ふたたびAggro Shamanメタへ
この記事のテーマはAggro Shamanのデッキにおけるカードチョイスの考察です。キャッチーな記事タイトルを付けたかっただけなので、このカード2枚だけを比較するのが目的ではありません。
さてお待ちかねの新環境vS Data Reaper Reportが先日公開され、現在のメタゲームの様相がおおよそ把握できるようになりました。戦績管理ツールを使用するプレイヤー達の協力によって収集された10万試合以上のプレイデータから、この新環境で支持されるデッキと、そしてデッキ同士の力関係を数字で見て取ることができます。
12月5日~13日の集計期間において、全ランク帯で平均しもっともプレイされていたデッキはやはりPirate Warriorです。このデッキについてはいまさら言うこともありません。しかし、メタゲームを主導するレジェンドランク帯においてはまったく違った結果が現れています。翌週22日に公開された集計期間12月14日~20日のリポートでは、全ランク帯の集計においてもPirate Warriorがあのデッキの後塵を拝することになりました。
下図のグラフはメジャーなBIツールのタブロー(Tableau)を共有埋め込みしてあるので、マウスクリックやドラッグ、またはCtrl選択などで表示したいデータをぐりぐり動かすことができます。
参照リンク:vS Data Reaper Report #29 [Vicious Syndicate]
参照リンク:vS Data Reaper Report #30 [Vicious Syndicate]
◆ 新環境の頂点に立つAggro Shaman
またお前かよと嘆息するでしょうか。そうです、Aggro Shamanです。
特定のデッキを練習したい、あるいは他のヒーローをゴールデンにしたいとか、または緑色のオークや両生類は生理的に受け付けないなどの特別な理由がない限り、現状のラダーではAggro Shamanのプレイが推奨されます。いまはこのデッキが最も短時間で効率よくランクアップするのに最適解となるからです。
ちょっと話は逸れますが、vS Reportにも書かれている通りこのメタゲームは流動的であり来月にはまったく姿を変えているかもしれません。前環境のMidrange Shamanは完全無欠に近い存在でありカウンターデッキが確立されず、カラザンリリース後から最後まで王座を追われることはありませんでした。
しかし現在のAggro Shamanと次点のRenolock・Miracle Rogueは対処する方策が存在します。このデッキ達の人気は持続するでしょうけれど、Tier上位デッキが固定されるような状況は(たぶん)長く続かないはずです。ここからメタゲームが変化していく過程はきっとわたし達を退屈させないでしょう。Aggro Shaman・Miracle Rogue・Renolockの上位人気デッキの力関係に変化をもたらすのは、Dragon WarriorとDragon Priest、そしてMidrange ShamanとReno Mageが鍵になると予想されます。
◆ 豊富なデッキバリエーション
さてAggro Shamanとは一口に言っても、現在さまざまなバリエーションがプレイされています。違いの判りやすいところでは旧神エクスパンションで完成された構築型なのか、またはJade系カードを採用したデッキであるかで大別されます。そしてそれぞれにもカード選択に差異があり、その違いがラダーで対戦するデッキ相手の勝率に少なからぬ影響を及ぼしています。
今回の記事のテーマは冒頭にも書いた通り、デッキのバリエーションを比較しどのカードを選択するかについて理解を深めていくことを目的としています。このデッキを使い込んでる人には今更の内容となりますが、ガジェッツァン実装によってデッキにどんな変化がもたらされたのかおさらいしておきます。
ガジェッツァンのニューカマー
◆ 海賊/Pirateパッケージ
今回のエクスパンションで追加された海賊/Pirate種族ミニオン2体はAggro Shamanのデッキの重要なパーツとなりました。他にシナジーとなる海賊/Pirateカードを必要としないにも関わらずこのカード達がデッキに組み込まれたのは、単純にその優秀なアビリティがAggro Shamanのデッキに噛み合うことを評価されてのものです。
《ちんけなバッカニーア / Small-Time Buccaneer》は序盤用のウェポンとして《精霊の爪 / Spirit Claws》と《翡翠の爪 / Jade Claws》を持つShamanならば発動条件を満たすことは難しくありません。
そして同時に飛び出してくる《海賊パッチーズ / Patches the Pirate》はノーコストで召喚できる突撃/Chargeミニオンであり、序盤からのダメージやトレード要員、《炎の舌のトーテム / Flametongue Totem》との組み合わせなど非常に便利な存在です。
