プリーストの新カード《祓い清め / Purify》は闘技場で出現しない



本日ハースストーン公式より久方ぶりとなる「デザイナーの洞察(Designer Insights)」が公開されました。この動画はカードデザインやゲームバランスの裏側にあるゲーム開発者の知見や思考、将来的な見通しや哲学などを開発チームのリードデザイナー、ベン・ブロード(Ben Brode)氏が自ら解説する動画シリーズです。

今回の題目はズバリ新カードの「《祓い清め / Purify》」。ワン・ナイト・イン・カラザンで追加されるPriestクラスの専用カードであり、今現在ハースストーンコミュニティで話題沸騰のスペルです。この動画の中でベン・ブロード氏は驚くべき発言を行いました。Priestの新カード《祓い清め / Purify》は、ワン・ナイト・イン・カラザンリリース後の闘技場(Arena)でカードピックの選択候補に登場しないというものです。




この決定への評価はひとまず置いて、コミュニティの示した不満に対しゲーム開発者が迅速なレスポンスを返したことについて、海外プレイヤーの間ではたいへん好意的に受けとめられています。やっぱ俺たちのベン・ブロードな。つきましては日本ハースストーン公式も日本語訳を載せた動画公開をなるはやでお願いしたいところであります。

さて、「デザイナーの洞察(Designer Insights)」の中で語られた内容については後ほど詳しく見ていくとして、まずはなぜこのような決定が下されたのかその経緯を追いかけてみましょう。




キレイキレイされたアンドゥイン


汚れを取り除いてきれいにするという動作を表すピュリファイ(Purify)とは、宗教的な文脈では人の犯した罪や死後の魂を浄化することの実践を示し、天国へと至るために必要な教義として説かれています。今回のアドベンチャーモードでPriestにこのカードを追加する開発チームの意図するところは、聖職者でありながらこれまで他人のカードを好き放題盗みまくってきた《アンドゥイン・リン / Anduin Wrynn》の罪を洗い清めようとしたものでしょうか。


などと性格のヒネくれたような見解を持つことは、ただ今ハースストーンコミュニティにおいて珍しい現象ではありません。Purifyってのは要するにPriestとかいう不純物をゲームから取り除こうって腹積もりだろ?と罵倒に近いジョークも散見されます。



今週12日にリリース開始が予定されているハースストーンの新コンテンツ、「ワン・ナイト・イン・カラザン」で実装されるPriest専用新カードの印象を端的に表せば、コミュニティの期待に応えるものではありませんでした。各クラスに追加される3種類のカードがPriestの分は6日の発表まで公開を控えられていたことも、人々の失望をより一層大きくした要因かもしれません。

焦らすかのように1枚も見せてもらえなかったPriestの新カード発表を受けて、Team Archonを率いるAmazはコミュニティが抱いた印象をたった3つのワードで代弁しました。


[Hearthstone] Amaz Reviews Karazhan Priest Cards!





期待の裏返しは怖い


アンドゥインなんですぐ死んでしまうん・・・?

《ヴェレンに選ばれし者 / Velen's Chosen》《光爆弾 / Lightbomb》がスタンダード落ちしたあたりから棺桶に片足つっこんでいたPriestは、今回のアドベンチャー追加カードで完全に息の根を止められてしまったということでしょうか。

プレイヤーからの人気は長い期間にわたって低迷しているこのクラスですから、より正確に言い表わせば、次の環境でこそPriestクラスが活躍する機会が巡ってくるだろうというプレイヤー達の淡い期待が潰えたということです。


メタゲームの変遷を通じてコミュニティの反応や開発チームのコメントをつぶさに観察してきたわたしからは、色々とタイミング悪く重なってしまったなというのが率直な印象です。ここ連日に渡り海外の著名プレイヤーやredditを中心として、ハースストーンコミュニティが感情的な反応を起こしているのは無理からぬことのようにも見えます。

