインされたように見受けられます。




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《疫病科学者 / Plague Scientist》


使用クラス: ローグ / Rogue
カードタイプ: ミニオン / Minion

◆ カード分析

なんとも凶悪なカードテキストですが、このカードはRogueクラスにフィットするのでしょうか。想像を拡げてくれるという点では評価に値するでしょう。たいへん興味をそそられる新カードです。低コストなカードによる有利なトレードを実現し、相手のタフな挑発/Tauntミニオンを除去することもできます。さらに、どんなミニオンでも猛毒/Poisonousを与えられるというのは尋常なことではありません。このアビリティ効果はミニオンのアタック行動に限らず、ダメージを与える全ての手段に適用されます。つまり《ナイフ・ジャグラー / Knife Juggler》の投げるナイフが猛毒付きになり、《熱狂する火霊術師 / Wild Pyromancer》の火遊びはボード上の全てを焼き払う核の炎と化します。

ちなみに猛毒/Poisonousの効果はいま現在のところ断末魔/Deathrattleミニオンのアビリティには適用されていません。しかし開発チームのMike Donais氏より次回のアップデートで修正されることが明言されています。((Source))この修正後は《巨大ガマ / Huge Toad》の毒液が確定除去となり、《ン=ゾスの触手 / Tentacle of N'Zoth》も1マナのボード全除去ミニオンへと変化するわけです。Rogueというクラスでそれをやって何か意味があるのかまでは見えてこないので、あくまで想像を楽しむに留まりますが。

現実世界に戻って考える場合、既存の《SI:7諜報員 / SI:7 Agent》《ヴァイルスパイン・スレイヤー / Vilespine Slayer》が比較対象になります。このカードはSIよりもスタッツが低く、事前にミニオンの設置を必要とするかわりに相手のミニオンを確定除去が可能です。《ヴァイルスパイン・スレイヤー / Vilespine Slayer》との比較でもこの前提条件がネックとなるでしょう。そこで改めて疑問、このカードはRogueクラスのコンセプトに適うものでしょうか。

《海賊パッチーズ / Patches the Pirate》という特例を除いて、スペルがベースとなるMiracle Rogueとは明らかに相性が良くありません。このカードを採用するならばTempo Rogueが相応しいでしょうか?除去以外に使い道がないため《冷血 / Cold Blood》と比較して見劣りしてしまいます。あるいはJade Rogueはいかがでしょうか。Tokenを複数生成したり隠れ身/Stealthミニオンを含むこのデッキならば試す価値はありそうです。アリーナならばマストピックのカードかもしれません。




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《氷砕き / Ice Breaker》


使用クラス: シャーマン / Shaman
カードタイプ: 武器 / Weapon

◆ カード分析

カードの評価は別として、このアビリティ効果には非常に興味をそそられます。これはShamanクラスに凍結/Freezeエフェクトとの関連性を掘り起こそうとする前触れなのでしょう。これまでオーバーロード/Overloadシナジーやトーテム種族、ついでに魚類と両生類のキメラ生物などが注目されていたShamanの追加カードですが、地水火風の元素やエレメンタルもShamanというキャラクターデザインに含まれています。

いま現在のカードプールでShamanクラスが凍結/Freezeエフェクトを発生させられる手段はクラス専用スペルの《凍気の衝撃 / Frost Shock》、そして中立ミニオンから《グレイシャル・シャード / Glacial Shard》《フロスト・エレメンタル / Frost Elemental》の2体のみです。ミニオンはどちらもエレメンタル/Elemental種族に属すため、もしこのカードを利用するならばElemental Shamanのデッキにおいて検討することになるでしょう。

さて問題は、凍結/Freezeエフェクトを発生させる手間をかけてまでこのカードを利用する価値があるのでしょうか?似たようなカードでは《猛毒の仕込み / Envenom Weapon》がRogueクラスに追加されましたが、今のところメジャーデッキで採用された例を知りません。ましてShamanクラスには挙げきれないほどの優秀な除去カードが既に存在します。エレメンタル/Elemental種族に注力したデッキの一貫性を高めるために、それら定番の除去を省いて確定除去の役割をこのカードで代用するという考えかたもあるかもしれません。それでもやはり、相手のテンポを遅らせる凍結/Freezeエフェクトと確定除去の効果はまったく相乗効果のないことが魅力を感じさせない要因です。ともあれ、氷の大地を舞台とするこの拡張版だからこそ追加が期待できる凍結/Freezeエフェクトのカード達に注目しておきましょう。