これまで1ターン目の最適な行動は《トンネル・トログ / Tunnel Trogg》か《トーテム・ゴーレム / Totem Golem》に限られていたAggro Shamanに更なる序盤のオプションが加わり、アグレッシブなデッキとの盤面争いと遅いデッキへのプレッシャーの二つの面で大きな恩恵を獲得しました。
◆ Jadeカード
翡翠蓮(Jade Lotus)の勢力に属するカード群は、その特性からは予想できないほどのAggro Shamanとの親和性が存在しました。あまり期待されていなかった《翡翠の爪 / Jade Claws》は、オーバーロード/Overloadによる《トンネル・トログ / Tunnel Trogg》とのシナジーと、《ちんけなバッカニーア / Small-Time Buccaneer》を強化する二つの役割によってその評価を塗り替えています。2ターン目のアタック2点は序盤のミニオン処理に十分な数値ではないものの、相手の《ちんけなバッカニーア / Small-Time Buccaneer》を処理するには事足りるため現在のメタゲームでは有効なウェポンです。
《翡翠の稲妻 / Jade Lightning》はスペルによるダメージ源として《溶岩爆発 / Lava Burst》に劣るものの、Tokenミニオンを盤面に置きつつダメージを与えることはその後の展開に優位を呼び込みます。オーバーロード/Overloadによる制約も発生しないため、除去カードとして使い易い点も大きな特徴です。
これでAggro Shamanは合計24ダメージのスペルダメージの可能性を持つことになりました。単体ダメージスペルが3種類もデッキに必要なのか疑問もあるかもしれませんが、スタンダードフォーマット導入前のAggro Shamanには《バリバリ / Crackle》が必ず採用されていたことを、乱数に殺されたPTSDを持っている人はお忘れではないでしょう。
《アヤ・ブラックポー / Aya Blackpaw》は必ずしもデッキに入る存在ではありません。5マナ以降のカードは《ドゥームハンマー / Doomhammer》しかない構築もいまだに根強い人気を誇っています。このミニオンをAggro Shamanで用いるのは盤面にミニオンを残しやすい性質と、ミニオン本体の存在が相手へのプレッシャーとなる点が評価されています。
《アヤ・ブラックポー / Aya Blackpaw》 vs 《ドゥームハンマー / Doomhammer》
さてようやく本題に入ります。記事タイトルでもあるこの二つのカードはデッキのなかで共存できない関係ということはありません。まず最初にこの二つのカードを考えるのは、現在プレイヤー達が使用するデッキバリエーションの対比において最も目立つポイントだからです。それゆえこの環境に最も適したデッキのあり方を模索する足掛かりとしては最適だと思われます。
◆ 《アヤ・ブラックポー / Aya Blackpaw》のメリット・デメリット
- このミニオンの採用は他のJadeカードとの一貫性がある
- ボードに置かれるプレッシャーとなる
- ヘルスは低いが除去されるデメリットは少ない
- デッキに1枚しか入らない
- Aggro Shamanのデッキでは生成されるTokenのスタッツがあまり高くならない
- 他のJadeカード抜きのピン刺しではマナコスト分の価値が無い
◆ 《ドゥームハンマー / Doomhammer》のメリット・デメリット
- マナコストのダメージ効率が高い
- 《岩穿ちの武器 / Rockbiter Weapon》との組み合わせが強力
- ボードの状況にも干渉しやすくプレイヤー側のミニオンを生存させテンポを保つ役割も可能
- 《岩穿ちの武器 / Rockbiter Weapon》とセットでカード枠を3~4枚埋めてしまう
- ウェポン破壊のカードが刺さる
- Jade系デッキで使用するならばウェポン枚数が多くなりすぎなるため、《精霊の爪 / Spirit Claws》を諦めるなど調整が必要
◆ 両者が相容れない理由
この二つのカードが同時にデッキに採用される例が少ない理由は3つ考えられます。ひとつはJade系カードを採用しない旧神環境以降の典型的な構成、強いて言うならピュアアグロ(?)の場合では《アヤ・ブラックポー / Aya Blackpaw》を採用する理由がありません。二つ目はマナコストとそれぞれのカードの特性によるものです。5マナ以上のミニオンでボードの優位を争う必要性を感じていないプレイヤーは《ドゥームハンマー / Doomhammer》を好む傾向にあるようです。
最後にカード枠の制限。デッキの枠は30枚で固定であり、選択肢が幾つあってもこの数まで切り詰めていかなければなりません。《ドゥームハンマー / Doomhammer》は《岩穿ちの武器 / Rockbiter Weapon》とセットでデッキに入るためカード枠を3~4枚も埋めてしまいます。
