Ranked Play (Test) Season #3 リポート
CARDS SPOTLIGHT
RNG
パッチにより流行り廃りが目まぐるしいSeason1の最中。
”Dogehouse” ek0pはその後のMetaを占うかのようなMinion達をデッキに詰め込み、EUサーバーにおいてラダーの頂点を極めていました。
➥ [Hearthpwn] ek0p druid (Beta Patch 4243)
➥ [Hearthpwn] ek0p druid ver.2
この時点で既にトップランカー達の間で活用されていたのが、今回のSeason3で議論の的となった2体のRNGカードです。
Midrange以降を志向するデッキの定番であったNovice Engineerのnerfを受け、プレイヤー達から再評価されたのはNat Pagleでした。
別段このミニオンは何らかの調整を加えられたわけではありません。
古くからPagleを用いてる人にしたら何をいまさらという話かもしれませんが、相対的な地位向上とカードレアリティに由来する普及の遅さという2点の理由により、シーズン2からシーズン3にかけて乱数問題をあらためて俎上に載せることとなったのです。
これは単なる議論に留まらず、賞金の出るトーナメントにおいて初のBanned Card(禁止カード)となるに至りました。
参照) ➥ [dojo] Hearthstone GosuCup
そしてTinkmaster Overspark。
2分の1ランダムで対象をDevilsaurかSquirrelにトランスフォームさせるというユニークなアビリティを持つミニオンですね。
一見するとデメリットを含むギャンブル能力のようでもあります。
しかしその実態は、Sylvanas WindrunnerやCairne Bloodhoofのような厄介極まりないミニオンを処理するリムーバルとして有用なアビリティ。
対象のエネミーミニオンが5マナ以上であればデメリットは帳消し、”悪い方にころんでも状況がちょっとはマシになる”、ということに多くのプレイヤーが今更ながら気が付きました。
こうしたRNG要素を巡る議論は紛糾し、とくに競技的に取り組む熱心なプレイヤーはあからさまに嫌悪を示す人も見られます。
参照)
➥ [negitaku] 『GosuCup #0』でJiří "Via" Sandner選手が優勝
➥ [onGamers] A world without Pagle Overspark
ただしこうした賛否の別れる問題において、一時的な声の大きさに押されて性急に結論を下そうとするのはとっても危険です。たとえばDruid以外のクラスがトップメタへ躍り出たとき、いまほどTinkmaster Oversparkが話題の焦点となっているでしょうか?
ShamanにはHex、MageにはPolymorphがありますね。Druidには?
対象を無条件で除去する能力(確定除去なんて言葉も使われますね)は、Naturalizeしかありません。
Tinkmaster Oversparkは半年前から存在しているカードです。
どんな議論においても当てはまることですが、なぜ”いま”取り沙汰されるのか、という視点は常に必要とされます。
Tauntの復権
さらに今シーズン見るべきところとして、レジェンドランカーの影響により数多くのプレイヤー達がこぞってデッキに採用した面白いミニオンが幾つかあります。古いところではSilent Watcher Druidのような試みがあったものの、流行るまでには至らなかった特殊なミニオンAncient Watcher。
そしてDefender of Argusと似通ったアビリティでありながら顧みられることのなかったSunfury Protector。
有り体に言ってしまえば、同じだけマナを費やすなら他に有効な手は幾らもあり、実用的ではないと認識されていたカードコンビネーションです。
しかし環境の変化が古めかしいアイデアの数々を掘り起こすこととなりました。
Druid
Watcher Druid
Ancient Watcher + Sunfury Protector過去例に無いほど急増したAggroデッキに対して、上記2体にClawを加えた序盤のDruidに隙は無く、Aggroに打ちのめされたプレイヤー達の多くを惹きつけることになりました。
このカードコンボの要諦は、どんなに悪くともカードの枚数上イーブンで、Aggroに対しては相手をひたすら消耗させ中盤のゲームへと繋ぐことにあります。
Midrange以降のDruidには無数の選択肢が存在し、ゲームメイクの主導権を掌握します。
Hearthstone Deck Spotlight: Watcher Druid
Mighty Innervate
勿論、InnervateからのTurn 1 King Mukla/Chillwind Yetiは変わらず強力な選択肢。非の打ち所もないほど洗練されたDruidのミラーマッチはトーナメントからラダーの今シーズンにかけて顕著なものとなり、別の方向性を模索するアイデアが必要とされています。
その一つとして有力なものがToken Druid。
Imp Master/Violet Teacherをフィールドに召喚するDruidと出会ったら特別に注意を払って下さい。彼は常に、相手の喉笛に牙を突き立てるスキを窺っています。
Constructed Talk: Druid Token/Savage Roar
加えて、固有スペルの再評価もすでに始まっています。
Force of Nature + Savage Roarの14点コンボ(Malfurion自身もアタック可)は極めてシンプルな思考に基づくもの。相手のヘルスを16削り、必要カードを2枚手札に揃える。
Druidにとってこれが難しい課題でありえるでしょうか?
