テンポ・コンボ・オールイン (Gadgetzan Miracle Rogue)


明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
仕事や日常のゴタゴタも一息ついたのでようやく新年最初の考察記事となります。


今回のテーマであるMiracle Rogueというデッキはプレイの難易度が高く、習熟するのに時間と経験を必要とするとよく言われてますね。このゲームにおいてプレイの難易度を高める要素は主に、自分が用いるデッキの性格に大きく依存します。たとえばマナカーブに沿ってミニオンをドロップしていく行動が最も合理的なデッキならば、手札次第ですが基本的に難しく考える必要は無いでしょう。ミニオンの圧力を押し付けていく行動が最も適切ならばただそうしていくだけなのです。

しかし返しのターンで相手が取り得るカウンターや、相手の盤面に置かれたミニオンの脅威度などを考えると、そうした単純なデッキであっても除去やミニオン召喚、カードドローなど複数の選択肢から適切な行動を選び取らなければなりません。

ましてやMiracle Rogueとはマナカーブに沿ってミニオンをただ置けば良いというデッキではありません。プレイングは対戦相手のデッキタイプによって大きく様変わりし、さらに自身のデッキに含まれる低コストなスペルの数々が選択肢を複雑にします。

そこで今回の記事では、Miracle Rogueというデッキのポテンシャルを最大限に引き出すための勘所となる”テンポ”と”コンボ”の関係について考えていきたいと思います。わたし自身はこのデッキをマスターしたと言うにはほど遠いレベルですが、Miracle Rogueを上手く回せないという方にとって何かしらのヒントになればと思います。

実際のところデッキの勉強にはクオリティの高いデッキガイドを読み、上手なプレイヤーの対戦を観戦することが最適です。この記事はそうしたデッキ習得の前段階として、Miracle Rogueの可能性を狭めてしまう要因を取り除くことを目的としたものです。

デッキの基礎知識やより実践的な内容を求めている方は以下のガイドや動画の視聴をオススメします。


◆ 参照リンク

Reworked Miracle Rogue Guide [Sector one]
海賊ミラクルローグについてガイド的なもの [えーりたのぶろぐ]
個人的なまとめ-海賊ミラクルローグ- [yugo_6のハースストーンブログ]
Abyssusチームによるクエスト中の冒険者入りミラクルローグのガイド [INFOLATION]








思い込みが選択肢を狭める




Miracle Rogueのプレイに失敗する最も大きな要因となるのは、カードのプレイに対する”思い込み”だとわたしは考えています。このカードはこのカードと一緒に使用しなければならない、あのタイミングまで使用を控えなければならない、そのような自分のイメージに刷り込まれた思い込みがどこかにありませんか?

《死角からの一刺し / Backstab》《SI:7諜報員 / SI:7 Agent》とセット、《コイン / The Coin》《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》でカードドローするためになるべく取っておく、《昏倒 / Sap》は相手のデカいミニオン相手や挑発/Taunt相手に使う、などなど。

そうしたカードの組み合わせや使用タイミングは最も効果的なプレイの一例ではありますが、ゲーム中に選択肢がそれしかないわけではありません。また、その効果的な行動を採るために無駄なターンと被ダメージを重ねるものではありません。今現在のMiracle Rogueのプレイはもっとおおらかに自由で融通無碍なものです。

たとえばRogueマスターと呼ばれるような熟練のプレイヤー達は、盤面に残されたヘルスが1しかないようなミニオンに平気な顔で《冷血 / Cold Blood》を付与して相手のヒーローを殴らせることがあります。《冷血 / Cold Blood》はもはやフィニッシャーカードではないとしても、簡単に除去されるミニオンに対してコンボ材料になる1マナスペルを浪費するのは勿体ないと思いませんか?ほかにも彼らの動画や配信を観ていると、そこでそのカード使っちゃうの?と困惑させられる状況が多々あるはずです。