《ドゥームハンマー / Doomhammer》を2枚入れていればゲーム後半用のダメージ源として不足することはそうそうありません。他のJade系カードである《翡翠の爪 / Jade Claws》や《翡翠の稲妻 / Jade Lightning》を採用していようとも、ゲーム後半より前半戦のオプションを優先するという考え方もあるでしょう。
ともあれ、この二つの強力なカードのどちらかを諦めなければならないほどに、現在のAggro Shamanは魅力的なカードオプションに恵まれているのです。それでは現在どんなカードオプションが存在するかを把握するために、このデッキをコアとオプションへ分解してみましょう。
コアとオプション
コア(Core)とはHearthstoneの文脈においてデッキの背骨であり、他に置き換えることが出来ないカード達を指します。別の言い方をすれば、さまざまなデッキバリエーションの中でほとんど全てに共通して採用されるカード達です。オプションとはデッキの中で入れ替える余地のあるパーツ、海外プレイヤー達がフレックススロット(flex slot)などと呼んでいるカード群を指します。
今現在のメタゲームにデッキを最適化させていくには、デッキの中に含まれているカード達をこの二つの要素に分類してそれぞれ考える必要があります。魅力的なオプションに目を奪われて背骨が曲がっちゃいけませんからね。
それでは現在流行しているAggro Shamanのデッキサンプルを比較して、それぞれのカードをコアとオプションに分類してみましょう。まず一次分類として、デッキをJade系とピュア(?)アグロにブループ分けします。
◆ Jade系デッキリストサンプル群
Spo [SK Gaming]
Demigod [Twitter]
Sjow [Twitter]
◆ ピュア(?)アグロデッキリストサンプル群
Thijs [Twitter]
Gaara [Twitter]
Xixo [Twitter]
◆ 両方のデッキリスト群に共通するコアカード
二つにグループ分けしたデッキ群を見比べても両者に共通しているカードが複数存在します。このカード達はまさにAggro Shamanのコアカードであり、余程のことがない限り入れ替えることはできません。《トンネル・トログ / Tunnel Trogg》と《トーテム・ゴーレム / Totem Golem》のコンビは序盤の戦力として比類ない強さを持ち、たった1マナで使用可能な《ライトニングボルト / Lightning Bolt》は高い汎用性を発揮します。
《メイルシュトロームのポータル / Maelstrom Portal》については1枚だけに留めた構築例が存在します。これはメタゲームに依存するものであり、Pirate Warriorとマッチアップする機会が多くなれば重要性が増し2枚採用を推奨されるようになります。他にもDruidの数が最も多かった時期には《炎まとう無貌のもの / Flamewreathed Faceless》2枚固定でしたが、Miracle Rogueを意識して《リロイ・ジェンキンス / Leeroy Jenkins》と1枚差し替える構築例もあります。この辺りはコアカードではなくオプションとして見るのが適切なのかもしれません。
◆ Jade系のコアカードとオプション
新要素のJade系カードを採用するデッキでは《翡翠の爪 / Jade Claws》と《翡翠の稲妻 / Jade Lightning》が2枚ずつ固定となります。《アヤ・ブラックポー / Aya Blackpaw》は採用されない場合があり、そのデッキでは《ドゥームハンマー / Doomhammer》が2枚加えられています。
Jade系カードを採用するデッキではまず第一にウェポンカードの兼ね合いを考える必要があります。《精霊の爪 / Spirit Claws》x2 《翡翠の爪 / Jade Claws》x2 《ドゥームハンマー / Doomhammer》x2の合計6枚は過剰です。《精霊の爪 / Spirit Claws》はやはり有用なカードであり海賊/Pirateミニオン達との相性も抜群です。《ドゥームハンマー / Doomhammer》を諦め序盤のウェポン2種と《アヤ・ブラックポー / Aya Blackpaw》を選択する構築は実際に成功を収めています。
◆ ピュア(?)アグロのコアカードとオプション
Jadeカードを採用しないデッキでは旧神環境の構築にカラザンの新カード《精霊の爪 / Spirit Claws》と《メイルシュトロームのポータル / Maelstrom Portal》を加えた構成がスタンダードになっています。呪文ダメージ/Spell Damage+を期待して《ブラッドメイジ・サルノス / Bloodmage Thalnos》も当然デッキに含まれており、チョイスの難しい部分は《タスカーのトーテム師 / Tuskarr Totemic》nerf調整後の《地底よりのもの / Thing from Below》となるでしょう。
