この記事では12月初旬にリリース予定の新エクスパンション、「仁義なきガジェッツァン(Mean Streets of Gadgetzan)」のカード事前プレビューを行っていきます。カード評価の視点は構築戦のスタンダードフォーマットが基準になっており、ワイルドやアリーナは特に考慮していません。
※ 重点事項
今回のエクスパンションは年内に発売されるため、スタンダードイヤーは現在のクラーケン年から移りません。新しい年(2017年)の最初の拡張版が実装される時に次回のスタンダードイヤーが始まり、3つのカードセット(BRM/TGT/LOE)がスタンダードから脱落します。
【MSoG】仁義なきガジェッツァン特集リンク
ハースストーン次期エクスパンション「仁義なきガジェッツァン(Mean Streets of Gadgetzan)」
【MSoG】仁義なきガジェッツァン特集Part.1
【MSoG】仁義なきガジェッツァン特集Part.2 - カードプレビュー第一巻
【MSoG】仁義なきガジェッツァン特集Part.3 - カードプレビュー第二巻
【MSoG】仁義なきガジェッツァン特集Part.4 - カードプレビュー第三巻
【MSoG】仁義なきガジェッツァン特集Part.5 - カードプレビュー第四巻
【MSoG】仁義なきガジェッツァン特集Part.6 - カードプレビュー第五巻
Index
[ページ内リンク]▼《翡翠のゴーレム / Jade Golem》
▼《翡翠の偶像 / Jade Idol》
▼《翡翠の開花 / Jade Blossom》
▼《ヴァーメンの師匠 / Virmen Sensei》
▼《 / Jade Behemoth》
▼《ガジェッツァンの渡し守 / Gadgetzan Ferryman》
▼《翡翠の手裏剣 / Jade Shuriken》
▼《翡翠の鎌刀 / Jade Swarmer》
▼《影の師匠 / Shadow Sensei》
▼《退化 / Devolve》
▼《翡翠の爪 / Jade Claws》
▼《奴らにフカき眠りを / Call in the Finishers》
▼《翡翠の稲妻 / Jade Lightning》
▼《ジンユーの水話士 / Jinyu Waterspeaker》
▼《白眼 / White Eyes》
▼《翡翠の族長 / Jade Chieftain》
▼《 / Jade Spirit》
▼《アヤ・ブラックポー / Aya Blackpaw》
▼《ホーゼンの治癒師 / Hozen Healer》
▼《敏腕記者 / Intrepid Journalist》
▼《闘技プロモーター / Fight Promoter》
▲Index
《翡翠のゴーレム / Jade Golem》
使用クラス | : | 中立 |
カードタイプ | : | ミニオン |
注釈 | : | コレクション不可 |
◆ カード分析
このミニオンはコレクションカードではないものの、翡翠蓮(Jade Lotus)をテーマとするカード群のコアメカニックとなるため、ここではカードプレビューの1枚として扱います。まずはこのミニオンの仕様を確認していきましょう。
- 翡翠蓮のテーマカードによって召喚される特殊なTokenミニオン
- 《翡翠のゴーレム / Jade Golem》は固有のアビリティを持たないバニラミニオン
- 召喚されるごとに1マナ1/1から徐々にマナとスタッツが増加していく。上限は10マナでスタッツは30/30
- 《翡翠のゴーレム / Jade Golem》の召喚カウントは味方ミニオンとして召喚された場合のみ
- 巨大化していく《翡翠のゴーレム / Jade Golem》のスタッツはbuff効果ではないため沈黙/Silenceの対象とならない
- カードアートは1-3, 4-6, 7-19, 20以上のスタッツで変化する
上記にある通り、《翡翠のゴーレム / Jade Golem》達のスタッツは沈黙/Silenceで1/1に戻すことはできません。《大いなる解呪 / Mass Dispel》でカウンターしてやろうと考えているアンドゥイン君達は心を落ち着け、正気に戻ってください。
さてこのミニオンはNeutralに属するものの、実際にこのメカニズムを活かした構築が可能なのは当然ながら、翡翠蓮に所属するドルイド/ローグ/シャーマンの3クラスとなります。単純に《翡翠のゴーレム / Jade Golem》を召喚する効果のものから、ダメージスペルの付加効果として召喚するカードまで様々に関連するカードが既に発表されています。
最初に登場する1/1スタッツの貧弱なミニオンは召喚回数を重ねるごとに強大になるという性質から、このメカニズムはゲーム後半へ至るほど高い価値を発揮するようになるものです。最初は除去にカードを切る必要もなかったTokenが5/5のスタッツを超えるあたりから大きなプレッシャーとなっていくでしょう。特にControlデッキにとってはいずれ必ず除去カードのリソースが間に合わなくなるはずです。