たとえば約一ヶ月ほど前にredditにて、スタンダードの新環境でもメタゲームへの解答を見いだせないPriestの改善策について問われたベン・ブロード氏は以下のようにコメントしていました。曰く、「公開できる段階ではない様々な計画がある。そしてまだプレイヤー達が発見していない素晴らしいプリーストのデッキが存在する可能性もあるだろう」と。

It's also possible there are quality priest decks that players haven't discovered yet. [reddit]


この言葉尻を捉えてコミュニティでは、ベン・ブロードの言う”まだ発見されていないPriestデッキ”を探そうという奇妙なチャレンジが流行。そんなものはありはしないと考えている人々からは、存在しない幻のデッキとしてユニコーンプリーストなどと呼ばれハースストーンコミュニティのmemeのひとつになりました。


The Search for the Ben Brode Priest



しかしPriestが競技シーンから姿を消して久しく、プレイヤー達の不満は蓄積され続けてきました。そして同時に期待も募らせてきました。今度こそPriestの立場を大幅に改善する新カードが来るだろう、と。

今回の新カード発表でBlizzardは二つのことにつまづきました。ひとつはPriest専用新カードへのプレイヤー達の期待がどの程度高まっているのか見誤ったこと、そしてもうひとつは発表するタイミングを遅らせてしまったことです。

もう少し詳しく言うと、失望の痛みとは高所から落下する衝撃に近い性質のものです。開発チームは意図してのものではないのでしょうが、ぎりぎりまでPriestを高いところへ昇らせて、一気にハシゴを外し地面へと叩きつけました。もちろんわざとそんなことをする筈もありませんが、結果として《アンドゥイン・リン / Anduin Wrynn》の墜落死が発生したのです。

今回の追加カードにメタゲームへの解答が用意されているだろうと期待を募らせるコミュニティと、なぜかPriestの新カード発表を最後の日まで遅らせていた開発チームのすれ違いが感情的な反応を呼び起こす要因であったと考えるのが妥当でしょう。




新カードに対するコミュニティの反応


今回の新カード発表は噴火を起こす単なるきっかけにすぎなかったものです。そして、6日以降のコミュニティが示した過剰とも言える反応を重く受け止め、ハースストーン公式はカラザンリリースを直前に控えながら「デザイナーの洞察(Designer Insights)」を公開したものと察せられます。

開発チームとしてはまず新環境のメタゲームを見極め、新しいデッキを試してから評価してほしいというのが本音でしょう。しかしプレイヤー達は試す価値すら無いと断じています。


先ほどの動画で「Priestは死んだ」と一言で切り捨てたAmazもよほど腹にすえかねたものか、クラスバランスの中でのPriestが置かれた立場について彼には珍しく(?)シリアスに語る動画を続けて公開しました。他にもKripparrianや著名なプロプレイヤー達が《祓い清め / Purify》について感想を述べているのでチェックしていきましょう。


[Hearthstone Rant] Why Priest Will Always Be Bad

プリーストの抱える問題に対するAmazの指摘

  • プリーストに用意された新カード3種は古いカードの焼き直しに過ぎないものであり、新しいインスピレーションをもたらさない

  • 序盤の盤面を争えるまともな2ドロップのミニオンを持っていない

  • デッキのコアとなるカードの問題点として、使用方法が限定的なカードが多い

  • 使える部類のカード達も基本的に1:1トレードとなるカードばかり

  • 《オウケナイのソウルプリースト / Auchenai Soulpriest》などがカードデザインを限定させる要因となっており、原作のWoWで回復職なのにPaladinに回復能力で劣る




[Hearthstone] The Purify Rant

《祓い清め / Purify》へのKrippの見解

  • ボードにミニオンを必要とすること、そして価値のあるアビリティ(断末魔/Deathrattleなど)を持たないことがこのスペルの適切な使用条件となってしまう

  • 構築と闘技場で悪い立場に置かれた状況が長く続いており、そこへきてこの最低なカードが登場した

  • カードドローが付いているとはいえ、対戦相手のミニオンを沈黙/Silenceとできないのに2マナは不適切(0コストが適当)

