Hearthstone公式ブログより。新規プレイヤー向け
Introduction
デッキの構築というのは時にストレスがつのる。
方針が定まらずにカードコレクションをじっと見つめている時なんてことさらだろう。
この問題にまつわるヒントを幾つか用意した。私はMike Donais、Hearthstone開発チームのシニアデザイナーを務めている。
20年に渡るカードゲームプレイヤーの経験とは別にして、仕事の面ではMagic: The GatheringのデザイナーとWorld of Warcraftトレーディングカードゲームの開発に携わってきた。さあ、それじゃ始めていこうか。
訳注:
M:TGのプロフェッショナルプレイヤー、ジャッジ、トーナメントオーガナイザーの活動を経て2000年にWizards of the Coastに雇われる。約10年の間マジックのデザイナーとしてだけではなく、Dungeons & DragonsやDreamblade、Risk等を手掛け2010年にCryptozoic Entertainmentへ移籍。オープンβ開始前の1月頃にBlizzard Team 5に参加。
➥ [mtgsalvation] Michael Donais
➥ [boardgamegeek] Mike Donais | Board Game Designer
デッキビルドはどうやって?
まずは強固なデッキを組みたてる基本事項。
テーマに焦点を絞る
作成できるデッキタイプを数え上げたら実際のところキリがないものだから、デッキビルドにとりかかる前に自分がどんなデッキを好むのか知っておくのは良いことだね。
素早い展開、攻撃的なラッシュデッキであるとするならば高いダメージ量のミニオンに無駄なく貫徹すること。Chargeアビリティ持ちのミニオンや、相手Heroに直接ダメージを与えるスペルカードも含まれる。
もしくはゲーム展開が遅くて綿密なコントロールデッキが自分に合っているというなら、デッキにはヘルスを回復するカードとTauntアビリティ持ちのミニオンを盛り込む。
Tauntミニオンは対戦相手が君へ攻撃を仕掛ける前に対象を強いることができるし、
Restore Healthアビリティのミニオンは君のHero自身、またはミニオンたちの失ったヘルスを回復させるのに役立つ。
いくばくかのデッキテーマにおいてはより複雑にもなりうる。
たとえばGadgetzan AuctioneerやAlarm-o-Bot、Pirate種族またはMalygosを中心とするようなデッキだね。
こうした場合はもちろんデッキテーマに沿った面白いカードたちを組み込みたいと考えるだろう。
しかしFrostboltやBackstab、Lightning Boltのように強力で使い勝手の良いカードも、
君のテーマを果たすあいだ生き延びるためにとって置くことを忘れてはいけない。
序盤のカードを5枚から10枚デッキに入れる
ゲーム序盤でビハインドを付けられた場合、これを覆すのはそうとうに厳しいものだ。
マナコストが1か2のカードを5枚から10枚ほど、そして始めの2ターンで有意に用いることにより不利な状況へ陥るのを回避する助けとなる。
こうしたカードというのは通常、対戦相手が序盤に出すミニオンを除去できるミニオンやスペルになる。
後半のカードを5枚から10枚デッキに入れる
多くのデッキにおいてゲーム後半の手堅い高マナコストカードはメリットがある。
ラッシュテーマのデッキですらArgent Commanderのようなマナコストの高くアグレッシブなカードは理にかなっている。
一方コントロールデッキではSunwalkerのようなカードを入れるのが賢明かもしれない。
カードのドローもまたゲーム後半に有意義なものだ。
ただしミニオンはカードを2枚ドローするよりも、カードを2枚除去に使わせるほうがより優れているということを憶えておこう。仮に対戦相手がそのミニオンを処理できるカードを持たない場合、大きなアドバンテージとなるからだ。
ミニオンを出すべし
君がミニオンを置き、相手がこれに対処できるのなら五分五分。
しかし君のミニオンに相手が対処できない場合はゲームボード上での優位となる。
ひとたびボード上でのアドバンテージを得るならば自分に都合の良いトレードを行ったり、直接相手のHeroを殴りつけることができる。