定番となったミッドレンジDruidの影に隠れ、シーズン1時点ですでにZergラッシュスタイルを確立させていたEUレジェンドプレイヤーも存在します。
➥ [Youtube] TS1 Ranked 3 Druid - Deutsch
Warlock
Handlock
25 to Legendary in 2.5 Days (Warlock Decklist Breakdown)ヘルスを削りながら盤面をコントロールしいつの間にか逆転してしまう彼のプレイスタイルをご存知の方も多いでしょう。ここ日本においてもnegitakuに掲載された記事が大きく反響を呼んでいました。
➥ [negitaku] 『Hearthstone: Heroes of Warcraft』を始めて約7日でトップラダーのLegendaryに到達したMagic: The Gatheringの元世界王者Gabe Walls氏のAMA和訳
調べてみると、この人物は最近までスピリチュアルな怪しい団体に所属していたとか。
なんとも濃いキャラクターと共にM;TGから殴りこんできた歴戦のカードゲームプレイヤーです。
顔が怖いせいかまだあまり人気のないゲイブの配信チャンネルはこちら
➥ http://www.twitch.tv/thegwalls
ホームページもあります
➥ Gabewalls.com
WarlockとGiantの組み合わせ自体は初期から見られたものですが、天敵であるBurn SpellをダメージソースとするMageが消えたことにより一躍メジャーにのし上がることになりました。
そう、度重なるnerfにより数多くのプレイヤーがMageを見放した今、もっとも高笑いを上げているのがWarlockです。
Murloc or budget
恩恵を受けているのは当然Handlockスタイルだけではありません。Murlocを主体とするラッシュデッキは勿論のこと、現在はReynadにより広められたAggroデッキと対戦する機会が実に数多く見られます。
➥ [Hearthstoneplayers] Legend Guide: Aggro Tech Warlock
Reynad's Zoo - Warlock Aggro
Shaman
Control Shammy
シーズン1以降頻繁に見られるのはコントロールスペルを軸とするスタイル。これには多くの派生が有り、強烈なカードコンボで削り切るタイプ、レイトゲームにフォーカスしたStrifeCroデッキ、またはその中間と、ゲームの中盤に至るまで判別が難しい場合があります。
Wombo Combo
➥ [Hearthpwn] Balanced Combo (Leeroy+Windfury)
コンボの可能性を残しつつ、より盤面のコントロールとテンポを重視
➥ [Hearthstoneplayers] Legend: TMNTWEBB’s NA Rank 1 Shaman
ESGN TVで見せたStrifeCroのトーナメントデッキ
➥ [Gosugamers] Savjz's and StrifeCro's decklists from Fight Night
トップレベルのプレイヤー達の評価も非常に高いShaman。すでにDruidやWarlockの地位を食いつつありますが、今シーズンMetaのトップに躍りでるか注目されます。
Hearthstone constructed: Strifecro-inspired Shaman deck
Warrior
パッチにより主力カードの調整を経たWarriorは現在、ビートダウンとコントロールのアーキタイプにほぼ二極化の状況。
要注目のチームDon't Kick My Robot(DKMR)デッキガイド。各クラスとのマッチアップまで詳細に記述されています。
➥ [Blizzpro] DKMR’s Deck of the Week #1, Warrior Control
Baron Geddonを加え、よりAnti Aggroに寄ったバージョン
➥ [Hearthpwn] Top 16 Decklists EU MG Friday Night Swiss #7
