TCGの醍醐味、オリジナルデッキを作ってみよう。
Index
▼ Chapter 1. Introduction
バジェットデッキ(Budget deck)とは低レアリティのカードで構成されたデッキのこと。
例によって例のごとく前置きが長いので読み飛ばして結構です。
▼ Chapter 2. 用語
カードデッキビルドにかかわる色んな用語をご紹介
▼ Chapter 3. いわゆる”スタンダード”
➥ 分布から見る取捨選択
➥ スタンダードを担保する確率
➥ ”お約束”なカードプレイ
➥ スペルとミニオンの配分比率
▼ Chapter 4. Free Minions レコメンド
➥ Early tier (1~3)
➥ Midrange (4~5)
➥ Late game big guys (6~)
▼ Chapter 5. クラス別Budgetデッキ構築例
クローズドβテスターたちのデッキ資産を利用しまくろう。
▼ Chapter 6. 次のステップについて
Basicカードオンリーのバジェットデッキからその先へ
▲Index
Chapter 1. Introduction
導入記事 一覧
⇨ 導入記事第一弾 Hearthstoneの基礎ルール
⇨ 導入記事第二弾 閃け!アビリティバトル【能力 x 脳力】
⇨ 導入記事第三弾 バフ・デバフ・アンド・メメント
⇨ 導入記事第四弾 デッキビルドのススメ
⇨ 導入記事第五弾 冷静と情熱のArena
Hearthstoneの基礎知識を日本語でお届けするインストラクションガイド第4回。
今回は自分でカードデッキを作り上げるための超基本的な知識と、オーソドックスあるいはスタンダードなカードデッキビルドについてまとめていきましょう。
このゲームを始めたばかりの段階では、カードのコレクションは穴だらけでほとんど埋まっていません。使えるヒーローも胸が豊満なMageのジェイナ・プラウドモアひとりきりです。
Play modeで世界中のプレイヤー達と対戦していく前に、AIと模擬戦をおこなってまずは残り8人のヒーローをアンロックしておきましょう。
別記事にてまとめたGold稼ぎのスタートダッシュ手順通りに進めれば、ヒーローのアンロックと各ヒーローのベーシック属性専用カードが入手できます。今回の記事はここをスタート地点として考えていきます。
参照 ⇨ ハウ・ツー・アーン・ゴールド
さてBasicカードを揃えた後は、オンラインで対戦を繰り返しいずれかの手段によってExpertカードを入手して、コレクションを充実させつつカードデッキのビルドを改良していくことのサイクルとなります。
(Expertカード ・・・ カードパックから入手するカード)
元手となるのはつまるところBasicカードとユニーククエスト達成で手に入れた幾つかのカードパック。ここからカードを選び出し自分のデッキを作り上げ、Play modeに挑むのです。
バリエーションに乏しく選べる戦術も限られてはいますが、それについては他の新規プレイヤーたちも同じ境遇です。カードコレクションを増やしプレイの幅を広げていく足がかりとして、まずは自分のスターティングデッキを作成しなければなりません。
手元には低レアリティのカードしかなく心許ないとは思います。この選び得るカードが限られた中で作るのがバジェットデッキ(Budget Deck)
いわゆる貧乏デッキというやつです。
ボンビーだとちょっと、しみったれた感じがしますので、このブログでは以後バジェットデッキと呼ぶことにします。
横文字のシャレオツ感で包んでぼかす、オブラート感重点。
本稿ではデッキビルドの用語解説、基礎知識、いわゆる”スタンダード”なデッキビルドの設計思想、そしてバジェットデッキをビルドする際におすすめのNeutral属性(クラス共有)ミニオンを紹介していきます。
本題へとすすむ前に、デッキに組み込む候補を選別するにあたって、カードに対する評価の誤謬についてかるく触れておきます。
カード評価の誤謬
このゲームに登場するカードには、優劣は存在しますが、上位下位の区別はありません。
優劣とは何を指して言うか。
様々なシチュエーションに対して”使える”・または非常に効果的であるため比較的優れていると評価されるカードと、”使える”状況が実際少ない・もしくはたいして有効ではないため評価が低い、の優劣です。
これはプレイヤー達の主観的な評価です。