ゲーム後半とは書きましたが、《翡翠のゴーレム / Jade Golem》のメカニズムを活かしたデッキが展開の遅いデッキばかりになるとは限りません。おそらくControlの性格を強めるのはShamanだけでしょう。Druidであればマナ加速、Rogueであればカードコンボを利用して素早く召喚カウントを進めていく構築も可能になるはずです。
▲Index
《翡翠の偶像 / Jade Idol》
使用クラス | : | ドルイド |
カードタイプ | : | 呪文 |
注釈 | : |
◆ カード分析
このカードは完全に壊れています。カード単体で同じカードを複製してしかもマナコスト安いのはいかんでしょ。《集合の合図 / Gang Up》君が泣いてるので謝ってください。プレイヤー達の構築の成否によりますが、下手をすれば真っ先にnerf対象となるカードかもしれません。
まず、このカードの存在によって今後Druidは疲労/Fatigueで死ぬことはありません。3枚ドローにつき1枚をデッキに戻す効果を選択すれば永久にデッキからカードは尽きないのですから。Mill Druidでもなければそこまで多く見られるシチュエーションではありませんが、でもこんなんいいのか?というのが誰もが持つ率直な感想ではないでしょうか。
このカードには複数の用途が考えられます。まずはやはり翡翠蓮をテーマとするデッキにおいて、《翡翠のゴーレム / Jade Golem》召喚カウントを進める材料になります。そして、デッキにコピーを作成可能な性質とマナコストの安さはスペルカウントを進めることにも役立ち、《魔力の巨人 / Arcane Giant》と《希望の終焉 ヨグ=サロン / Yogg-Saron, Hope's End》との親和性を持ちます。
カードの組み合わせではもちろん《ファンドラル・スタッグヘルム / Fandral Staghelm》と恐ろしく相性が良く、他にも《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》を回転させる燃料ともなるでしょう。そして一度そのドローエンジンが回り始めてしまった場合、Controlデッキは無限に召喚され続ける巨大な《翡翠のゴーレム / Jade Golem》に対処するすべなく圧倒されてしまうかもしれません。
幸運なことに、酔っぱらったベンブロードが考えたようなこのカードには幾つか欠点があります。まず《翡翠のゴーレム / Jade Golem》が巨大化するまで時間がかかります。次に、このカードをデッキに複製することによって必要なカードを手札に入れるのが遅れる可能性が高まります。さらに、《翡翠のゴーレム / Jade Golem》本体は挑発/Tauntも持たず苦しい状況を助けてくれません。この欠点はAggroデッキに対して大きな弱みをさらすことになるでしょう。
▲Index
《翡翠の開花 / Jade Blossom》
使用クラス | : | ドルイド |
カードタイプ | : | 呪文 |
注釈 | : |
◆ カード分析
Druidクラスの得意とするRamp(マナ加速)に《翡翠のゴーレム / Jade Golem》召喚がセットになった1枚。10マナ時点で使用した時に《過剰マナ / Excess Mana》を生成するかについては確証ありませんが、おそらく可能性はほぼ無いでしょう。《過剰マナ / Excess Mana》を生成する《野生の繁茂 / Wild Growth》と《星霊交信 / Astral Communion》は10マナ時点では一切の価値が無いためにオマケで付けられていると考えられ、この新カードは異なります。
このカードは他のRampカードと比較して、翡翠蓮テーマデッキ以外では使用する理由がほとんど見つかりません。Ramp目的では《野生の繁茂 / Wild Growth》に1マナ劣り、ゲーム後半のカードドローも付いていないのです。《古代地の番人 / Mire Keeper》との比較では召喚されるミニオンが大きく劣ります。
もちろんそれが翡翠蓮テーマデッキであれば、ゲーム序盤はマナ加速と《翡翠のゴーレム / Jade Golem》召喚カウントを一つ進め役割を持ち、ゲーム後半に残った場合は《古代地の番人 / Mire Keeper》の召喚する《スライム / Slime》とは比較にならない巨大なミニオンになる可能性もあります。序盤のマナ加速行動としては《野生の繁茂 / Wild Growth》に一歩劣るも、ゲーム中盤の余ったマナの使用方法としては十分な価値を持っているでしょう。あとは翡翠蓮のテーマデッキでこの新カードと《野生の繁茂 / Wild Growth》を併用するかどうかが気になる点です。
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《ヴァーメンの師匠 / Virmen Sensei》
使用クラス | : | ドルイド |
カードタイプ | : | ミニオン |