  • コモン(Common)というレアリティが設定されているため、このゴミのようなカードが頻繁にピック候補で登場すればただでさえ闘技場で不利なPriestを完全に終わらせる

  • 《祓い清め / Purify》が適切に使用できるようなミニオンのカードピック(《古代の番人 / Ancient Watcher》など)はあり得ない




プロプレイヤー達の評価



プロプレイヤー達の意見を総合すると、《祓い清め / Purify》は単なるBad cardであり、その他2枚のプリースト専用カードはOkayレベルではある。しかし、PriestというBadなクラスに与えられるカードだから全てアンプレイアブルなカードだ、というものです。

ここにプレイヤー達の不満が集約されているのでしょう。《祓い清め / Purify》はどう考えても使いものにならず、このカードを実装する意義が見出だせないこと。そしてなぜ、PriestというBadなクラスにそんなBadなカードを追加するのかという疑問です。




開発チームの意図するところと《祓い清め / Purify》の可能性


Designer Insights with Ben Brode: Purify

Ben Brodeの解答

  • 《祓い清め / Purify》は強力なカードではないことは誰もが判っているし、我々もそれを意図してはいなかった

  • カードのデザインには様々な理由が存在する。ハースストーンのプレイヤー達は時に《ソーリサン皇帝 / Emperor Thaurissan》のような強力なカードで最高のデッキを作りたいと望み、また一部のプレイヤー達は《筆頭家老エグゼクタス / Majordomo Executus》のような”Bad”なカードで勝利することを楽しむものだ

  • 《祓い清め / Purify》はテスト段階で幾つかのバージョンが試され、様々な興味深い「Silence Priest」のデッキが構築された。競技的なシーンで強力に戦えるデッキではないが

  • またテスト段階で1マナのバージョンも試されたが、テスター達は単なるカードサイクルとして使用していたため2マナに変更された

  • Priestの立場を改善できるチャンスをなぜ棒に振ったかという批判は正当なものであり、開発チームはコミュニティの心理を読み違えていた

  • 《祓い清め / Purify》はゲームを面白くするカードだが、この面白おかしいカードは他のちゃんと有用なカード達と一緒にリリースすべきだった

  • しかしこのカラザンカードセットにはPriestを再び競技的なヒーローへと押し上げる可能性があると信じており、Dragon Priestには期待をかけている

  • 個別にカードピックの登場頻度を設定するようなシステムがまだ無いので、《祓い清め / Purify》闘技場では登場しないようにする

  • このことは闘技場のゲームバランスの問題を即座に解決するものではないが、長期的に正しく改善していく道筋を作るものだ





Silence Priestの可能性


さてここまで一連の騒動と開発チームからの解答について一通り見てきました。コミュニティの疑問に対して公式からはちゃんと解答が示されたので、この記事において特別なにかの答えを出そうと考えてはいません。ただせっかくなので《祓い清め / Purify》の可能性について想像を巡らせてみるのは面白い試みでしょう。

動画の中でベン・ブロード氏は、勝率を気にしないならばと前置きした上で、Silence Priestという構築の可能性について触れました。まず考えられるのは、盤面に置かれている時にネガティブなアビリティを持つミニオン達です。




そしてもうひとつがコピー系統のアビリティを持つミニオン。Priest専用ミニオンの《伝令するものヴォラズィ / Herald Volazj》と新カードの《バーンズ / Barnes》によって召喚されたコピーは、1/1というスタッツに弱体されるdebuffがかけられた状態のミニオン達です。つまりベン・ブロードの言葉通り、コピーされ1/1のスタッツで召喚される《デスウィング / Deathwing》沈黙/Silenceをかけることで12/12の本来の姿へ戻すことが可能ということ。

Priestにはすでに《沈黙 / Silence》というスペルが存在しますが、このアーキタイプを実際に運用するならば2枚では心許ないでしょう。《祓い清め / Purify》がきっと必要になるはずです。しかもこのスペルにはドローカードの効果まで付属している。オゥ、グレイト!ワオー!






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