しかし、どのカードも客観的に公正に、上位下位関係にあると定義することはできません。
ex)
同じ2マナミニオンのRiver Crocolisk だけ何のアビリティも持たないバニラ
他のカードは同じアタック値ヘルス値でありながらアビリティを持つ。
これは上位互換じゃないかと思ってしまいますが、River Crocolisk にはBeast種族という特性があります。上記ミニオン達のなかで唯一、Beast種族シナジーの恩恵を受けるという立派な使い道があるのですね。
ex)
どちらも同じマナでバニラカードなのに数値上完全にEmerald Drake が上回っている。
これは上位互換じゃないか、ということもありません。
Chillwind Yeti はコレクション可能なNeautralミニオン。一方Emerald DrakeというミニオンはレジェンダリーカードのYsera がランダムドローするToken(一時的な)カード。
特殊なアビリティの利用を除けば最短で召喚できるのは10ターン目となります。
ex)
同じマナ、同じ能力でアタック値ヘルス値のみが違います。どちらが優れているか人によって評価の別れるところでしょう。
ただし、単純にアタック値ヘルス値から受ける印象のみで評価するのも誤謬のもとです。
5/4 ・・・ 235体を1撃で破壊、181体のダイレクトアタックに耐える
3/6 ・・・ 163体を1撃で破壊、246体のダイレクトアタックに耐える
ゲーム内で起こりうる、ありとあらゆる状況を想定すれば、アタック値ヘルス値の多寡に上下関係を付けることはできません。”使える”状況が多いか少ないか有効か否か、この違いがカードに対する優劣の評価基準となります。
(Tauntミニオンに期待される結果を考えればFen Creeperが優れている、と評価される)
ex)
カードバランスという視点も多分に誤謬を含む。
三段論法の一歩目からずっこけてるバランス議論を目にする機会があります。
個々のカードの性能差が明らかでも死にカードと決めつけることはできません。
公平であるべきはグロスで見たクラス間の勝率であり、カードのバランスはこれを調整するための1要素に過ぎないからです。
ex)
カードの評価をレアリティのみを基準に下すのも誤謬のひとつ。
たとえば最初から持っているFreeカードミニオンのBoulderfist Ogre。
マナコスト6で6/7という極めて優秀なアタック値とヘルス値を持つがアビリティは設定されていないバニラです。
魅力的なアビリティを備えるレジェンダリーカードのHoggerとCairne Bloodhoofと較べてみましょう。この2体は優れたアビリティを持つがゆえに、マナコスト対比で見ると鼻血が出るほど貧弱なミニオンです。
Hoggerのヘルス4というのはInjured Blademasterなどの3マナミニオンにすら一撃で破壊される数値です。
1や2や3という数値の差は小さく見えて、埋めがたいとてつもなく大きな隔たりが在ります。
Hoggerのアタック4/ヘルス4
199体のミニオンを一撃で破壊、181体のダイレクトアタックに耐える
Cairne Bloodhoofのアタック4/ヘルス5
199体のミニオンを一撃で破壊、225体のダイレクトアタックに耐える
Boulderfist Ogreのアタック6/ヘルス7
249体を一撃で破壊、257体のダイレクトアタックに耐える
強烈なアビリティを活かすシチュエーションに至らなければ、最高レアリティのレジェンダリーカードもゲーム初期から持っているFreeカードに劣ります。また、アビリティ持ちミニオンはすべからくサイレンスアビリティへの弱みを持ちます。
その代わり使い途を見い出せば効果的であり、これを狙って実現することが戦術の幅です。
ブリザード開発チームの匙加減で、どのカードもアビリティとアタック/ヘルスひっくるめて長所短所があるという観点からカードを選り抜いていきましょう。
▲Index
Chapter 2. 用語
Budget Deck ・・・
TCGの世界で入手難易度の低いカードで組み上げたカードデッキを指す俗語。
日本では貧乏デッキと称されることもあるらしい。
バジェットデッキが表すのはデッキを構成するカードのレアリティが低いことのみであり、必ずしもバジェットデッキが他と較べて貧弱であるとは限らない。