注釈 | : |
◆ カード分析
非常に悩ましいカードです。悪くはありません。飛び抜けて良くもありませんが、獣/Beastシナジーを特徴とするデッキにとって利用価値はあります。
頭を抱えてしまう理由はそのマナコストと種族になります。このミニオンは5マナで、獣/Beastタグを持ちません。これは現在のBeast Druidにとって看過できない問題です。そう、追加されたばかりの《動物園の監視員 / Menagerie Warden》は6マナであり、マナカーブに沿ってプレイする対象として既に5マナスロットには《ストラングルソーントラ / Stranglethorn Tiger》と《爪のドルイド / Druid of the Claw》が存在します。さらに、《キュレーター / The Curator》をドローソースとするデッキでは《アジュア・ドレイク / Azure Drake》まで5マナの席を争います。アグレッシブな性質のBeast Druidがこれ以上5マナスロットを膨らませることはできません。
一方でこの《ヴァーメンの師匠 / Virmen Sensei》は4マナドロップの獣/Beast達をフォローアップする役割としてみれば非常に優秀です。《炎のドルイド / Druid of the Flame》にとっては理想的なbuff効果となるでしょう。そしてBeast Druidというデッキはゲーム序盤のボード争いが非常に重要です。4~5マナ帯で軌道に乗ってしまえば以後のターンはひたすらフェイスを叩きにいけるため、4マナミニオンの競争力を増す《ヴァーメンの師匠 / Virmen Sensei》は魅力的に映ります。しかし同時に《荒野を歩む者 / Wildwalker》が全く使われていない事実も脳裏をよぎります。まったくもって悩ましい。正直なところ、Curator型と比較しつつプレイテストを重ねてみなければ評価はできません。
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《 / Jade Behemoth》
使用クラス | : | ドルイド |
カードタイプ | : | ミニオン |
注釈 | : |
◆ カード分析
召喚される《翡翠のゴーレム / Jade Golem》のスタッツはそのゲーム中にどれだけ召喚されているかに依存するため、このミニオンの評価をややこしくさせています。本体の3/6は4マナのスタッツであり挑発/Tauntと《翡翠のゴーレム / Jade Golem》の召喚に2マナの価値を見出だせればこのミニオンはプレイアブルとなります。
鍵となるのはまず6マナというコストの設定。Druidクラスで翡翠蓮デッキを構築するならば6マナスロットにピタリとはまります。そして何よりも、環境の他のデッキに依存するでしょう。とりわけDragon Priestが数多くプレイされるなら、6マナのアタック3は大きなテンポロスとなる危険性を孕んでいます。
もうひとつ気になる点も残っています。このカードの価値はこのカードを使用するまでにどれだけ《翡翠のゴーレム / Jade Golem》が召喚されたかによって上昇するというその性格が、Druidの得意とするマナ加速と噛み合っていないように見えるところでしょう。
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《ガジェッツァンの渡し守 / Gadgetzan Ferryman》
使用クラス | : | ローグ |
カードタイプ | : | ミニオン |
注釈 | : |
◆ カード分析
このカードを初めて見た人が言葉に詰まってしまうのも仕方ありません。このミニオンは何というか、何て言えばよいか、うーん、何なんでしょう。Rogueに対するベン・ブロード氏の嫌がらせでしょうか。
比較対象でまず思い浮かぶのはやはり《若き酒造大師 / Youthful Brewmaster》です。Mill Rogueにおいてはかつて使用されていたこともありました。しかし現在の洗練された(?)構築では《影隠れ / Shadowstep》2枚で十分です。そもそも劣る性能のカードを入れる必要がありません。
仮にアビリティを発動させなければ、味方ミニオンをバウンスさせずに単なる2/3のドロップとして扱えるので一概に劣るとはいえませんが、うーん、何というか、何でしょうね。このアビリティに《翡翠のゴーレム / Jade Golem》を召喚するとかコストを減らすとかオマケでも付いていたら、一気に魅力的なカードになり得たかもしれません。
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《翡翠の手裏剣 / Jade Shuriken》
使用クラス | : | ローグ |
カードタイプ | : | スペル |
注釈 | : |
◆ カード分析