序盤から強引にテンポをとり殴り続けるReyad Warrior
➥ DAY[9] DECKTACULAR #7 - REYNAD'S WARRIOR BEATDOWN
Rogue
良くも悪くも常に中堅として安定。
傾向としては昔ながらのデッキ構成にMetaを意識したカスタムを施したものが人気のようです。Aggroに対して有利に立ち回れるものの、課題としてはコントロールタイプのDruid、Warlock、Shamanに若干の不利が否めない点。
Miracle Rogue
Rogue "Miracle" Kolento Deck Vs Aggro Rush Decks
Pressure Rogue
➥ [2P.com] F2P Ultra-aggressive Rogue Deck (Rank 3)
マジカル☆ローグ
➥ [Hearthstoneplayers] DKMR’s Legendary Deck Guide: Rogue Midrange
Hunter
既に知れ渡りきっちりと対策され、Aggroはすっかり色を失ったように見えます。
いまではUnleash the Houndsのコンボしか光る局面がないのでしょうか?
いやしかし、Hunterはトーナメントシーンにおいて優秀なサイドデッキとして採用されています。とくに、Razorの用いるコントロールデッキは特定ランク帯にハマるタイミングがあるでしょう。
➥ [Gosugamers] MID-RANGE HUNTER CONTROL BY RAZOR
King Of The Hill #12 – Realz vs Razor
Paladin
ボード上で優位を取り続けるトラディショナルなスタイルはアリーナでは強力ですが、必要カードを揃えた構築環境のコントロールデッキには分が悪い状況が続いています。
DKMRのAggroデッキが流行るかとも思われましたが、ドローソースのDivine Favorが機能しない相手、すなわちAggro Warlockとマッチングされる機会が多い今、すっかり鳴りをひそめてしまいました。
➥ DKMR’s Legendary Deck Guide: Paladin Aggro
ただし、Handlock相手に立ち向かえるControl Paladinデッキは今後Metaの上位にのし上がるポテンシャルを秘めています。
➥ [Liquidhearth] Koyuki's Control Paladin: Giants Edition
Tejbz Hearthstone Talk Deck Ep 5 - Giant Paladin
Priest
Aggroに嬲られMidrangeは除去できないミニオンばかり。
いまだ日の目を見ないPriestですが、Circle of Healingなどのカードコンボで活路を見出すデッキスタイルがトーナメントレベルで見る機会がありました。
➥ [Twitch] [NA] Priest Playing Topdeck Tourney #7 - Finals!
勝率は微妙なところですが、シーズン中盤に人気を集めた奇妙なデッキもあります。
SECRET MAD SCIENTIST PRIEST DECK REVEALED - HEARTHSTONE GUIDE
Mage
Closed Beta 4458 Patchの目玉のひとつPyroblastのnerfにより、トッププレイヤー達からはもはや使う価値が無いとまで言われるところまで落ちてしまいました。
Open betaが始まり、シーズンのサイクルを経てもその評価は変わりません。
そんな中、EUサーバーでLegendランクを達成したTrumpのFree to play(無課金)Mageは大きく希望を与えたことでしょう。
➥ [Youtube] Trump's F2P ladder climb
日本人プレイヤーの間でもファンの多いTrumpセンセイ。
彼はいまだ、Mageの可能性を信じ続けています。
➥ ESGN S4 D2 Interview and Decklists
Trump reacts to things