Hearthstoneの場合、レアリティの分類によるマナコストの分布上では明らかに低レアリティ=低マナコストに偏るため、バジェットデッキも低マナコストカードを主体としたラッシュ傾向にある。(レイトゲームにおいて低マナコストはカードパワーが貧弱すぎるため。)
参照 ⇨ カードリスト統計 Closed beta
マナカーブ ・・・
デッキを構成するカードをマナコスト別に積み重ねてみたときに、枚数が多いカードと少ないカードの高低差によりかたどられる放物線を指す。あくまで目安。
下図のような放物線のマナカーブがスタンダードである理由は以後のChapterにて解説。
Freeカード ・・・
クラス共通で使えるミニオン、Neutral属性の中でもゲーム開始時点から持っているミニオンカードがこの区分に含まれる。このFreeカードミニオンのゴールデンバージョンは各Classのレベルアップ報酬に割り振られている。
デッキビルド(Deck building) ・・・
カードデッキを組み立てることをビルドという単語を用いる。もしくはConstruct
このビルドの設計思想をアーキタイプ、もしくはアーキテクチャという枠で括り、アグロ・ビードダウン・ウィニー・コントロール・コンボといったデッキの性格を表す用語が他TCG経験者により数多く持ち込まれ頻用されている。
これらのデッキタイプは明確に引くことのできる基準は存在せず、他者にデッキの性質を示すために用いられるだけなので、用語をおぼえたり意識して組み立てる必要性は無い。
最近はむしろこうした用語を使わず、好き勝手なデッキ名称や言い回しでシェアするプレイヤーも増えつつあるが、MTG由来のデッキネーミングもやはり根強い。”Zergling”は数で轢き殺すの意で定着している。
➥ Miracle Rogue
➥ Druid Slash & Burn
➥ Never Too Many Beasts
➥ Kripparrian's Turn Eight Mage
➥ Minion summoning zerg deck
▲Index
Chapter 3. いわゆる”スタンダード”
分布から見る取捨選択
じゃ、自由に好きなようにデッキ組んでいいよ。
何も知らない新規プレイヤーにとってこれほど困る言葉も無いもんです。
カードデッキをどのように組むかはホント自由なんですが、対戦ゲームなので”勝つこと”を志向するのがとりあえず前提となります。そして、TCG経験者の方ならすでに体得しているであろう勝つための基本的なセオリーも、何も知らない人には未知の世界です。
本稿はカードゲームも何も初めてだよ、という人を対象にして書いているため、必要のない方はどんどん読み飛ばして下さい。
ちなみにこのブログの管理人も、カードゲームはドが付くほどの初心者です。カードゲームといえば幼稚園のとき祖母が買ってくれたファミコンの「ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人」以来ですね。
カードゲームニュービーの視点から出発して記事を書いているので、同様の人にとっては参考になる点はあろうかと期待しています。
それでは、新規プレイヤーがデッキを組むための道標となる『マナカーブ』について考えていきます。
『マナカーブ』、耳慣れない言葉ですがこれはマジック・ザ・ギャザリングを祖とする対戦型TCGにおける共通のテーマです。
カードには1枚毎に使用するためのコストが設定されており、そしてゲーム進行度に比例してリソースが増加していきます。
これに対して最適なカードプレイを行うために、カードデッキをコスト幾つのカードがどれだけの割合を占めるかグラフ化していくと、自然と『マナカーブ』という近似した曲線が現れてきます。
※ 数字だけの世界では無いので理想的なカーブは存在しません。あくまで目安
YoutubeやTwitchで他人のプレイを見ている人ならこの曲線を何度も目にしていることでしょう。波の形や大きさ、ズレはありますがマナカーブがこのように波形をかたどるのは確たる理由があります。
選択肢の多様性
理由その1はとても単純で、選択肢の幅がそのままマナカーブの形に沿っているためです。
コレクションカードをマナコスト別に分布化し積上げ表にしてみると下図のようになります。
(むしろこれは、プレイヤーが自ずから合理的なプレイを選択するように、開発チームの意図したマナコスト配置だと考えるのが適切でしょう)
