復活のプリースト(Refined Resurrect Priest)



掘り出されしヒーロー


長らくメタゲームの底辺に埋葬されていたPriestがついに復活の時を迎えようとしています。

ラダー・トーナメントのどちらも低迷を続けてきたこのクラスは、スタンダード環境の到来によって一層厳しい状況に置かれていました。《ヴェレンに選ばれし者 / Velen's Chosen》《光爆弾 / Lightbomb》のような重要なツールが失われたのもさることながら、テンポベースのデッキに支配された現在の環境に居場所を見つけることができなかったのです。

例えばShamanの4/7/7に対してPriestは《密言・死 / Shadow Word: Death》で対処できます。しかしPriest側のボードには何も残りません。ボードコントロールを得意とするクラスですが、AoEで相手のミニオンをまとめて処理するまでの体力のビハインドによって、ボードを安定させたその後も綱渡りを強いられます。実際のところこのクラスの強みが光る場面がほとんどなく、ControlデッキのカテゴリでもライバルのWarriorに大きく水をあけられている状況です。


そして新たなカードセット「ワン・ナイト・イン・カラザン」の追加前には《祓い清め / Purify》の騒動が起こり、コミュニティの期待度は地に堕ちていました。今回もPriestはダメなのだろうと多くのプレイヤーが諦観の境地に至っていたのだろうと思います。







新カードの再考


しかし、約1枚をのぞいてPriestの新カードは評価を改める必要がありました。

第一週の《宴のプリースト / Priest of the Feast》を実際に使用したプレイヤー達は、”悪くはない程度”の事前評価にそぐわない好感触に目を瞠りました。このカードの公開段階では、回復手段を数多く持つPriestにおいてはさして目新しい印象は無かったのです。しかし4/3/6という中盤のトレードにも耐えるスタッツと、除去スペルの使用と同時に体力を回復することが可能であるため、Priestの抱える問題点への適切な解答のひとつであることが判明しました。

そしてもう1枚の新カード、《オニキスのビショップ / Onyx Bishop》はこのクラスが強力にテンポを生み出すための新しい手段となりました。なによりも特筆すべきは、Dragon PriestやかつてのDeathrattle Priestのようなテーマデッキにおけるシナジーに依存せず、Controlデッキのスタイルをベースとしたままにテンポを生成することにあります。

《復活 / Resurrect》が実装されて以来、ひさびさに試されているResurrect Priestというデッキのアーキタイプを分類するならば何が適切でしょうか?ゲーム序盤からのミニオンドロップによるテンポを最大化するデッキではありません。カードのシナジーは重要ですが、各々が単体でも機能するためコンボデッキというのも似つかわしくないでしょう。Resurrect Priestは支払ったマナコスト以上に強力なミニオンを盤面に置くことが可能ですが、本質的にはControlの構築そのままなのです。




《祓い清め / Purify》のことはひとまず忘れるんだ。いいね?




◆ 小ネタ

本題とまったく関係ありませんが小ネタをひとつ。《宴のプリースト / Priest of the Feast》には「どうだいこれが世界チャンピオンのチーズケーキだぞ!」という珍妙なフレーバーテキストが書かれています。一見すると意味不明ですね。このテキストについてとあるredditユーザーが、2015年のBlizzard社公式世界大会のチャンピオンに輝いたスウェーデン出身のOstkaka選手との関連性を指摘しました。

わたしも初めて知りましたが、Ostkakaという単語はスウェーデンの伝統的なチーズケーキ(によく似たお菓子)の名前なのだそうです。



ちなみに《炎魔コウモリ / Fiery Bat》は2014年のチャンピオンFirebat選手が元ネタです。






Resurrect Priestの現状


デッキ内容を詳細に見ていく前に、Resurrect Priestの現在の状況を整理しておきましょう。Vicious Syndicateが公開した統計によると、8月17日から23日にかけての期間中にランクゲームでプレイされたControl Priestのデッキは全体の6.13%というかつてない数字を記録したそうです。