任意の対象に2点ダメージでコンボ/Comboを発動できれば《翡翠のゴーレム / Jade Golem》召喚というスペルカード。ボードコントロールと召喚がセットになったマナコストに見合うカードであるため、翡翠蓮をテーマとするRogueのデッキでは採用しない理由もありません。
このカードの気になる点は、その他のデッキにおいても採用する余地はあるかどうかです。まず《腹裂き / Eviscerate》との比較ではコンボ/Combo未発動の場合は同じ性能、発動した場合の違いは追加2ダメージかミニオン召喚であるかとなります。翡翠蓮テーマのデッキでなければ《翡翠のゴーレム / Jade Golem》のスタッツは1/1 or 2/2というところでしょう。《ドス / Shiv》との比較ではダメージが1点多く、カードドローが付いていません。
より近い性質で比べるなら《SI:7諜報員 / SI:7 Agent》が適切でしょうか。どちらもダメージを与えつつボードにミニオンを置きます。コンボ/Combo未発動でターゲットに2ダメージか3/3本体を置くかの違いとなり、《翡翠の手裏剣 / Jade Shuriken》は2マナで《SI:7諜報員 / SI:7 Agent》は3マナです。
《翡翠の手裏剣 / Jade Shuriken》の優れている点は対象を選ばず、またダメージを受けているかどうかも条件に関わってこないことにあります。2マナで2点ダメージというのも強力とは言い難いものですが、《ガジェッツァンの競売人 / Gadgetzan Auctioneer》を回す燃料となり《マリゴス / Malygos》のダメージソースともなる柔軟性は非常に魅力的です。《SI:7諜報員 / SI:7 Agent》と比較して全てに勝つわけではありませんが、スペルカードであるため既存デッキとのシナジーは評価に値します。仮に《SI:7諜報員 / SI:7 Agent》の代替が務まると判断できるならば、《魔力の巨人 / Arcane Giant》を入れるデッキでは十分に採用の価値があります。
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《翡翠の鎌刀 / Jade Swarmer》
使用クラス | : | ローグ |
カードタイプ | : | ミニオン |
注釈 | : |
◆ カード分析
個人的にこのカードは最高の評価を与えたくなります。素晴らしい。ワンダホー。グレートです。カード単体ではさほど価値は無く決して強力な効果ではありませんが、断末魔/Deathrattleのキーワードアビリティと翡翠蓮のテーマがRogueクラスにおいて融合する道筋を示してくれるものです。
仮にこのカード2枚、《翡翠の手裏剣 / Jade Shuriken》を2枚、そして《アヤ・ブラックポー / Aya Blackpaw》をゲーム中に消化しておけば《翡翠のゴーレム / Jade Golem》の召喚カウントは6回分となります。ゲーム終盤に《頽廃させしものン=ゾス / N'Zoth, the Corruptor》によって《翡翠の鎌刀 / Jade Swarmer》2枚と《アヤ・ブラックポー / Aya Blackpaw》が復活すれば、7/7&8/8&9/9の《翡翠のゴーレム / Jade Golem》がN'Zothウェーブの後に続くことになります。これはカードのバリューが極大化されるだけではなく、断末魔/Deathrattle発動を挟むことによって《頽廃させしものン=ゾス / N'Zoth, the Corruptor》召喚のカウンターとなる《乱闘 / Brawl》などの全体除去にも耐性を持つことになります。
ミニオン本体のスタッツは非常に貧弱ですが、一定の条件を満たせば《黄昏の鎚の召喚師 / Twilight Summoner》よりも安いマナで高い価値を生み出すミニオンです。さらに本体が隠れ身/Stealthを持つことはサービス過剰ではないでしょうか?ミニオンを生存させたまま次のターンを迎えられる公算が大きく、マナカーブに沿って《掘り起こされたラプター / Unearthed Raptor》をプレイすることができます。あまり妥当ではないかもしれませんが、もうひとつの新カード《影の師匠 / Shadow Sensei》のbuff対象とすることもできます。
他のミニオンと組み合わせなかった場合も、相手のミニオントレードと同時にTokenを盤面に残すことは優れています。隠れ身/Stealthによってそのタイミングを任意で選ぶ柔軟性も兼ね備えており、このミニオンは数値だけで単純に評価できない利便性を秘めているはずです。
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《影の師匠 / Shadow Sensei》
使用クラス | : | ローグ |
カードタイプ | : | ミニオン |
注釈 | : |
◆ カード分析