▲Index
スタンダードを担保する確率
カードのタイプや個々の特性、その他デッキスタイルによる戦術については一切考えず、ターン経過によって増加するリソースに沿う最適なカードプレイを考えてみましょう。
この答えは一つだけ、ターン毎にマナクリスタルというリソースを使い切ることです。
Hearthstoneでは1ターン目1マナで始まり、ターン経過毎に使用可能なリソースがひとつずつ増加します。そして使わなかったリソースの持ち越しはありません。
このため、マナクリスタルを使い切れないということはただ純然たる機会損失となります。
(カードも資源ですから温存することも当然考えますが、ひとまず置いておきます)
自分のターン、マナクリスタルは余ってるのに何も出来ない。このような状況を他のTCGでは”事故”と呼ぶことがあります。こうした事故を引き起こさず、ゲームの序盤からきちんと動いていくためにカードが手札に必要になりますね。
しかし、デッキから手札に引くカードはすべて偶然の配分です。Tracking のような特殊なアビリティを除けば、どんなカードを手札に引けるか。これはプレイヤーが決めることはできません。
この対処としてカードドローの確率をコントロールし、事故を未然に防ぎます。
下図はデッキ30枚中に目的とするカードが何枚含まれ、何枚ドローすることで少なくとも1枚は引き当てることができるかの確率対数表です。
行・・・ドロー枚数
列・・・デッキ30枚中に投入した枚数
確率はあくまで確率なので偏りはありますが、試行を繰り返すことで変数は平均値へと収束していくので、長い目で見れば信用できます。(というか他にアテが無い)
安定した”スタンダード”なプレイを担保するのがこのドロー確率ですね。
一例として、カードデッキ30枚中にマナコスト2のカードが幾つ含まれることで、2ターン目にマナ2のカードをプレイできると期待できるか計算していくと・・・・・
条件1:
持ち札は先攻3枚/後攻4枚で始まり、各々のターン開始時に1枚づつカードを自動でドロー
条件2:
2ターン目、アビリティによるドローを考慮せず1ターン目のカードプレイも無しとする。自動のドローのみで手札は先攻5枚 / 後攻6枚(+コイン)
calc1 デッキ30枚中 マナコスト2のMinionカードが2枚
先攻・・・31.03%
後攻・・・36.55%
calc2 デッキ30枚中 マナコスト2のMinionカードが4枚
先攻・・・53.84%
後攻・・・61.23%
マリガン(ゲーム開始時の手札交換)によりこの確率はさらに底上げされるので、1・2・3ターン目の序盤にマナコストの制限上切れるカードが無いという状況の可能性はコントロールできます。
あまり数字の話を続けるとウンザリするでしょうし、要点だけをズバッとまとめましょう。
投入枚数から導き出される確率はこのような放物線を描きます。
スタンダードの鉄則、最適なカードプレイをするため低マナカードを多めに入れる。
カードコンビネーションを意識したプレイは期待値と分散の観点が必要ですが、ひとまず置いておきます。
相手のカードプレイによってこちらの行動は制限されますし、2ターン目に必ず使用可能になるヒーローパワーを考慮する必要はありますが、ここではリソースとカードプレイの原則論として確率の話を持ちだしました。
マナカーブの理由その2は以上です。
※ ここで偶然の神様から一言
確率を導き出す条件は変更可能ですし、分散する幅は決められますが、いつ何時どのように偏るかについてはどーにもなりません。
こればっかりは偶然の神様の思し召しですので人間にはいかんともしがたいですね。
偏りばかりはやはり”運”という言葉で解釈するほかありません。
そして、ハズレハズレハズレハズレでハズレが続いたら次はアタリだろ、と妄念に囚われるのがギャンブラーの誤謬というやつです。
カードコンビネーション戦略を用いる時は標準偏差という平均値からのバラつきを考慮しないと空回りしてしまうでしょう。
▲Index
”お約束”なカードプレイ
低マナ帯のカードに厚みがでる理由は明らかになりましたが、では波が下り坂となる理由とはナンデでしょうか。
こんなマナカーブでもいいはずですよね。谷間は男のロマン。
これにおいても明確な理由が存在します。
カード選択肢の幅が狭い
単純ですが、カードの選択肢の幅が狭いのが理由のひとつ。