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《ブラッドクイーン・ラナセル / Blood-Queen Lana'thel》


使用クラス: ウォーロック / Warlock
カードタイプ: ミニオン / Minion

◆ カード分析

ごめんなグルダン、今回の拡張版でも君の席はないんだ。

とまぁ、レジェンド1枚で判断するのは早計ではあるものの、しかしこのカードはあまりにも奇妙です。新しいキーワードアビリティの生命奪取/LifesteelはWarlockクラスが待ち望んいでいたヘルス回復手段の追加に他なりません。Make Warlock Great Again. この悲願を達成するにはかつての《骨董品のヒールロボ / Antique Healbot》や、スタンダードから脱落したばかりの《レノ・ジャクソン / Reno Jackson》に代わる回復要素が求められています。

しかし、ヘルス回復を必要としているのはControl系のデッキです。そして、Control系のWarlockデッキは破棄/Discardの要素とは馴染まないものです。《サキュバス / Succubus》《銀食器ゴーレム / Silverware Golem》《クラッチマザー・ザヴァス / Clutchmother Zavas》《ラッカリ・フェルハウンド / Lakkari Felhound》《ドゥームガード / Doomguard》...etc。カード破棄/Discardの代償がもたらすのはテンポであり、ボードコントロールを旨とするRenolock(Kazakus Lock)や、かつてキングオブコントロールともてはやされたHandlockとは基本的に相性が良くありません。そもそも破棄/Discardによってこのカード自身が破棄されてしまい、Funny and Lucky momentに晒される危険も含んでいるのです。

仮にこの新しいレジェンドをControlデッキへ組み込むとして実用的なスタッツは幾つでしょうか?最低でもアタック3、デメリットを加味すれば5は欲しいところですが、5ターン目にドロップするならばアタック1からのスタートはあまりにも低すぎる数値に思えます。そしてこのカードの強みが発揮されるには複数ターン生存することが望ましく、ゲーム終盤まで温存しても活躍は難しいでしょう。カード6枚くらい破棄してゲーム終盤に5マナ7/6(+Lifesteel)をドロップ、デッキの山札はもうすぐ底をつく、いったいどのような勝ち筋のうえで起こりうるシチュエーションでしょうか。

ちなみに《影の炎 / Shadowflame》とのコンビネーションの可能性も基本的にありえません。Rogueの《猛毒の仕込み / Envenom Weapon》《千刃乱舞 / Blade Flurry》に適用されませんし、《不屈のカタツムリ / Stubborn Gastropod》《影の炎 / Shadowflame》で爆破してもただの全体1ダメージです。これは《影の炎 / Shadowflame》自体がダメージソースであるため、<生命奪取/Lifesteel>のアビリティは適用されないと想定されるのです。




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《ブラッドレイザー / Blood Razor》


使用クラス: ウォリアー / Warrior
カードタイプ: 武器 / Weapon

◆ カード分析

2/2武器+《旋風剣 / Whirlwind》*2=4マナのカード1枚、サンキューベンブロードと言っても大仰ではないはずです。古き良きあの《デス・バイト / Death's Bite》を思い出さずにはいられません。今回の新カードはアタック値が2低く、雄叫び/Battlecry発動でも全てのミニオンに1ダメージを与えます。

まずアタック値がコスト比で低い点はアビリティと合計してミニオン単体目標に実質3ダメージとなり大きく見劣りはしません。そしてこの多段ダメージは聖なる盾/Divine Shield断末魔/Deathrattle発生のTokenミニオンに対して非常に有効であり、《苦痛の侍祭 / Acolyte of Pain》などが相手のボードに居る場合はデメリットにもなるので一長一短の性質です。ここはメタゲーム次第で評価が変動するポイントになりますが、武器破壊されない限り発動タイミングをプレイヤーが選べるのは《ン=ゾスの触手 / Tentacle of N'Zoth》などミニオンの同様なアビリティと単純に比較できない利点です。

さてこの武器と相性の良い既存カードはと考えると、もはや笑いがこみ上げてくるほど存在します。除去としての役割ではもちろん《止めの一撃 / Execute》を始めとして、《魚のエサ / Sleep with the Fishes》と合計して全ミニオンに4ダメージ、《キングモッシュ / King Mosh》ならばオールクリアです。