この統計はTRACK-O-BOTという戦績管理ツールの使用者1900名弱の協力によって収集されたデータに基づくものであり、実際のラダーを正確に反映したものではありません。まぁそれであってもデータと数字というものは説得力を持つものですから、個人的にはTempoStormのMeta Snapshotよりも信頼を置いています。

参照リンク:vS Data Reaper Report #15 [Vicious Syndicate]


この統計を信用する前提で話をすすめます。クラス全体の割合では相変わらず下から数えたほうが早いにもかかわらず、6.13%という数字はデッキ単体で見ればToken DruidよりもControl Priestのほうが多かったという驚くべき結果です。このControl PriestすべてがResurrect Priestであると捉えるのは不合理ですが、ここまで増加している要因であるのは間違いないでしょう。

さて、Tier1デッキに並ぶほど人気なControl Priestはついに黄金時代を取り戻しつつあるのでしょうか。それもまた早計です。6.13%というのは新カードが解禁された後の物珍しさでプレイされていた数字に過ぎません。この人気を維持していけるかどうかがResurrect Priestの実態ということです。

その将来性は如何ほどでしょうか?海外プレイヤー達の評価によると、何とも言い難い感触のようです。このデッキは決してグレート!やアメーイジング!ではないけれど、悪いデッキではない。プレイを続けていればレジェンドには問題なく到達できる。そういうデッキだ。というのがここ一週間に見かけられた大方の感想のようでした。

ラダーと異なる評価軸のトーナメントにおいてもまだ未知数の段階です。先週開催されたESL King of the Hillの王者に君臨しているOstkakaは5デッキ中のひとつにPriestを持ち込みました。世界王者が大会でもPriestを評価しているのかと一瞬話題になりかけましたが、Self Ban Conquestのルールで行われたこの試合で指定したクラスはPriestのデッキであり残念ながらお披露目されることはありませんでした。

参照リンク:Does Resurrect Priest Work? – Deck Building & Playtesting [Hearthstone Players]
参照リンク:Cydonia vs Ostkaka - ESL King of the Hill - Week 3 Finals [Youtube]


ただし、このデッキはまだまだ発展の途中にあります。一般的に熟練したプレイヤー達が使用するデッキは自然と似通ったデッキリストになるものですが、Resurrect Priestにおいては5,6枚では留まらないほど採用されるカードに差異が見られます。まだ最適化の途上なのか、それとも幅を持つということなのかは時間をおいて見守る必要があるでしょう。もしかしたら、Priestというクラスが抱える根源的な問題を解消する可能性が埋もれているのかもしれません。




Resurrect Priestのギミック


さてここからはデッキがどのように機能しているかのおさらいです。

まず、ミニオンをボードに復活させるアビリティによってどのようにPriestがテンポを作り出していくのか。基本的な考え方は、破壊されたミニオンが本来のスタッツでボードに復帰する仕組みを利用することで、相手とのミニオントレードに優位を獲得することです。

序盤から中盤へとつなぐ定番のミニオンとして《傷を負った剣匠 / Injured Blademaster》の利用はどのデッキでも共通しています。3マナで召喚した4/3のこのミニオンがトレードによって破壊され、《復活 / Resurrect》《オニキスのビショップ / Onyx Bishop》でボードに復帰すると体力が全回復します。5マナが適正な4/7のバニラミニオンを《復活 / Resurrect》のたった2マナで召喚できることと同じことです。

《傷を負った剣匠 / Injured Blademaster》の場合は序盤から中盤にかけてトレードに優位に立つ、悪くともビハインドをとらないために有効なミニオンです。そして中盤以降は相手に脅威を与えるミニオンを低コストで再召喚するメリットが考えられます。どのバリエーションでも《シルヴァナス・ウィンドランナー / Sylvanas Windrunner》が採用されており、このミニオンを再召喚できれば相手がボードを制圧するのを牽制しつつ有利なトレードが期待できます。