選択肢の幅の項で示したグラフの通り、マナコスト5以上のカードはミニオンが主体となることが見て取れますね。
これら高コスト高性能のユニットをTCGでは「巨大クリーチャー」、「巨大モンスター」として戦略上特殊な位置づけをします。Hearthstoneの場合は巨大ミニオンですかね。
クローズドβコミュニティではビッグガイズとかヒュージとかラージとか適当に呼称されています。
ビッグガイズに選択肢の幅はいらない。
いらないと言い切るのは間違いですが、スタンダードな戦略を考えるときには無駄が多いと言えます。
Innervateのような特殊なアビリティの使用を除いて、対戦においては使用可能なリソースの上限が決まっています。
1ターン目1マナ、2ターン目2マナ3ターン目3マナで合計6マナクリスタル。10ターン目で合計55マナクリスタルです。
10ターン目でゲームが終わるわけではありませんが、何をどうあがいても10ターン目までに合計55マナコスト以上のカードを使用することはできません。
10ターンで区切って考えた場合、55マナ以上はリソースを消化してカードを場への影響力に変換することはできないわけですね。選択肢が多いことはとても重要ですが、選択肢が多いだけでは何の意味もありません。
マナコストを支払って手札のカードを具現化して初めて場に影響をもたらします。
そしてリソースの増加は10マナクリスタルでストップします。
6マナコスト以上のミニオンをたくさん抱えていても、1体ずつしか召喚できません。
付け加えれば、多大なマナ投資が必要となるミニオンは使用できるまでゲーム終盤まで待たなくてはなりません。
マリガンで初期の手札は選べますが、以後のドローは偶然によって引き出されていきます。2ターン目3ターン目に8マナ9マナのカードを連続して引こうものなら目もあてられません。
手札の中で使えないまま時間が経過する、いわゆる腐る時間が長いほど、ゲーム中盤でもっと有用なカードを引けていたかもしれない可能性を潰す機会損失となります。
そしてこのゲームは、序盤から中盤までで趨勢が決まってしまうケースが実際多い。
当然のごとく、レイトゲーム用の高マナコストカードの枚数が多いほど、そのカードを序盤から引き当ててしまう確率が上昇します。
誰もが除去を持っている
どのクラスも専用スペルカードには対戦相手の召喚した脅威的なミニオンを排除する手段が用意されています。
Deal damage系、もしくは対象の状態如何にかかわらず即死させる、トランスフォーム系アビリティで無力化するなど多様ですが、相手の手札には必ずその手段が含まれていると考えるべき。
中盤において波を作り、こうした除去作用のカードを相手に吐き出させておかなければ、終盤どれだけ強力なミニオンを召喚しても即効で無力化されます。
ミニオン召喚の基本ですが、ほとんどのミニオンは投資マナコストを回収できるのは召喚した次のターン以降となります。
King Krushのように場に出してすぐに点数分の働きを単体でおこなえるラージミニオンは実際多くありません。
さらに悪いことに、マナコストの高いミニオンを召喚して即無力化された場合、相手に時間のアドバンテージを与える結果となります。
ex)
Gruul を召喚
Big Game Hunterで即処理される
こちらは8マナをも投資した行動が無駄になり、相手はさらに5(もしくは6)マナ分の行動力を残しています。こうした時間のアドバンテージ・ディスアドバンテージを”テンポ”という用語で表すこともあります。
ダメージレースとしての駆け引き
最も大きな理由として、対戦相手との駆け引きがあります。
相手に委細構わずカードを出せるなら、マナクリスタルの増加に合わせてアタック値の高いミニオンを使用可能なリソース分ただ出していけば最短で相手のヘルスを削れるわけですが、実際の対戦はそんなひとりよがりは許してくれませんね。
カードゲームの対戦をデュエル(決闘)というかっこ良い呼び名を使うことがあります。
わたしも響きは好きなんですが、どっちかといえばコミュニケーションというのが適当じゃないかと考えています。思いやり重点ですね。相手が何を求めているか、何をしてほしいか相手の気持ちに寄り添って逆を考えるコミュニケーションです。
端的な例として。
どちらも7マナ使える状況として、一方はWar Golem を召喚。
次のターンでアタック値7で殴ることができます。