そうしたギャップが起こる原因はまたしても、ひとつの思い込みにあるようです。その正体はおそらく”コンボデッキ”という先入観です。



◆ コンボはミラクル・ショニア・ジェンキンス

Miracle Rogueはこのゲームで最も古い歴史を持つアーキタイプのひとつであり、デッキの原型は確認できる限りでもオープンβ開始前の2013年6月まで遡ることができます。

そもそもこのデッキコンセプトは対戦型TCGの元祖マジック・ザ・ギャザリングを由来としており、それは15年以上も昔の出来事ですが話が膨らみすぎるのでここでは控えます。ともかく、このデッキが脚光を浴びたのはその一年後、ウクライナのプレイヤーKolentoがリファインしたドローヘビーな構築が成功を収めたことによって、その使い手とともに広く認知されることとなったのです。

Kolentoのデッキはカードドローと低コストな呪文に偏っており、対戦中にデッキを底まで引ききるようなことも珍しくはありませんでした。そうして大量にカードをドローする中で手札の中にはカードコンボの部品が集まり、完成したコンボは1ターンで相手のヘルスをふっ飛ばすほどの威力を秘めていたのです。

あのリロイステップコンボは多くの人の記憶に刻まれていることでしょう。正式サービス開始から間もない時期にコンボデッキという構築思想をプレイヤー達へ浸透させると同時に、ある種の先入観を植え付けてしまったのかもしれません。






◆ 全ては勝つための手段のひとつにすぎない



《リロイ・ジェンキンス / Leeroy Jenkins》《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》のnerf調整、数々の新カードの追加を経た今となっては、同じくMiracle Rogueと呼ばれていても性格は大きく変化しています。

たとえば一番このデッキで特徴的な《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》のカードドローコンボのみがこのデッキの勝ち筋だと考えているなら、まずはその先入観を捨てなければなりません。低コストなスペルカードを手札に大量に抱えたまま敗北し、《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》が引けなかったから対戦に負けたと嘆くのは、もしかすると誤った敗因分析の可能性があります。

Rogueに熟達したプレイヤーとして定評のあるMrYagutなどの配信を観戦し、10回の対戦中に《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》がウィンコンディションに絡んできた回数を実際に数えてみましょう。このカードはテンポに弾みをつける強力なカードサイクルのエンジン装置であり、勝利に必ずしも必要な条件ではないと納得するはずです。(もちろん上手く利用できる状況ならこれほど強力なカードはありませんが)

繰り返しですが熟練プレイヤーの対戦を観戦することは、デッキを理解するための最上の手段です。そして同時に彼らのプレイを観戦する中で、そのカードを今使用するのは勿体ないんじゃないか?と感じたところがあれば、それはあなたのプレイの改善ポイントになるはずです。

Miracle Rogueのデッキに含まれるカード達は対戦相手のデッキや盤面、手札の状況に対して驚くほどフレキシブルに対応する様々な組み合わせが存在するため、カードを使うべき時に正しく使うということは簡単なようで非常に難しいものです。これまでMiracle Rogueというデッキに抱いていた全ての先入観を捨て去り、あらためて何が最適なのかを最初から考えて直してみましょう。

相手のヘルスを0まで削ることがこのデッキの勝ち筋であり、全てのカードはその手段のひとつに過ぎないものです。脳裏に刷り込まれてきたコンボデッキのイメージに別れを告げ、ゼロベースでガジェッツァン実装後のMiracle Rogueというデッキを解釈するのです。




テンポ志向 (tempo-oriented)




ここで伝えようとしていることはコンボデッキというアーキタイプの否定ではありません。カードコンボはMiracle Rogueの核であり、これを活かさなければ勝利は難しいものとなります。

デッキ分類の用語にこだわるのはあまり有意義とは思えませんが、たとえば10ターン目に複数枚のカードコンボによってバーストダメージを相手のヒーローに叩き込むデッキと、対戦中を通して相手に脅威を突きつけスノーボールしながら10ターンかけて30点のヘルスを削るデッキについて考えてみましょう。