味方ミニオンもダメージの対象となることは通常デメリット効果のはずですが、Warriorクラスならばシナジーへと転換できます。《鎧職人 / Armorsmith》《苦痛の侍祭 / Acolyte of Pain》《ブラッドフーフの勇士 / Bloodhoof Brave》...etc。《創増身 / Sudden Genesis》突撃/Chargeミニオンとのコンボによる爆発的なフィニッシュムーブという可能性すら考えられます。このカードはTempo Warrior、Combo Warrior、Control Warriorなど多くのデッキにおいて素晴らしいツールとして重宝するようになるでしょう。

さらに言うとアグレッシブではないWarriorデッキは4マナ枠が手薄であり、このカードはマナカーブ上でもフィットしています。もっとベンブロード氏を褒めちぎるとすれば、相手ヒーローへの優秀なダメージ源でもあったあの《デス・バイト / Death's Bite》と比較して、フェイスダメージとしてはマナ効率が非常に悪いためアグレッシブなWarriorデッキでは利用価値が低いことも優れたカードデザインの一端と言えます。グレートカード!




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《山火の甲冑 / Mountainfire Armor》


使用クラス: ウォリアー / Warrior
カードタイプ: ミニオン / Minion

◆ カード分析

断末魔/Deathrattle発動のアビリティに面白い条件が設定されています。このアビリティは対戦相手のカードトレードを抑制するものであり、対戦相手がこれに触れないとすればヒーローへのフェイスダメージや不利なトレードのジレンマに悩まされることでしょう。3ターン目の4/3スタッツミニオンは放置するのに危険な存在ですが、対戦相手がトレードを仕掛ければ装甲/Armorを6も与えることになってしまいます。

マイナスな点は任意のタイミングで装甲/Armorを得られないことであり、《シールドメイデン / Shieldmaiden》のように扱うことはできません。装甲/Armor+6は非常に大きい数値ですが《シールドスラム / Shield Slam》との連携を考えるのはトリッキーな状況に限定されます。さてこのような性質を踏まえてカードの運用を実際に考える場合、Tempo Warriorでこそ出番があるのではないでしょうか。

このアビリティを相手が発動させたくないと考えればトレードを仕掛けることができません。しかし放置すれば4/3のスタッツは相手ヒーローに対する脅威であり、アタック2以下のミニオン達が不利なトレードを強いられます。いずれにせよ、アグレッシブなスタッツにディフェンシブなアビリティ設定という非常に興味をそそられるカードであり、デッキ構成の妙とカードプレイスキルが問われる1枚だと思われます。




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《ネルビアンの解絡師 / Nerubian Unraveler》


使用クラス: 中立 / Neutral
カードタイプ: ミニオン / Minion

◆ カード分析

ベストデザインとして賞賛された懐かしの《ロウゼブ / Loatheb》を思い出させるカードです。スペルコンボデッキに対する明確なカウンターカードとしてデザインされているのは言うまでもありません。《ロウゼブ / Loatheb》と異なるのはコストに見合わないスタッツ、対戦相手だけでなく自身にも影響する双対象の効果範囲、ボード上に存在する限り効力を発し続けるアビリティ発動、そして2枚デッキに入ることです。今のところの所感としては、このカードを公開したEloiseが可愛かったなぁという印象ぐらいしかありません。

《ロウゼブ / Loatheb》がさまざまなデッキで活用されていたのは幾つかの理由が存在しました。ひとつは当時支配的だったMiracle Rogue(《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》nerf前)に対するカウンター手段としてのものです。そして相手のボードクリアを封じる詰めの手となったことも主な理由のひとつ。コストに見合うスタッツなので単純な5ドロップとしても有効であり、プレイ側にはデメリットがありませんでした。

こうして長らく愛用された《ロウゼブ / Loatheb》と比較した場合、この新カードは先に挙げた点において明確に劣ります。仮に相手ミニオンに除去されたならばアビリティ効果は消失するため費やしたコストが無駄になりかねません。そしてもちろん、自分にも効果が及ぶことは自身のプレイにも制限を課すことになります。ミニオンを中心としたデッキにおいてはこのデメリットは無視できますが、たとえばZoo Warlockにこのカードを入れるでしょうか?このカードは明らかにテックカードであり、その他どんなカードともシナジーを持たないのでデッキの一貫性を損ないます。いま現在想像できる範囲においてこのカードの必要な場面を思い浮かべるならば、もっと良い手段が他にあるのではないでしょうか。