コストが低下した《地底よりのもの / Thing from Below》は非常に有用であり特にミラーマッチに効果的です。しかし《タスカーのトーテム師 / Tuskarr Totemic》抜きではAggro Shamanが手札から召喚するトーテム/Totemは《トーテム・ゴーレム / Totem Golem》と《炎の舌のトーテム / Flametongue Totem》のみです。ヒーローパワーの使用はAggro Shamanにおいて常に次善の策であり、やはりAggro Shamanには適さないカードになってしまったようにも思えます。
カードオプションの考察
それでは最後にカードオプションの選択についてもう少し詳しく検討していきましょう。
◆ 3種のウェポン
現在のAggro Shamanは3つの素晴らしいウェポンから選択しなければなりません。Rogueに後ろから刺されても文句言えないほど贅沢な悩みです。この3種のウェポンカードはそれぞれが特有のシナジーを持ち、デッキを構成する他のカードと密接に関わっています。
仮に《アヤ・ブラックポー / Aya Blackpaw》を必要と考えない、もしくは《ドゥームハンマー / Doomhammer》をAggro Shamanのデッキに入れないなんてとんでもないと考えるならば、《精霊の爪 / Spirit Claws》の枚数を1枚ないし2枚削るべきかもしれません。そうなればシナジーの片割れを失う《ブラッドメイジ・サルノス / Bloodmage Thalnos》も同時にデッキから抜くべきでしょう。
しかしAggro Shamanが最も人気のあるデッキということは、自然とミラーマッチの機会が増えてきます。そうなると序盤戦のバトルフィールドに対して1マナでアクセスできる《精霊の爪 / Spirit Claws》は非常に便利な存在です。《ブラッドメイジ・サルノス / Bloodmage Thalnos》だけでなく、《ちんけなバッカニーア / Small-Time Buccaneer》と連携するにも1マナというコストの低さが状況を助けることがあるでしょう。
◆ 3体の強力なミニオン
現在のAggro Shamanにはゲームの行方を決めかねないほどパワフルな3体のミニオンがオプションとして存在します。この新環境で《炎まとう無貌のもの / Flamewreathed Faceless》の人気は完全に復活しました。このミニオンへの対処で現在もっとも多く見られるのは《昏倒 / Sap》・《ブラストクリスタル・ポーション / Blastcrystal Potion》・《密言・死 / Shadow Word: Death》ぐらいのものです。つまり、Rogue・Renolock・Priestの3クラスとのマッチアップ頻度に応じてこのカードの採用枚数を考慮する必要があります。
仮にRogueとのマッチアップを改善することが目的になれば、《リロイ・ジェンキンス / Leeroy Jenkins》へと1枚入れ替えるのは確かに適切な対処かもしれません。または、盤面のミニオンでプレッシャーを賭け続けていくことが求められるなら《アヤ・ブラックポー / Aya Blackpaw》は十分にマナコスト分の働きをするでしょう。
◆ 突撃ィィィィ / CHAAAARGE
海賊/Pirateパッケージの採用がデフォルトになったことで、《南海の甲板員 / Southsea Deckhand》の人気も非常に高まっています。《炎の舌のトーテム / Flametongue Totem》との組み合わせで4ダメージの突撃/Charge、《海賊パッチーズ / Patches the Pirate》がまだ未召喚であれば追加3ダメージとなります。
ただしこのカードのバリューに疑問を抱くプレイヤーは《アージェントの騎兵 / Argent Horserider》を好んで採用する傾向にあります。聖なる盾/Divine Shield付きの2点ダメージという圧力もしかり、相手のミニオンに対する有利なトレードにも使い勝手が良い存在です。《リロイ・ジェンキンス / Leeroy Jenkins》は単純に相手のヘルスを削る役割を期待されて検討されます。
◆ オーバーロード / Overloadとカードドロー
オーバーロード/Overloadに関連するカード達は今のところほとんど採用を検討されません。Jade系デッキの人気が非常に高く、そしてカード枠が厳しいことが理由でしょうか。本当にこれらのカード達が採用する価値が低いのかどうかは、このカード群を好んで用いるDemigodのプレイにヒントがありそうに思われます。