前者はとくにコンボデッキと呼ばれ、後者はテンポデッキなどと称されます。このデッキ分類傾向に従うならば、今のMiracle Rogueはテンポデッキに分類するのが適切です。ゆえに除去されるのを承知でミニオンに《冷血 / Cold Blood》を乗せて殴らせるのが適切な行動になりうることもあるのです。脅威を突きつけ相手を後手に回らせることがテンポデッキの真髄だからです。

海外プレイヤー達はデッキに見られる特徴的な傾向に「oriented」という表現を好んで用います。tempo-oriented、日本語にするならテンポ志向とでもいうのが適切かは判りませんが、Miracle Rogueのこうした傾向はLOEの《墓荒らし / Tomb Pillager》実装などをきっかけに顕著となりました。ガジェッツァン実装で海賊/Pirateパッケージを取り入れた現在においては、全てのデッキの中で最もカードコンボに特化したテンポデッキという異彩を放つ存在となっています。



◆ テンポとはなんぞや

カードゲームの文脈におけるテンポという表現はこれまたマジック・ザ・ギャザリングを発祥として、古今東西さまざまにその概念が語られています。いまだその解釈が一致しないということは、人によって様々な捉え方があってよい概念ということなのでしょう。ここではテンポ概論の比較検証などは横に置いときます。

当サイト管理人の解釈においては、相手ヒーローのヘルスを削るダメージ(ビート=拍)を刻む速さをテンポと捉えています。そして速さとは比較において差が生じる概念ですから、自分と相手がお互いのヘルスを削り合う速度の対比がアドバンテージ or ディスアドバンテージとして浮かび上がってきます。この速度を相手より上回っている状態を、一般にテンポをとっていると表現されるものでしょう。後手後手の対応に回らされているのはその逆にテンポをとられている状態です。

単純に盤面における強さをテンポと表すことを多々見かけますが、これはあまり適切ではないと思います。たとえばすでに相手の体力を10まで削り、《ドゥームハンマー / Doomhammer》を装備しているAggro Shamanはもはや相手と盤面の強さを競う必要が無いからです。


さて、今のMiracle Rogueがテンポ志向であるとはつまり、ミニオンによる脅威とスペルを利用してイニシアティブを握ろうとするデッキである、ということです。

コンボパーツを集めてゲーム後半のバーストコンボでダメージを削る速度を巻き返すこともできるじゃないかと思うかもしれませんしまったくもってその通りなのですが、ここで話しているのはデッキの基本的な性質と、デッキが目指す戦略の基礎にあたる部分です。テンポデッキとコンボデッキのどちらと称するかは重要ではありません。上辺に貼り付けられるラベルではなく中身の問題です。

Miracle Rogueがこのテンポを生み出し維持するために重要なのはもちろんカードコンボです。次の項では熟練のRogueプレイヤー達が”テンポ”のためにどのようなコンボを用いるかの実例を幾つか見ていきましょう。


Pirate Warriorとの対戦はテンポレースになる
StrifeCro - Hearthstone Miracle Rogue S34 #2: Plays for Days [Youtube]






テンポのためのコンボ


先述の通り、テンポのために行うコンボを幾つかピックアップして見ていきます。著名配信者のプレイであるから正解とは限りませんし、手札次第でまた違った判断がいくらでも生まれてくることに留意してください。


◆ 3ターン目の《偽造コイン / Counterfeit Coin》 + 《墓荒らし / Tomb Pillager》

▶ Ostkaka vs Dragon Priest [Twitch]

コンボと言うのも憚られるほど非常にシンプルで基本的なコンボ。他のデッキでは当たり前のようにやっていることが、Miracle Rogueではある種の誘惑が湧いてきてしまいます。もちろんこれは盤面に残っているのが《ちんけなバッカニーア / Small-Time Buccaneer》だったなら違った判断になるでしょう。

《コイン / The Coin》は様々に用途があるので使用を躊躇うかもしれませんが、ここでOstkakaは3ターン目にアタック5のミニオンを置くことによるテンポを優先しています。仮に除去されたとしても《墓荒らし / Tomb Pillager》《コイン / The Coin》を補充してくれます。