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《タルダラム公爵 / Prince Taldaram》


使用クラス: 中立 / Neutral
カードタイプ: ミニオン / Minion

◆ カード分析

コピー対象がフレンドリーミニオンに限定されない3マナ3/3スタッツの《無貌の操り手 / Faceless Manipulator》というカードのようですが、前提条件があまりにも厳しいものです。一般的なデッキのマナカーブにおいて3マナコストのカードは極めて重要な存在であり、このカード1枚のために省くことはできません。スペルや武器も対象なので《ジャングルハンター・ヒーメット / Hemet, Jungle Hunter》でもコントロール出来ず、3マナカードを他に採用しない特殊なコンボデッキでの運用を考えることになるでしょう。

その場合は《無貌の操り手 / Faceless Manipulator》よりも2コスト安いアドバンテージを活かさなければこのカードの価値が活かせません。《古のものの血族 / Blood of The Ancient One》+《練気 / Innervate》とかいかがでしょうか?

正直なところ、やはりこのアビリティは前提条件に見合うものとは思えないため魅力を感じられません。




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《ケレセス公爵 / Prince Kelesth》


使用クラス: 中立 / Neutral
カードタイプ: ミニオン / Minion

◆ カード分析

《霧招き / The Mistcaller》なんてカードもあったなぁと折に触れて思い出すのはこのようなカードを見た時です。重ねてこのカードは奇妙な前提条件が存在し、デッキには2マナのカードが存在してはいけません。2マナのカードはミニオンとスペルどちらにおいても最も重要なコスト帯であり、Warlockを除いてあらゆるクラスのコアカードが詰まっています。ゆえにこのカードは通常のデッキでプレイされるような性質ではないのでしょう。

この前提条件とアビリティの性質を鑑みれば、可能性を考えられるのは1マナコストミニオンが主力のAggroデッキです。Quest Hunter、あるいはAggro Paladinならばデッキに入る余地が考えられるでしょう。ただしPaladinならば《グライムストリートの道具屋 / Grimestreet Outfitter》が既に存在するので、このカードを検討する価値についてはやや疑問です。




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《浅めの墓穴掘り / Shallow Gravedigger》


使用クラス: 中立 / Neutral
カードタイプ: ミニオン / Minion

◆ カード分析

不死の王たるリッチキングがテーマとなるだけに、断末魔/Deathrattleミニオンはこの拡張版において数多く登場すると想像できます。最初に公開されたこのミニオンはしかしながら、断末魔/Deathrattleミニオンを主力に据えたデッキの中で活躍するかは疑問符が付きます。

比較対象となる《戦利品クレクレ君 / Loot Hoarder》は自分のデッキからカードを引くことができますが、この新カードはランダムな断末魔/Deathrattleミニオンが手札へと1枚追加されます。この違いはデッキ外からカードを掘り出すという1点にあり、デッキの山札が尽きるほどのロングゲームを見越さなければ価値を感じ取れません。さて《頽廃させしものン=ゾス / N'Zoth, the Corruptor》を切り札とするデッキではプレイアブルでしょうか。

カードをデッキ外から持ち込むというバリューは確かに存在するものの、かつてプレイされていたようなN'Zothデッキに馴染むとはにわかに想像できません。ゴミでもなんでも断末魔/Deathrattleミニオンを積み込めというデッキではなかったはずです。あるいは《目覚めよ創造主 / Awaken the Makers》のQuest Priestでは?クエスト達成を加速する材料にはなるかもしれません。しかしやはり、ヒーローパワーで処理されてしまうスタッツの低さは目に余るものです。




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《汚れし爆弾 / Ticking Abomination》


使用クラス: 中立 / Neutral
カードタイプ: ミニオン / Minion

◆ カード分析

《チルウィンドのイェティ / Chillwind Yeti》に+1/+1を与えただけのスタッツで余りにも大きなデメリットを抱えているミニオン。《頽廃させしものン=ゾス / N'Zoth, the Corruptor》とは明確なアンチシナジーであり、断末魔/Deathrattleにフォーカスしたデッキにおいても利用価値が見出だせません。中盤以降はボードの優位を捨てるAggroデッキにしても《ビタータイド・ヒドラ / Bittertide Hydra》のほうが数段優れているものでしょう。

このデメリットを解消するには沈黙/Silenceという手段もあります。しかしこれも《ドデカいレイザーリーフ / Humongous Razorleaf》に見劣りするのでSilence Priestが採用することは考えにくいものです。




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【KFT】凍てつく玉座の騎士団カードプレビュー Part.1
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