隠れ身/Stealthアビリティが関わっている割になんだかずいぶんと素直なカードを出してきたなぁと驚かされます。新カードの《蒐集家シャク / Shakru, The Collector》や《蓮華凶手 / Lotus Assassin》、または《モローズ / Moroes》や《静寂の騎士 / Silent Knight》などbuffを与えるのに有望な存在は既に幾つも存在しています。
《ダークアイアンのドワーフ / Dark Iron Dwarf》と比較すれば永続buff効果の+2/+2は非常に強力な効果であり、その引き換えに対象は限定されます。このため2~3マナで隠れ身/Stealthミニオンをドロップするデッキを構築する必要があります。
そうしたデッキは何を目指したデッキになるのでしょうか?可能性のひとつとしては、隠れ身/Stealthによって相手のトレードや除去を免れるミニオンをドロップしてからの、buffによるフォローアップと有利なトレードを実現するデッキ、古き良きTempo Rogueを思い出させる構築かもしれません。あるいは、《蒐集家シャク / Shakru, The Collector》や《飛刀手流忍者・六丸 / Finja the Flying Star》など特殊な隠れ身/Stealthミニオンの価値を活かすための用途かもしれません。
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《退化 / Devolve》
使用クラス | : | シャーマン |
カードタイプ | : | 呪文 |
注釈 | : |
◆ カード分析
処理優先順位の高いミニオンに対してShamanは《呪術 / Hex》というハードリムーバルを持ちます。複数の小粒なミニオンが並んでいるなら、相手のミニオン価値を下げるよりもAoEでふっ飛ばす方が合理的です。
このカードの効力が余すこと無く発揮されるのは、《エドウィン・ヴァンクリーフ / Edwin VanCleef》にオールインしたRogueや《頽廃させしものン=ゾス / N'Zoth, the Corruptor》召喚タイミングのように厄介な断末魔/Deathrattleを持つミニオンが並んだ場合などに限定されているでしょう。それでもたった2マナで厄介なミニオンを対処しやすくする効果は十分に強力です。特に優れているのは、《ぐったりガブ呑み亭の常連 / Grim Patron》やAnyfin Paladinのマーロック/Murlocミニオンのように特定デッキの勝利条件を潰す手段となることです。
カードの効果が強力なのは間違いありませんが、このカードをプレイするデッキはそれほど多くないと考えられます。雄叫び/Battlecryを発動済みのミニオンを1マナ分弱体化してもほぼ利益は期待できませんし、《魔力の巨人 / Arcane Giant》に使用しても10マナのミニオンがランダムに出てきます。ZooなどのAggro相手に使用してもどこ吹く風でしょう。Aggro ShamanやMidrange Shamanでこの範囲効果が活かせる状況は限られています。テックカードとしての1枚刺しはありえるかもしれませんが。スタンダードイヤーの更新後にControl型の構築が増えていった時、先に挙げたような相手のプレイを邪魔する手段として採用を検討されるかもしれません。
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《翡翠の爪 / Jade Claws》
使用クラス | : | シャーマン |
カードタイプ | : | 武器 |
注釈 | : |
◆ カード分析
Shamanにおける翡翠蓮テーマデッキを組むのであればデッキに加える価値はあります。他のデッキでは《ストームフォージド・アックス / Stormforged Axe》がプレイされてない以上、出番はありえないでしょう。
2マナ2点のウェポンはヘルス3の1~2ドロップが多い現在の環境ではやや扱い辛いものです。このカードの美点を挙げると、ゲーム後半にドローした場合はあまり役に立たない序盤用の武器にも《翡翠のゴーレム / Jade Golem》召喚のオマケが付いてくるところでしょう。召喚カウントさえ進めていればこの2マナのウェポンから強大なミニオンを産み落とすことができます。この恩恵は当然のことながら翡翠蓮デッキでなければ享受できません。
さて実際に翡翠蓮デッキをShamanで組むと考えた場合、低コストの段階で《翡翠のゴーレム / Jade Golem》を召喚していく手段が重要になります。このカードはまさしくそのために存在し、ネックとなるのはオーバーロード/Overloadが付与されていることになります。仮にこのカードをマナカーブに沿ってプレイすれば次のターンのプレイも2マナ分となるので、翡翠蓮デッキの特徴は遅いデッキの性質になることがここでも垣間見えます。
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《奴らにフカき眠りを / Call in the Finishers》
使用クラス | : | シャーマン |