たとえばここで除去された場合カードの価値としては若干不利なトレードにあたりますが、いずれにせよRogueがDragon Priestにカードバリューで勝つことは考えられません。またかつてのように、ゲーム後半の《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》によるドローコンボを待つのではなくプレッシャーを早い段階から仕掛けていくのが基本となります。

主に3ターン目のミニオンプレイは迷うことが多々あるでしょう。手札次第ではプレッシャーを仕掛けることが常に正解とは限りませんが、現在のMiracle Rogueにおいてはイニシアティブを握ることが優位を呼び込みます。仮に《墓荒らし / Tomb Pillager》《アジュア・ドレイク / Azure Drake》のような手札を増やしながらプレッシャーをかけられるカードが後へ続くなら迷うことはありません。GOです。




《クエスト中の冒険者 / Questing Adventurer》 + 《コイン / The Coin》 + 《リロイ・ジェンキンス / Leeroy Jenkins》

▶ Ostkaka vs Dragon Priest [Twitch]

手札には《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》《コイン / The Coin》が同時にあるのでカードドローを行いたくなる状況です。しかし《昏倒 / Sap》のように現在の盤面を解決する手段は手元に無く、ドローコンボで引き当てられる保証もないので現在盤面にある自身のミニオンは1ターンの行動を無駄にする公算が高い状況。

さらにDragon Priestには《ドラゴンファイア・ポーション / Dragonfire Potion》による全体除去、またはミニオンへのbuffがあるためこの後盤面を解決出来ない状況が継続する可能性もあります。ここでOstkakaはご都合ドローに頼らず《リロイ・ジェンキンス / Leeroy Jenkins》を捨てることを選択。《クエスト中の冒険者 / Questing Adventurer》を4/4に育てることでテンポの維持を図りました。




《コイン / The Coin》 + 《段取り / Preparation》 + 《ナイフの雨 / Fan of Knives》 + 《エドウィン・ヴァンクリーフ / Edwin VanCleef》

▶ MrYagut vs Control Warrior [Twitch]

対戦相手のWarriorは1ターン目ノープレイ、2ターン目《装甲強化! / Armor Up!》を行ったので明らかにPirate Warriorではありません。8/8のミニオンであろうが除去する様々な手段を持つWarriorですが、3マナでは《血を霊液に / Blood To Ichor》+《止めの一撃 / Execute》の2枚が揃っていない限り返しのターンで除去されることは考えにくいためMrYagutは強気で押し出します。右手には《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》が来ていますが、将来的な可能性などここでは目もくれません。




◆ 1ターン見送って《死角からの一刺し / Backstab》 + 《エドウィン・ヴァンクリーフ / Edwin VanCleef》

▶ MrYagut vs Dragon Priest [Twitch]

《コイン / The Coin》《死角からの一刺し / Backstab》など低コストな呪文を利用して8/8の《エドウィン・ヴァンクリーフ / Edwin VanCleef》が頭をかすめる状況です。しかし相手はPriestなのでもちろん《密言・死 / Shadow Word: Death》の可能性があり、現在の手札にはその後に続くミニオンがいません。

MrYagutはさきほどのControl Warrior相手とはうってかわって慎重になり、1ターン見送った次のターンに召喚された《カバールのカギ爪のプリースト / Kabal Talonpriest》を処理しつつ除去されにくい4/4の《エドウィン・ヴァンクリーフ / Edwin VanCleef》でほどほどのプレッシャーをかけ続ける選択を行いました。




《クエスト中の冒険者 / Questing Adventurer》 + 《コイン / The Coin》 + 《ちんけなバッカニーア / Small-Time Buccaneer》 + 《段取り / Preparation》 + 《ナイフの雨 / Fan of Knives》 + 《コイン / The Coin》 + 《冷血 / Cold Blood》


▶ Rdu vs Aggro Shaman [Twitch]

3ターン目の時点で追い詰められているRdu。ここでテンポを巻き返さなければ後がないため、手札を全て吐き出す勢いで《クエスト中の冒険者 / Questing Adventurer》を育てて行きます。