これはつまりミニオンを処理するスペルよりもミニオン自体が重要だということになる。
最初のデッキを作る時は20枚かそれ以上のミニオンをデッキに入れよう。
この基本ルールはいずれ、特定のスペルカードに焦点を置いたデッキにおいて破ることになるかもしれない。
時間をかけてデッキを磨く
勝ったり負けたりすることもあるだろうが、ここはまだデッキ構築の学習過程であることを忘れないように。
たった1ゲームでデッキのカードを入れ替えてはいけない。複数回の試行においてどんなカードがうまく機能したかに意を用いること。
そうしてからデッキマネージャーに戻り、学んだことに基づいて変更を加える。
例えばペースの速いデッキに対して何度も敗北を重ねてしまったなら、Tauntミニオンと1マナ(2マナ)のカードをより多く加えるという具合だね。
その時コストの高いカードが多すぎないか確かめておこう。
あるいは相手を倒す前にカードが尽きてしまうような場合、ゲーム後半用のミニオンをもっとデッキに入れよう。
ここは辛抱強くいこう。
たった一度だけ特定のデッキやクラスに敗北を喫したとしても、デッキに変更を余儀なくされるとは限らないのだから。
新しいデッキをプレイ
マナコストの安いミニオンから始めよう
ゲームが始まり3ターンの間なんのカードもプレイしなければ、とてつもないビハインドを付けられてしまうだろう。
そのため、たとえ良質な4マナカードをマリガン(対戦開始時の手札入れ替え)してでも、2マナのカードをせめて1枚は初手に入れておくこと。
マナを使い切る
まずはいま使えるマナを全て費やすことから考慮して、その他取り得る手段と比較する。
早期に強大なミニオンを場に出すことは、通常は相手を守勢におく最高の戦略となる。
この時対戦相手が君のミニオンに無理なく対処するカードを持たないのなら、これは大きなアドバンテージになるのだ。
より経験を積んでいった後には、次のターンにマナをどう使うかも考えなければならない。
よくよく考えてカードプレイ
カードを切る前にいったん手を止めて、目の前の状況に対処するより良い手段が残されていないか手札を眺めてみよう。
クリアなボードはハッピーボード
自分のミニオン1体を対戦相手の同じようなミニオン1体と相殺することは、たいていの場合において好ましい考え方となる。
どういうことかと言うと、ボード上に君のアタック3/ヘルス3のミニオン、そして相手もアタック3/ヘルス3を置いているなら、このミニオンに対してアタックを仕掛け処理をすべきということだ。
これによって対戦相手は3/3のミニオンをbuffスペルによって4/4へ強化し君を脅かすような真似が出来なくなる。
もう一点重要なのは、相手が君のミニオンすべてにダメージを与えるスペルを使用しても、さほど痛手にはならないということだね。
ミニオンを出しすぎてはいけない
どのクラスも対戦相手がわんさか並べたミニオン達を掃除する手段をいくつか備えている。
2体以上のミニオンをボードに出す時はこれを常に念頭に置いておこう。
カードドローはゲーム後半を見据えて
ミニオンをボードに出すこととカードをドローすることの選択においては、一般的にはミニオンがより優れた行動となる。
ミニオンを置けば相手を守勢に立たせるが、一方カードを引くことはボードの状況をまったくもって好転させない。
ボード上で優位にあれば、より欲張ってカードを引くプレイもできる。
この話はLoot Hoarderのようなミニオンにも当てはまることだ。
ゲーム開始2ターン目、Faerie DragonとLoot Hoarderが同時に手札にあるなら、まだカードのドローを必要としていないのでFaerie Dragonをまず先にプレイすべきだ。
より強大なミニオンを出すことこそが、より重要なのである。
Hero power
Hero powerを用いて相手のミニオンを処理できれば自分のカード浪費しないので大きなアドバンテージになる。
しかし大方の状況においては、手札からミニオンを出すことはHero powerの使用よりもボード上のより大きな影響力となる。
ゲームの序盤は盤面を支配するようにミニオンを出す、これに集中しよう。
Hero powerは後半になれば潤沢なマナリソースで頻繁に使うことができるのだ。
Have fun!