カードタイプ | : | 呪文 |
注釈 | : |
◆ カード分析
似たようなカードでは《インプァクト / Imp-losion》・《兵役招集 / Muster for Battle》・《闇への抵抗 / Stand Against Darkness》など様々に思い浮かびます。このカードで呼び出されるのはマーロック/Murlocなので、やはり《エラばれし我らにヒレ伏せ / Everyfin is Awesome》との組み合わせが考えられるでしょう。カード2枚の合計7マナで3/3ミニオン4体は十分に価値があります。既にボードに《マーロックの戦隊長 / Murloc Warleader》などが置かれていた場合はなおさらです。
カードを単体で見ると、1/1のToken4体は非常に脆い存在です。仮にマーロック/Murlocシナジーのbuffによって強化された場合であっても、既に数多く存在するAoEが次回のエクスパンションではさらに増加する中でプレイアブルなカードなのでしょうか。少なくともMurloc Shamanのデッキを使うのであれば、この新カードは重要なパーツになるはずです。
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《翡翠の稲妻 / Jade Lightning》
使用クラス | : | シャーマン |
カードタイプ | : | 呪文 |
注釈 | : |
◆ カード分析
ターゲット対象を選ばず4点を与え《翡翠のゴーレム / Jade Golem》を召喚するこのスペルは、翡翠蓮のテーマデッキをShamanで構築するなら欠かせない存在になります。Rogueの《翡翠の手裏剣 / Jade Shuriken》と同様にダメージ値はマナコストに見合うものではありませんが、除去手段にデッキテーマが付加価値を与えているのは優れています。
もちろんこのカードは相手ヒーローを対象とすることも可能であるため、ミニオン除去に留まらない有用性を持っています。オーバーロード/Overloadが発生しないのもベリーグッド、4点のダメージは多くの4マナミニオンから《アジュア・ドレイク / Azure Drake》まで処理可能であり、さらにTokenを盤面へ残します。
同じ4ダメージでは《ストームクラック / Stormcrack》が存在するため、翡翠蓮デッキ以外で使用されることはおそらく考えにくいでしょう。
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《ジンユーの水話士 / Jinyu Waterspeaker》
使用クラス | : | シャーマン |
カードタイプ | : | ミニオン |
注釈 | : |
◆ カード分析
Warlockの喉からジャラクサスハンドが飛び出すほど欲しがるカードがShamanに与えられました。なんでやねんとツッコミ入れたくなるものの、開発チームは明らかにこのクラスの構築スタイルにControlの分野を拡張していこうとしているのが窺えます。
《癒しの波 / Healing Wave》・《超越者ハラジール / Hallazeal the Ascended》ときてこのミニオンを加えれば、これからのControl Shamanは恐ろしくタフに立ち回れるでしょう。スタッツは4マナとして平均的であり、Aggroデッキの小粒なミニオンを受け止めるには十分な数値です。《闘技プロモーター / Fight Promoter》の起動条件を満たす数値であるのも一考に値します。
あるいはMidrange Shamanでのミニオンドロップ兼回復役はどうかと言えば、首をかしげそうになります。しかし、BlizzConでCheonsuが《癒しの波 / Healing Wave》をデッキに入れていたように、環境次第で採用の判断はあり得るかもしれません。Midrange Shamanに挙げられる数少ない弱点といえばヒーローの回復手段を持たないことであり、Secret Hunterなどアグレッシブなデッキが狙ってくる最大の急所でもあるのです。
▲Index
《白眼 / White Eyes》
使用クラス | : | シャーマン |
カードタイプ | : | ミニオン |
注釈 | : |
◆ カード分析
カード単体としては規格外のバリューを持つミニオンです。5マナ10/10の挑発/Tauntを持つミニオンカードをデッキ外から呼び出す価値は非常に大きく、ネックとなるのは10/10をデッキからドローして場に出すまで最初のテンポロスが解消できなことだけでしょう。ともあれ、サンキューベンブロードと言わざるをえません。
このミニオンが持つ断末魔/Deathrattleのアビリティは《頽廃させしものン=ゾス / N'Zoth, the Corruptor》のデッキをShamanで構築するのに十分な理由となるでしょう。何より優れているのは挑発/Tauntを持つことです。10マナで《頽廃させしものン=ゾス / N'Zoth, the Corruptor》を召喚する時に無防備になるのを防ぐため、いやいやで《蝕まれしトーレン / Infested Tauren》を採用する必要が無くなります。