8/8まで強化されたミニオンに対してオーバーロード/Overloadの負担があるAggro Shaman側は《炎の舌のトーテム / Flametongue Totem》しか返す手が無く、挑発/TauntのTotemも引けなかったため状況は逆転しました。




《怪盗紳士 / Swashburglar》 + 《冷血 / Cold Blood》 + 《隠蔽 / Conceal》

▶ Purple & Eloise vs Renolock [Twitch]

神経と髪の毛をストレスで擦り減らしながら孤独に回すべきラダーをEloiseとスカイプでデレデレしながらプレイするという舐め腐った態度のPurpleはRenolockと対戦しています。返しのターンには《悪魔の憤怒 / Demonwrath》 or 《地獄の炎 / Hellfire》など小粒のミニオン達を処理するのに十分な可能性が有り、Purple側の手札はこのあと継続してプレッシャーをかけ続けていくのに思わしい状況ではありません。《怪盗紳士 / Swashburglar》が持ってきたカードもハズレ。

ここでPurpleとEloiseは《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》のドローという将来的な可能性を捨て、ヘルス2のミニオンに《冷血 / Cold Blood》を乗せて追加4ダメージと次のターン以降にも継続する脅威を盤面に作り出します。もしAoEが無ければここでゲームがおわり、AoEがあるなら除去されるのは仕方ないとしても、《シャドウボルト / Shadow Bolt》での対処を潰すために《闇の売人 / Dark Peddler》で引き当てた《隠蔽 / Conceal》1枚を消費します。




《クエスト中の冒険者 / Questing Adventurer》ドロップ、次のターンに《怪盗紳士 / Swashburglar》 + 《コイン / The Coin》 + 《海賊パッチーズ / Patches the Pirate》 + 《エドウィン・ヴァンクリーフ / Edwin VanCleef》

▶ Casie & Tictac vs Renolock [Twitch]

こちらは男同士がスカイプでイチャイチャしながらラダーを回すCasieとTictac。この3ターン目の時点で6/6 or 8/8《エドウィン・ヴァンクリーフ / Edwin VanCleef》を出すか《クエスト中の冒険者 / Questing Adventurer》を4/4へ育てることも出来ますが、2/2でドロップして見送り次のターンで理想的なコンボを行う可能性を期待しています。

返しのターンには《動物変身 / Polymorph》による除去、《フロストボルト / Frostbolt》 or 《アイスランス / Ice Lance》 or 《フロストノヴァ / Frost Nova》で足止めなどのカウンターが幾らも考えられますが、プレッシャーを相手に強いる賭けに踏み切っています。Casieの言葉通り、Miraclle Rogueとは時にギャンブラーになることが求められます。




オールインとリスクケア


先ほど見ていったテンポのためのコンボにおいて、強大な《エドウィン・ヴァンクリーフ / Edwin VanCleef》《クエスト中の冒険者 / Questing Adventurer》を作り出すことを”オールイン”と表現されることがあります。この言葉を用いるプレイヤーはガジェッツァン以降とくに目立つようになってきました。

この記事の締めくくりとして”オールイン”という言葉の指すところと、プレイにあたって考慮すべきことを考えていきましょう。


◆ オールイン(All-in)に後は無い

オールイン(All-in)というのはハースストーンの用語ではありません。主にゲームの世界で広く用いられ、おおよそ共通しているのは持てるリソースを一点に注ぎ込むことを意味することです。ポーカーであれば今できあがっている手にチップを全部つっこむような状況でしょうか。

同じBlizzard社のリアルタイムストラテジーゲーム、Starcraft2ではこの言葉が頻用されています。BO5の対戦が行われれば、いずれかのゲームでプレイヤーがこのオールインを試みるほど至極一般的な戦術なのです。

Crank - Zealot rush Immortal all in [Youtube]