それを見た一方のプレイヤーはChillwind YetiとAldor Peacekeeperの2体を召喚。
Battlecry発動のアビリティにより相手のWar Golemをほぼ無力化した上で次のターン同様に7ダメージを与える態勢を整えました。
このように、
ダメージソースの捻出と相手への妨害の応酬が、”お約束”的プレイとなります。
Hearthstoneにおいて対戦に勝つということは相手のヒーローのヘルスを0以下へ削り切ること、他に勝利条件はありません。
すなわち、このゲームの本質は相手とのダメージレースとなります。
みんな大好きマリオカートを思い浮かべてください。
レースの参加者は二人だけ、あらゆる手を尽くし相手より一歩先んじてゴールすれば勝利です。方法はいくつもあり、このダメージレースにおける走り方がカードデッキのアーキテクチャそのものを体現します。
自分が加速してゴールへの最短距離をひた走るアグロ、甲羅をぶつけたりバナナを置いたりイカスミぶっかけて相手の足を引っ張り結果的に自分が競り勝つコントロール、特殊なギミックを利用して一気にショートカットを狙うコンビネーション。
カードコレクションが増え戦い方の幅が広がるというのは、レースの走り方のスタイルがより柔軟に、選択肢も多岐に渡ると考えればイメージしやすいでしょう。
▲Index
スペルとミニオンの配分比率
スタンダードなカードデッキの指標、マナカーブを意識するということについては以上となります。これで大枠の目安ができたので次は中身。
Mana Curve Analysis
http://playhearthstone.appspot.com/mana-sim
構成に占めるミニオンカードとスペルカード(+ウェポン)をどの程度の割合で組むかの問題となります。
Spellカードの能力はバリエーション豊かなので一概には言えないことですが、自分のミニオンが産み出すダメージソースをサポートする役割を担います。
もちろん、SpellやWeaponをコントロールとダメージソース両方に使い分ける戦い方や、Spellを主体に相手のヘルスを削り切る戦術も存在します。
2013 BlizzCon Innkeeper's Invitational招待プレイヤーの一人、やらかしReckfulのMageデッキは素晴らしい例外のひとつ。
➥ Reckful's Realz the Mastermind Mage
とりあえず今回は”スタンダード”に、ミニオンをダメージソースとして考えていきます。
カードデッキ30枚中のSpellカードとMinionカードの配分は悩みどころですね。
幾分おおざっぱですが、目安となるだろう要素について分類し紹介しておきます。
ダメージ系
左から、対戦相手のミニオンにダメージを与えるSpell、Battlecry発動で相手にダメージを与えるミニオンアビリティ、そしてヒーローが装備するウェポン。
この3つの共通点は、自分がフィールドに出したミニオンを消耗させずに、相手の戦力を削ることが可能。
Remove ・ 除去
前項と期待される役割は同様。対戦相手の脅威を取り除くことを単純に”除去”と総称して言うことも多いですね。
buff ・ debuff
ミニオンへのbuffは、自分のミニオンをパンプアップしてその先生きのこらせる、または対戦相手の脅威とトレードする、単純にダメージソースを増加するといった多様な目的に用いられます。
相手へのdebuffは脅威を取り除く、もしくは無視していいほど弱体化し、結果的に自分がダメージレースで先んじるという目的があります。
ミニオンでミニオンを攻撃するということは、相手のヒーローへダメージを与えるチャンス1回分の喪失と、ダメージソースである自分のミニオンが消耗するという2点において、基本的にはネガティブな行動となります。
自分がダメージレースのゴールへ辿りつくまでの道のりが遠のいてしまうからですね。
とはいえ相手のミニオンを放置すればさきにゴールされる恐れがあるので、致し方なくミニオン同士を潰して相殺しあうトレードを繰り返します。
これを避け自分のダメージソースを保護する、もしくは対戦相手の妨害に有効な手段を一般に”コントロール”とも言います。
プレイヤーが何気なく口にする”コントロール”とはさまざまな意味を含んでいますが、多くは場に対して影響を与える、バトルフィールドの戦況を操作するカードを指します。