そしてもちろん、Shamanは元来断末魔/Deathrattleとの親和性を持っています。《転生 / Reincarnate》は残念ながらスタンダード落ちしていますが、《祖霊の導き / Ancestral Spirit》によってこのミニオンの断末魔/Deathrattle発動機会を増やすことは可能です。もちろん《バーンズ / Barnes》の召喚対象としても高い価値が見込めます。
適したデッキはControl型のデッキとなるでしょうけれど、Midrange Shamanではいかがでしょうか。5マナ5/5挑発/Tauntを置くことはさほど損な行動ではありません。それと引き換えにいずれ5マナ10/10の挑発/Tauntが手札に来ることは、ロングゲームを戦えるこのデッキにとっても十分な恩恵となります。センキューセンキュー。
▲Index
《翡翠の族長 / Jade Chieftain》
使用クラス | : | シャーマン |
カードタイプ | : | ミニオン |
注釈 | : |
◆ カード分析
本体は5マナミニオンのアベレージスタッツ、《翡翠のゴーレム / Jade Golem》を召喚し挑発/Tauntを与える。Druidの《 / Jade Behemoth》とよく似ており、1/1のToken召喚では割にあわないものの、《翡翠のゴーレム / Jade Golem》の召喚回数に応じて価値を高めていきます。
《 / Jade Behemoth》と大きく異なるのは《翡翠のゴーレム / Jade Golem》に挑発/Tauntを付与することであり、このミニオンの捉え方に影響してきます。やるかどうかは別の話として、可能性の話ならば限界まで育てた挑発/Tauntミニオンをドカンと置くこともできます。《ブラン・ブロンズビアード / Brann Bronzebeard》と併せて使用すればそれが2体です。
そうしたゲーム後半の壁としてプレイすべきでしょうか。それともマナカーブに沿ったプレイが適切でしょうか。スタッツとコスト的には3/3の《翡翠のゴーレム / Jade Golem》を召喚出来れば7マナの使用価値はあります。しかし7マナプレイとしてはやはりプレッシャーに欠けています。《翡翠のゴーレム / Jade Golem》の召喚カウントを進める役割もありますので、Shamanの翡翠蓮デッキを組むにあたって検討される1枚ではあるでしょう。
▲Index
《 / Jade Spirit》
使用クラス | : | ドルイド/ローグ/シャーマン |
カードタイプ | : | ミニオン |
注釈 | : | マルチクラスカード |
◆ カード分析
翡翠蓮に所属する3クラス共通のミニオンであるだけに、どのクラスでも利用可能な反面さして魅力はありません。このミニオンをプレイした時の価値はその時の《翡翠のゴーレム / Jade Golem》召喚カウントに依存しますが、基本的に4マナで2/3本体と1/1Tokenはコストに見合わない性能です。
このカードの利点は3クラス共通で利用可能な《翡翠のゴーレム / Jade Golem》召喚カウントを進めるためで材料であることです。翡翠蓮のテーマに沿ったデッキは《翡翠のゴーレム / Jade Golem》を召喚するカードを中心に構築されるようになり、他に優先されるカードがないならば、このミニオンを採用する理由は十分にあるでしょう。
▲Index
《アヤ・ブラックポー / Aya Blackpaw》
使用クラス | : | ドルイド/ローグ/シャーマン |
カードタイプ | : | ミニオン |
注釈 | : | マルチクラスカード |
◆ カード分析
かわいいしつよいしサンキューベンブロード!このアヤパンは巨大なバリューを1枚の中に収めています。本体の6マナ5/3というスタッツは貧弱ですが、《手動操縦のスカイ・ゴーレム / Piloted Sky Golem》のように破壊された後もミニオンを場に残すといういわゆるStickyな性質を持っています。
雄叫び/Battlecryによる召喚と併せて2回分の《翡翠のゴーレム / Jade Golem》召喚カウントを進めることも秀逸ならば、それぞれのアビリティは他に様々なカードとのコンビネーションを可能とします。雄叫び/Battlecryなら《ブラン・ブロンズビアード / Brann Bronzebeard》、断末魔/DeathrattleはShamanの《祖霊の導き / Ancestral Spirit》、クラス共通の《頽廃させしものン=ゾス / N'Zoth, the Corruptor》、1ターン生存するならば《シャドーキャスター / Shadowcaster》によって凄まじいバリューを獲得できるでしょう。