最も経験豊富なプレイヤー達でさえ、常にゲームに勝つわけではない。
リラックスしてゲームに興じること。
時々デッキを切り替え、いろいろ試し、ゲームを学んで楽しもう!
この記事はKotakuウェブサイト上に掲載されていたものです。元の記事はこちらから
Hearthstoneについてもっと学ぶ準備はできましたか?
ガイドとプレイ談義のためにNew Player Tavernを訪れてみましょう。
管理人後記
拙い訳ですが内容が通じたなら幸いです。
この記事はおそらくHearthstoneを始めて1ヶ月前後、情報収集を積極的に行うゲーマーならば1週間程度の新規プレイヤーを対象として書かれたものと推察されます。
内容としては極めて初歩的なものですが、個人的にとても興味深い記事であるため今回とりあげました。メンテで暇だからというのも大半ですが(╹◇╹;)
どこらへんに惹かれたかというと、一つには”用語”の部分。
「board」とか「mulligan」といった一般的なカードゲーム用語や、デッキの性質を示す「aggressive」「control」という単語。Hearthstone公式サイトがこうしたストラテジーに関わる用語を用いるのはごくごく珍しいことです。
「mulligan」に至っては公式サイトが公開されてから一年経つにも関わらず、運営側が記述する記事の文中には初登場の単語です。
意図的なのかは計りかねますが、以前べつの話題で知り合いの方とお話していた時に言われた、「そういう色を付けたくない」という言葉を思い起こさせます。
元記事がKotakuに掲載されたものですから慣例(があるとするなら)を破ったのかもしれません。
MTGとHearthstoneの違い
ちょっと話は逸れますが、私はカードゲーム初心者でしてTCGの祖マジック・ザ・ギャザリングに触れた経験がありません。
基礎的なルールですら覚束ないわけですが、ときどきフラッとM;TG公式ウェブサイトを読みに行くことがあります。単なる読み物としても楽しめるエクセレントな記事が数多く掲載されているからです。
このM;TG公式サイトとHearthstoneの公式サイトを見比べると、ひとつの明白なスタンスの違いが見て取れます。
すなわち、マジック・ザ・ギャザリングは開発元のWizards of the Coast自らが積極的にゲームの戦略について説き、カードを解説し、注目のデッキを公開しているわけですが、Hearthstone公式はほとんどノータッチなのです。今回の記事のように、ごくごく初歩的な内容に触れるに留めています。
放任主義というか、Hearthstoneのストラテジーについてはユーザーにすべて委ねるという姿勢をクローズドβから現在に至るまで一貫しています。
ホント対照的ですが、Wizards.comではプレイヤーからデッキを投稿してもらいスポットライトを当てるような特集記事なんかがありますね。
➥ [wizards.com] 幻影の群れ
βの頃からこの違いは何だろうかと折にふれて考えることがありました。
マジック・ザ・ギャザリングといえば20年以上も昔、ウェブが未発達のテレホマン時代よりもさらに以前から親しまれてきたカードゲームです。情報媒体として紙が主流であり、開発元Wotc自らゲームの解説を行い流通経路に乗せ頒布することが必要とされ今も続いているのかもしれません。
ひるがえって見るに、2014年今年に正式サービスが始まったHearthstone。
プロゲーマー達の戦略、賞金のかかったトーナメント優勝者のデッキ、流行している戦略へのアンチとして素晴らしく機能するメタなどなど、1日どころか数時間もかからず最新最善の情報が入手できる昨今です。
Hearthstone開発チームは少人数なので手が回らないというのが単純な理由かもしれません。Blizzard Entertainment社の規模を考えれば社内リソースが足りないわけも無いはずなんですが・・・・
ただ最近になって思うのは、むしろ情報過多な時代だからこそ、Hearthstone開発チームは初歩的な内容に留めているのかなと。
はじめの一歩