ダメージソースとこれを補助するカードの割合はこれといった正解はありません。たいていは3分の1がスペルで残りがミニオンという配分のデッキが多いんですが、プレイテストを重ねて適正な配分を模索していくほかありません。
▲Index
Chapter 4. マナコスト順 レコメンド
デッキビルドの概略については以上です。
それではさっそくダメージソースとなるミニオン達を選別しピックしていくわけですが、Introductionで書いたようにカードコレクションはクラス専用ベーシックとクラス共有のFreeカードのみ、ゲームを初めてヒーローをアンロックしてExpertカードなんて1枚も持ってないよ、という前提とします。
Freeカードのタイプはミニオンのみなので、この項ではバジェットデッキのビルドに是非組み込みたいオススメなミニオン達を紹介していきます。わたしがオススメする根拠はどのクラスとも相性が良いという理由でピックしているので、紹介に漏れたカード達は使えない連中、とは限りません。
Early tier
マナコスト1~3のミニオン
Mana 1
Freeカードにはマナコスト1でオススメのミニオンはいません。
1マナのFreeミニオンはカードパワーが低いので基本的に扱いづらい存在です。悪くとも2マナミニオンと1:1トレードに持ち込まなければディスアドバンテージとなる上、中盤以降のミニオンに対して無力です。同じ1マナでもクラス専用ミニオンは話は別。
Mana 2
Acidic Swamp Ooze
たったの2体しかいない、エネミーヒーローのウェポンを破壊するアビリティ持ちのひとつ。
Novice Engineer
2マナで出すミニオンとしては最適。Cantrip(オマケカードドロー)でミニオンを出しつつカードも引けるので多くのプレイヤーから愛用されている。3ターン目にShattered Sun Clericのアビリティで強化できれば2重丸。
Mana 3
Shattered Sun Cleric
ゲーム開始時から持っているカードでありながら、おそらく最も多くのプレイヤーの支持を集めるミニオン。HearthHeadのデータによると、3マナミニオンは全44体存在する中で、Sun Clericは実に25%のデッキに組み込まれている。2ターン目に出したミニオンをパンプアップして中盤へ繋げる能力は大変有用。
βパッチ4217でnerf、ヘルスが1減少し3/2 (was a 3/3)
▲Index
Midrange
マナコスト4~6のミニオン
Mana 4
Chillwind Yeti
なぜこのYetiが愛用されているかというと、4マナミニオンでありながら
全ミニオン279体中、225体のミニオンから攻撃されても耐え
全ミニオン279体中、199体のミニオンを一度のダイレクトアタックで破壊し
全ミニオン279体中、189体のミニオンにダイレクトアタックをぶつけてYetiだけ生き残る
ポイントは3番目、189体のミニオンにぶつけて生き残るということは、全ミニオン279体中、189体と戦わせるだけでボードコントロールと同時にお得なトレードを産み出すミニオンということ。
なんのアビリティも持たずレアリティも低いため軽視しがちなミニオンだが、アビリティを持たないがゆえに基本値が高く、アビリティがウリのミニオンと違ってサイレンスをくらっても痛くも痒くもないという汎用性こそChillwind Yetiが重用される理由。
さらにアタック値4というのがエクセレント。同じ4マナミニオンを破壊しつつ自分は生き残り、Shadow Word: Pain・Shadow Word: Deathどちらの範囲からも逃れる。
ヘルス値5というのもビューティホー。同じ4マナミニオンのダイレクトアタックに耐え、Deal damage系コントロールスペル59種のうち、このYetiを特別な補正無しに一撃で破壊できるのはFireballなど7種のみ。
Mana 5
他のミニオンのアビリティやスペルの活用で上記3体の使い勝手は異なる。
Mana 6
Boulderfist Ogre
単純にステータスが優秀。そして弱点が無い。Lord of the Arenaと悩むかもしれないが、Tauntミニオンで守る対象が居なければTauntの価値は半減する。
▲Index
Late game big guys
マナコスト7以降のミニオン
Stormwind Champion