または《バーンズ / Barnes》がランダムに召喚する1/1のコピーを復活させることで尋常ではないバリューを獲得することも可能です。もちろん乱数に依存するため確実性のない戦略ですが、《イセラ / Ysera》《告解師ペイルトレス / Confessor Paletress》を5ターン目に本来のスタッツで再召喚された場合、そこでゲームの趨勢が決まってしまうかもしれません。






◆ AoEとアンチシナジー

現在のResurrect Priestで興味深いのはアンチシナジーとなりかねないミニオンの存在です。わたしが目を通してきたデッキリストではおよそ6割以上が《熱狂する火霊術師 / Wild Pyromancer》を採用していました。このミニオンが《復活 / Resurrect》によって復活した場合、スペルの使用という条件を満たすため盤面に復帰しつつアビリティを発動させ全体に1ダメージを与えてしまいます。この性質がどう働くかは状況によりけりでしょう。

またControl Priestで定番の《オウケナイのソウルプリースト / Auchenai Soulpriest》はおよそ9割の構築で利用されています。《宴のプリースト / Priest of the Feast》と同時に盤面に存在すると皮肉な結果となるミニオンですが、《回復の輪 / Circle of Healing》とのコンボはやはり非常に有効です。この組み合わせと《掘り出されし邪悪 / Excavated Evil》の二種類をAoE(範囲ダメージ)として用いるのが現在のトレンドとなっています。






山積みの課題


先に述べたとおりResurrect Priestのデッキには様々なバリエーションが存在します。このデッキを構築するにあたって考慮すべきポイントを簡単に列挙してみましょう。



などなど、細かく挙げれば考えるべきことはキリがありません。これらの課題に通底しているのは、Resurrect PriestというデッキがTempoとControlの狭間で揺れ動き最適解が見えず、足元が不確かなデッキであることです。

もちろんまだまだワン・ナイト・イン・カラザンの新カードが順次開放されているまっただ中であり、メタゲームが日々めまぐるしく変化する状況に対応していくことが求められるでしょう。たとえば《動物園の監視員 / Menagerie Warden》を手に入れたDruidのアグレッシブな構築にどう対処するか。ここで再びPriestの抱える根本的な問題が浮かび上がります。

Priestというヒーローに指摘されている根っこの問題とは、相手の脅威に対処しそこから挽回していくリアクティブなプレイに徹してしまうことです。常に受け身に回らざるをえないスタイルでは、ミニオンドロップのテンポを基礎とするハースストーンというゲームでTier1評価を得ることは非常に難しいのです。このPriestに指摘される問題点の対義語はプロアクティブです。眞鍋かをりがもう悩まないニキビ薬ではありません。





カードのシナジーはバリューを発生し、相手とのトレードを経てアドバンテージという結果へ至ります。ものすごい単純に言えば、カードの組み合わせで相手に理不尽を押し付けることがこのゲームでは非常に効果的であり、プロアクティブなプレイスタイルということです。そしてPriestというクラスは常に、1/3/3と4/7/7の理不尽に殴られる側に回ってしまうというのが根本的な問題点です。

今回追加された新カード《宴のプリースト / Priest of the Feast》《オニキスのビショップ / Onyx Bishop》はControl Priestが置かれている状況を改善するのに大きな助けとなることが判明しました。そして今後メタゲームへ存在感を取り戻していくには、ここからプロアクティブなプレイに転じることが出来るかどうかにかかっています。



◆ サンプルデッキリスト

Zetalot's Control Priest feat. Barnes and Onyx Bishop [Twitter]
Amaz's Barnes Resurrect Control Priest [TOP DECKS]
Zalae's Control Priest feat. Onyx Bishop [Twitter]
[ONiK] Kevineter's Resurrect Priest [Hearthpwn]
Top 30 Legend [NA] Priest [Hearthpwn]




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