彼の構築は日々変化しており、《炎まとう無貌のもの / Flamewreathed Faceless》すら削り落としたバリエーションでは《祖霊の知識 / Ancestral Knowledge》が2枚採用されていました。これはミニオンが少ないがゆえにRogueの除去が有効に機能せず、Rogueが回り始める前にカードサイクルでダメージ源を手札へ引き込むという戦略だと考えられます。
Demigod Rank2 [Twitter]
◆ AoEとハードリムーバルのオプション
新環境で流行しているAggro Shamanには《ライトニングストーム / Lightning Storm》や《精霊崩壊 / Elemental Destruction》のような強力なAoEが含まれていません。Pirate Warriorに対抗するにはオーバーロード/Overloadの発生しない《メイルシュトロームのポータル / Maelstrom Portal》が最適だったのでこちらは2枚固定のデッキがほとんどです。
雄叫び/Battlecryや突撃/Chargeによって召喚した時点でコスト分の働きをするミニオンが多いPirate Warriorに対しては《ライトニングストーム / Lightning Storm》でミニオンを一掃してもビハインドは覆せません。Zooの人気が復活するまで当面の間はこの状況が維持されると見られます。
一方で今月初旬のPirate WarriorメタからAggro Shaman同士のミラーマッチを重視するメタへと移行しつつある中で、《呪術 / Hex》の1枚差しを考えるプレイヤーも増えつつあります。相手の《炎まとう無貌のもの / Flamewreathed Faceless》に対する適切なカウンターであり、同時にMiracle Rogueの《クエスト中の冒険者 / Questing Adventurer》や《エドウィン・ヴァンクリーフ / Edwin VanCleef》に対する回答ともなります。
自分への最適化
長々とお付き合い頂きましたこの記事はAggro Shamanのどんな構成が最適なんじゃろかというお話でした。Aggro Shamanはどんなデッキ構成が最高なのか模範解答を求めてこの記事を最後まで読んでくださった人はがっかりするでしょう。答えは判りきっていることですが、メタに最適化されたデッキとは常に変化していくものです。
一週間前に成功した構成がいま通用するとは限りませんし、そもそも何らかの理由で注目を集めたデッキと、それを使おうとするあなたとではシチュエーションが異なります。そのプレイヤーのシチュエーションはトーナメントであったかもしれません。レジェンドランク1位に輝いたプレイヤーと他のランク帯ではメタゲームが異なることは、冒頭のvS Data Report#29にはっきりと現れています。
今シーズン初旬のJade Druidが非常に多かった時期は《炎まとう無貌のもの / Flamewreathed Faceless》が素晴らしい活躍を果たしていました。しかしMiracle Rogueが急増した中盤からはSK GamingのSpoも《炎まとう無貌のもの / Flamewreathed Faceless》1枚を《リロイ・ジェンキンス / Leeroy Jenkins》に入れ替えることを推奨しているそうです。また、《メイルシュトロームのポータル / Maelstrom Portal》の枚数を削るプレイヤーもこの辺りから目立ち始めました。
しかし、レジェンドランクを目指すランク帯にはまだまだPirate Warriorが数多く存在します。あなたがその中に居るならば、《メイルシュトロームのポータル / Maelstrom Portal》の枚数をプロプレイヤー達と同様に1枚削っていいものかよく考えてみましょう。
同じように、Miracle Rogueをどこまで警戒すべきかはあなたの勝率次第といえます。プレイが難しいと言われるRogueは確かに、ポテンシャルを引き出しきっているプレイヤーはそうそう多くありません。ランクの低いうちならば尚更であり、レジェンド1位のプレイヤーと同じデッキ構成が、あなたの状況に適したデッキとは限らないのです。
そして最後にもうひとつ。冒頭で紹介したvS Data Reper Reportのようなデータを参照するときは、平均された数字というものを警戒してください。熟練したプレイヤーとそうではない人の勝率を平均したら、マッチアップ相性は五分五分になっているという可能性があります。それが平均というものの恐ろしさであり、単純に数字を鵜呑みにしては大きな間違いを犯す危険性が潜んでいます。
わたしはVicious Syndicateの記事にどこよりも大きな信頼を置いていますが、常に疑問を持つことは忘れないように心がけています。トップクラスのプレイヤー達の印象(?)によってマッチアップ相性を割り出しているTempoStormのほうが、時には真実に近づいていることもあるかもしれません。