このカードは能力が召喚時と破壊時に分けられていることで、沈黙/Silenceや《呪術 / Hex》のようなハードリムーバルに対しても完全に価値を損なうことはありません。まさにデッキに入れ徳の盤面に出し徳としか表現のしようがない性能です。あとは翡翠蓮をテーマとするデッキの成否にかかってくるでしょう。
▲Index
《ホーゼンの治癒師 / Hozen Healer》
使用クラス | : | 中立 |
カードタイプ | : | ミニオン |
注釈 | : |
◆ カード分析
ミニオン限定のターゲット型ヘルス回復という珍しいアビリティのカード。この奇妙な制限と引き換えに、対象ミニオンのHPを全回復させるというものです。ミニオン本体のスタッツは平凡であり、扱い辛いアビリティと相まってこのカードに良い印象を与えません。
このカードのアビリティは対象のヘルス回復量が大きいほど価値をましていくものです。しかし、高いヘルスを持つミニオンの生存力高める目的で回復用のカードを入れるというのは考えにくいカード選択でしょう。Priestでは《オウケナイのソウルプリースト / Auchenai Soulpriest》・《影の抱擁 / Embrace the Shadow》との組み合わせによってミニオン単体への確定除去とすることも可能であり、ミニオンへの回復効果に価値が見出だせるなら二通りの使用方法を持つミニオンとして検討に値するかもしれません。
▲Index
《敏腕記者 / Intrepid Journalist》
使用クラス | : | 中立 |
カードタイプ | : | ミニオン |
注釈 | : |
◆ カード分析
このミニオンは3/3のスタッツから始まり、相手のターンに移った時点でカードが1枚引かれるため4/4になります。4マナ4/4スタッツはアベレージラインです。そして次のターンには5/5となるので、《グルゥル / Gruul》のように成長し続けます。
放置すればどんどん脅威が増していくタイプのミニオンということであり、先の《グルゥル / Gruul》や《鱗の悪夢 / Scaled Nightmare》の例に漏れずあまり期待はできそうにありません。
ただし大きく異なる点として、このミニオンはカードを引く相手に対するカウンターの機能を持っています。Warlock、Miracle Rogue、Freeze Mage、その他諸々考えられるでしょう。さらにこのアビリティはMill型デッキにおいても有効です。《コールドライトの託宣師 / Coldlight Oracle》や《自然への回帰 / Naturalize》とシナジーを持ち、相手にカードを引かせる行動にミニオンの圧力を加えます。
▲Index
《闘技プロモーター / Fight Promoter》
使用クラス | : | 中立 |
カードタイプ | : | ミニオン |
注釈 | : |
◆ カード分析
何か既視感があると思ったらOverwatchのザリアに似ています。カード評価とは関係ありませんが。ともあれ、非常にそそられるカードです。
このカードのアビリティは非常に強力です。Nerf調整前の《知識の古代樹 / Ancient of Lore》同様に4/4のボディを置きながらカードを2枚ドローすることが可能であり、難点はそのアビリティを発動させる条件です。基本的に高いヘルス値を持つミニオンはマナコストが高いため、6マナを要するこのミニオンと同一ターンにプレイすることは難しいでしょう。事前に召喚されたヘルス6以上の体力を持つミニオンが次のターンまで生存し、ヘルスを保つことも簡単ではありません。
ただし、この条件の達成が容易な組み合わせは幾つか存在します。例えば定番の《終末予言者 / Doomsayer》ならば条件をクリアしつつカードを2枚ドロー、ボードクリアも達成できれば次のターンに空のボードから始めることができます。他には新カードの《ドブネズミ / Dirty Rat》も同一ターンにプレイできる候補に挙がるでしょう。また、翡翠蓮をテーマとするカード群の《翡翠のゴーレム / Jade Golem》は召喚回数さえ重ねていれば、ゲーム後半にマナコストの安いカードでもヘルス6以上のスタッツを持つミニオンを容易に召喚できます。もちろんすでにボードに置かれているミニオンを《真言・盾 / Power Word: Shield》などでbuffして条件を達成する方策もあります。逆に、スタッツの高いミニオンをチープなコストで召喚できるデッキ(《トワイライト・ドレイク / Twilight Drake》・《魔力の巨人 / Arcane Giant》等)でも利用可能です。
様々な例を挙げましたが、実際のところ汎用性が高いカードではありません。多くのデッキにおいては検討される以前の条件です。しかしこのアビリティ達成条件がデッキのテーマに沿っており、そしてカードドローを必要としているデッキの中で適切な居場所を見つけられたならば、このカードはサンキューベンブロードへと化ける可能性を秘めているように期待してしまいます。ザリア補正で贔屓目に見ているだけかもしれませんが。