たとえばFaerie DragonとLoot Hoarderのくだり。
手札の状況次第なので一概に言えませんが(この記事の本文中にもgenerallyとusuallyが頻発)、Faerie Dragonをまずプレイすべきという理由をきちんと理解し、他の人にも筋道立てて説明することができるというのことはとっても初歩的ですが、意外と多くの人が抜け落ちているのかも?と考えさせられました。
人の頭の中を覗けるわけではないので単なる憶測ですが、多くのガイド記事に書かれている”カードアドバンテージ”の効用に従いLoot Hoarderを出すべきじゃないかと思う人も居るんではないかなーと。
もうひとつ、Hero powerのお話。
たとえばこんな状況だったとします。こちらは先手でMage、相手は後手でDruid。相手は1ターン目にThe Coinを利用してLoot Hoarderをプレイしました。
さてこちらの2ターン目。手札にはRiver Crocoliskがあるとします。
他の手札はとりあえず考えず、この状況で取り得る選択のうち妥当なのは下記のどっちかになるでしょう。
1. Hero powerのFireblastでLoot Hoarderを処理
2. River Crocoliskをプレイしてターンエンド
2の場合、相手のLoot HoarderとHero powerShapeshiftによってRiver Crocoliskを処理される懸念があります。悪いことに、相手はこちらのミニオンとトレードしつつもカードを1枚ドローしてしまいます。
さて1の結果ならば、相手は場に出したミニオンを失いカードを1枚ドローするだけで、自分はヘルスにも手札の枚数にも損害はありません。
イーブンな状況で次のターン。果たしてそうでしょうか?
手札の枚数はThe Coin以外お互い変わりませんが、相手は2ターン目をフリーでプレイすることができます。ここで新規プレイヤーが見逃してしまうのが、先手というアドバンテージを失い手番が逆転しているという事実です。
これに対してRiver Crocoliskを出していた場合、相手が2ターン目に出来ることを想像してみましょう。The Coinはもう無いので2マナ以下のカードかHero powerしか相手はプレイできません。
相手の手札にInnervateからの何がしか、もしくはWrathかMark of the Wildがある場合はLoot Hoarderを生かしたままRiver Crocoliskを処理される恐れがあります。
ここで相手が手札を欲張るか、Mark of the Wildが手札に無ければLoot HoarderはRiver Crocoliskと相殺されるでしょう。
ここで注目すべきは、自分がこうむる手札のディスアドバンテージだけではなく、ミニオンが相殺されボードがクリアになり、こちら側(Mage)は3ターン目をフリーでプレイできるという状況です。
つまり、先手のアドバンテージは維持されていることです。
フリーでボードプレゼンスを獲得できる状況、イニシアティブと言い換えても良いかもしれません。アドバンテージについての解説が行われるガイド記事ではカードアドバンテージの重要性がこれでもかと説かれます。
これを鵜呑みにすると見過ごしてしまうはじめの一歩。
洪水のように有益な情報が溢れかえる今の世の中ですが、初歩的な内容にこそゲームで勝つためのロジックが記されているような気がします。
なんかまとまりのない跋文でごめんなさい。
ああそうそう、最後にひとつ。
MTG公式サイトの読み物について先にも書いてますが、マジック・ザ・ギャザリングに留まらず有益な文章が宝の山のように掲載されています。
たとえばわたし同様にブログを書いている方におすすめしたいのがこちら
➥ [mtg-jp.com] 記事の書き方
そのものズバリ、記事を書くためのコツを紹介しています。
わたしのブログで生かされているかは怪しいところですが、とても感銘を受けました。
自分のブログ記事を読んでくれる人に対してより良いモノを届けたい、そういう気持ちがあるならばぜひぜひ目を通しておくべき内容です。