ビッグガイズと言いながら1体しかオススメできないのがサミシイ。Basicカードデッキで戦っていく内は、このミニオンがフィニッシャーの役割を果たす機会が多い。
▲Index
Chapter 5. クラス別Budgetデッキ構築例
ゲームを始めたばかりでは、カードが少なくデッキが貧弱なのは否めません。
まぁその前に、ちょっと聞いて下さい。
ブリザードの発表によれば、Ranked matchで3星Masterまで到達したプレイヤーの44%は一切リアルマネーを投じないノーペイプレイヤーだったそうです。
金額とか割合の詳細は不明ですね。
Gelbin Mekkatorqueのユニーククエスト達成のために一度だけ支払いをした人も含まれてないんでしょうか。
(集計は8月16日より開始したクローズドβにおいて11月8日開催のBlizzconまでの期間)
多くのβテスター達もこれから始める新規プレイヤーと同様にBasicカードとFreeカードのみから出発しており、限られた手段の中で最適の選択肢を選び抜くため知恵を絞りました。
下記で紹介するページにはその足跡が多数残されており、同じ環境から始まるプレイヤーにとって大きな手助けになるはずです。
HearthHead
➥ HearthHead Basic Card Deck
ドロップダウンリストからBasicを選択
適用Patchには要注意
デッキの詳細なデータが個別ページで表示されます。
Hearthpwn
➥ Hearthpwn Basic Card Deck
こちらにも大量のデッキが投稿されています。フィードバックがHearthHeadほど見られませんが、詳細なガイドテキストを付けている人も居るので参考になります。
▲Index
Chapter 6. 次のステップについて
単なるお節介になりかねませんけれど。
使用可能なヒーローは9人居ますが、べつにまんべんなくヒーローを使い分けていく必要性はありません。使いたくないヒーローは放置しても困ることは無いでしょう。
Daily questの指定で仕方なく、という場合もPlay modeのUnrankedやArenaで達成できます。
また、ヒーローのレベルを上げても取得できるのはそのヒーロー専用Basicカードのみ、LV10以降はFreeカードとクラス専用Basicのゴールデンバージョンだけです。カードコレクションに興味がなければレベル上げの必要も一切皆無。
そして何より、素晴らしい性能を秘めた各クラス専用のExpertカードの入手性の問題があります。
カードパックからはランダム取得ですが、狙って必要なカードを作るにはArcane dustが必要になります。全クラスのExpertで有用なカードをクラフトしようとするなら莫大な量です。
当然のことながら、クラスを絞ってクラフティングしていけば、よりリッチなカードデッキに早く到達できるわけですね。
実際クローズドβテスターたちも、自分のお気に入りヒーローを使いこむプレイヤーが多く見られます。
自分のプレイ方針を考えるにあたっては、Arcane dustの使い途をよーーく考えておいたほうがいいかもしれません。
各クラスまんべんなく育てる方針であれば、別記事にてクラス共通Expertミニオンのオススメを候補に挙げていますので、使い回し重点でArcane dustを投資するのもアリです。
またいずれかのクラスに絞って使い倒す方針であっても
Faerie Dragon・Ironbeak Owl・Knife Juggler
Spellbreaker・Defender of Argus・Azure Drake
Argent Commander
以上の7体はどのクラスどのデッキでも使い回すのに非常に便利でオススメです。
クラス共有ミニオンのクラフティングについてはこちらをご参照下さい。
⇨ ジ・アクト・オブ・クラフティング
といったところでデッキビルドの基礎をまとめたインストラクションガイド第4弾はこれにて終了。次回に予定しているArenaの記事で基礎知識のガイド記事群は終了です。
▲Indexに戻る
⇨ 導入記事第一弾 Hearthstoneの基礎ルール
⇨ 導入記事第二弾 閃け!アビリティバトル【能力 x 脳力】
⇨ 導入記事第三弾 バフ・デバフ・アンド・メメント
⇨ 導入記事第四弾 デッキビルドのススメ
⇨ 導入記事第五弾 冷静と情熱のArena