RTSジャンルのご多分に漏れず、Starcraftシリーズも戦略の基本は①資源②拡張③軍事力の三本柱で成り立ちます。対戦するプレイヤー達はワーカー(労働者)を動かして資源を基地に集め、集めた資源をもとにさまざまな施設を建設し、バラック(兵舎)のような戦闘ユニット生産施設によって軍事力を強化していきます。

さらなる資源の獲得と相手へのハラス(妨害)のためには軍事力が必要となるため、①資源②拡張③軍事力の三本柱は全てが一連の戦略として同時進行させていくのがRTSの基礎戦略となります。

そして戦術の一つとして、②で行う拡張の手を止めることによって余った資源を③の軍事力に注ぎ込み、一時的に相手を大きく上回る戦力を作り出して攻め込む戦法を一般に”ラッシュ”と言います。一時的に作り出した戦力差で相手に壊滅的なダメージを与えられれば作戦成功、ダメージを与えられず凌がれれば②の拡張を止めた分だけ後で不利を被るという一見して奇策のようではありますが、RTSの基本はラッシュと言われるほどに重要な戦術です。

この”ラッシュ”の中でもとくに、全ての内政をストップして相手への攻撃に集中する戦法をオールイン(All-in)と表現されます。他の状況でも使用することはありますが、共通しているのは全てのリソースをその一点のタイミングに注ぎ込むこと、つまり、ここで決めなきゃ後は無いと割り切った覚悟の一手です。

どうしてStarcraftの話に置き換えて長々と説明したかといいますと、Miracle Rogueのプレイで用いるオールインとはRTSジャンルにおけるオールインと非常に性質が似通っているからです。



◆ リスクの見極め

当たり前の話ですが、テンポのためのコンボには複数枚の手札消費を必要とします。この中でとくに低コストのスペルカード達は他の様々な局面で用途が存在します。呪文ダメージ/Spell Damageボーナスを加えた安価で強力な除去、重要なミニオンの保護、そして何より《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》の能力を利用したドローエンジンの燃料となります。

こうした将来的な発展性をかなぐり捨ててテンポのために注力するコンボ、わけても手札の全てを使い切ってしまうほど過激なオールインを行うには、相手に刺さるかどうかと上手く返されてしまう場合のリスクの見極めが必要です。そこで必要なのは知識を基にした判断力であり、いま現在のメタゲームを広く深く知るほかありません。

たとえば相手がAggro Shamanであると序盤の動きで判別できるなら《呪術 / Hex》の可能性はまず無いので、挑発/Tauntで遮られること以外に12/12の《エドウィン・ヴァンクリーフ / Edwin VanCleef》を作リ出すリスクはほとんどありません。これが通れば2ターンでほぼリーサルというテンポの加速になります。翻ってReno系デッキは様々な対抗手段が存在します。そしてオールインが刺さらなければ明確な不利となってしまいます。


《呪術 / Hex》は無いと踏んでドヤ顔エドウィンをキメるの図
Miracle Rogue to legend part 1 - EdWIN VanCleef [Youtube]


気をつけて欲しいのは、リスクの見極めとは安全な道を歩くことを奨めているものではありません。基本的にMiracle Rogueはカードバリューで勝てるデッキではないので、相手のヘルスを削り落とさなければジリ貧となります。セーフティエリアで勝負できればそれに越したことはありませんが、多くの対戦においてリスクを呑んで賭けに出ることを求められます。もちろん前のめりになりすぎてもいけません。《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》が全てをひっくり返してくれる可能性もあるのです。

予想される相手のデッキと行動、自分の手札と残されたデッキ山札のカード、盤面の状況とお互いのヒーローのヘルス、すべてを考慮し勝負師の気概を持って張るべき時にツッパるのです。Miracle Rogueの熟練者はツッパリ上手と言っても過言ではありません。あなたもナンバーワンのツッパリを目指してください。




追記:
《止めの一撃 / Execute》を持たないPirate Warriorを予想してオールインしたらDragon Warriorだったってなんてこともあります。伸るか反るかの勝負もMiracle Rogueの魅力だと思いましょう。





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テンポ・コンボ・オールイン (Gadgetzan Miracle Rogue)
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